「この程度で疲れるなんて甘え?」と思う人へ――6月病の時期に知りたい疲労との向き合い方
4月の新生活、5月の大型連休――
そのまま6月に突入して、なんとなくだるい、眠れない、イライラする……そんな状態が続いていませんか?
「この程度で休めない」
「もっと頑張らないといけない」
そんなふうに、自分の疲れを後回しにしている人もいるかもしれません。
今回は、下園壮太著(2023)『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』(WAVE出版)をもとに、「休みたいのに休めない」と感じる人の思考パターンや、疲労との向き合い方について紹介します。
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目次
ライター
疲れているのは甘え?気づきにくい疲労のサイン
最近では、6月頃に現れる心身の不調を「6月病(※1)」と呼ぶことがあります。
6月病は正式な病名ではありませんが、6月は新生活が始まってからの疲れやストレスが表面化しやすい時期です。
(※1) 参考サイト:ともクリニック浜松町 精神科・心療内科「【医師監修】6月病とは? 5月病との違いと対策」(参照:2026年6月15日)
ただ、「疲れている」と言っても、多少の不調であれば身体は動けてしまうものです。
「これくらいで休むわけにはいかない」と、無理をして仕事をした経験がある人も多いのではないでしょうか。
私自身も、疲れを感じながら「まだ大丈夫」と言い聞かせて働き続けていた時期がありました。
ですが、疲労は少しずつ蓄積していきます。小さな不調も見過ごし続けると、自分では気づかないうちに、心や体が限界へ近づいてしまうこともあるのです。
疲労が蓄積していく3段階とは?
疲労が蓄積していくと、心身はどういった状態になるのでしょうか。
下園氏は、著書『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』で、疲労状態を3段階で説明しています。(図1)
■第1段階
余裕のある状態 (疲れを感じても、休息によって回復できる)
■第2段階
不調が現れ始める状態 (イライラや睡眠不足など、小さな不調が現れ始める)
■第3段階
心身が限界に近づく状態(心身への影響が大きくなり、回復にも時間がかかる)

図1 疲労の3段階
(図1)下園壮太氏の著書『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』の内容をもとに筆者作成。図の表現はソフトバンクニュース「元自衛隊のメンタル教官に聞く、ニューノーマル時代のメンタルヘルスケアの極意」(参照日:2026年6月22日)を参考にしています。
実は私自身も、振り返ると疲労の第2段階から第3段階にかけての状態だったのではないか、と思う時期がありました。当時は不調を感じながらも、「休む」という発想がありませんでした。そのまま無理を続けた結果、体調を崩し、改めて疲れをため込んでいたのだと気づくことになります。
疲労の特効薬は「休むこと」
下園氏は、疲労を回復するうえで最も大切なのは「休むこと」だと述べています。
例えば山登りをしていて、『疲れたな、少し休憩しよう』という行動は当たり前のことですよね。 誰だって歩いたり走ったりして動いた後は休憩を取るのです。 ずっと走り続けられる人なんていません。
引用:下園壮太著(2023)『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』WAVE出版、P.33
この一文を読んだとき、「確かに、山登りなら当たり前にできることが、なぜ仕事や家庭だとできないんだろう」と、自分でも不思議に感じました。
疲れたら休む。それは本来とても自然なことのはずです。
それなのに私は、「まだ大丈夫」「これくらいで休むわけにはいかない」と考え、自分の不調を後回しにしていたのです。
真面目な人ほど「休めない」のはなぜか?
下園氏は、人が休めないと考えてしまう理由について、以下のように述べています。
日本では特に、『頑張ること』『我慢すること』が美徳とされる傾向にあります。 頑張るほど結果が出せて、周りに守られる環境にある子どもの頃なら、それでいいかもしれません。 ただ、この子ども時代の価値観だけでは、理不尽で予測がつかない大人の社会は乗り切れないのです。
引用:下園壮太著(2023)『全部うまくいかないのはわたしが頑張りすぎるから』WAVE出版、P.45-46
こういった思考を手放し、真面目で頑張り屋な人に「休む」という選択肢を持ってほしい、と下園氏は強調しています。
同書の中で語られている手放すべき思考について、私自身の経験と合わせてご紹介します。
手放すべき思考①「頑張ることが正しい」
下園氏は同書で、親や先生から「頑張ることが正しい」と教育されてきた価値観が、休むことへの罪悪感を生むと説明しています。
私自身も、頑張ることは良いことだとずっと思ってきました。
子どもが生まれてからもその考え方は変わらず、むしろ「会社員としても、母としても頑張らなくては」と、その思いはより強くなりました。
仕事では期待に応えたい、家では家事や育児をきちんとこなしたい。
そんな思いから、「少し疲れているくらいで休んではいけない」「まだ大丈夫」と、自分に言い聞かせながら、できる限り手を抜かずに頑張ろうとしていました。
手放すべき思考②「他人に嫌われてはいけない」
子育て中は、周囲に迷惑をかける場面が少なくありません。
