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働き方を通して見つけた自分なりの価値観や大切なこと

当イベントのテーマは、 「地方の働き方・LIFE」。
そこには、「仕事はオフィスでするもの」という固定概念を取り払い、 「自分らしさ」を優先したさまざまな働き方から、 それぞれが見つけた本当の価値観や、大切なことへの気づきがあるようです。

市角壮玄(いちずみそうげん)さん デザイナー/アートディレクター/研究家
国内外を問わず旅をしながら、航空会社やシネマ―チェーン、国際会議などのWebおよび広告を製作。 また、伊勢志摩や熊野、京都、小笠原を始めとする各地域でブランディングやデザインに取り組んでいる。BBT大学専任講師として「デザイン思考」の講義や、デジタルハリウッドバンコク校のアートディレクション講師としても活躍。 2016年からはフードクリエイターとしての顔も持ち、国内外で 「VEGESUSHI」という野菜の寿司を創作。全国でワークショップを開催している。

中川晃輔さん 求人サイト「日本仕事百貨」 編集者として、全国各地のさまざまな仕事や人材を写真と文章で紹介している。 また、清澄白河のスペース「リトルトーキョー」にて、「編集」に興味がある人が集い、何かを持ち帰れるような場所を作る計画も進行中。なじみの町の路地裏に迷い込むこと、見知らぬ町を適当に散歩することが好き。

増村江利子さん Web制作、広告制作、編集などの職を経て、現在は フリーランスエディターとして活躍中。 「ほしい未来」をつくるためのヒントを発信するWebマガジン 「greenz.jp」のシニアエディター、 自分にぴったりの建築家や工務店とマッチングできるWebサービス 「SuMiKa」の編集長、コンテンポラリーな作品を発信するジュエリーブランド 「SIRI SIRI」の編集長、 地域と人をつなぐ移住スカウトサービス「SMOUT」の編集などを兼任している。プライベートでは二児の母。長野県諏訪郡へ家族で 移住して、ミニマルライフを実践中。

中川さん 「心から面白がること」で仕事は生まれる

「日本仕事百貨」の編集者という仕事柄、さまざまな地域で、さまざまな仕事をしている人たちと出会うことが多い中川さん。そこには、「ゼロから仕事を作って働いている人がたくさんいる」と言います。

「僕が出会った人たちは本当にさまざまな仕事を生業とされているのですが、みなさんに共通しているのは、『何もないと思っていた場所に、何かを見出している』ということ。手を動かすことがクリエイティブだと思われがちですが、まずは、置かれた場所で『見ること』『聞くこと』から始まるんです」


中川さんは「日本仕事百貨」より3名の方をスライドで紹介。今回中川さんが紹介した人たちは「作りたい」という思いが先にあったわけではなく、その場所で人と出会い、地域とつながりを作ることで、「自分は何がしたいか」に気づき、それが仕事となっています。また、現在の仕事に必要なスキルは、「必要になってから習得している」方々なのだそうです。


「みなさんもともと技術があったというわけでもありません。『何か』を見つけた時に、まず面白がる。そして、それらをさらに楽しむために、 必要な技術を学んでいる。その新しいインプットと、すでに持っていた自分のスキルや経験を融合することで、今までになかった新しい仕事を生み出しています

増村さん 移住先での地域の人との出会いを通して「自分らしい暮らし」を実現する

増村さんは、長野県諏訪郡で子ども2人と夫の4人家族で暮らしています。 東京で暮らしていた増村さんが移住をした理由は、「暮らしを小さくすることで、消費社会から距離をおきたかったから」だそうです。


そう語る増村さんは現在、在宅で編集とライターの仕事をしています。この働き方に、「増村さんは、自然と共存する暮らしをする一方で、仕事ではITを駆使している。このハイブリッドな生活は面白いですね」と市角さん。これに対して、「地方は、東京に比べて経験やスキルが不足していることがまだまだあるんです」と増村さんは言います。

「例えば、宣伝媒体としてSNSを使うことはもはや常識ですが、地方ではSNSでコミュニティやショップページを作っていても、それを使いこなせていないことがよくあります。気になったら自分から声をかけてみると、それが仕事になっていくというスタイルは、ご縁の強い地方ならではの特長ではないでしょうか。」



中川さんのお話と同様に、「地域の人とのつながり」が仕事を生み出しているようです。市角さんが、「他にも都会と地域での違いや気をつけたい点はありますか?」と聞くと、「人付き合いです」と増村さん。

「流動的で人の出入りが激しい都会とは違い、地方には濃密な人間関係が存在します。強い絆で結ばれたコミュニティの中に『新参者』として入っていくわけですから、それなりの礼節は必要。一度レッテルを貼られてしまうと、それを覆すのは相当難しいので最初が肝心だと思います。」 とはいえ、一度溶け込んでしまえば、そこには都会にはない人間味のある付き合いを楽しむことができるそうです。


地方で、自分らしい暮らしを満喫しながら、仕事もこなす増村さん。しかし、地方へ移住する時に仕事がなくなる恐れはなかったのでしょうか?

増村さんいわく、「仕事は自分でつくるもの」とのこと。
地方といってもまちの規模感はさまざまですが、いわゆる田舎には、デザイナーやカメラマン募集といった人材募集はありません。でもデザイナーやカメラマンがいて、みんな素敵な仕事をしています。そして実は、地方で自分のスキルが役に立つというよりも、仕事を自分でつくる必要があるのです。

「『自分には何のスキルもないから、移住して仕事がないのでは』と考える人がいるかもしれませんが、今あるスキルが田舎に求められているということよりも、そもそも仕事は自分でつくる必要があります。もしも移住がしたいのなら、自信がなくてもタイミングが来たら乗るべきだと思います。 」

編集後記

イベント後の交流会では、参加者がゲストへさまざまな質問を投げかける場面も見られました。 家族がいる場合、移住には周囲の説得も必要です。ゲストの二人からは、「移住の前に短期間の『試住』をしてみてもいいと思います」というアドバイスがありました。また、「地方のシェアハウスやゲストハウスをのぞいてみるのもおすすめ」とのこと。

そして、何よりまずは、「自分がやりたいことを、住みたい町の規模や人口に合わせて本当に実現できるのかどうかを考えること」が大切とのこと。

これをしっかり考えずに移住してしまうと、いざ移住してから「こんなはずで はなかった......!」という後悔につながりかねず、 事前のリサーチが重要です。大切なのは、「自分らしい暮らし」。地方での「自分らしさ」を優先したさまざまな働き方から、自分なりの価値観や、大切なことへの気づきが見つかるかもしれません。