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奈良のカリスマアシスタントのその後は?

以前、「奈良のカリスマオンラインアシスタントは、努力の人?! 目指すは、士業とリモートワークの地位向上」のインタビュー記事に登場いただいた平島奈美さんのその後を追ってみました。

驚異的なスピードでキャリアアップし、正社員に

2015年8月に「HELP YOU」アシスタントとして業務委託契約から業務を開始した平島さんは、2016年2月にチームリーダーに抜擢され、その1年半後には「HELP YOU」の運営会社である株式会社ニットの正社員になりました。

平島さんは現在奈良県在住ですが、正社員登用に至るまで、会社の人と対面で会ったことがなかったそうです。「HELP YOU」のアシスタントは全員がリモートでお仕事をしています。働いている姿を間近で見せられないという環境下で、平島さんはどのようにして驚異的なスピードでキャリアアップを果たしたのでしょうか?

場所や時間を制限されないからこそ「アウトプット」が重視されるリモートワーク。そこで大切なことを、平島さんに伺いました。

デスクワーク実務経験ゼロ・シングルマザーという条件が就職の壁に

―いわゆる「ショップ店員」から「事務職」にキャリアチェンジしようとした際に、不安などはありませんでしたか?

不安よりも「焦り」の方が強かったような気がします。シングルマザーとして家計を支えるために、一刻もはやく「仕事」を決めなくてはいけない、という焦りです。小さい子どもの面倒をみながらなので、通勤場所や時間、勤務時間、有給消化についてなど、どうしても考慮しなくてはいけない条件が多くなります。自分が思い描いている労働条件と合致する企業に「正社員」として入社できるのか……といった点が悩みのタネでしたね。

当時は、職業訓練校で学んだ経理の知識を活かした仕事に就きたいと思い、会計事務所や税理士事務所などにエントリーをしました。30社のエントリーに対して、書類選考を通過したのが10社、面接通過したのが3社のみ。その3社も正社員ではなく、「パートタイムであれば……」という制限つきです。

就職におけるシングルマザーとしてのハンデを痛感した出来事です。また、履歴書に書ける「実務経験」がなかったのも正社員採用に至らなかった理由のひとつだと思います。一度、仕事を任せてもらえれば、結果を出せるだけの自信がありましたが、その機会すら与えられないことが何よりも悔しかったですね。この経験があったからこそ「アウトプットをきちんと評価してくれる」組織に所属したい・組織をつくりたい、といった思いが人一倍強いのかもしれません(笑)

より高い品質で仕事をするための3つの鉄則

―仕事の「アウトプット」にこだわるプロ意識が平島さんのキャリアを支える根幹だと感じられるエピソードでした。では、具体的により質の高い仕事をするためにどのような点に気をつけていますか?

私がお仕事をするうえで気をつけたいと思っていることは大きく分けて3つあります。

(1) 相手の期待値以上の成果をだす!

お仕事は相手あってのもの。良い意味で相手の想像を超えるようなアウトプットを常に出すことが目標です。「ここまでやってくれたんだ!」という声が次の仕事への活力になります。また、仕事には際限がないので、その次も、その次の次も、新しい感動を与え続けられるように自分自身のスキルも鍛えなくてはいけません。お仕事に対して妥協しないという自分へのプレッシャーが良い刺激になっています。

(2) 仕事がなくなるかもしれないという危機感を常に持つ!

企業に勤めていれば、「明日突然仕事がなくなる!」「来月の給料が減る!」といった不安を感じることが少ないかもしれません。ですが、私はフリーランスという形でずっとお仕事をしていたため、自分が営業活動をしなければ「仕事がなくなる!」という危機感を常に持っていました。だからこそ与えられた仕事の前後関係や、より仕事を任せてもらうためにはどうすればいいのか、を思考する力がついたのかもしれません。

(3) 仕事を楽しむ!

最後に、自分自身が仕事を楽しむこと!

私にとって「楽しい」ことは、「知らないことを知る」「できないことができるようになる」というレベルアップを実感できることでした。そのため、仕事の合間にもスキルアップをするためのインプットに時間に割いていました。他のメンバーの納品物をみて真似してみたり、過去に納品した資料を手直しをしてみたり、方法はさまざまですが仕事の合間を縫って勉強時間を確保していました。

「ここまでしかできない」と考えて、自分の成長に自分で制限をかけてしまうのはナンセンスです。自分の人生は自分で切り拓く、という責任を負うからこそ、人生は自由で楽しいものなのだと思います。

結果的には、スキルアップが仕事の継続や、仕事の増加につながり、評価につながっているのだと思います。「HELP YOU」では未経験の業務に誰でも手を上げることができますから、とにかく自分の興味があることには何でも挑戦しました。もちろん、失敗することや上手くいかないこともあります。納品物の訂正や指摘をされれば悔しいこともたくさんあります。大切なのは、そこで「やりっぱ」にせず、次にどうすれば同じ指摘をされないのかを考え、そして実行することですね。

無駄なことは何ひとつない! 失敗の経験も次への「肥やし」に

―過去の経験をどのように、今のお仕事に活かせていますか?

