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年末最後の社内ミーティングはケニアからの中継!日本との距離およそ10,000km!

以前、「灼熱の国スーダンに夫とくらし、オンラインアシスタントとして輝く毎日」のインタビュー記事に登場いただいた宇治川紗由里さんのその後について追ってみました。 宇治川さんは、2017年11月からHELP YOUの運営会社である株式会社ニットの正社員としてジョイン。そのワーク・ライフスタイルはオンラインアシスタントとして活躍していた頃と変わりません。 パートナーの仕事の関係で1年のうちに数カ国を行き来する生活を送る彼女が、フルタイムの正社員と同じように日本企業で働くことは可能なのでしょうか?その秘密に迫ります。

宇治川さんに1年間の渡航履歴をまとめていただきました

宇治川さんに1年間の渡航履歴をまとめていただきました②

ニットでは毎年年末に一年の締め括りとして、メンバー全員で社内合宿を行うそうです。普段は遠方にいるメンバーも東京に集合するのですが、宇治川さんはケニアにいたため現地集合ができませんでした。そこで、モニターやスピーカーを使用して生中継をしながら会議を決行。複数の定点カメラを使用すれば会場の雰囲気をつかめますし、モニターに顔を映せば顔を見合いながら会話ができます。「ニットのメンバーがリモート・ミーティングに慣れていたから、違和感なく会議ができたのかもしれませんね」と宇治川さんは笑って答えてくれました。

ケニアのIT事情は日本よりも進んでいる !? デジタルネイティブ世代とミートアップ!

ケニアのコワーキングスペース

―現在(インタビュー当時)、ケニアのコワーキングスペースでお仕事をされているということですが......正直、ケニアにそんな場所があったのか!と驚いてしまいました。

クライアントやアシスタントのみなさんにも同じことを言われます(笑) 実は、入居を予定していたシェアハウスのルームメイトがひったくりに合って、鍵が紛失したにもかかわらず、大家がなかなか鍵を変えてくれませんでした。そこで、防犯の意味合いも込めてコワーキングスペースを契約しました。 ケニアの首都ナイロビは、日中でも空き巣が発生するなど治安が良くない都市です。そんな中、日中は一人で過ごさなくてはいけないので、人の目がたくさんある場所のほうが安全です。街中の移動もタクシーが必須で、ライドシェアサービス Uberを利用しますし、コワーキングスペースの施錠もスマホロックサービスのKisiを使用しています。

―なかなかスリリングな環境でITツールを駆使しながら、ケニアでのリモートワークを満喫していますね。

そうなんです!ミートアップも行われていてビジネスコミュニティも盛り上がっています。彼らの会話のスタートはいつも「君は何のビジネスをやっているの?」なんです。その言葉を耳にするたびに「ここは日本とは違うな......」と実感します。どうしても、日本の飲みの席だと、「どこの大学出身?」「どこの企業に勤めているの?」といった言葉が自己紹介の枕詞になりがちです。日本を出ると、私の肩書や経歴は自分自身を表す何物にもならないのです。だからこそ、組織にとって社会にとって自分がどう貢献できるのか?と深く考えるようになりました。

コワーキングスペースでのミートアップ

ビジネスコミュニティのデジタルネイティブ世代たち

海外在住者にとっては日本企業の正社員メリットがない?

コワーキングスペースのスタッフと

―正社員のオファーは普通嬉しいものだと思いますが、宇治川さんは当時かなり悩まれたようですね。

日本国内で仕事をしていたときは、「正社員になる」「組織に属する」といったことが良いことだと思っていました。しかし、海外では実力のある方ほどフリーランスとして働いている傾向があります。海外生活を長く続けている中で、自分の価値観が変わったことが第一の理由かもしれません。 友人に「正社員のオファーがあったよ」、と相談をすると、日本の友人には決まって「良かったね!おめでとう!」と言われます。その一方、海外の友人に相談したら「自分はフルタイム(8時間)も働けないから断るね。」という返答が(笑) また、正社員になるメリットのひとつとしてあげられる「福利厚生の恩恵」も海外にいるとあまり関係がないので、会社にとって私を正社員にするメリットって何かあるのだろうか?と反対に考えてしまったんですよね。

―正社員になるメリットを感じられないと悩む中でニットへの参画を決めた理由は何ですか?

人は誰しも自己成長をしたい、そういった環境を求めていると思います。私にとって、そのひとつがニットでした。「HELP YOU」というサービスはまだスタートして3年目であり、ニットもとても若い組織です。サービスの抱えている課題も多く、どれも一筋縄ではいかないものばかり。ただ、ニットを形づくるメンバーひとりひとりが、その課題に真摯に向かい、解決しようと動いています。「未来を自分で選択できる社会をつくる」というビジョンに共感し、何より本気でこのビジョンを達成しようというメンバーの思いに自分も応えたいと思いました。

時間というハンデを背負って正社員として働くということ

―海外でお仕事をする際に必ずといっていいほど問題になるのが「時差」ですが、正社員として働いてみて不便を感じることはありますか?

