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「テレワーク・デイズ2018」に特別協力団体として参加

出典:テレワーク・デイズ2018 HPより

ICT(情報通信技術)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方として広がりつつあるテレワーク。総務省を中心とする政府機関は、その推進のための“国民運動”として、「テレワーク・デイ2017」(7月24日)に引きづづき「テレワーク・デイズ 2018」(7月23〜27日)を実施します。


このイベントに特別協力団体(※1)として参加する株式会社イマクリエは、日本各地や海外に住む10,000人のテレワーカーを雇用してアウトソーシングサービスを提供するとともに、企業にテレワーク導入支援を行っています。

そこで今回は、同社代表取締役の鈴木信吾さんとマーケティング事業部運用ディレクターの渡部英美さんに、テレワークの魅力や、効果的に導入するための秘訣などについて伺いました。


(※1)特別協力団体とは…… ①2日間以上実施、②7月24日(火)に100人以上実施、③効果測定(交通混雑緩和、消費支出の変化等)に協力可能な団体

●鈴木 信吾さん(株式会社イマクリエ 代表取締役)
2002年に青山学院大学を卒業。大手住宅メーカー・大手自動車部品メーカーを経てコンサルティング会社でクライアントの経営戦略立案を主に担当。2007年に株式会社イマクリエを4人で創業し、2016年に代表取締役に就任。

●渡部 英美さん(株式会社イマクリエ マーケティング事業部運用ディレクター)
2018年1月入社。コンシェルジュ業務(テレワーク事務)運用ディレクター。3人の子どもの子育て中のため、自身もテレワーク勤務を活用。

テレワークは駅の混雑緩和やオフィスの消費電力削減につながる

−御社は「テレワーク・デイ2017」と「テレワーク・デイズ2018」に特別協力団体として参加し、テレワークの推進に努めていますね。
では、御社でテレワークを導入したきっかけについて教えてください。


鈴木さん(以下、鈴木):きっかけは、2011年に発生した東日本大震災です。通勤が難しくなってしまった従業員がいたので、混乱が落ち着くまでの間という期限つきでテレワークを取り入れました。その後、2014〜2015年にかけて総務省が実施した「テレワークモデル実証」に参加し、システムや労務管理などを整備していきました。この実証によってテレワークが拡大可能なものだと実感し、自社での本格的な導入と、事業として導入支援を行う方向に舵を切りました。



—昨年の「テレワーク・デイ2017」に参加してみて、いかがでしたか。


鈴木:弊社のテレワーカーのうち120人(関東75人、九州21人、中四国8人、関西5人、東北8人、北海道1人、海外2人)が参加したのですが、従業員からは「社内に一体感が出た気がします」「介護と仕事の両立に光が見えました」などのポジティブな感想が聞かれました。

「テレワーク・デイ実施結果報告」(※2)によると、実施日である7月24日の東京メトロ豊洲駅の乗客が10%減少したとか、オフィスフロアの消費電力が平均で7.1%削減されたなどの測定結果が出ています。「通勤時間を生活時間に充当できた」「移動時間の削減ができた」といった声も多かったようです。考えてみると通勤時間は、たとえば1日で往復2時間とすると、20日で40時間にもなるので、それを他のことに使えたら時間的にも精神的にもゆとりが生まれ、「生活の質」も向上しますよね。


(※2)「テレワーク・デイ実施結果報告」(2017年10月6日 総務省・経済産業省作成)
https://teleworkgekkan.org/day0724/pdf/report/01_soumu.pdf


—では、テレワーク導入支援についてお伺いします。導入を検討している企業からは、どのような相談を受けることが多いですか。


鈴木:「セキュリティ面は大丈夫なのか?」などといった相談を多く受けます。しかし最近は「働き方改革」や人手不足によって、テレワーク導入に踏み切る企業も増えてきました。
現在は、ICTの活用により、オフィス以外の場所でもセキュティレベルを維持した状態で仕事をすることが可能となりました。また適切なルールにもとづいた情報管理をすることで情報漏洩等のリスクを抑制することができます。



渡部さん(以下、渡部): 企業は自社の情報セキュリティポリシーに則っているので、たとえば個人情報を社外に持ち出すことを禁止していたら、もちろん個人情報が絡む業務はテレワークではできません。このように、テレワークに向く業務と向かない業務があります。

ただ、ヒヤリングをしていくと、企業の中ではセキュリティ上テレワークに向かない業務だと捉えられていても、我々の経験からテレワークも可能ではないかと見受けられるケースもあるので、作業を実際に拝見して「こういうやり方にすれば、弊社ではこの部分を請け負うことができそうです」などと提案することもあります。



—「サボる人もいるのでは?」という意見や、その反対に「自分は家だとサボるだろうから、毎日会社で働きたい」という人もいると思いますが、その点についてはどうお考えですか。


鈴木:もちろん監視の目がないと気が緩んでしまうのでは、という懸念もあると思いますが、弊社のテレワーカーたちを見ていると、むしろほとんどが限られた時間に集中して成果を出しています。人によっては毎日出勤したほうが集中して働けるという人もいますから、それぞれが自分に合った働き方を選択できることが重要だと考えます。

テレワークについてネガティブに考えている人の話を聞いてみると、完全にテレワークに移行することを想定していることが多いです。そうではなくて、たとえば週1、2回、1日3時間から試してみて、手応えを感じたらバランスのよい割合で導入していけばよいのではないでしょうか。

業務分担はパーソナリティ重視で、その人らしさを活かせる仕事を

—アウトソーシングサービスでテレワーカーに業務を分担する際に、最も配慮していることはどんな点ですか?


