過去の挫折が現在のチャンスへ変わる―メンターと伴走しながら、起業家として生きる道?

東京から地元秋田県へUターンし、2拠点での活動を進める木村志帆さんの新しい目標の見つけ方とは?

昨今では、雇用という働き方にとどまらず、フリーランスや起業を考える女性も少なくありません。しかし、いざ始めようと思っても、「何から始めればいいのか分からない」という人や、「悩みが曖昧でどこへ相談すればいいのか分からない」という人もいるのではないでしょうか。今回は、地元である秋田県で起業への第一歩を踏み出そうとしている木村志帆さんにインタビューを行いました。木村さんは、メンターをマッチングしてくれる「育キャリカレッジ」で出会ったメンターとメンタリングを行いながら、起業にまつわるさまざまな悩みを相談しているそうです。

「Good Morning RUN in AKITA」

「run×me」

ライター

ヤマウチカズヨ
出版社での書籍編集を経てフリーランスライターへ。得意分野は女性の美容や健康。他にも車やインテリアに企業PR、果てはHPの文章作成から紙面のラフ制作まで、どこへでも出没する雑食系ライター。映画、旅行、カブに乗って都内の散歩が趣味。現在は二輪免許の取得中!

「本当は東京でバリバリ働きたかった」―地元へ帰省した理由とは

大学卒業後は地元へ帰らずに、そのまま東京で就職することも考えていた木村さん。しかし、秋田県へUターンしたのは、「パートナーとの将来を優先したから」だったそうです。「当時、パートナーだった現在の夫とは、高校時代からずっと付き合っていて、家族ぐるみで仲がよかったんです。私は上京をしましたが、彼は地元で進学して就職する道を選びました。このまま東京で就職をすることは、将来を考えると難しいかなと思って。それで地元へ帰って就職をしたんです」。大学時代は勉学に励む一方で、外資系のアパレル会社や鉄道会社でインターンを経験。「そこでは学校では得られない働くことの楽しさや難しさを知りました」と木村さんは言います。「学生のアルバイトとはいえ、責任のある仕事も任せてもらっていました。だからなおさら、『社会人になってもっとバリバリ働いて活躍したい』という思いはどうしても捨てきれなかったんです。地元では公的機関や医療機関などで働きましたが、やはり東京とは雰囲気が違う。『東京だったらもっと私は活躍できるのに!』という気持ちをどう解消すればいいのか分かりませんでした」

「働きたいのに働けない」―フルマラソンが私を前向きにしてくれた

自分が活躍できる場所が欲しい。もっと充実感のある仕事がしたい――モヤモヤした気持ちはどんどん膨らんでいき、ついには体調を崩してしまいます。働きたい気持ちはあるのに、体が言うことをきかない。そんな木村さんに前を向くきっかけを与えてくれたのは、マラソンとの出会いでした。「ある日、フルマラソン大会の開催告知を目にして、『これだ!』とすぐさま応募しました。当時の私に足りなかったのは、達成感や充実感。もしもマラソンを走りきることができたら、何かが変わるんじゃないかなと思ったんです」。もともと努力家だった木村さんは、その日からフルマラソン出場へ向けて毎日コツコツと練習を続け、大会では見事に完走。このマラソンが「脱皮した瞬間だった」そうです。「長時間走っていると、どんどん心が『無』になってくるんです。そして、それまでの経験や思い出がばーっと蘇ってくる。ひとつひとつを思い返すことで、心の整理をつけて『私は何がしたいのか』を前向きに考えることができるようになりました。まさに『生まれ変わった』という気持ちでしたね」。木村さんは、この経験からマラソンに夢中になり、そして、この楽しさを地元でも広めようと、秋田県のランニングコミュニティ「Good Morning RUN in AKITA」、ランニングをベースとした女性アクティブコミュニティ「run×me」を立ち上げました。「最初はSNSでコミュニティを作って小さく始めたのですが、だんだんと人が集まってきました。地元は人口も多い方ではなく、付き合う人間が限られてくるんです。そうすると、新しい発見や出会いの機会ってすごく少なくなってしまう。このコミュニティが、共通の趣味を通じた新しい出会いの場になればいいと思います」

 

「2拠点を知っているからできることがある」―起業への第一歩へ

「正直、上京するまでは地元に閉塞感を覚えたこともありました」と言う木村さんは、「東京で暮らした時間が地元をあらためて見つめ直す機会になった」と言います。現在、2つのコミュニティの運営活動をしている一方で、起業へ向けて準備もしている木村さんは、その一環として、「育キャリカレッジ」で出会ったメンターに起業にまつわるさまざまな悩みを相談しているそうです。育キャリカレッジとは、キャリアを頑張りたい育児世代の女性に、少し先を行く先輩のような存在、つまり、「メンター」をマッチングさせてくれるサービスです。メンターは、相談者の悩みに合わせて、自身の豊富な経験から様々なアドバイスや励ましを提供してくれます。今回木村さんはこのサービスを使って、新規事業の立ち上げ経験が豊富な鎌田薫さんというメンターを依頼しました。「起業について、私の考えが足りない部分や曖昧な部分を的確に指摘してくれます。担当してもらっているメンターは東京在住の方ですが、私が東京へ行って直接話をしているんです。また、この関係も「金銭が発生しているからこそ自由に言い合える」と感じているようです。「友人や家族であれば、忌憚のない意見をくれるかもしれませんが、それが客観的なものだとは限りません。それに、どうしても『身内』なので甘えが出てしまいます。メンターは、お金のやりとりがあるから線引きをしっかりできるし、相談したいことを遠慮なく話すことができるんです」、「起業はまだまだ構想段階ですが、自分の経験を活かした仕事になればいいと思います」と木村さん。「私は東京で暮らしていたので、すでに地元の人間ではないけれど、かといって東京の人間でもない。この曖昧な立場だからこそ、地元のいい部分も悪い部分も客観的に見つめることができるんです。東京にはない感覚が秋田県にはあるし、その逆もしかり。この雰囲気を上手につかみとって、東京と秋田を上手につなげられるような仕事を立ち上げたいです」

編集後記

自分の過去の選択がずっと悩みの種になってしまった木村さんですが、現在の自分にできることや価値へ気づけたことで、起業という新しい目標を見つけることができました。また、木村さんにとって、メンターも仕事における第三者の意見を聞ける重要な存在。メンターからのアドバイスが、今の自分のスキルと新しい価値観への気づき、これからの道を開いてくれているようです。「あの時、ああすればよかった……」という経験は誰しもが持っているもの。しかし、それをいつまでも引きずることなく、今の自分に備わっている新しいスキルや価値観に気づけること。そして、興味がある分野にはまず飛び込んでみる好奇心が大切なのではないでしょうか。