リモートワークが、自分らしく働く選択肢のひとつに。オンライン開催・リモートワーカー座談会

世界的に広がっている新型コロナウイルス感染による経済界への影響。日本国内でも通勤時や社内での感染を防ぐため、在宅でのリモートワークに切り替えている会社が多数あります。一方で、今回のような緊急時対策ではなく、リモートワークを自分の働き方として選び、既に実践している人たちも。そんなリモートワーカーを囲んで体験を聞くオンライン座談会が開催されました。

ライター

鈴木せいら
札幌市出身。横浜国立大学大学院工学修士修了。2007年夏より、函館へ移住。制作会社でライティング・編集業務を行い、実用書・フリーペーパー等のコンテンツ制作を担当、2011年よりフリーランスに。現在、「HELP YOU」プロフェッショナルライター。理系の知識を活かしたサイエンスやアカデミー系の文章から暮らしにまつわるエッセイ、インタビューなど幅広く手がける。

オンライン開催座談会で経験者に聞く「リモートワークに興味があるけれど実際のところは?」

新型コロナウイルスの感染拡大防止の影響が無視できない社会状況となり、在宅勤務に切り替える企業も多く出てきました。「リモートワーク」という働き方自体を今回初めて知ったという人も、少なくないようです。

 

そこで、通常時から社内の全員がリモートワークを行っている株式会社ニットが3月18日に「完全リモートワーカーの理想的ライフスタイルと失敗談が聞ける会」というイベントをオンラインで開催しました。この座談会には、複数の人で同時にビデオ通話をすることができるZoomというツールが使われました。時間になると、オンライン会場に主催メンバーを含め約20名が集まりました。

 

まず最初に座談会のファシリテーターを務めるニット社員の小澤美佳さんから、ニットはどういう会社で、どんな風にフルリモートの形態で運営をしているのか、という紹介がありました。

ニットが提供するオンラインアシスタントサービス「HELP YOU」に在籍するフリーランスのメンバーは約400名、全国30都道府県・世界33カ国に散らばっているそうです。

 

座談会ではリモートワークで働くメンバーに小グループに分かれて直接話を聞くことができました。

 

エルサレム在住リモートワーカーのコミュニケーション術「ビデオ通話で顔を見て話す機会を」

最初に参加したのは、エルサレムで生活しながらニットの人事担当として働いている宇治川紗由里さんのグループ。

日本との時差は-7時間。コワーキングスペースらしき場所にいる宇治川さんの背後を、外国人男性数名が横切っていく姿が見えました。リアルタイムで海外とつながっていることを感じます。

 

座談会の他の参加者は、神奈川で派遣社員としてメーカーの事務をしている女性、目下自宅勤務中だという都内で働くエンジニア男性、関西在住の男子大学生という顔ぶれ。

中でも派遣で仕事をしている女性は、「今働いている会社でも社員の人たちは自宅勤務になりましたが、私たち派遣社員は契約上の問題がありテレワークが適用されない」と話していました。待遇の不均衡を身を持って体験し、リモートワークへの関心が高まったそう。

 

「リモートワークはテキストでのやり取りが中心になり、コミュニケーションの難しさがあると思います。齟齬がないようにどういった工夫をしていますか?」という質問が宇治川さんに向けられました。

 

「私は、どの人とも必ず最初にビデオ通話を使って、顔を見て話す時間を作るようにしています」と、宇治川さん。「こうして皆さんに自己紹介をしたように、今日はどこにいてどんな環境で……という会話をする。そうすれば人となりが分かって、テキストでのコミュニケーションとリンクするようになります」

オンラインでのリモートワークであっても、人対人の会話を大事にして、それが仕事のしやすさにつながるということでした。

福島のマネージャー職男性「オンとオフの切り替えは課題」

次に参加したのは、ニットでマネージャー職の仕事をしている髙橋隆司さんのグループでした。ニットでリモートワークを始めるまでは、髙橋さんは地元福島でメーカー勤務をしていたそうです。

 

ここではリモートワーク実践中の女性ライター、転勤族の妻であり出産を間近に控えリモートワークに興味があるという女性と同席しました。

 

