「働く」をテーマに子どもライターコンテストを開催──オンライン表彰式レポート
「働く」って何だろう? 改まって考える機会ってなかなかありませんよね。そこで株式会社ニットでは、「働く」をテーマに「子どもライターコンテスト」を開催しました。子どもたちが「働く」ことについて考えるきっかけをつくりたいという思いから始まった企画です。コンテストの受賞作品と、9月29日に実施した表彰式の様子をご紹介します。
目次
ライター
ニットが子ども向け企画を行う理由
ニットは2015年の創業以来、メンバー全員がフルリモートで働く会社です。オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を提供しており、現在、世界33か国から集まった約400名のフリーランスがその運営を支えるメンバーとして所属しています。
ニットは「未来を自分で選択できる社会をつくる」ことをビジョンとして掲げており、その「社会」の中にはもちろん子どもたちも含まれます。子どもたちが「未来を自分で選択」するためには、まず世の中の数ある選択肢について知り、理解を深める必要があるでしょう。「働く」をテーマとした作品づくりに取り組んでもらうことで、そうした機会を増やしたいと考えました。
日本全国・海外の子どもから応募が続々
コンテストの対象年齢は3〜18歳。東京、大阪、北海道、アメリカなど、さまざまな場所でくらす子どもたちから応募が集まりました。
事前の審査会では「レベルが高くて甲乙付けがたい」「自分が子どもの頃とは(良い意味で)違う」と絶賛の嵐。なかでも大人たちをうならせた受賞作品を、表彰式の様子とともにご紹介します。
当日は、Zoomを使ってオンラインで表彰式を行いました。受賞者や審査員に加え、受賞者の保護者も参加。温かい雰囲気のなかで受賞者が発表されました。
受賞作品一覧
【佳作】神原りんかさん(8歳)「はたらくということ」
【佳作】宮原ほのかさん(9歳)「お母さんの仕事」
【佳作】たなかはるなさん(6歳)「おしごとについて」
【佳作】坂口結衣さん(11歳)「仕事について」
【佳作】河端一汰さん(10歳)「働く!! 落ち葉拾い」
【佳作】笠畑里紗さん(14歳)「ニット広報の小澤美佳さんインタビュー」
【特別賞】ペンネーム・たこさん(11歳)「娘から見たリモートワーカーとしての母」
【銅賞】小川慶悟さん(9歳)「働くって何だろう」
【銀賞】竹下雄惺さん(12歳)「仕事って何だろう」
【金賞】小川夏蓮さん(12歳)「リモート取材〜お母さんがパソコンの中に!?〜」
最初は、佳作を受賞した人の発表です。今回、6人の子どもたちが佳作を受賞しました。
【佳作】神原りんかさん(8歳)「はたらくということ」
● 作品の概要
世の中の仕事一つひとつにどんな意味があるのかを考え、文章にまとめた作品です。「びょういんではたらく人」や「けいさつかん」、「船を作る人」など、具体的な仕事を例に、それぞれがどう世の中の役に立っているのか述べられています。
● 作品の抜粋
(後略)
● 審査員コメント
「働きたくない」という文章の始め方が素晴らしいと感じました。文章を最後まで読んでもらうためには、読者に「どういうこと?」「続きが読みたい」と思わせることが重要です。そうした点でとても引き込まれる文章でした。その後の話の広げ方も秀逸で、テンポよく読み進めることができました。
【佳作】宮原ほのかさん(9歳)「お母さんの仕事」
● 作品の概要
「せんぎょうしゅふ」という仕事の詳細や、家事をする意味について書かれた作品です。
● 作品の抜粋
そうじやせんたくをしたり、ごはんを作ったりしています。おかあさんは、みんながいごこちよくすごせるために家をきれいにしてくれます。だから友達がきたあともとってもきれいにしてくれるからうれしいです。
(中略)
私もお母さんみたいに色々とできる大人になりたいです。
(後略)
● 審査員コメント
外に働きに出てお金をもらう、いわゆる”仕事”をテーマとした作品が多かったなかで「主婦」という職業にスポットライトを当てた点に独自性を感じました。お母さんの仕事について分析したうえで「自分もこうなりたい」という将来の展望まで書けていたのが素晴らしかったと思います。
【佳作】たなかはるなさん(6歳)「おしごとについて」
● 作品の概要
将来なりたい職業=パティシエをテーマとした作品です。仕事を体験するために、実際にプリンを作った様子をレポートにまとめています。
● 審査員コメント
パティシエという職業について理解を深めるために、実際に手を動かして体験した点が面白いと感じました。また、実際に作ったプリンを家族=お客さんに食べてもらい、感想を聞いたのも良かったと思います。仕事はお客さんあってのものなので、そこを意識していたのは素晴らしかったです。
● 受賞者コメント
難しかったけど、楽しかったです!
