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(インタビュー前編はこちら

最優先は、家族との時間

株式会社エレグランス 加藤なぎささん

上のお子さんはおいくつですか?

今5歳の年長さんで来年小学校です。次女と5歳離れているので、赤ちゃん返りもせずにお手伝いもいっぱいしてくれて、とても助かっています。

早い時期から保育園に預けていたのですか?

3歳で保育園に預けました。早く預けても3歳で預けても、愛情は変わらないしどっちもありだなと分かったので、次女は1歳のお誕生日くらいから保育園に通ってもいいかなと思います。

3歳まで預けないでお仕事されたってすごいですね。

壮絶でしたよ! 取引先様のご理解とご協力あってのことです。打ち合わせにも連れていって、途中でいい匂いがしてきてオムツを替えさせてもらったり(笑)。不器用ながらもやっております。

仕事をしていて家事育児との両立は大変と思うことはありますか?

体力的な大変さはありますね。仕事の面では時間のやりくりです。今はガッツリ仕事できるのって一日に2時間半くらいが限度で。次女が寝る午前の1時間と午後の1時間半くらいで、そこでいかに集中するかです。時間の足りなさは感じますが、できる範囲でやるしかないですからね。

その2時間半でこれだけのことされているのがすごいですね。

できてない事も多いですよ。最初は発送も一人で全部やっていましたが、今はアルバイトさんに手伝ってもらっているので、やっと一歩目を踏み出せた感じです。

日常生活も、できる限りのことを一生懸命頑張りながら、手を抜くところは抜いてます。自分のために費やす時間はまつ毛エクステとネイル。仕事以外の時間は家族との時間を優先しています。特に土日は家族で過ごすことに注力して、よくピクニックに行ったりしていますよ。

旦那さんもお忙しいですか?

主人は忙しくて、平日は11時12時位に帰宅することが多いです。私も子ども達と一緒に寝てしまうと、朝しか会えなかったり。でも土日はできるだけ空けてくれて、家族みんなで過ごすようにしています。

旦那さんは家事育児を手伝ってくれますか?

手伝ってくれる方だと思います。稼ぎのバランスは全く違いますけど育児に関しては平等にやろうという意識を持ってくれてます。私が家事をしてる時に子どもと遊んでくれるのがありがたくて。何よりも乾いた洗濯物がソファーの上に山になっていても、何も言わずに黙ってそこから着るものを取ってくれるのが一番のサポートですね (笑)

上のお子さんが産まれた時からそうだったんですか?

最初からではなく、徐々に月日が経つにつれてですね。男性は言われないと気が付かないですから、よく話し合いをしました。今では「僕、今なにかできることある?」と聞いてくれるようになって、本当にありがたいです。 平日だと夕方から寝かしつけまでとても忙しくて、夕飯の準備、ご飯を食べさせて、お風呂入れて寝かしつけてとやっていると洗っていない食器がそのまま洗い桶にある状態だったのが、翌朝綺麗になっていることも多々あります。

旦那さんが仕事から帰ってきて、遅い時間に洗ってくれてるんですね!

はい。とても助かるし優しいです。私は恵まれていますね。

自分のニーズから生まれたシルクの肌着

エレグランスのエプロン

子どもサイズのエプロンは最初からあったんですか?

いえ、妊娠出産など、私の生活の変化と一緒にエプロンも歩んできているので、その都度自分に必要になったものを商品化しているんですよ。ベビー用スタイも作りましたし、長女が歩き回るようになったら子ども用エプロンを作って。ママ用と子ども用があると、パパのエプロンがないと可哀想かなとパパ用も作ったり。

今開発しているシルクの肌着も、長女を妊娠している時にもともと持っていたアトピーが再発して、何を着ても痒くて仕方がなかった時に、シルクの下着にとても救われたのがきっかけです。そうやって自分のニーズから生まれたものを商品化しています。

シルクの新商品を作られたんですね。

6月末発売予定で、今進めています。シルク100%で作った赤ちゃんの肌着とおくるみです。 シルクならではの取り扱いの難しさ、洗濯にかかる手間を解消した画期的な素材なんですよ。

シルクって扱いが面倒だと思っていました。

これ、もう何回も洗濯してるんですが風合いが変わらないんですよ。普通に洗えて長持ちして、コットンよりも丈夫なんです。でも、赤ちゃんの産着って長くても半年くらいしか使わないでしょう? それだとこのスペックはもったいないなと思った時に、5歳の娘になんとなく産着を着せたら、ちょうど着られたんですね。それでパターンを工夫して、0歳から5歳までずっと着られる肌着にしました。

 

それはすごいですね! 産着って本当にすぐ着なくなりますもんね。この素材はどうやって見つけたんですか?

