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フリーランスのリサーチャーチームで構成される株式会社グローバル・カルテット

フリーランスであり、組織でもあるというハイブリッドな形態は画期的ですが、意図したものではなく自然発生的に現在の形が出来上がったのだといいます。
海外の駐在妻やハイキャリアの女性たちが集うチームとは、どんなものなのでしょう?
代表の城みのりさんとチームメンバーの永井さんにお話を伺いました。

フリーランスであり法人。望まれてできたチームの形

-グローバル・カルテットの立ち上げ以前、城さんは調査会社でリサーチャーとして仕事をされていたとのことですが、産休育休後に復職されて、環境・気持ちの変化があったのでしょうか?


産休育休から復帰した後、仕事面で大きな変化があったんです。担当の案件数は変わりませんでしたが、他の人を陰で支えるサポート役に回されました。完全に裏方です。外注の管理をしてクオリティ担保をしなくてはいけないので、業務は膨れ上がっていく。悶々とした状態が1年ほど続いて、退職を決意しました。子どもと過ごす時間も大事にしなくては、という思いもありました。



-その後ブランクを空けずに、今のグローバル・カルテットでの仕事に移行できたのですか?


ほぼブランクなく移行できました。退職直後は転職の可能性も考えていましたが、お世話になっている方にご相談したら「このプロジェクトをやってみないか?」と言っていただいて。それでチームメンバーを集めて一緒に業務を請け負ったことが、グローバル・カルテットが誕生したきっかけです。その後クライアントからの要望もあって、2018年3月に法人化しました。企業によっては、まだ個人への大型案件の外注が難しいところもあるので、法人化まではスムーズに進めることができたと思います。

ハイキャリアを持つ女性たちの幅広いスキルを活かしたチームの強み

-チームメンバーは、海外駐在妻の方やハイキャリアながら子育てなどによってブランクがあったという方が多いようですね。どうやって人材を集められたんですか?


前職からのつながりなど、リファラルが8割、応募してジョインしてくださった方が2割ぐらいです。現在21名のメンバーが在籍しています。



-輝かしいキャリアはあるけれど、ブランクがネックになって仕事がしたくでもできないという女性も多いと思います。


メンバーでも駐在妻だった、あるいは現在駐在妻で海外にいるという方がいます。私たちのチームの存在が、「働きたいけどブランクがあって……」という方たちと企業との架け橋になれたら。



-新しくメンバーになる方を選ぶ時のポイントはありますか?


あえて選んだわけではないのですが、今までのメンバーは紹介やメディア掲載を読んで応募くださった方なので、環境や性格に共通点のある人が多かったですね。



-担当業務は、専門で分けられている?


リサーチ・クリエイティブ・翻訳・アシスタントと4つのチームで、それぞれが得意とする分野でコミットしてもらっています。ただしリサーチャーだけではなく、クリエイティブの方でも翻訳ができたりと、皆さん幅広いスキルを持っていますね。



-受注されるリサーチの分野も幅広い?


当初は私の得意とするヘルスケア・メディカル分野のリサーチ案件がメインでしたが、現在はメンバーも増え、様々な分野を手掛けられるようになりました。それもチームで仕事をすることの強みだと思います。

グローバル・カルテットが組織・個人として目指す未来像は?

-案件を受注する営業に関しては、マッチング会社に依頼しているとか?


以前は私が営業していたこともありましたが、現在は知人やクライアントからの紹介か、業務効率を考えマッチングエージェント2社にお願いしています。「グローバル・カルテットに業務を依頼すると、思い描いたアウトプットが短納期で出来上がってくる」というクライアント評価をいただいているようです。



-長いブランクがあるようなメンバーに対して、スキルアップのための研修などは行っているのですか?


チームに参加後、テスト業務を2回ほど行ってもらっています。目安でお伝えする工数に対して、最初は皆さん時間がかかっているのかもしれませんが、成果物のクオリティが申し分なく、納期をきちんと守ってもらえればOKという方針です。その後はOJTでつかんでいっていただく他、皆さんフリーランスなので自己研鑽を怠らないことが大切です。



-リサーチャーの仕事というのは、10年、20年と続けていける職業なのでしょうか?


続けていけると思いますね。ただ、その中で「自分はこの分野が得意」というものは、差別化の意味で持っていた方が良いと思います。



-今後、グローバル・カルテットはどういう方向に進んでいきたい、というビジョンはありますか?


メンバーはリサーチャーという職種に就いていた方の方が少なく、担当業務の一部にリサーチがあったという人ばかりなので、その気になればフリーランスとして独立していくことも可能だと思います。

ですが、各々の家庭の状況や精神的な問題などから、チームの一員として働くことを選んでくれているようです。例えば「長いブランクがあって自信をなくしていたけれど、このチームで仕事をして自信を取り戻しました!」「重すぎる工数はこなしきれないけど、数人で分担できたからコミットできた!」というように、グローバル・カルテットをひとつのステップとして、メンバーが羽ばたいていってくれたらうれしいと思っています。

金融出身で駐在妻の経験もある完全自走型メンバー・永井さん

-外資系企業の金融アナリストだったキャリアを持ち、ご結婚後は駐在妻としてアメリカで生活していらしたそうですね。それはいつ頃でしたか?


アメリカには2009年まで3年間おりました。



-お子さんはお二人?


はい、長女はアメリカ在住中に出産、長男は帰国後生まれました。



-下のお子さんが生まれた頃に働き始めたとか?