【佳作】坂口結衣さん(11歳)「仕事について」
● 作品の概要
仕事に対する考察をパワーポイント形式でまとめた作品です。人々にとって仕事とはどういうものなのかが、自分のお父さんや、飼育員・サッカー選手・漫画家などの職業を例に述べられています。
● 審査員コメント
すっきりまとまっていて流れがわかりやすく、面白い作品でした。イラストが有効な形で使われており、視覚的に楽しめる作品なので、SNSに投稿したらバズりそうですね。まさにアイデア賞です。内容をもう少し煮詰めたらより良い作品になるでしょう。
【佳作】河端一汰さん(10歳)「働く!! 落ち葉拾い」
● 作品の概要
家で担当している仕事=落ち葉拾いについて、その仕事の概要や背景、流れを文章と絵で説明した作品です。
● 審査員コメント
すっきりまとまっていて良かったです。文章と絵がありましたが、特に文章の流れが良くて読みやすいと感じました。なぜ落ち葉拾いという仕事が必要なのか、その背景にまで言及されていたのが素晴らしかったです。
【佳作】笠畑里紗さん(14歳)「ニット広報の小澤美佳さんインタビュー」
● 作品の概要
「中高生が将来と向き合っていくなかで必要なこと」をテーマに、ニットで広報を務める小澤にインタビューを行い、その内容をまとめた作品です。
● 審査員コメント
インタビュー記事としてよくまとまっていました。インタビューを通じて自分自身が感じたことや、仕事に対する考察などを、もう一歩踏み込んで書いたらより素晴らしい作品になるのではないかと思います。おめでとうございます!
そして、いよいよ特別賞、銅賞・銀賞・金賞の発表です。ここからは、ニット代表取締役社長の秋沢崇夫が講評を行いました。
【特別賞】ペンネーム・たこさん(11歳)「娘から見たリモートワーカーとしての母」
● 作品の概要
在宅で働くお母さんへのインタビューを通じて、リモートワークという働き方に対する考察や感想をまとめた作品です。
● 作品の抜粋
このインタビューをするまでは、母が家にいて当たり前だと思っていたけど、今回インタビューを通じて、母が家にいることが自分の安心につながっていることを知りました。
自分のまわりにも、働いているお母さんはたくさんいるけど、リモートワークを実践している人には出会ったことがありません。私は母が家で仕事をしているので、学校から帰ると母が家にいるということを友達に言うと、うらやましがられることがよくあります。
だから、リモートワークという働き方はお母さんにとって、子供も安心できる良い働き方だと思います。
このインタビューで、長期休み等は睡眠不足になっていることを知ったので、家族として、母の家事の負担を少しでも減らせたらいいなと思いました。
(後略)
● 審査員コメント
インタビューを通して「働く」ということや、リモートワークについて理解を深めている様子が見てとれました。(子どもが)長期休暇の際には、お母さまの家事育児の負担が増えて睡眠不足だということを知り「家族として負担を減らしたい」とご自身の思いをつづっていたのも素晴らしかったです。
● 受賞者コメント
特別賞と聞いてびっくりしました。本当は金賞を狙っていたので悔しい思いもありますが、賞を頂けて嬉しいです。
【銅賞】小川慶悟さん(9歳)「働くって何だろう」
● 作品の概要
「働く」ことに対する考察を、文章や図を使ってまとめた作品です。「かわいい人形を作って売る」と仮定し、ビジネスフローをまとめています。
● 審査員コメント
