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女性は男性と比べてライフイベントが多く、結婚や出産などによって働き方を変えなければならない場合もあります。
こうしたなか、「ずっと働き続けたい」「キャリアを継続させていきたい」と考える女性にとって、時間と場所にとらわれないフリーランスという働き方は魅力的である一方、収入面や仕事の獲得方法など、実際に踏み出してみないと分からない部分や、「一度フリーランスへ転向したら、もう会社員へ戻ることはできないのでは?」といった漠然とした不安がつきまといます。

そこで、株式会社Warisではフリーランスへ転向を考える人や、フリーランスから再び会社員へ転向を考える人へ向けたイベント「『はたらく』をもっと自由に、もっと多様に。会社員⇔フリーランス⇔会社員⇔副業、ワークスタイルを変えてきた人たち」を開催。
会社員からフリーランスへ転向し、さらに会社員へとライフイベントに合わせて働き方を柔軟に変えてきた女性2名をゲストに迎え、フリーランスへ転向したきっかけや会社員に戻るために必要なスキルなどが語られました。

久継直子さん
新卒で大手食品メーカーへ入社し、営業・マーケティングなどを担当。在職中に2児を出産。育休取得後に復帰をするも、仕事と育児の両立に難しさを覚えて退職する。その後、業務委託をメインに在宅ワーカーとして活動し、2016年には再び会社員としてサイボウズへ入社。現在は、ビジネスマーケティング本部でプロモーションディレクターとして活躍中。

小松奈央さん
大手シンクタンクのSEとしてキャリアをスタートさせるが、結婚を機に好きなインテリアの道に進もうと建材メーカーの技術営業に転職。その後、人材系ベンチャー起業では求人雑誌のデザイナー兼ライターを勤めたのちWEBマーケティング部門へ異動する。データ分析からサイト企画、サービスの責任者としてメディア方針・戦略・組織統轄やクライアントのビジネス再構築等のサポートに従事。4年後にフリーランスへ転向し複数社の仕事に関わると、数カ月後にはベンチャー企業の社員へ復帰。現在はマーケティング部門のマネージャーとして活躍中。

ライフイベントの変化は数ある未来を「選ぶことができる」機会

業種もキャリアも違うお2人ですが、フリーランスへ転向したきっかけは「ライフイベント」でした。

「私は2児の母です。平日はワンオペ育児だったので、一人目の復職時は大変でした。それ以前にもフリーランスになることを意識していたので、二人目の復職後、病気のリレーなどでさらに大変になり、両立することに限界を感じたんです。」

久継さんは「会社に執着はなかったが、仕事は続けていたかった。自分が大切にしたいことは、どんな形でも仕事を続けることだと気付いた」と言います。
そこで、フリーランスとして働くことを決意すると、仕事を得るために、知人や親戚など周囲の人たちに仕事を依頼してほしいことを伝えたり、企画書を作って会いに行ったりしていたそうです。営業のかいもあり、そこから増える仕事もあったそうです。


一方、小松さんはフリーランスに興味があったものの、「収入面などの不安から踏みとどまっていた」と言います。
「女性はライフイベントで人生に変化があります。『不確実な未来に備えるためには会社に所属していないと!』と思っていたのですが、言い換えれば未来が何パターンもあって自分で選べるということですよね。そこで、二人目を出産した後、『フリーランスでもどうにかなるんじゃないかな』と考えるようになって、思い切って転向することにしました」

そこには、「自分が考える以上に、自分のキャリアは市場価値があった」という気付きがあったことも大きなポイントだったそうです。
「私が自分のキャリアに市場価値があることを知ったのは、第三者へ自分のキャリアを評価してもらったからです。もし、『フリーランスとして仕事をしてみたいけれど、果たして需要はあるのかな』という不安があれば、まずは、客観的な視点から判断してもらうことをおすすめします」

フリーランスのデメリットは新たなスキルの「芽」になる

育児と会社員の両立に限界を感じた久継さんと、自分の市場価値に気付いた小松さんは、それぞれフリーランスとしての道を歩み始めますが、会社員の頃には感じなかったメリットとデメリットを体験したと言います。

「時間の都合がつきやすく、場所にとらわれないことが最大のメリットだった」という久継さんですが、「経費精算や請求書の作成など、会社に属していれば必要のなかった書類仕事が増えたことと、仕事の増減に波があること」がデメリットだと感じたそうです。

また、フリーランスとして働くためには、コミュニケーションを密に取ることも大切な要素のひとつだったのだとか。
「フリーランスは信用ありきの仕事ですから、〆切は絶対に守らなければなりません。そのため、深夜や早朝に仕事をこなすこともありました。また、相手からの連絡に対しても、その都度『確認しました』という小さな発信でも欠かさずにしたり、〆切直前の自分のスケジュールを相手に伝えておいたりと、顔が見えないやりとりこそ安心感をもってもらうように工夫をしていました」


会社員時代には、エンジニア、営業、Webマーケティングとさまざまな仕事を経験した小松さんは、「同時にいろいろな仕事に関われること」がメリットだったと言います。

「会社で働いている時には、各部署がそれぞれ担当している仕事しか関わることができませんでしたが、フリーランスになってからは自分の裁量でこれらの仕事に同時に携わることができました。結果、とても視野が広くなりましたね」
しかし、色々な仕事に関われたとしても「請けた仕事の範囲が決まっていること」にもどかしさを感じていたそうです。
「フリーランスはあくまでも外注です。『もっとこうしたらいいのに』と思っていても、自分の担当以外の分野であれば関わることができません。また、『フリーランスは時間と場所にとらわれない=自由』と思われがちですが、意思決定はクライアント側にあります。常に相手の都合で物事が動くことは面倒な部分であり、自由にできない部分でもありました」


