子どもが好きだから伝えたい 元保育士・金川さんがPAPAMOから発信する子育ての楽しさ

親戚のおうちのようなあそび場「PAPAMO」でキッズスタッフを務める金川宏美さん。保育園で10年働いてきた金川さんに、PAPAMOの楽しさやそこで目指す子育て支援、保育士の仕事について思うことなどを語ってもらいました。

PAPAMOはスタッフの自宅や空き部屋などを使い、子どもたちに楽しい遊びの経験を、お父さんやお母さんには自由に過ごせる空間と時間を提供するサービス。「親戚のおうちのようなあそび場」をコンセプトに、2016年6月から関東近郊で開催されています。そのPAPAMOでキッズスタッフ・リーダーとして働く金川さんは、この春まで10年間保育園で働いてきたベテラン保育士さん。なぜ今、新しい場での仕事をスタートさせたのか、保育士と二人のお子さんを持つ母親と、両方の視点から、その思いをお聞きしました。

 

ライター

鈴木せいら
札幌市出身。横浜国立大学大学院工学修士修了。2007年夏より、函館へ移住。制作会社でライティング・編集業務を行い、実用書・フリーペーパー等のコンテンツ制作を担当、2011年よりフリーランスに。現在、「HELP YOU」プロフェッショナルライター。理系の知識を活かしたサイエンスやアカデミー系の文章から暮らしにまつわるエッセイ、インタビューなど幅広く手がける。

子育てのやり方が分からないお母さん達に「子育てって楽しいんだよ!」と伝えたい

金川さんは、PAPAMOでどういった活動をしていこうとお考えですか?

PAPAMOの良さというのは、自由な時間が過ごせて、お母さんたちも子どもたちも幸せでいられるところ。コンセプト通り「親戚の家に遊びに行く」感じでしょうか。私も自分の親戚が近くにいないので、そういう存在があればいいなと思っていました。

「先生」だと皆さんかしこまってしまうので、より気軽に話しかけられる存在になりたいです。お母さんたちにとっては子育てが楽しいと感じられて、子どもたちにとっては家以外にも落ち着く楽しい場所があると思ってくれたら。PAPAMOでそういう場所づくりをしていきたいです。

最近は、子育てのやり方が分からないというお母さんが本当に多いです。そういう方に、「子育てって楽しいんだよ!」と伝える仕事がしたいと思いました。ただ子どもを預かって保育するだけではなく、子育ての楽しさを伝えて、お母さんが子どもと向き合う時間を増やせるような支援ができたらいいですね。

 

PAPAMOの仕事をすることになったきっかけは?

今年の春に所属していた保育園を辞め、4月からはベビーシッターとしてやっていこうと、ベビーシッターのサービスに登録していたのですが、思っていたほど仕事がなかったんです。「何かできれば」という思いで、知識やスキルを出品できる「ココナラ」というサイトに「子育ての悩み聞きます」と出品登録していたところ、たまたまPAPAMOの関係者の目に留まり、声をかけてもらいました。PAPAMOのコンセプトが、まさに私がやりたいと思っていたことだったので、すぐ「やろう!」と。私はラッキーだったと思います。

実際にPAPAMOのキッズスタッフをやってみて、いかがでしたか?

7・8月の平日に2回、新丸子で「さかな釣り」のプログラムを行いました。

魚を作る時点で子どもたちから湧き出るアイディアが止まらず、私自身驚きました。子どもに合わせた活動ができたので次の活動もさらにこれを深めていけたらと思います。また、初めて会う子たちが仲良くなる姿も見ることができました。これからも、子どもが夢中になれる内容で子どもたちが繋がれる場、保護者の方がホッとする空間づくりをしていきたいと思っています。

娘の一言で大好きな仕事を手放し、新しい道へ

保育園を辞めたのは、なぜですか?

