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目次

後編では、前編に引き続き、残り2人のゲストによるディスカッショントークの模様をご紹介します。

異動から副業をスタート。個性が強い仕事をしていきたい(梶川奈津子さん)

1992年生まれ。現在、株式会社リクルートで新卒採用を担当。大学在学中に一般社団法人HLABにてPRコミュニケーションの現場を経験したことが現在の仕事の軸となる。2015年にリクルートグループへ入社し、広報・新卒採用業務に従事するかたわら、ミレニアルズ向けのWebメディアを中心にフリーライターとして活動中。

―梶川さんは、本業と副業でまったく違う仕事をしています。人材サービス会社で広報、新卒採用業務をこなすかたわら、副業ではPRコミュニケーションとライティングの仕事をこなしています。

「大学に在学している頃から、『人生の中で働く時間は長い。それならやっていて楽しいことを仕事にしよう』と考える一方で、『その仕事は一体何だろう?』とずっと模索していました。卒業後に入社した会社で配属されたのは広報でしたが、そこは自分の『好き』とピタリと合う場所でした。しかし、数年後には人事部へ異動することになったんです。異動は新しいスキルを得られるチャンスでもあるので、肯定的ではあったのですが、せっかく好きだった仕事から離れることに不安もありました」

―そこで、以前から興味を持っていたライティングの仕事をするべく、副業を考え始めたそうです。梶川さんは、「ライティングのスキルを身につけるために編集者のアシスタントへ応募し、少しずつライター業務の内容を覚えていった」と言います。さらに、梶川さんはライター以外にも『PRコミュニケーション』という仕事もこなしているそうです。

「広報の仕事がとても自分に合っていたので、そのスキルをさらに磨きたいと思って『PRコミュニケーション』の仕事もしています。広報に多大なリソースを割く段階ではない組織を対象として、PRのお手伝いをしています」

―梶川さんの勤める会社も兼業を容認しているそうですが、いくつか条件があるそうです。

「就業規則では兼業は容認されていますが、同業他社と仕事をしないこと、雇用関係を結ばないことが条件です。また、本業に支障をきたすことがないよう、副業の労働時間を会社が管理していて、どんな副業をしているのかを申請する義務もあります。もちろん承認が降りないと副業をすることはできません」

―会社が労働時間を管理することは、少し手間がかかる気もしますが、体調を鑑みる上では親切な制度かもしれません。また、梶川さんは副業をチームでこなすことで、本業と副業の両立を上手にこなしているそうです。

「副業は土日でこなすようにしていますが、本業が忙しい時には時間を作れないこともあります。すべてを個人でこなしていると、諦めないといけない仕事も出てきてしまいますが、チームを組むことで誰かに仕事をお願いすることができます。副業を始める時には、いきなり個人でやるのではなく、チームを組むほうが踏み出しやすいのではないでしょうか」

―本業で得たスキルを伸ばすために副業を始めた梶川さんですが、「本業と副業では職種が違うものの、リンクすることも多い」と言います。

「ライティングの仕事では、記事の読者に対する訴求を考える必要がありますが、これは本業の採用担当の仕事にも言えることなんです。また、採用担当の仕事は相手のモチベーションの源泉や過去を掘り下げていく仕事でもありますが、このスキルは副業の取材に活きます。さらに、相手を客観的に言語化して人へ伝えるスキルはライティングで培うことができました。他にも、マスメディアに携わることで、それまでは企業側の視点で考えがちだった世の中のニーズや風潮をリアルに感じられるようにもなりましたね」

―明石さんと同様に多忙な毎日を過ごす梶川さんも、「オンオフは強制的に設けています。最低でも週に半日は休みを取るようにしています。最近は、生け花をやっていることが多いですね」とのことでした。 また、5年後のビジョンについては「かけ合わせた仕事が目標」だそうです。

「常にワクワクできる仕事をこなしていきたいと思っています。私はずっと『自分が素敵だと思うものや価値を感じるものを、共感してくれる人へ届けていきたい』という思いを抱いています。それを実現するためには、『○○といえば、梶川』と人に言われるような個性のある仕事をしていきたいんです。自分の強みとなる領域を見つけて、それぞれをかけ合わせて自分の色を出せるような仕事です。『副業をいずれ本業にするの?』という疑問をいただきますが、本業と副業それぞれに旨みを感じているので、独立するかどうかは分かりません」

