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何らかのきっかけがあって仕事を辞め、専業主婦になったけれど、いつかは仕事に復帰したい、そう考えている女性は多いでしょう。でも、小さい子どもがいるうちは預け先が見つけづらかったり、そうこうしているうちにブランクが長くなって自信がなくなったり……、復職への一歩を踏み出すことにためらう声も、よく聞かれます。

今回は、専業主婦期間を経て再び働くことを考え始め、その足がかりとして「ママボノ」に参加した2人の女性にインタビューしました。

復職を視野に、2017年度の「ママボノ」に参加したおふたり。左から大原ななえさん、長尾ふゆさん

仕事再開への一歩を踏み出したいママが参加する「ママボノ」

仕事のスキルや知識を活かして社会貢献をすることを「プロボノ」と言いますが、「ママボノ」はママたちによるプロボノ活動のこと。育休復帰や再就職など、再び仕事への一歩を踏み出すママのためのプログラムで、毎年参加者を募って秋から冬にかけ、認定NPO法人サービスグラントが実施しています。

初回の2013年度以来、毎年参加者が増え、2015年度からは東京と大阪の2ヶ所で開催。2017年度は東京と大阪で合計100名を超える参加者が集まりました。そのうち10名ほどが、現在は仕事をしていないけれど、再就職を視野に入れての参加だったそうです。東京で参加した大原ななえさん、長尾ふゆさんにお話を伺いました。

 

4年のブランクによる不安が自信に。働きたい気持ちが高まった

定年後まで働くつもりだったけれど……

現在、小学校2年生の男の子と幼稚園児(年少)の女の子のお母さんである大原ななえさん。かつては企業の情報システム部に所属し、「子育てしながら仕事を続け、定年退職後は嘱託で働くのが夢だった」と語るほど、仕事が好きだったそうです。離職のきっかけとなったのは、保育園事情の厳しさと、お子さんの入院でした。

1度目の出産をした大原さんは、育休から復帰する時にお子さんを認可保育園に入れることができず、自治体が独自に認定した小規模保育所に預けました。そこは0、1、2歳児のクラスしかないため、3歳以降も預けられる認可園への転園を希望していました。しかし、それが叶わないまま、あと半年で2歳児クラスも終わりという頃、お子さんが入院してしまったのです。

入院は1ヶ月に及びましたが、運悪く仕事のトラブルが重なり、我が子を心配しつつも毎日出勤せざるを得ない状況だったといいます。

「主に管理していたサーバーのトラブルで、担当者としての責任がありました。医師より、子どもの退院のめどはたたないと言われているような状況で、そんな子を置いて毎日出勤せざるを得ないという状況に疑問を感じました。今は子どもの側で寄り添うべき時なのではないかと思い、その年の年末に退職しました。退職するという事は、人生の岐路で大きな決断でしたが、その時は最善策だと思い決意しました」

「仕事をしない人生は考えられない」4年の専業主婦期間を経て求職活動を開始

退職の翌年に2人目のお子さんを出産し、4年あまり専業主婦として過ごしてきた大原さんですが、「仕事をしない人生は考えられない。いつかは必ず復職しよう」という気持ちを持ち続けていました。そして、下のお子さんが幼稚園に入った今年度から、復職に向けて動きだしました。

「4年も専業主婦をしてきたので、社会情勢、今の現場感、そういうものを掴むための情報収集もしながら、模索しています」

ママボノを知ったのも、情報収集の一貫で参加したセミナーがきっかけでした。たまたまママボノのパンフレットを目にし、2017年度の参加者を募集していたので「これをきっかけに何かやってみようかな」という気持ちで参加したそうです。

派遣会社に登録するなど、就職に向けての活動も行いつつ、社会復帰の形としてボランティア活動も視野に入れている大原さん、ママボノの他に、お子さんの小学校の英語講師のボランティアも継続しています。

ママボノのメンバーとの会話が心地よく、復職への気持ちが高まった

ママボノでは、特定非営利活動法人「東京釣り協会」のウェブサイトを構築するプロジェクトを8名のチームで担当しました。ウェブサイトのメニューが7つあったので、ひとりが1メニューを担当し、リーダーが全体を見る、という形で分担。大原さんは「ブログ」の担当で、ブログ形式のWebメニューを作成。メニューを作成後、協会の方が書いた釣りに関するコラムなどをブログにアップしたり、そのブログのホームページへの連携や協会の方のためのマニュアル制作などの作業を行いました。

