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全国移住女子サミット2017が開催されました。「移住女子」とは、好きな地域で自分らしく生きるために都会から地方に移住してライフスタイルを変えた女性たちのこと。住む場所を変えただけでなく、人生や価値観も変化しイキイキと暮らす移住女子。会場には、地方移住やそんな移住女子の生き方に憧れる多くの女性が参加していました。

今回のイベントでは、オープニングトークの後に先輩移住女子のゲストと参加者が交流できる計8つの分科会が開催されました。その中から2つの分科会の様子をお伝えします。

 

分科会では、ゲストスピーカーとして参加した移住女子が暮らす地域の食材を使用した彩り豊かなケータリングも用意されていました。

 

どうやって移住する?その具体的なステップとは

左:水沼 真由美さん、右:伊佐 知美さん

まずは、第2セッションの分科会から「私が地方を選んだ理由、移住するまでのステップ-移住女子の生き方-」というテーマで伊佐知美さん(灯台もと暮らし編集長。新潟県出身)と水沼真由美さん(学生。にいがたイナカレッジ長期インターン生として新潟県十日町市に移住)のお話を紹介します。

多くの移住したい女性から相談を受けてきた伊佐さんによると、お金のこと、そして「どこに移住したら良いですか」という質問が圧倒的に多いそうです。

 

移住先の選び方

 

まずは理想の暮らしを探すところから

「移住先はどこの地域でも良いと思います。移住先を探す取りかかりとしては、例えば海が近いところが良い、お米が美味しいところが良い、人との出会いがあるなど、何か1つでも自分の希望を挙げて、どんな暮らしをしたいか理想を考えて、それに近いところを探していくのが良いと思う」と伊佐さん。

水沼さんが十日町市を選んだのは「移住の候補地として新潟県内の3ヵ所の地域を挙げていたが、その中から自分のやりたいことと住んでいる方たちとの相性で決めた。候補地の内2地域は農業にしっかりと腰を据えて取り組むという感じだったので、自分のやりたいこととかけ離れるということもあり、外した」そうです。

人との出会いが移住の決め手

さらに伊佐さんは、「移住に成功した人は、その地域に知り合いを一人でも探してその人の人柄に惚れて移住したという人が多い」と教えてくれました。

水沼さんも「周りにも『最初はその地域に軽い気持ちでとりあえず行ってみたけどそこで出会った人がきっかけで移住した』という移住女子が多い」と同意します。水沼さん自身も、先輩移住女子とのつながりが移住の決め手になったというエピソードを語りました。

「移住のきっかけとなった3名の移住女子をフリーペーパーで知り、生き方に惚れて猛アプローチをかけ、直接お会いできた際に『ファンなんです!』と一緒に写真まで撮ってもらいました。『これから移住するのでよろしくお願いします』と挨拶をしたらたくさんの方とつなげてくださって、その方がいるところに移住しました」

2段階移住のすすめ!

「自然に囲まれた山奥で生活したいなと憧れていきなりそういう集落のような田舎レベルの高いところに移住するのではなく、2段階移住がお勧めです」と伊佐さん。

具体的には「まずは東京から移住先の県内もしくは市内で一番栄えている都市部に移住して、そこを拠点に週末や休暇を利用して気になるエリアに遊びに行き、最終的な移住先として良さそうなところを見極めてから田舎レベルの高いところに移住すると、既に友人や人間関係もできている状態なので、地域に溶け込むための心理的なハードルも下がります」

実際に水沼さんは2段階移住を考えているそうで「今住んでいるところは新潟県十日町市内の中でもスーパーやコンビニもあり県道沿いで平地なので暮らしやすい地域。お年寄りだけというより三世代で住んでいるファミリー世帯が多い。最初はそこで自分の暮らしを作って、今後もっと山の奥の方で暮らしたい」と将来を見据えた計画を語ってくれました。

2段階移住という、ひとまず地方都市に移住してワンクッション置く方法は、都会の利便性の高い生活から少しずつ田舎暮らしへと移行できるので心理的にも物理的にも新しい生活へ慣れるための準備ができてとても良いなと思いました。

さらに伊佐さんは、「田舎レベルだけでなく、移住者を受け入れる環境が整っているか移住の成熟度を見るのも良い」といいます。

「その見分け方として、総務省が実施している『地域おこし協力隊』を受け入れ始めた地域なのかが移住者を受け入れる態勢が整っているのかを測る一つの目安になります。またその町の移住の歴史がどうなっているのか見てみるのも良い」と教えてくれました。