下の子は男の子で、エネルギッシュで手がかかったものですから。いわゆる「魔の2歳児」になった時に(笑)子育てのプロの手をお借りしたい、と思ったことがきっかけです。息子をプリスクールに通わせて、少しずつ社会復帰しました。



-帰国されてからは、転勤はない?


基本的にはないですが、夫は今、国内で単身赴任をしています。



-旦那さまが単身赴任で、永井さんはお仕事をしながらひとりでお子さんたちの面倒をみるのは大変なのでは?


大変ですね。子どもの進学のこともあるので、手が一杯です。



-再就職しようと思った時に、最初はどうやってお仕事を見つけたのですか?


当時はしりの、主婦向け求人サイトに登録してみたところ、運良くすぐに仕事がみつかって、慌てて下の子の預け先を探し回りました。週2~3日の経理の仕事を、現在も続けています。その時々の家の状況に合わせて、例えば子どもが幼稚園から小学校に上がるようなタイミングで、勤務時間や、時に働き先を変えたりと、働き方も変化させてきました。



-グローバル・カルテットには、どういった経緯で参加されたのですか?


アメリカ駐在時に子育てや生活のことをブログに書いて発信していたのですが、同じようにブログを書いている仲間として城さんとつながったんです。ですから、もう10年ぐらいのお付き合いになりますね。彼女が独立するタイミングで、「チームを作って仕事をしようと思っているんだけど、一緒にどう?」と声をかけていただきました。


グローバル・カルテットに対して、あまり「会社」いうイメージがしていないんですよね。集まったメンバーは、城さんの前職のつながりや友人だそうですが、偶然にも出身大学が同じだったりと接点が多くて。



-お誘いを受けてグローバル・カルテットに参加したということは、それまでのパートからさらに仕事を増やしたのですよね。家事や育児との両立は大変じゃなかったですか?


当初は大変でした。子どもたちが寝静まった夜中に、仕事に取り組んでいる感じでした。会社員時代にレポートの作成はしていましたが、また違った内容の資料作りやリサーチ業務でしたし。受ける仕事の内容もいろいろなジャンルのことを一から調べてやっていくので、やはり時間はかかりました。ただ、せっかくいただく仕事ですから、勉強しつつしっかり取り組みたいと思い、夜な夜なコツコツやっていて。慣れるまでは寝不足になっていました(笑)



-リサーチャーとしての仕事は、楽しいですか?


それはもう、楽しいです。ですから、ついつい時間を忘れてやってしまうところがあって(笑)。テーマに対して気になることがあると、深堀りして全体像を探ってみようとか。自分の知的好奇心が満たせることが「面白いな」と思って、夢中でやっています。

グローバル・カルテットという場で働くことの魅力とは?

-今後グローバル・カルテットの組織も拡大していくと思うのですが、その中でキャリアアップしていきたいという思いはありますか?


今後の展望までは分からないですが、「いただいた仕事に対して精一杯応える」という自分のペースでやっていきたいです。夫が単身赴任中であったり、どうしても今は子育てやPTA活動等で手が一杯なので、また子どもが進学して状況が変われば、仕事に対してのスタンスも変わるかもしれません。



-グローバル・カルテットではメンバー個々人の状況に合わせて、仕事を割り振ってくれるのですか?


そうなんです。城さんがメンバーの家庭状況や適性を把握していて、いろいろ考えてマネージメントしてくれているようです。そのおかげで私も仕事が負担になり過ぎることなく、取り組むことができています。



-永井さんが仕事をされていることに対して、ご家族の反応はどうなのでしょう?


夫は学生時代の同級生でずっと私のことを知っているので、結婚で私のキャリアを潰してしまった、と負い目を感じているようなんです。ですから、私が働くことに関しては全面的に理解を示してくれています。と言っても、夫は仕事が忙しいですし、単身赴任ですから結果として家のことはワンオペになってしまっているんですけど(笑)。
子どもたちも特に違和感はなく、私が仕事をしていることに慣れているようですね。子どものつながりでも、比較的お仕事をされているお母さん方が多いので。



-グローバル・カルテットでの業務は完全リモートワークで行われている、その形態に対してはどうですか?


最初は少し不安がありました。細かくブレイクダウンした仕事を城さんが振ってくれるのですが、それでも文字だけでは伝わらないこと、調べていくうちに出てくる疑問点などがあるので。ただしそれは、チャットツールを使って手軽に尋ねることができるので、仕事をこなすうちに解消されました。



-永井さんにとって、グローバル・カルテットで働くことの魅力とは?


「フリーランスでありながらチームであること」だと思います。それから、自分ひとりでは引き受けられない仕事に携わることができる点ですね。



-子育てをしながら仕事をしている、あるいは働きたいという方へアドバイスするとしたら?


子どものための時間は大切だと思うので、極力学校行事などには行ってあげてほしいと思います。わずかな時間であっても子どもは喜びますし、親子関係にもプラスにはたらくのではないかと思います。在宅ワークで子どもの顔を見ながら仕事ができれば、自分と家族の人生は、より豊かになります。そういうことが実現できる、いろいろな働き方があることを知っていただきたいです。

取材後記

華やかな女性経営者というと注目を一身に集めて「社長=その会社」というイメージがありますが、代表の城さんは謙虚で、メンバー一人ひとりを尊重している空気が伝わってきました。ブランクや海外在住であることは関係なく、各々が持っているポテンシャルを信じて最大限に引き出そうとしている姿勢が、チームを成功に導いているのでしょう。今後のグローバル・カルテットチームの躍進が楽しみです。