大原さんのチームのメンバー(「ママボノ」成果発表会にて)

メンバーがお互いに顔を合わせたのは、キックオフミーティング、協会の担当者とのミーティング、成果報告会の3回だけで、それ以外はLINEでコミュニケーションを取りつつ進行。それでも、とてもスムーズに進んだと大原さん。

「不思議なことに、最初からみんなが同じ方向を向いて、同じペースで進んでいたので、会わなくても問題なくやり取りができました。誰かが何か言ったら『じゃあ、それは私がやる』とか『こうしよう』とサクサク決まって、特に迷いもなく進みました」

大原さんは、そんなメンバーとのやり取りの中で、仕事をしていたときの気持ちやスピード感を思い出したようです。

「今回のチームはIT業界の人が多くて、話がポンポン通じるのがとても心地良いな、と思いました。普段接しているママ友同士の会話とはまた違う世界を久しぶりに体感して、働くことにより積極的な気持ちになりました」

子どもが中学生ぐらいになった時、充実した自分時間を持てるように

ママボノに参加するに当たり、「4年も仕事から離れていた自分がついていけるだろうか?」という不安もあったという大原さんですが、やってみるとむしろ「楽しい!」と感じられる余裕がありました。そのため、復職に向けての自信が付いたようです。

今は子どもが幼稚園に行っている時間内でできることをやりたいという希望があり、その条件に合う仕事を見つけるのは簡単ではないという大原さん。でも、人生全体で考えれば、子育てに多くの時間を費やすのも今のうちだけです。子どもたちが中学生くらいになれば、自分の時間をたっぷり取れるはず。そのときに充実した時間を持てるよう、今からチャンスを見つけ、少しでも働き続けることが大事だと思う――そう語る大原さんの表情は、やる気に満ちていました。

 

アメリカ滞在で変わったキャリア観。ママボノが自分を知るヒントに

夫の海外転勤で、ライフスタイルの多様性に気づいた

小学校1年生、幼稚園の年中、1歳の3人のお子さんを育てる長尾ふゆさんは、新卒で入社したクレジットカード会社でマーケティングの仕事をしていました。2人目のお子さんの育休中に夫の仕事の都合で3年間アメリカに滞在。その間に育休の期間が終了したため退職しました。帰国後に3人目のお子さんを出産して今にいたります。

アメリカの人たちの働き方や暮らし方に触れたことは、自身の今後を考える上で、大きな影響を与えたようです。

「アメリカの人って、家族を大事にしているんですね。例えば夕方5時頃に公園に行くと、お父さんもいっぱいいるし、夫の職場では、子どもの誕生日には『早く家に帰れ』って帰らされたりしていました。それから、お父さんが働く人でお母さんが家事をする人、というのではなく、時期によってお母さんが働くときもあれば、お父さんが働くときもある、というスタイルも当たり前にありました」

以前は、勤めていた会社で子育てと両立しながら働き続けることを当然と思っていた長尾さんですが、日本にいたときは目に入らなかった多様なライフスタイルを知り、様々な選択肢を考えるようになりました。

「例えば、以前はパートタイムの仕事というとあまりスキルの求められない単純作業のようなイメージを持っていたのですが、そうではないパートタイム的な働き方もあるな、と気づきました。今はフルタイムで働けないなら当面はパートタイムで仕事をしてもいいし、子どもを連れて行けるような職場もあるんじゃないかとか、起業というほどではないけれど自分で何か仕事を作るようなスタイルもあるな、とか……。まだ漠然としていますが、自分のやり方を模索しているところです」

これからの働き方のヒントを期待して、ママボノに参加

ママボノを知ったきっかけは、友人からサービスグラント主催のイベントに誘われたことでした。イベントには都合がつかず行けなかったものの、ママボノに興味を持って調べてみると、ちょうど2017年度の参加申込の締切直前。「面白そうだな、やってみたい」という気持ちと、子育てしながらキャリアを継続している人たちに会ってみたい、という気持ちがあり、申し込んでみたそうです。