クリエイティブだけのものではなかった。自信と心の安定につながる副業。(大崎祐子さん)

1993年生まれ。大学在学中に東京、海外に在住する人と働く「リモートワーク」を企画、営業、広報の領域で実践していた。その後、若手クリエイターのマネージャーおよび株式会社キャスターの広報を経て、現在は大手IT企業の事業戦略・ブランド推進部門に所属。2017年11月より、株式会社インクワイア、株式会社Yenomの広報としても活躍中。

―大崎さんは、大学在学中からリモートワークを実践してきた経歴の持ち主です。現在は大手IT企業で事業戦略・ブランド推進部門で働くかたわら、プレスリリースや採用・広報のプロダクトなどの広報全般の仕事を個人で請け負っています。大崎さんの副業のきっかけは「友人から感謝されたこと」だったそう。

「当時はPCゲームの企画を扱う部署にいて、副業はあまり考えていませんでした。そこへ、前職で広報の仕事をしていたことを知っている友人から『プレスリリースの書き方を教えてほしい』という連絡がきたんです。広報に関するさまざまなアドバイスをするなかで、『ありがとう』と友人に感謝されて、『他にもニーズがあるのではないか』と思い、SNSで発信をしてみました。そこから仕事が舞い込むようになったのが副業を始めたきっかけです」

―それまでは、「副業はデザイナーやエンジニアなどクリエイティブな人たちがやるものだというイメージがあった」と言います。

「広報という仕事は好きだったけれど、本業ではなかなか難しい道のりだったんです。しかし、SNSで発信するようになってからは、なんと本業でも声をかけられるようになりました。恥ずかしいとか自信がないという気持ちもありましたが、やりたいことができるようになったので、SNSで発信して自分をPRしてよかったです」

―大崎さんの会社も兼業は容認しているものの、申請が必要だったそうで「トラブルを避けるためにも、どんな副業をするのか、なぜやりたいのかをしっかり伝えました」とのことです。また、本業と副業の両立についても、かなりの自己コントロールが必要だそうです。

「広報やPRの仕事は、会社を世間へどう発信するか、ユーザーがどう受け止めるかを常に考えなくてはなりません。それに、相手の会社がどういう思いを持っているかを知るためにもコミュニケーションが必要不可欠。そのため、こまめなコミュニケーションが大切です。本業と両立するためにも、週間単位でスケジュールをしっかり立てるようにしていますね。忙しい時には、相談をしながら微調整をしてこなしています。また、大勢の人がいるカフェなどで仕事をするなど、自分のモチベーションを上げる工夫もしています」

―他のゲスト同様に、ハードな毎日を送る大崎さんですが、副業は「精神的に安定した」と言います。

「本業の仕事のみで働いていた時には、コミュニティが社内しかなかったので視野が狭かったんです。それに、『会社がなくなったら、どうやって生活していこう?』という漠然とした不安も抱えていました。副業を始めてからは、こうした不安感も払拭することができ、個人で仕事ができるという自信につながりました。本業でも自分の考えをプレゼンするなど、積極的に声を上げるようになりました。しかし一方では、何も考えない日がないので、仕事モードがずっと続くと疲れを感じることもあります。そんな時には、オフを無理やり作って気分転換をするようにしています」

―そんな大崎さんは、5年後のビジョンについてかなり明確な意思を持っていました。

「昔から、バリバリ働きながら子どもも育てたいという願望を持っています。しかし、以前は女性が子育てをしながら働くことは、キャリアアップが難しいと言われていました。仕事も家庭も両立できる仕事はないかとずっと考えていて、フリーランスなら可能なのではないかという結論に至ったんです。5年後にはフリーで仕事をしたいと思う反面、スキルはまだまだ我流で独立して働くには未熟です。もっと広報のノウハウを勉強していくことが、ここ数年の課題解決だと思っています」

編集後記

副業を含めた新しい働き方を始めることは、「どれだけ収入を増やせるか」よりも「いかに毎日をいきいきと過ごせるか」が重要視されているのではないでしょうか。これからは、働く時につい忘れがちな「心の豊かさ」を問われる時代なのかもしれません。