【weekly 働き方改革ニュース】パワハラ防止法6月1日施行で何が変わる?

1週間のうちに起こった出来事やニュースの中から、仕事や働き方に関する話題をピックアップして紹介する「weekly 働き方改革ニュース」。6月1日から「パワハラ防止法」が施行されたことにともない、あらためて法律の概要や運用について解説する記事が各社から出ています。画期的な法律である半面、当初から課題も指摘されています。

ライター

佐々木康弘
札幌市出身、函館市在住。大手旅行情報誌やニュースサイト、就活サイトなど多数の媒体と契約するフリーランスライター。店舗・商品・人物の取材記事やニュース・芸能記事作成、広告ライティングや企業紹介など幅広いジャンルで年間100万字以上を執筆するほか、校閲も行う。「HELP YOU」ではプロフェッショナルライターとして活動。

「パワハラ防止法」6月1日スタートで何が変わる?

コロナ騒動の陰に隠れていましたが、6月1日から職場でのパワーハラスメントを抑止するための法律「改正労働施策総合推進法」、通称「パワハラ防止法」が施行されました。これに合わせて、パワハラ防止法の内容を解説する記事が各社から出ています。

FNNプライムオンラインは1日、『“パワハラ防止法”が6月1日から施行…労働者と企業はどう変わる?厚労省に聞いた』と題する記事を公開。今回の法改正に伴い、下記の3つを満たす行為がパワハラに当たると定められたことを解説しています。

(1)優越的な関係を背景とした言動であって
(2)業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
(3)労働者の就業環境が害されるもの

ただし、「パワハラ防止法」はこうしたパワハラ行為を行う管理職などを罰する法律ではなく、「企業はパワハラの防止に努めなければならない」と定めるもので、企業がこれを怠ったからといって罰則があるわけでもありません。

この理由について厚労省の担当者は、「即罰則とするよりも、労働局の助言、指導、勧告に従い、事業主が主体的に措置を講ずることが適切と考えたためです」と同じ記事の中で説明。労働局が指導や勧告をしても是正されないときには企業名を公表するとしていますが、パワハラ防止の観点で実効性があるかどうかについては、特に労働者から疑問の声も上がっています。

法律の運用にあたって懸念されている「適切な指導とパワハラの線引き」についても担当者は「(厚労省の示す)『職場におけるハラスメント関係指針』などを参考にしつつ、適宜判断していただくことになります」と回答。これは裏を返せば、非常にあいまいであるということにほかなりません。

オトナンサーが5月31日に公開した『「パワハラ防止法」あす施行 何が変わり、パワハラはなくなる?』と題する記事では、この点について弁護士が「実際のケースでは、パワハラをされた側が『違法となるパワハラだ』と主張し、パワハラをしたとされる側は『法律の範囲内の指導だ』と主張して、その線引きが難しい場合も多くなると予想されます」との見解を示しています。線引きが難しいケースでは裁判になる可能性が高く、最終的には司法の判断を仰ぐことになるとも。こうなってくると、パワハラ防止法で本当にパワハラが減るのかがだんだん怪しく思えてもきます。

とはいえ、今回の法改正前にはパワハラの公式な定義が存在せず、パワハラ行為自体を規制する法律もなかったことを考えれば、「パワハラ防止法」の施行が労働者にとって一歩前進であることは間違いありません。今回は大企業のみが対象となっており、中小企業への適用は2022年4月からとなりますが、それまでの期間に少しでも企業側の「パワハラ防止」の意識が向上していることを望みたいものです。

コロナで変わる働き方-もはや居住地に意味はない?

コロナ禍がそれなりに落ち着いたことで、これからの新しい働き方を考察する記事が続々と出ています。Yahoo!ニュースに掲載された、その名もズバリ『コロナの禍を転じて福とするために』と題する記事もそのひとつ。筆者であるHCアセットマネジメント代表の森本紀行氏は記事の中で、新型コロナ感染症という「問答無用の強制力」が働いたことを好機として利用すべきと指摘。不幸な事態は、それを社会の進化に利用しない限り単に不幸を受容するだけで、それを福に転じることはできないと説明しています。

具体的には、

・事務所で過ごす時間ではなく、仕事が成果で測定されるようになる
・押印のような無駄な行為が廃止に向かう
・居住地と企業の所在地との同一性が不要になる(どこに住んでいても世界中どの企業でも働ける
・無駄な出張や外訪が減る

などといった社会の変化が起きつつあるとしています。いずれも、長年続いてきた日本の働き方の常識に反するものですが、生産性向上の観点からはプラスの影響を与えると考えられます。森本氏はこの変化が「革命的なものになるでしょう」と予測しています。

居住地と企業の所在地の同一性が薄れつつある変化については、SUUMOジャーナルも『地方に副業を持つ「ふるさと副業」が拡大中!地域とゆるやかにつながるきっかけを』と題する記事で取り上げています。

ここで言う「ふるさと副業」とは、都市部で働く人が副業として地方企業の仕事に携わる働き方のこと。石川県のホテルで外国人旅行者向けの宿泊プランづくりに海外在住の日本人女性が参画している例や、静岡県の都市部に住む女性が郊外の企業のマーケティングを支援している例などが紹介されています。

記事の中でリクナビNEXT編集長の藤井薫さんは「これからは、物理的な場所がどこか、ということの意味がどんどん薄れていくのだと思います」と解説。「ある地域において、物理的に近くに暮らしている人にしか担えなかった仕事に、国内外どこからでも参加できるようになる」とも予測しています。これは、片方から見ればマーケットが全国・全世界に広がることを意味しますが、もう片方から見れば競争相手が全世界に広がったことを意味します。コネではなく、純粋に資質が評価される時代の到来に備えて、今からスキルを磨いていくことが必要なのかもしれません。