私はそうした場面に直面するたびに、「また迷惑をかけてしまった」と落ち込んでいました。
実際にそういった場面で周囲から責められたわけではありません。それでも「面倒な人だと思われたくない」という気持ちが強くなり、休むことや人に頼ることに大きな抵抗を感じるようになっていました。
同書でも、人が「嫌われたくない」と感じるのは自然な反応である一方、その思いが強くなりすぎると、休むことや人に頼ることに罪悪感を抱き、無理をしてでも一人で抱え込んでしまうことが説明されています。
この部分を読んだとき、自分が抱えていたのは仕事や育児の負担だけではなく、「嫌われたくない」という不安でもあったのだと気づきました。
手放すべき思考③「全部自分でやらなくてはいけない」
私はもともと、人に頼ることがあまり得意ではありませんでした。
「自分でできることを人に頼るのは申し訳ない」
「相手の負担を増やしたくない」
そんな気持ちが強く、仕事も家庭のことも、できるだけ自分でこなそうとしていました。
夫が協力してくれていても、「任せるより自分でやった方が確実だし、気が楽」と考えてしまうこともありました。
その結果、さまざまなことを自分一人で抱え込み、余裕を失っていたように思います。
下園氏は、「全部自分でやらなくてはいけない」という思い込みが強いと、周囲に助けを求めることができずに、一人では抱えきれない仕事や家事などを背負い込み、自分自身を追い込んでしまう悪循環を指摘しています。
私が「頑張りすぎ」をやめるまで
ここまで紹介してきた考え方は、どれも私自身に当てはまるものでした。
この本を読んだとき、「まるで自分のことが書かれているみたいだ」と感じたのを覚えています。
当時の私は、片道約90分の通勤をしながら、子育てと仕事を両立する日々を送っていました。また、HSP(※2)の気質も相まって、人の表情や周囲の空気が気になりやすく、「迷惑をかけてはいけない」「期待に応えなければ」という思いが常に頭にあるタイプでした。
(※2) ハイリー・センシティブ・パーソンの略。音や光、人の気配など、ささいな刺激に敏感に反応する気質のこと。
※参考サイト:あなたのかかりつけ健康サイトサワイ健康推進課「心が疲れやすくて生きづらい…それは「HSP」かもしれません」(参照:2026年6月22日)
それでも、「これが当たり前」「みんな頑張っているのだから自分も頑張らなければ」と思っていました。
「これくらいで休むわけにはいかない」を続けた結果
そんな生活を続ける中で、以前より疲れが抜けにくくなったり、食欲が落ちたり、風邪が長引いたりすることが増えていきました。
しかし当時の私は、それを「少し疲れているだけ」と軽く考えていました。
そんなある日、風邪をこじらせたことをきっかけに、声がほとんど出なくなってしまったのです。
最初は数日で治ると思っていましたが、回復には1か月近くかかりました。
仕事にも日常生活にも支障が出る状態になって初めて、「私は思っていた以上に無理をしていたのかもしれない」と感じました。
今思えば、それまで見て見ぬふりをしてきた疲労が、限界に達していたのだと思います。
そしてこの出来事をきっかけに、自分の働き方について真剣に考えるようになりました。
働き方を見直して変わったこと
仕事も家庭も大切。でも、そのどちらも長く続けるためには、自分自身が健康でなければ成り立ちません。
本書の中で印象的だったのが、「0か10ではなく、0か3〜7で考える」という考え方です。
私はこれまで、「仕事も家庭のことも頑張る」か、「どちらかを諦める」かのように、極端に考えてしまうことがありました。しかし著者は、そうした二択ではなく、自分が無理なく続けられる中間の選択肢を探すことの大切さを伝えています。
その考え方に触れたことで、私自身も「もっと頑張らなければ」と自分を追い立てるのではなく、長く続けられる働き方を考えるようになりました。
そして、自分に合った働き方を模索した結果、たどり着いたのが在宅で働けるHELP YOUでした。
現在はHELP YOUで在宅フリーランスとして働いています。
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往復約3時間の通勤がなくなり、その時間を家事、子どもと過ごす時間、そして自分の休息にも使えるようになりました。
また、子どもが体調を崩したときも、「職場に迷惑をかけてしまう」という強い罪悪感を抱くことが減りました。
以前よりも自分や家族の状態に目を向けながら、無理のないペースで働けるようになったと感じています。
休むことは「甘え」ではない!
「この程度で疲れるなんて甘えかもしれない」
そう思ってしまう人ほど、実は疲労を抱え込んでいることがあるかもしれません。
しかし、本書を読んで下園氏の考えに触れたことで、疲れたときに休むことは決して甘えではなく、自分を守るために必要なことなのだと感じるようになりました。
そして同時に、無理を続けることだけが正解ではなく、働き方や環境そのものを見直すことも、自分を守るための大切な選択肢の一つだと思うようになりました。
その考えをきっかけに、私は在宅ワークという選択にたどり着いたのです。
6月は、新生活の緊張や気疲れが表面化しやすい時期です。
もし今、疲れや不調を感じているなら、「まだ頑張れる」と無理を重ねる前に、自分自身の状態や働き方にも目を向けてみてはいかがでしょうか。
まとめ
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