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オリジナルのエプロンを製造・販売している株式会社エレグランスの社長、加藤なぎささんは、5歳と7か月のふたりの女の子のママ。 他にはないデザインがエレガントなエプロンは、伊勢丹新宿店にも出店するほど大人気です。 インタビューの前半では、結婚を期に専業主婦になった加藤さんが、なぜエプロンで起業しようと考え、どのように事業を成長させていったのか、その道のりや思いを聞いてみました。
株式会社エレグランス 加藤なぎささん

起業と同時に妊娠。子育てしながらブランドを作り上げた

エレグランスの事業内容を教えてください。

2009年にエプロンに特化したブランドを立ち上げ、2013年に法人化しました。女性と、その周りの人も元気に笑顔になるような商品が作れたらという思いで、家庭用のエプロンを作り始め、最近ではお店の制服も手がけています。そして今、新たにシルク商品の事業も始めようとしているところです。

どのような体制で会社を運営されているのですか?

会社は私一人で、催事の時にはアルバイトさんをお願いしています。アルバイトは15人ほどで、メインの6人にはショールームを構えているシェアオフィスの受付としても働いてもらっているんですよ。

私は、お客さまのご予約が入った時は出勤しますが、昨年次女が産まれてから、ご予約がない時は自宅で事務作業や企画系のことをやるようにしています。勤務時間は10時~17時がですが、お客さまのご都合でずれることもありますね。

この仕事を始めた時と第一子を妊娠されたのが、同時期だったんですよね。

はい。ブランドのリリースと妊娠のタイミングが一緒で、そこからずっと妊娠、出産、子育てしながらブランドを作ってきました。

初めは専業主婦になるつもりだったんですよ。以前は広報の仕事をしていたのですが、「結婚したら仕事はせずに子育て」と思っていたので、結婚を機に退職しました。でも、いざ辞めてみるとても暇だし、それまでお料理も一切しなかったので上手くできなくて。エプロンぐらい可愛くないと頑張れないぞと思って、自分でエプロンを作ることを思い立ったんです。

しばらくは大変すぎて第二子は考えていなかったんですが、仕事も7年目に入り、もう一人いけるかなーというタイミングで授かって、今この子がいます。

加藤さんのお嬢さん

趣味ではなく、仕事として始めたエプロン作り

ご自身の生活に根付いた製品なんですね。あったらいいなという思いがきっかけというか。

そうですね。「こういう世の中になったらいいよね」というところから、そのためにはこんなアイテムがあったらいいんじゃないかと考えて作る、そんな動きをしてきました。

自分のエプロンを作るだけでなく、仕事にしようと思ったのはなぜですか?

私は手作りができないので、最初から縫製工場で作って製品化するというイメージがあったんです。自分が欲しくて困っているなら、ある程度の数の人も困っているだろうという勝手な予測で、ちゃんと態勢を整えてしっかりプロに作ってもらおうと思いました。

工場を見つけたり、デザインをするのはどうやって学ばれたんですか?

初期は私一人でなく、妹と二人で「エプロン姉妹」と銘打ってやってました。妹がずっとアパレル畑にいたので、モノ作りのノウハウは完全に妹の知恵を借りて。ただ妹は福岡でキャリアを積んでいたので東京の縫製工場にご縁はなかったんです。だから20ヶ所近くの縫製工場に電話をして、エプロンを制作してくれるところを探しました。

妹さんはすぐこの話に乗ってくださったんですか?

早かったですね! 私が自分のエプロンが欲しいと思っていた頃、妹がアメリカ旅行中に可愛いエプロンを見つけて、お土産で何枚か買って帰ってきたんです。良いタイミングでエプロンをくれて、姉妹だな~と思いました。そこで「実はエプロンを作りたいと思っている」と話したんです。

資金はご自身の貯金だけですか? ご主人からの支援はあったんですか?

微々たる貯金と失業保険と、あとは主人に借りました。利益を出して、家庭に生活費を入れたり主人に返していけるようになったのは本当にここ数年です。それまではあたたかく見守ってもらいました。主人は応援してくれていますが、「いつか利益を出してね。生活の足しになってね」という約束だったので、やっと約束が果たせ始めて私も嬉しいし主人も喜んでくれています。
株式会社エレグランス 加藤なぎささん

経営のことはどうやって学ばれたんですか?

簿記の本で勉強したり、(会計ソフトの)『弥生会計』も一から挑戦です。あとは肌感覚ですね。「来月の資金繰り大丈夫かな?」とか、何回も危うい目にあって、徐々に身についてきましたね。商品を知ってもらうという点では、前職の広報の経験はとても役に立ちましたよ。

商品の売れ行きや反響は最初から良かったんですか?