最初はエプロンの生地として見つけた生地でした。でもシルクって紫外線を90%以上カットするし、アトピーの人の肌にもいい、菌を抑えて臭いがしないとか、色々いいところがあって、エプロンじゃもったいないと思ったんです。だから、今は赤ちゃんの肌着とおくるみなんですが、次に妊産婦さん用、女性用、男性用、介護用の下着まで展開させ、シルクの下着としてフルラインナップ揃えていくつもりです。主人や両親にも着せたいと思うと、その流れになりました。
新製品のシルクの肌着

ママが起業する時に大切なこと

仕事をやめようとか、続けられないと思ったことはありますか?

ありますあります! 最初はほぼボランティアで、赤字にはなりませんが、人の笑顔と引き換えに自分の利益は無しで働く時期が長くて。それも嬉しいんですが、家庭に還元することを考えると、「何のためにやってるんだろう?」と迷うし、何度も「やめよう」とか「今月末潰れるかも」と思ったことがありましたよ。でも、お客さまのとの触れ合いの中で乗り越えられました。事業が波に乗ってきてからは、雇用を増やそうとか新商品作ろうとか、その都度やる気を保ちながらやってきました。

今は打ち合わせに赤ちゃんを連れていかれるそうですね。周りの方の反応はどうですか?

もうね、私そろそろみんなから「おっぱい社長」って呼ばれるんじゃないかというくらい(笑)、男性の前でも「授乳していいですか?」と言って、授乳ケープを使って授乳してるんです。こういう働き方もありなんだと認めてもらいたいなというのもあって。幸いにも皆さん嫌な顔をせず付き合ってくださっていますね。その代わり、甘っちょろいママ起業と思われないように、一生懸命やっています。

今は起業家のママさんも増えてきていますよね。

そうですね。ママで起業されている方は堅実だし、見習うところばかりです。私が起業した頃は「キラキラ起業家」というキーワードが多かったんですよね。それは見せ方としてはありだけど、本当は泥臭いこととか地道なことばかり。ママはキラキラしてたら仕事できないですから!(笑) 

でも、今日もすごく綺麗にされていますよね。

「今日は」です(笑)。できる範囲で抜き差ししてるんですよ。
エレグランス株式会社 加藤なぎささん

今は気軽に手作り品をネット販売できるアプリなども増えてきていますが、なぎささんのように商売をしたいと思っているママさんたちにアドバイスがあったらお願いします。

まず、仕事をするかしないかは人それぞれでいいと思うんです。わたしの親友が結婚と出産で仕事を辞めた時、「あなたはまだできることあるよ」と言ったら「私は子育てしかしたくない。子育てが私の仕事だから」と。その時に目が開かれた感じがして、自分の大切なものを大切にする世の中が一番いいと思いました。

本当に自分がやりたいことがあるなら、しっかり事業として成り立つことを見据えて動いていかれるといいと思います。材料費を回収できればそれ以上の利益がなくても、お客さまの喜びの声を糧にして頑張れるという方もいらっしゃいますが、それだと自由に使えるお金は生み出せないし、人件費の分はどんどん赤字になっちゃう。収益がないと家計からの持ち出しになってしまうので、しっかりと自分の労力の分のお金も乗せて、自分のお給料が取れるような値段設定でやることをお勧めします。そうすると、そのストックが次の展開になっていくかもしれないし、家族で夕飯を食べに行くお金になるかもしれない。「主婦の趣味だから安くていい」ではなく、やるならプロとして対価を取れる商売をした方がいいんじゃないかと思います。

資金を最初に投じるのを躊躇する方も多いと思うんですが、そうすると小さい事しかできない。その瞬間から黒字にならなくても少し時間をかけて育てるというのも大事なのかなと思いますね。

仰る通り、少しずつステップを踏んでいくものだと思います。私もトントンかギリギリのところからやり始めて、様々な調整をしていきました。原価から積み上げると正当な販売価格があると思うので、そこも見据えて、バランスを見ながらスタートされるのがいいですね。

インタビューを終えて

家族との時間を一番に、やれる範囲で仕事をしているとおっしゃるなぎささんですが、地道にコツコツと、着実に積み上げてこられた道筋が今の結果になっていると感じました。

大きな企業に体当たりするバイタリティと、赤字にしない経営、こんな世界になったら嬉しいという思いからの商品化。「未経験だから分からない」とか、「ツテがないからできない」などの制限を自分にかけず、決めたらやり抜く精神の根源にあるものは、家族と自分のことを大切に思う気持ちなんですね。今後どんな商品を生み出してくれるのかが楽しみです。

加藤なぎさ(株式会社エレグランス 代表取締役)

福岡県出身。大学卒業後、ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)にチアガールとして入団、5年間の活動後退団。派遣で入った一部上場家電メーカーの九州支社にて受付として従事、後に東京本社・パソコン事業部広報担当として勤務。結婚を機に退職、2009年にエプロンブランドを立ち上げ、2013年株式会社エレグランスとして法人化。2児の母として子育てをしながら、理念の実現に向けて会社経営と両立している。
おもてなしエプロンelegrance  http://elegrance.com