最初は辞めるつもりではなかったんです。下の子が生まれて育児休暇に入っていて、3月までは所属していたのですが、私の考えが変わったことがあって。

いま長女は5歳ですが、子育てしながら保育士の仕事をするのはいっぱいいっぱいで。子どもは勤め先とは別の保育園に預けていましたが、朝7時に家を出たら夜19時まで保育園から帰れない。1歳の誕生日直前から、4歳までそういう生活でした。短時間の勤務はできないか相談したこともありましたが、叶いませんでした。

そして、長女の運動会に出られなかったことが、自分の中で決定打になりました。勤務先の保育園の運動会と重なってしまって。娘は「お母さんがいなくても大丈夫!」と言ってくれて、それも切なかったです。運動会の直後に長男を妊娠していることが分かり、切迫早産で早めに産休に入りました。そうすると、16時には保育園にお迎えに行けるようになった。そのときに娘が、「お母さん、もう遅い時間のお迎えやめてね」と言いまして。それを聞いて、「私はこの子のために、何かしないと」と思ったんです。

 

 

他の保育園で働こうとは思わなかった?

せっかくなら、今までできなかったことがしたかった。もちろん保育園での仕事は好きですし、自分の中では「こんな素敵な仕事はない」と思っています。

反面、保育園では自分のやりたいことに対して限界もあったんです。保育園では働いているお母さんばかり見てきたのですが、長女のお友達や、子どもの遊び場で偶然出会ったお母さんとお話してみて、専業主婦のお母さんには「働いているお母さんがうらやましい」と思っている人もいると分かりました。それまで保育園で接してきたお母さんたちの中には、もっと子どもと過ごしたいと思っている方や、そのために働き方を考えている方もいらっしゃったので、驚きました。働いていないお母さんたちの中には、自分の意志ではなく、旦那さんに家に入って欲しいと言われてそうしている人や、保育園に入れなくて泣く泣く仕事をあきらめた人もいたりするんですね。

「仕事をしない」選択をしたお母さんたちとも、触れ合いたいと思うようになったんです。それで、4月からベビーシッターとしてやっていこうと考えました。

子どもを預けていないお母さんだと、なかなか保育の専門家からアドバイスをもらえる機会がないですよね。

そうなんですよ。保育士は育児のことがいろいろ分かっている、だけどそれを園の外に発信する間もないほど、日々の仕事が忙しくて。「人に伝えたい、お母さんたちのために何かしたい」と思っても、保育園の外で何かを始める勇気がなかなか出ないんですよね…。

最近は企業・コワーキングスペース内の託児など、保育園意外にも保育士の活躍の場が広がってきていますね。

そうですね。学校で保育を学んだら、保育園だけじゃなくて、子どもに関わるいろんな仕事の選択肢が増えるといいですね。だから、PAPAMOという選択肢があるのは良いと思います。

 

心にゆとりを持てるよう 保育士たちの待遇改善を

最近、保育士の待遇問題が取り沙汰されていますが、現場にいたときに感じていましたか?

ハードな仕事ですけど、保育士は子どもが好きだから、当たり前だと思ってやっちゃうんですよね。だから、例えば人手を増やしてちゃんと休憩を取らせてあげたり、書き物を自宅でやらせるのではなく、勤務時間内にそのための時間を作ってあげたりという配慮が大事。賃金も上がって欲しいですけど、保育士がもう少しゆとりのある中で、ゆっくり保育できるようになればいいと思います。

金川さんのように、子育てしながら仕事が続けられるかという課題もありますね。

やろうと思えばできるとは思いますが、私の場合は無理にそうすると自分の子どもに影響が出るのでは、と感じたんですね。実際私が保育士の時は、平日は2時間ぐらいしか子どもと接する時間がなく、土日はくたびれて倒れ込むような生活。どこかに遊びに出かけるということも、全然ありませんでした。ですから、PAPAMOで仕事をするようになって、「子どもとゆったり過ごせる世界があるんだ」ということが分かりました。心の余裕ができましたね。

 

PAPAMOよりお知らせ

PAPAMOは、保育士・幼稚園教諭の新しい働き方を応援しています。キッズスタッフになりたい方は、数回の面接・講習を受けていただくと、ご自身の好きな日時に好きな場所で「あそび場」を開くことができます。関心のある方は、以下までお問い合わせください。
info.airhousery@gmail.com(代表:橋本)