時間と場所にとらわれない自由さがあるフリーランスですが、その分、会社員にはない「責任」もつきまといます。また、クライアントによりよいものを届けたいと思っていても、責任の範囲外であれば手を出すことは難しいもの。お2人が語るメリットとデメリットは、フリーランスを経験したからこその「発見」であり、それを克服しようとすることは、会社員時代には得られなかった新しいスキルを育てることにつながったようです。

会社の「外」へ出ることで身についた新しいキャリアとスキル

フリーランスを経て、現在は会社員として活躍しているお2人ですが、転向のきっかけはどこにあったのでしょうか。

フリーランスとして6年間働いていた久継さんは、「稼働率が上がりすぎたこと」がきっかけだったと言います。
「フリーランスとして仕事が軌道に乗ると、どんどん依頼が舞い込むようになって、6年目には仕事の稼働率がすごいことになっていました。同時に、フリーランスになってからインプットが少なくなったことに不安を覚えるようにもなっていたのです。そこで、『この仕事量をやっていくのであれば、在宅勤務を認めてもらえる会社で再就職できないだろうか?』と考えるようになりました。」
そこで、周囲の人へ「在宅勤務を柔軟に取り入れている職場に再就職したい」と相談することから始めた。条件に合うような求人はなかなかなかったが、離職女性向けのインターンを紹介され、そこから再就職につながったとのこと。

この経験から久継さんは、「自分が何をしたいか、何を求めているのかを周囲へどんどん発信していくことが大切だと感じた」そうです。

一方、小松さんは、「フリーランスの時に感じていたデメリットがどうしても消化できず、会社員への転向を決意した」と言います。
「たくさんの仕事に関わるなかで、『フリーランスの仕事範囲はミニマムだな』と感じるようになりました。ひとつひとつの仕事にもっと深く関わって、よりよいものを届けたいという思いが強くなって、『それなら会社に所属して働こう』と転向しました」

いったん会社の外へ出ることでさまざまなことを感じた久継さんと小松さんは、「会社へ戻ったことでフリーランスというキャリアを活かした働き方ができるようになった」と言います。

「会社を移る『転職』では得られない引き出しの多さが現在の仕事に活かされている」と久継さん。

「フリーランスはクライアントとしてたくさんの会社を相手にします。それぞれの会社のカラーを知ることができるので、対応力がつきましたね。BtoCからBtoBと仕事の畑は変わりましたが、比較的スムーズに順応出来た気がしています。しかし、7年ぶりの会社復帰だったので、会社ならではのルールや雰囲気など思い出すのが大変でした(笑)」

小松さんは、「フリーランスの時に身につけた責任感を会社員になった今でも常に持ち続けて働いている」そうです。

「会社員しか経験していなかった頃は、自分の仕事でもどこかに言い訳がありました。フリーランスではその言い訳が通用せず、やったことはすべて自分に返ってくる。この意識の変化が現在の会社員として働く自分にいい影響を与えてくれています」

現在の「はたらく」は、一生のライフワークへつなげていく

会社員からフリーランスへ、そして会社員として転向したお2人ですが、最後に今後のキャリアについてお話をいただきました。

久継さんは、「現在の会社は副業も認められていて働き方の自由度が高いぶん、自立が求められるので、のうのうとはしていられない」とのこと。

「会社に所属していると毎月決まった収入があるので安心感はありますが、常に新しいことを学びながら、たくさんのことを吸収するようにしています。また、私が50代になる頃には、子どもたちも手を放れて時間に自由がきくようになる。それまでに、キャリアを積んで一生のライフワークになるようなことを見つけていきたいですね」

小松さんは、「起業を考えている」そうです。

「年齡を重ねていくうちに、自分のために働くよりも社会のために働きたいという思いが強くなりました。一番気になっているのが、日本の子どもたちの自律性です。
以前、同じ考えを持つ友人と子どもの将来を考えた会社を立ち上げたいと事業計画を作成してみたのですが、『私たちのキャリアではまだまだ甘いね』という結論になりました。
私も久継さんと同様に、50代になればある程度の自由がきくようになる。それまでは修行期間として、足りない部分を埋められるように仕事に励んでいきたいです」

「会社員⇔フリーランス」の垣根を払えるかどうかは自分次第

「フリーランスに転向したら会社員には戻れないかも」という不安の原因は、「フリーランス時代の経験は会社員としてのキャリアには反映されないのでは」「そもそも年齡によっては採用されないのでは」という部分からきているのではないでしょうか。
しかし、今回のお2人のゲストはフリーランスで培った経験を活かして、会社員への転向を見事に果たしています。
もしかすると、フリーランスと会社員の間にある垣根は自分自身が作り出しているものなのかもしれません。これを取り払うためには、会社や周囲の人間に相談したり、必要なスキルを身につけるために努力したりと、すべて自分発信でできることばかりです。
「一本道の一方通行」になるかどうかは、まさに自分次第。フリーランスもキャリアを積むひとつの過程として捉えることができれば、働き方はもちろん生き方もぐっと自由に、そしてワクワクするものになるのだと思います。