自分にとって「働く」とは何か、きちんと考察できていると感じました。今回は人形を売ることを前提とした内容でしたが、働くとは「(商品を)買う人だけではなく、自分もうれしくなること」と定義していた点が素晴らしかったと思います。
● 受賞者コメント
ありがとうございます! 自分の好きな物を売ることで、たくさんの人が幸せになったらいいな、と思いました。
【銀賞】竹下雄惺さん(12歳)「仕事って何だろう」
● 作品の概要
「リモートワーク」と「対面」という2つの働き方を比較しながら、改めて対面で行う仕事の価値について考察した作品です。
● 作品の抜粋
日本には一次産業から三次産業まであると社会で勉強しましたが、農業や漁業、酪農は働く場所を選べません。接客業や病院、お店、通信、交通、窓口業務などもリモートワークはできません。
(中略)
仕事内容がどんなに大変とわかっていても「困っている人や弱っている人を助けたい」、「平和のために貢献したい」、「お客様の喜ぶ顔が見たい、手助けをしたい」という強い使命感で対面の仕事を選び頑張っている人に支えられて日本は、ここまで発達できたことは決して忘れてはいけないと思います。
(後略)
● 審査員コメント
「働く」ということや、「対面」という働き方について、自分なりの考えや思いがストレートに伝わってくる作品でした。最後に書いてくれていた「(世の中の潮流に流されるのではなく)自分の目で見て、頭で考え、将来を選びとっていきたい」という旨の言葉を見て、期待が持てると思いました。
● 受賞者コメント
今まであまり「仕事」というものについて考えたことがありませんでした。コロナ禍でリモートワークが注目されていますが、世の中にはリモートでは成り立たない仕事もあります。そうした仕事の価値を改めて知ってほしいという思いでこの文章を書きました。世間では”勝ち組・負け組”という言葉を耳にしますが、どんな仕事も、働き方も、そんな言葉で簡単に分けられるものではないと知りました。
【金賞】小川夏蓮さん(12歳)「リモート取材〜お母さんがパソコンの中に!?〜」
● 作品の概要
在宅ライターとして働くお母さんへのオンライン取材を通じて、リモートワークという働き方に対する考察をまとめた作品です。取材当日は、自室と仕事部屋に分かれ、Zoomでつないで取材を行いました。
● 作品の抜粋
今回は、お母さんの仕事のまねでインタビューをしてみましたが、ネットの中でつながって働くということは、意外に楽しいなと感じました。パソコンの画面越しでも、おたがいの心はつながることができたというところが、今までにない新しい感じがして面白かったです。まるで、パソコンの中にお母さんが入っているように思えて、とても身近にいるように感じました。
(後略)
● 審査員コメント
リモートワークの良い点や、働くことの楽しさがよく表現された作品でした。仕事を通した「人とのつながり」にまで触れられていた点が素晴らしかったです。
● 受賞者コメント
これまで仕事についてあまり考えたことがなかったので、まとめるのが難しかったです。お母さんにアドバイスをもらいながら形にしました。金賞を頂けて嬉しいです!
最後に、子どもたちに向けて秋沢が総評を伝えました。
「『働く』ことについて考える良いきっかけになったのではないでしょうか。お母さまへインタビューした人、夢に向かって行動した人。今回の応募で挑戦したさまざまな取り組みを通じて、少しでも働くことを身近に感じてくれたら嬉しいです。改めて受賞者の皆さん、おめでとうございます!」
まとめ
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