「HELP YOU」のオンラインアシスタント時代から時差ありきの環境下でお仕事をしているので、不便を感じたことはありません。もちろん、海外でのリモートワークで失敗しないためのティップスはありますし、それを「HELP YOU」内でも普及させています。 例えば、パソコン・スマホを日本の環境設定にあわせる、時計を二つ表示させるといった基本的なことから、自分が寝ている間に業務が円滑に進むように 下準備をしておく、など。

コワーキングスペースでの仕事風景

ただ、正社員になってからより「時間」に対する考え方がシビアになったかもしれません。企業にとって「時差」があることは業務に支障をきたすほどのデメリットです。そのデメリットを抱えながらも私という人材を雇用している企業が、デメリットではなくメリットを感じられるように動かなくてはいけない、という意識がより強く芽生えたように思います。日本から見て地球の反対側にいる私とメンバーやアシスタントとコミュニケーションをとれる時間は日本にいるメンバーの半分。日本のコアタイムを考えたら1日およそ4~5時間しかありません。誰とミーティングするのか?何をミーティングするのか?その時間をどう使うのか?時間は常に有限です。限られた時間のなかでいかに最高のパフォーマンスを出すのか、を追求することが今の目標です。

―確かに一人でこなせる事務仕事などは時差関係なく作業できますが、コミュニケーションの部分は替えがききません。ミーティングのスリム化・効率化は宇治川さんにとって重要なポイントですね。

「HELPYOU」で仕事をするようになってから感じるようになりましたが、労働時間の増減で成果を図るのは、時代の潮流にマッチしないのだと思います。私がニットに正社員としてジョインした際にも 「フルタイムで勤務をしなくてはいけない」という縛りがありませんでした。いま社会では生産性の向上が各所で叫ばれています。短時間でより良いパフォーマンスを発揮することができる労働環境に社会・企業全体が取り組まなくてはいけないのかもしれませんね。 自分がマストでやらなくてはいけない仕事はなるべく効率化していき、アイデアを練り上げる時間や新しい人々に出会う時間を大切にしていくことのほうが私は重要だと考えます。 AI技術の進歩によって人間が担う業務領域が変容しています。いまはその過渡期です。何が「最善」であるのかを考え、「選択」できるのは、自分にしかできません。自分自身で考え選択できる人材が今後一層必要とされるでしょう。

「リモートワーク」に必要なのは信頼関係

宇治川さんの滞在するナイロビのダウンタウン

―正社員として働く一方で、オンラインアシスタントのマネージメントも業務の一部になっていたと思いますが、日本だけでなく世界各地に点在するアシスタントのマネージメントで苦労したことはありますか?

ひとつはメンバーに対する「信頼」だと思います。チャットコミュニケーションだけだと、どうしても相手の警戒レベルが上がります。なるべく新しいメンバーと仕事をするときは 5分でも10分でも、オンラインで顔を見せ合いながら会話することを心がけています。仕事の基本は「報連相」と言われていますが、これは信頼関係が成り立っていない上では上手く機能しません。 例えばですが、誰にとっても言い出しづらいミスの報告。自分の直属の上司が信頼になる人物であり、 失敗しても責めるだけでなく自分を守ってくれる存在だとしたら、重たい口も開くようになると思いませんか?また、仕事の方法論は様々あり、自分だけが正しいわけではありません。自分の意図とは違う作業をメンバーがしていたら、 なぜ、その行動をとったのかを掘り下げて考えます。もしかしたら、自分の想像の範囲外のことを気遣った結果かもしれないからです。 リモートワークだとメンバーと接する時間が薄くなりがちです。「HELP YOU」という組織のなかでも 濃密な信頼関係を築くためには何が必要か?を最近はよく考えていますね。

私自身の対人関係のキャパシティーをもっともっと広げなくてはいけない、という課題も感じています。 海外では、人種も言語も信仰も何もかも自分とは違った環境で生きてきた人々と生活を共にしなくてはいけません。自分の常識が常識ではないこともしばしば。そういった場面に直面するたびに、まだまだ 自分は狭量であったと反省しています(笑)お互いがお互いの多様性を認められるようになれば、もっと 働きやすい環境が実現できそうです。社会にとって、足がかりとなるのが「HELP YOU」であり、ニットであれば良いと願っています。

取材後記

食べる、寝る、お金を稼ぐ......ありとあらゆる場面で生存競争に晒されることの多い海外だからこそ、 「自分自身の価値をどう発揮できるのか?」を強く意識できたのだと思います。宇治川さんはインタビューの最後に「自分の人生には誰も責任を持ってくれない。自分自身でしかその責任は全うできない」 と語ってくれました。 自分の人生に自分で責任を持つ。その第一歩が自分の意思で「選択」することなのかもしれませんね。

HELP YOU オンラインアシスタントのインタビュー一覧