鈴木:人には向き不向きがありますから、パーソナリティを重視しています。「向き不向き」「その業務に必要なスキルがあるかないか」「時間があるかないか」の3軸を組み合わせて、業務を割り振りしています。それについては、渡部がきめ細やかに対応しています。この部分をしっかり見極めることが、生産性にかなり影響します。



渡部:採用したばかりの人には、仕事をしてもらった後に必ず、感想や手応えを聞くようにしています。その他、適正を確認するためにテストを受けてもらうこともあります。みなさん、履歴書だけでははかれない能力をもっていますから、こうしたやりとりを繰り返して、その人に向いている業務や好きな業務などを細かく把握するようにしています。

最も大切なのは、一人ひとりと向き合うことなのではないでしょうか。それぞれの潜在能力を引きだして、その人が能力を発揮できる場所をつくるように努めています。クライアントから弊社のテレワーカーがほめられたときは、とてもうれしいですね。



鈴木:自分らしく輝けるということが、働く上で大事だと思います。


—では、どのような体制で業務(プロジェクト)を進めているのでしょうか。


鈴木:ジョブ(職務)に人をマッチングさせる形をとっていますが、チームで進めるおもしろさも大切にしたいので、提供するサービスと顧客ごとにチームを組成しています。

一般的な雇用契約の形態は、職務や勤務地を限定した「ジョブ型」と、それらが限定されない「メンバーシップ型」とに大きく分けられます。 欧米などの諸外国が採用しているのは「ジョブ型」で、ジョブ・ディスクリプション(職務記述)に基づいて働いているので、誰がどんな職務を担当しているかが明確です。 一方、日本企業によく見られるのが「メンバーシップ型」で、これがテレワークにフィットしていないという現状があります。担当する職務が細分化されていないので、テレワークに移行しにくいのです。

ですから日本人の働き方を、「メンバーシップ型」と「ジョブ型」を組み合わせた「チーム型」にスライドさせていく必要があると考えます。



—テレワーカー同士のコミュニケーションについて、工夫していることはありますか。


鈴木:エリアごとに交流会を開催しています。また現在、弊社のテレワーカーの発案で、社内報の第一号を制作中です。
ある日、大阪でテレワーカーたちと食事をしていたら、「お客様のこと、イマクリエのことや他のテレワーカーたちのことをもっと知りたい」という声が挙がり、「それなら社内報をつくろう!」ということになりました。第一号は、「テレワーク・デイズ2018」の告知と、イマクリエがどんな会社なのかを紹介する内容になっています。

弊社のテレワーカーたちは宝でもあるし、彼らから出てきた発想や意見は大事にしたいので、このような提案はどんどん取り入れていきたいですね。

地方企業こそテレワーク導入で大きなメリットを期待できる

—テレワークをより普及させるために、行っていることがあれば教えてください。


鈴木:先日、「テレワーク・デイズ2018」のプレイベントが開催され、特別協力団体として参加してきました。このチラシは、そのときに配布したものです。キャッチコピー、テキスト、デザインなどすべて、弊社のテレワーカーたちが考えて制作しました。

「在宅勤務」というと、内職のような軽作業をイメージされる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、 こういったイベントのチラシを実際のテレワーカーに適正価格で制作してもらうことで、より多くの方にそのクオリティの高さを知ってもらい、テレワークやテレワーカーのイメージや評価を向上させていきたいです。



—では、テレワークによって、日本全体がどう変わっていくと考えていますか。


鈴木:テレワーク導入で得られるメリットは、都市部よりも地方の方が大きいのではないかと考えています。 オフィスへの通勤を前提とすると、働き手は通勤可能な範囲に住んでいる人のみに限られていまいます。 しかしテレワークを活用して働くことができれば、日本全国に求人の範囲を広げることができます。

また、人手不足の問題は都市部より地方のほうが深刻だと思いますが、 地方企業はテレワークを導入することによって、有能な人材を獲得しやすくなります。 たとえば地方企業が海外に進出することになり、MBA取得者で語学が堪能な人材の採用を希望したとします。 このとき、もしも採用条件を「1日3時間以上のテレワーク勤務」としたならば、離れた場所に住む、優秀な人材の獲得効果も期待でき、「場所にとらわれない採用」も可能となるのではないでしょうか。

「テレワーク・デイズ2018」では、昨年の「テレワーク・デイ2017」よりも地方企業の参加が増えたと聞いているので、これからは地方が活性化していくのではと期待しています。



—最後に、テレワーク導入を検討中の人々にメッセージをお願いします。


鈴木:考えてみると、地方や海外に拠点をもつ日本企業は、テレワークを導入しているようなものですよね。距離的にかなり離れた拠点の人たちと一緒に業務を行っているので。ですから、あまり構えすぎず、とにかく試しにテレワークを実践することをおすすめします。まずは「テレワーク・デイズ」のようなイベントに参加して、気軽に体験していただきたいですね。

導入コストはそれ相応にかかりますが、国から採用や離職防止そして助成金などのサポートを受けることもできます。(※3)今が、テレワークを導入するいいタイミングなのではないでしょうか。

(※3)助成金の受給には、会社の規模など一定の条件があります。

【取材後記】「優位を競う」働き方から「協力し合う」働き方へのシフト

お話を伺いながら、日本人の働き方が、個々が競争して「優位を競う」働き方から、制約を抱えながら働く人に合わせて「協力し合う」方向にシフトしつつあることを感じました。そして生産性向上のためには、テレワークかどうかに限らず、細分化した業務に人を的確にマッチングさせていくことがカギとなることが分かりました。その際キーパーソンとなるのは、渡部さんのように、一人ひとりに向き合って個々の能力を引きだしてくれる人なのではないでしょうか。