「リモートワークで仕事のオンとオフを切り替えるコツは?」という質問が出ました。

「オンとオフの切り替えというと、私の失敗談でもあり課題にしているところなんですよね」と笑う髙橋さん。「その切り替えができないと、自分で自分を苦しめてしまう。私は9時~18時を稼働時間に決めているのですが、その時間外でも業務連絡が入ればつい対応してしまっていました。それでは良くないと思って、遅くとも21時までにしています。それ以降の夜間は通知をオフにして朝9時の始業時間までは見ない」

 

失敗談として挙げていたのは、

・時間のコントロール

・髙橋さんの影響でリモートワークの副業を始めたパートナーがいろいろ質問してきて、自分の仕事への集中が途切れてしまうことがあった

・ついつい運動不足になりがち

といったことでした。自分を俯瞰して考えながらリモートでの仕事環境をベストな方向へ調整している髙橋さんの体験談は、参考になる部分が多かったようです。

函館のパラレルワーカー「リモートでもスキルアップしていくことはできる」

最後に参加したのは、函館在住でニットのディレクター職・地元新聞社のスタッフ記者・コミュニティFMのパーソナリティーと3足のわらじを履く伊藤尚さんのグループ。

 

ここではIT企業で営業職をしている関東在住の男性、東京在住の20代女性、現在育休中で副業としてリモートワークに興味があるという女性たちと同席しました。

 

伊藤さんが失敗談に挙げていたエピソードは4つ。

自分の健康状態を過信していたら、妊娠中に切迫早産で急きょ入院することになってしまった。引き継ぎに大わらわだった

・引き継ぎが終わらず、分娩室に入ってからも業務連絡をしていた

・リモートワークでも、テキストだけのやり取りに頼り過ぎない。伝え方を工夫しても、伝わらない相手もいる

・子育て中で、2歳の娘がいるが保育園に入れていない。自分たち親の影響で、YouTubeで動画を観る時間が多くなってしまった

 

ここでは子どもの育児をしながら在宅で仕事をしているママワーカーのリアルな体験談を聞くことができました。

 

参加者からは「リモートワークでは、自分がこれまで経験してきたスキルとのマッチングが難しいのでは?」というスキルを不安視する質問が出ていました。これに対して、「私自身はリモートワークをするまで、地元の公共施設の職員やコワーキングカフェの店長といった仕事をしてきました。ですから、キャリアを元に採用されたというよりも向上心と仕事への熱意を買ってもらった結果。経験を重ねてスキルアップすることは可能です。ディレクターはクライアントと働くメンバーの橋渡し役ですが、人をよく見ていると評価してもらっています」とご自身のスキルアップの経験を語ってくれていました。

大切なのは、選べること。オンラインもオフラインもそれぞれの良さがある

小グループでの座談会を終え、参加者全員がメインセッションの場に集まりました。参加者の笑顔が並ぶスクリーンショットでの記念撮影のあと、会は終了となりました。

 

参加者はリモートワークに興味を持ち、可能性を感じている方々ばかり。熱量が高く「もっといろいろ聞きたかった」「たくさんメモを取りました」という声が聞こえました。

 

今回の新型コロナウイルスによる混乱でリモートワークを「実践せざるを得ない」状況になった会社、ビジネスマンも多いことでしょう。体験してみて分かったリモートワークの良さもあれば、改めて気づいたオフラインでの仕事の良さもあると思います。

 

参加者のひとりが口にしていた「オンラインとオフラインでコミュニケーションをする解像度の違いはあると思う。リアルで対面した方がいいところではリアルで、そうじゃなくても良いものではオンラインを選んでいきたい。例えばエルサレムに行きたい!と思えば行くしかないけれど、エルサレムにいる人と話したいのであれば、こうしてオンラインでできる」という言葉が印象的でした。

まとめ

新型コロナウイルス流行の余波を受けてリモートワークに注目が集まっている今、リモートワークを実践している人たちからリアルなメリット・デメリットを聞ける座談会は面白みがあり、有意義だったのではないでしょうか。リモートワークが最上の方法というのではなく、実際に会って仕事をする従来の働き方が持つ良さもあります。リモートワークが働き方の選択肢のひとつとして広く認知され、「自分はこのスタイルで働きたい」と選ばれる道になれば良いと思いました。