はい。最初はインターネット直販のみで、商品を直接お送りするのでリピートしてくださる方のお名前を見るのが嬉しかったです。嬉しいご感想もいただきました。家庭のキッチンだけじゃなくて、料理教室やカフェの店員の制服に使いたいというお客さまの声が、次の開発のアイデアになるなど、お客さまに育てていただいています。

これまでで、デザイン数はどれ位あるんですか?

エプロンのタイプは20くらいあります。サロン(腰に巻く部分)が付いたタイプのエプロンだと、サロンとワンピース部分の色柄の組み合わせひとつにつき20~30枚ほどの限定数で制作しています。その都度完売したら次のものを出しているので、かぶる人はほぼいないと思います。もっと数を増やせば効率が良いのですが、「新しいものが見たい」「人とかぶりたくない」というご意見があるので、完売したら終わりにしています。

私も購入させていだいて知ったんですが、エプロンって普段の洋服とは選び方が違うんですよね?

エプロンは煩わしい家事を楽しくするアイテムなので、明るい色合いの方がおススメですね。最初は自分と同じ年代をターゲット層として作り始めたんですが、蓋を開けてみたら上は80代のおばあちゃまから、下は20代半ばで幅広くご利用いただいています。ご年配の方は赤いエプロンをご購入されて、「元気になれるわ」と喜んでくださっています。
エレグランスのエプロン

伊勢丹への出店は、代表電話への飛び込み営業から始まった!

伊勢丹への出店はどのような経緯で決まったのですか?

初めて百貨店で販売したのは地元福岡の百貨店の催事ですが、リアル店舗でやるのは伊勢丹新宿店がいいと最初から決めていたんです。卸で販売できる態勢が整った時に伊勢丹の代表電話にかけ、バイヤー室につないでいただきました。何度かお電話して2カ月待ちのアポを取り、商談の席で熱く熱く語りました。最初はいいお返事ではなかったんですが、何度かお電話しているうちに熱意が伝わって「では一回催事で扱ってみましょうか」と言っていただいたのが2年前の3月。

最初に出店したとき、実際に手に取って見られるということで、それまでインターネットで買ってくださっていたお客さまがたくさんいらしてくださいました。おかげさまで伊勢丹新宿店さまの予算をはるかに超える売り上げを達成させていただき、本当に感動しました。その実績から、その年の9月、12月、翌年の3月、5月、12月と催事への出店をずっとさせていただいて、常設になったんです。ファンの方に支えられて今があると思っています。

大阪の百貨店でも出店されてますが、伊勢丹での実績で、百貨店側からオファーが来たのでしょうか?

いえ、大阪も伊勢丹と同様に飛び込みです(笑)。ネットで阪急百貨店の電話番号を調べ、営業しました。私には、常に飛び込み営業を続けるほどのパワーはないですが、「ここぞ!」と決めた時には飛び込む勇気はあるかなと思います。

決めるタイミングはどんな時ですか?

準備ができたと思う時ですね。ある程度量を作れるようになったなとか、これだったら卸しても赤字にならないな、というタイミングです。

では最初から何年後にこうしようという計画を立てていたわけではない?

はい。積み上げていって、その時が来て動く感じです。でも今は3年、5年の計画を立てて動く時期になってきていると思うので、この4月から改めて組織化して動いています。

「様々なライフステージの女性雇用を創出」を理念に掲げていらっしゃいますが、バイトの方は主婦が多いのですか?

主婦の方、特に子育て世代の方中心にお願いしています。主婦が経済的に自由であることって大事ですよね。私も起業する前に、主人のプレゼントを主人のお金で買っている時に違和感を感じ「私お給料欲しいな」と思ったんです。少しでも自分の自由になるお金があると心が楽になるし、選択肢も広がります。そういった意味でこの会社がきっかけになれたらいいなと思って、かっちり働くことが条件的に難しいママも積極的に雇用しています。でもママだけでシフトを組むのってほぼ無理なんです。急にお子さんが熱を出すこともあるので、ピンチヒッターで飛んできてくれる方がいないと成り立たないんですね。ママに雇用を生み出すためには、朝早い時間や夕方の時間に入れる、それ以外の層のサポートが必要になります。

今お子さんがいない方もいつか産まれた時にサポートしてもらえますし、ある程度お子さんが大きくなった方は子育て真っ只中のママをサポートするという感じで、色んな層の方の助けを得てママの雇用が実現しています。あらゆるライフステージの女性たちで、お互い支え合っています。

 

後編に続きます)

加藤なぎさ(株式会社エレグランス 代表取締役)

福岡県出身。大学卒業後、ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)にチアガールとして入団、5年間の活動後退団。派遣で入った一部上場家電メーカーの九州支社にて受付として従事、後に東京本社・パソコン事業部広報担当として勤務。結婚を機に退職、2009年にエプロンブランドを立ち上げ、2013年株式会社エレグランスとして法人化。2児の母として子育てをしながら、理念の実現に向けて会社経営と両立している。
おもてなしエプロンelegrance(エレグランス) http://elegrance.com/