 

移住にかかるお金のこと

生活にかかるお金のことについては「『とりあえず100万円貯金してから移住しました』という移住女子が多い」そうですが、生活にかかる固定費の中で重要な位置を占める家賃に関しては、地域によって事情が異なるので「空き家バンク」などでだいたいの相場を調べるのも大事だそうです。

それから「意外に出費がかさむのがガソリン代!どこに行くにも車移動になるので」とお二人が声を揃えて言います。

 

知り合いゼロから人との繋がりを増やす方法

「移住成功のコツは人との繋がりを作ること!」という伊佐さんと水沼さんの主張に心配そうな顔をする参加者たち。知人がいない状態から人間関係を作るきっかけの作り方を伝授してくれました。

伊佐さんの場合「もし私がこれから移住を考えるとしたら、お試し移住に行って、まず行政の町役場の移住担当者を探す。できれば女性の担当者を探して『美味しいごはん屋さんどこですか?』と尋ねる。美味しい飲み屋とか若者がいそうな場所、流行っているお店など町の情報をその担当者から聞いて行ってみます。または『地域名、イベント』などでネット検索して、その地域で若い人が主催しているイベントやフリーマーケットなどに参加し、主催者に話しかけるなどし、顔と名前が一致する人を作るとそれまでと世界が違って見えるようになるので勇気を出して外に出る努力をする」そうです。

水沼さんは「地域のイベントや掃除に毎回出席するようにしていた。地域のお祭りの際も地元の方たちに交じって1か月前からお囃子の練習をするなど、地域に溶け込む努力を意識的にしていた」と経験を話します。

最後にゲストお2人から参加者へのメッセージとして「人との繋がりを作るには、今回の全国移住女子サミットのようなイベントに来るのが一番近道。実際に移住を体験している人を知り、隣に座った参加者同士で仲良くなって友達になり、気になる土地に一緒に行ってみるという人も多い。興味の方向性が同じ人と繋がることができるのは大きい」と語りかけていました。

 

移住後の仕事を自分で作る方法

第3セッションの分科会2では「移住女子の仕事とお金-自分のやりたいことを仕事にする方法-」というテーマでヒビノケイコさん(4コマエッセイスト・講師。自然派菓子工房「ぽっちり堂」オーナー。高知県嶺北地域に移住)と島本幸奈さん(一般社団法人フィッシャーマン・ジャパンに立ち上げから関わる。宮城県石巻市に移住)のお話を紹介します。

左:島本幸奈さん、右:ヒビノケイコさん

 

ウェブがあればどこでも誰とでも仕事ができる

「今はインターネットがあるのでどこでも誰とでも仕事ができ、ネットショップで何でも買えるので暮らすことにも不自由はしていない。必要最低限はネットでほとんど調達できる」という島本さんの言葉にヒビノさんも同意します。

それでも島本さんは「地方で仕事する人と組みたい。デザイナーを探すときも東京の人に頼むとお金が地方に循環しないので、まずは石巻でチームを組める人を探す」とポリシーを語ります。

 

自分で仕事を作るためにまずできること

何もないところから仕事を作っていく初期の頃、お2人がそれぞれ何をしていたのでしょうか。

自分なりに調べてできることを増やしていく

島本さんは「ボランティアで初めて石巻に行き、その後全くやったことなかったがネットショップで石巻の特産物を販売してほしいと頼まれた。分からないなりにどうやったら売れるのかを自分で調べ、分かる人や実践している人にたくさん話を聞いた。その中で自分ができそうなことからやってみて、少しずつできることが増えていくに伴い、売り上げも少しずつ増えるようになった」とのこと。

現在も勉強しながら仕事の領域を広げているようで、「今の団体で携わっている仕事でも、今までやったことがない初めてのことはたくさんあるけれど、今まで水産業と関わったことがない他の産業が組むことで新しいものを生み出したいと思ってやっている。何と何が協同すると両方にメリットが生まれつつお金の流れが循環するのかなど、とにかくいろいろと勉強している」と話します。

面白い働き方をしている人にたくさん会って刺激を受ける

ヒビノさんは「私は学生の頃からこういう生き方をしたいなという人に会いに行って一緒に働かせていただいたりした。その体験から自分のやりたいことを仕事にするにはこんな感じなんだなと感覚的に分かるようになった。