今の仕事に活かせる経験は、何もデスクワークだけではありません。アパレル店員時代の経験やノウハウも随所に活かされています。例えば、お客様が全国どの店舗でも同じサービスを受けられるようにするためにはどうすればいいのか、だとか、仕入れの参考に流行ファッションを知るためにリサーチする、だとか。今思えば、そういった業務がマーケティングの素養を育ててくれたかなと思います。

また、月1回趣味の延長線上でバーテンダーとして働くこともありますが、その経験も「HELP YOU」の仕事で活きているなと。バーテンダーは複数のお客さんを相手に、オーダー、ドリンクづくり、フードづくり、会話など一人で「マルチタスク」をこなしています。どのお客さんにも気持ちよくお店をあとにしてもらいたい、という思いのもと、その場の「空気のマネージメント」を意識していました。これがクライアントやアシスタントとのコミュニケーションに活かせているのかもしれません(笑)

―多方面に興味を持っているからこそ、いろいろな思考をめぐらせることができる平島さんらしいエピソードですね。では、経験を活かすためには、具体的にどんなことが必要なのでしょうか?

「やりたいことは全部したい!」「知らないことは全部知りたい!」といったように、私は知識を増やすことに対してとっても貪欲です(笑)。 スキルアップのために一番手っ取り早いのは「他人のスキルを盗む」ことだと私は思います。インターネットでは自分よりはるかに技術や知識を持った方が情報を公開していますし、「HELP YOU」内では様々なスキルを持った先輩メンバーのアウトプットを、実際に目にできます。そのせっかくの機会を無にしてしまってはもったいない! 多くの納品物を見ることによって、自分の頭の中に知識を蓄積し、業務のデータベースを作っていきます。そのデータベースがあれば、知らないことにぶち当たったときでも、蓄積された関連性の高い情報を引っ張り出すことによって慌てずに対処できます。なので、例え大きな失敗を犯したとしても、ひとつも無駄にすることなく、次のアウトプットをより良いものにするための「事例」として私はとらえています。

リモートワークから考える 今後、求められるお仕事スキルとは?

―蓄積されたデータベースの情報量が多ければ多いほど、自分自身のアウトプットに還元されていく、ということですね。平島さんの「仕事観」を垣間見ることができました。では、リモートワークに最も必要とされるスキルは何だと思いますか?

有り体に言ってしまえば「コミュニケーション・スキル」でしょう。仕事をしているメンバーがそれぞれ遠隔地にいるので、相手の状況がまったく分かりません。どんな作業をしているのか、どんな工程で進めているのか、何に困っているのか……顔が見えないからこそ、仕事の基本といわれる「報連相」がより重要になります。

状況把握ができていない相手に対して、簡潔に事実を伝えることは意外と難しい。また、すぐ隣にいない相手に逐一指示を仰いでいては、なかなか仕事を進められません。そのため、報告・連絡・相談のどのカテゴリーの話をしようとしているのか、自分はどうしたいと思っているのか、その根拠は何か、を考えて発言する必要があります。相手に負担のないよう「情報を整理して伝える力」はすべてのお仕事を進めるための基盤となりえます。だから、どんな些細なチャット報告でも、「相手」を意識したコミュニケーションがリモートワークでは大切です。

―確かに、コミュニケーションはお仕事の起点といえるので、重視しなくてはいけないポイントですね。平島さんは、昨年の夏から正社員として企業に参画し、担当する仕事内容が変化したかと思います。そこで、リモートワークに対する意識の変化はありましたか?

「HELP YOU」アシスタントメンバーとしての求められるものと、ニットの正社員メンバーとして求められるものと、当然ながら大きく異なります。そもそも、前者は「個々のクライアントの満足度を高めること」に主眼を置きますが、後者は「複数のクライアントの満足度を高めること」が重要になります。「仕組み」を作っていく側に回ったという意識が強いかもしれません。なので、マネージメントをしていくメンバーの範囲が単純に増えてしまったなぁという面はあります(笑)

企業がリモートワーク(テレワーク)を導入する際に、「社員をどのように管理すればいいのか分からない」という声をよく耳にします。この言葉を聞くたびに、社員は「管理」されるべきなのか? と考えます。本来、仕事は各々が自発的に取り組むべきものであって、誰かに管理されるものではないでしょう。オフィスワークをしていても、仕事をサボる人はサボりますし、時間管理が苦手な人は変わらず苦手です。なので、実はリモートワークもオフィスワークも対した違いはなく、本質的に大切なことは共通しています。

ただ、働いている姿が見えないリモートワークだからこそ、アウトプットへの評価がシビアだといえます。「時間をかけて頑張った」「残業をして頑張った」こういった言い訳がきかない。冒頭でお話したことと重複しますが、ひとつひとつの仕事に対して、自分なりのプロ意識を持って「やり抜く力」が、これからのお仕事で求められるスキルなのではないでしょうか。

取材後記

妥協を知らない平島さんの「誰かのために何かをしてあげたい・喜んでもらいたい・期待にこたえたい」という打算のない思いが、日々進化し続ける理由だと伺えました。

インタビュー後に「まだまだやりたい・知りたいことがたくさんある!」と、意欲的に語ってくれた彼女のさらなる飛躍に、今後も期待です。