「参加者は育休中の人が多いということで、つい最近までフルタイムで仕事をしていた人に触れることで、気持ちが変わるかな、という思いがありました。自分がこれからどうするべきか迷っていたので、何か見いだせるんじゃないかと……」

チームでの活動を通して見えた、自分の得意なこと

ママボノの活動が始まるまでは、「主婦は場違いなのでは?」「ついていけるだろうか」という不安があったという長尾さんですが、感想を尋ねると、「久しぶりに締め切りのある緊張感を味わえました」と、笑顔に。大きな充実感や楽しさを感じたようです。

長尾さんたちのチームでは、社会福祉法人日本国際社会事業団が長年実施している「チャリティー映画会」に関して、課題整理と今後の活動発展のための提案を行いました。最終的に支援先に渡した提案書は、130ページにわたる力作に。

長尾さんのチームのメンバー(「ママボノ」成果発表会にて)

「最初はびっくりしたんですけど、皆さん全力投球で、自発的にどんどん動いていくんです。ひとりが動くと『じゃあ、私も!』『私も!』みたいな感じで、それぞれ動くので、前に前にと進んでいきました」

7人のメンバーが常時LINEで連絡を取りつつ、週に1〜2度はビデオ会議ツール「Zoom」を使ったミーティングをし、ヒアリング調査や現地調査には、都合のつく2〜3人が個々に出かけていく、という形で進んでいきました。

自身も何度も調査のために外出した長尾さんでしたが、どちらかというと、みんなが全速力で動いていくのを冷静に見ていて、方向性を確認したり整理したりという役割だった、とのこと。また、仕事のブランクがあり、みんなのスピードについていけるか不安を感じていた長尾さんでしたが、むしろ「仕事が速い」と見られていたようです。

「最後にチームのみんなでお互いにメッセージを贈り合うのですが、私がみんなから言われたのが、進んでいる内容に対して斜めからの視点で指摘をする、というようなことと、作業が速いということで……。PCで資料を作るとかそういうことは、かなりブランクがあるし、新しいソフトに慣れていないということはあるんですけれど、やっぱり得意なのかな、と思いました」

マーケティング調査という内容も、前職で培ったスキルや経験を振り返る機会になりました。

「マーケティングというのは、何か資格があるわけではないし、元いた会社でやっていたことが他でも通じるのかどうかというと自信がありませんでした。でも、ママボノをやってみて、何かできることはあるんじゃないかな、という漠然とした期待が持てました」

働き方の可能性は色々。焦らずに将来に備えたい

「すごく面白かったのが、ミーティングやヒアリングに出かけていくと、みんな子連れで来るんですね。ほとんどが1歳未満の子なので、抱っこした状態で、お互いに話をしている。でも、みんなプロジェクトを進めるのに集中しているので、子どもの話題にならないんです。子どもがいるんだけど、淡々と仕事が進んでいて、それがとても心地良いな、と感じました」

「子どもを育てながら」ということが前提のママボノだからこそ、リモートで連絡を取り合う、子連れで集まって仕事をする――、そんな柔軟な働き方の可能性も知ることができたという長尾さん。子ども達が小学校を卒業するくらいまでは、家族の時間を優先し、無理をしないでできることをしていきたい。ただし、短時間であっても、将来を見据えた勉強や仕事経験を積み重ねることで、その後の人生を充実させていきたい、と柔軟かつしっかりとした考え方を語ってくださいました。

 

ママボノを、自分を変える小さな一歩に

おふたりは、どちらも上のお子さんが小学生。お母さんとしての経験もある程度長くなり、改めて自分自身の人生についてじっくり考えるタイミングなのだな、という印象を受けました。

お話からは、ママボノでの活動が刺激になり、それぞれの描く今後のライフやキャリアのイメージが少し具体化したことがよくわかりました。「今の自分を変えたい」というとき、「どちらの方向へ行こうか?」と迷った時、まずは小さな一歩を踏み出して、新しい環境に飛び込んでみることが大事ですね。

そして、ママボノは実は今年でちょうど5年目。3月17日(土)に東京にて5周年イベントを開催するそうですので、関心のある方はぜひご参加されてはいかがでしょうか。
詳細・お申込み:http://www.servicegrant.or.jp/event/index.php?id=243

参考:2016年度のママボノに関する記事もご覧ください

子育て、転勤…、それでもできる働き方がある
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