例えば、以前カフェを開こうと思った時も同じようなイメージに合うカフェを経営している人に会いに行った。

実行している人は『できるよ!』と言うけれど、何もしてない人は『大丈夫?そんなの無理だよ』と言う。既に上手くいっている人に聞きに行くのが一番。それが仕事を作るためにできる1歩なのかなと。また、似たようなイメージでも都会でカフェをするのと田舎でカフェをするのも全然違うので、どれだけ自分のイメージに合った方に会いにいけるかも大事」といいます。

島本さんとヒビノさんに共通しているのは、自分がやりたいことや結果をはっきりイメージし、すでに実践して上手くいっている人に会いに行くこと。そして得られた情報の中から自分にできる行動を積み重ねていっていること。人と向き合って体験的な情報を得ることの大切さと行動することの必要性を、ご自身の経験から伝えてくれました。

 

移住後の地域の雰囲気を感じて仕事を作る

ヒビノさんは移住後、お菓子工房の事業を立ち上げたそうですが、「移住前からある程度構想はあった。自分のできること、したいことと相手に求められることの間で仕事を作るだけでなく、フィールドを考えるというのが地方では必要」と言います。

もともとはパン屋をするつもりで準備をしていたそうですが、完全に決めきるのではなく、移住後に感じる感覚を確かめようと思っていたとのこと。移住後、実際に競合のパン屋を見て回ると大手メーカーが作る柔らかいパンが好きなおばあちゃんが多い地域でハード系のパンは売れないと思い、お菓子なら日持ちもして全国に販売でき、スイーツという切り口もあるがギフトという切り口もある、それに自分の媒体も使えると分析して、お菓子を仕事にすることにしたそうです。

島本さんも「地域の実情を知るという意味では、移住を考えている場所がある人も実際に足を運んだ方が良い。風景や地域の雰囲気も写真で見るのとは全然違うので自分が体験して得た情報を信じた方が良い。インターネットや媒体でまとめられた情報だけでなく直接得た情報から自分がどう感じるかが大事!」と力説します。

 

やりたいこととニーズの組み合わせで仕事を作る方法

また、自分がやりたいことと周りから求められていることをどう組み合わせて仕事にするかについてヒビノさんは自身の経験を語ります。

「基本的に試行錯誤しながら探る。作品を販売していた芸大生の頃から自分が良いと思う作品をただ一方的に出すだけだと良くないなと思い、相手が求めているのは何かという本質を掴むことをずっと考えていた。その頃からいつも人を洞察する習慣が身についている」

具体的には、まず誰に届けたいのかを考え、実際に「こういう人に届けたいな」と思える人と話をして、その人が求めていることや困っていることを感じ取るようにしているそうです。その上で、実際の商品を作るときも、まずは小さく始めてみて、試行錯誤を繰り返すと言います。

「自分ができることとやりたいことを組み立てて仮説を立てる感じ。それを形にして、あまりお金をかけないで一度商品として世の中に出す。お菓子工房の仕事も最初は試作して、地元の市やオーガニックマーケットで販売していた。そこから、反響の高かった『玄米ぽりぽりクッキー』をネットでも売ることにした。そういうふうに改善を繰り返し、『この人たちは他にもこういうものが欲しいと思っているのでは』と常にリサーチしながら現在進行形で新しいものを生み出していきます」

何を仕事にするか分からない人に対しては、「まずは、『こういう人に何かを届けたい』と思う人と人間関係を築き、何を求めているのか察するところから始めたら良いと思う」とアドバイスします。

 

自分の感性で選ぶ移住という選択肢

「とにかく実際に足を運んでみて!」「考えるより行動を起こすこと!」というのが、お話された皆さんの共通したメッセージでした。

頭で考えて心配事をあれこれと想像するよりも、まずは気になる地域に行っていろんな方と交流してみること。自分が素敵だなと感じる暮らしをしている人に会って話を聞くこと。

ゲストの方たちが語るように、実際に行ってみてはじめてわかることが多く、仕事やお金のことなどの気になっていることも、具体的にどうしたら良いか解決策がおのずと見えてきそうですね。

また、場所の生きた情報に触れることや、自分の描く夢をすでに実現している人に直接会うことの大切さは、地方移住だけでなく、多くのことに当てはまるのではないでしょうか。

ヒビノケイコさんの講演レポートです。こちらもぜひご覧ください。