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働きたい、でもフルタイムの正社員はムリと考えている女性たち

国の調査では、働いていない女性のうち303万人が就業を希望しています(平成26年 総務省「労働力調査」)。でも、その72.6%が非正規従業を希望しています(平成27年度 内閣府の調査)。つまり、離職している多くの人が「仕事はしたいけれど、フルタイムの正社員として働くのはちょっと厳しい」と考えているということです。

今年4月、女性が職業生活において希望に応じて十分に能力を発揮し、活躍できる環境を整備するため、「女性活躍推進法」(通称)が制定されました。(参考:女性活躍推進法ってナニ?女性にとってのメリットは?

今回取材した「SAPジャパン Back-to-Work with ビースタイル」も同様の趣旨で、一度離職した女性であっても、それ以前のキャリアを活かして活躍できるチャンスを作ろうというものです。今まで培ってきたキャリアを捨てることなく、しかしプライベートを圧迫することなく、職場では通常とは違う働き方を認めてもらう。そのような新しい働き方は、可能なのでしょうか? キックオフイベントで関係者や専業主婦からの再就職を経験された方が語られたことをお伝えします。

プロジェクトに関わる2社の想い

多様性を大切にするSAPだから、様々な理由で離職せざるを得なかった女性も応援したい

SAPジャパン株式会社 代表取締役社長 福田譲さん

「SAPという会社はソフトウェア会社ですが、掲げているビジョンは壮大で"世界をよりよくしよう、そして人々の生活をより豊かにしよう、そのお手伝いをする会社になろう"というものです」と語り始めたSAPジャパン代表取締役社長福田さん。そういうビジョンのもと 、SAPジャパンは「多様性」 をとても大切にされているのだそうです。

「アジア太平洋地域のプレジデントである私の上司は、アイルランド人の女性で、私のパートナーであるチーフオペレーティングオフィサーは、イギリス人の女性です。人事とマーケティング担当の執行役員も女性、そのほかにも多数の女性が活躍しています。この"Back-to-Work"も、"ダイバーシティ&インクルージョン"(多様な人材がいて、それぞれが対等に関わりながら組織のメンバーとして一体化している状態のこと)という大切にしている信条のひとつに基づいて行っていきたいと思います。これからますます日本も多様性が求められますし、いかに人材採用に繋げていくのかというのは、国家的な課題でもあります」

「出産・育児・介護など様々な理由で離職せざるをえなかったけれども、高い意欲やスキルをお持ちの方が、また社会に関わっていく、社会に貢献していく、あるいは本来の自分を取り戻す、そういったきっかけのお手伝いができれば」 と語られた上で、

「女性のための柔軟な就業支援のノウハウを持つビースタイルとともに、スキルと経験を持つ女性の再就職を強力にサポートしたい。新たに加わる皆さんと仕事をともにできるのを楽しみにしています。」と期待を語られました。

女性の復職の厳しさを知るビースタイルだからこそやりたいこと

株式会社ビースタイル 代表取締役社長CDO 三原邦彦さん

「このプロジェクトは、離職中の女性に単に仕事を紹介するという話ではない」と株式会社ビースタイル代表取締役社長CDO三原さんは語ります。

「20代で離職された方で、仕事に復帰して年収300万円を超える率というのは、全体の約10%しかいないんです。しかも選べる仕事はとても少ない。年収300万円を超える方は、ほとんどが営業職で、ガツガツ営業をやってその収入を得ているというのが現状です。なぜ営業職なのかと言いますと、他の仕事に比べ圧倒的にポジションが多く、企業ニーズが高いため求人数が多いこと。また未経験でも可能な求人が出ているという特徴があるため復帰がしやすいんです」

「しゅふJOB」などで、多くの離職した女性に仕事を紹介されてきた立場として、三原さんが復職の厳しさを率直に語られるのを聞いて、大きくうなずいてしまいました。「営業が不得意だと収入は望めない」、そんなイメージを筆者ももっていたからです。得意であったとしても、身を削るようにして働かなくては収入にならないのであれば、「プライベートを犠牲にしてまで、復職する意味はあるのか」と、臆する人もきっと多いですよね。

しかし今回のプロジェクトは違います、と三原さん。

「今回のプログラムは、"ホワイトカラーでのキャリアステップが新たにゼロから得られる" というのがとても重要なのです。労働環境の側面だけでなく、女性の新たなキャリア構築を 促進できること、これはたいへん大きい違いなのです」

離職していても、キャリアが再構築できる。「是非!」と手を挙げたい方も多いのではないでしょうか。

プロジェクト立ち上げの背景には、優秀なのに仕事が継続できない女性たちの存在が

SAPジャパン株式会社 常務執行役員(人事担当) アキレス 美知子さん

このプロジェクトの起案者であり、長年人事に携わってこられたSAPジャパンのアキレス 美知子さんは、このように語ります。

「新卒採用時、優秀だと思う方を上から数えると、女性の割合の方が圧倒的に多いです。ところが10年くらい経つと、辞めてしまったり、思うような仕事ができなくて、なかなか上に行けない、といった状況が起きてしまう。これは非常に勿体ない。」

雇用する側としての、「優秀な女性が仕事を継続していけない現状」を歯がゆく思う気持ちが、ひしひしと伝わってきます。

「これから日本でも、労働人口が減っていきます。優秀な人材を確保することが難しくなると、ビジネスを伸ばしていきたくても、厳しくなってしまうという社会的背景がございます。そこでSAPとしては、仕事がしたいけれどもまだ家庭にいらっしゃる方たちに目を向けて、キッカケをつくりたい。いきなりフルタイムは難しくても、少しずつプロジェクトベースであればという方に、オープンにお声掛けをしたい。そこでビースタイルさんと提携しながら、このプロジェクトを立ち上げました。」

ご自身も出産などを機にキャリアアップされてきたアキレスさん。人事責任者の方が何より理解があるということは、強力な後押しになりそうです。

 

 

復職経験者が語る、時間的制限があるからこその強み

株式会社ホワイトプラス 田中雅子さん

実際に「時短エグゼ」で復職し、派遣社員から正社員となった田中雅子さんは、
「時間があった時は、夜まで残業をして時間をかけ、"ど根性"で与えられたタスクをこなしていったという努力家の女性も、けっこういらっしゃると思います。しかし、子育てなどがあると、それが全くできなくなる。逆に時間がなくなってしまうと、じゃあどのくらい時間をかけて、どの時間に、どう仕事をするか。ということを常に考えて行うようになりました。仕事をしているようでしていない、というような無駄時間がなくなり、逆に仕事の効率は良くなったかもしれません。」と、子育て中だからこそのタイムマネジメント力について語られました。

ビースタイルさんによれば、復職した女性が仕事を長く続けるためのポイントは次のようなことがあるそうです。

労働にかけられる時間が短いから
・時間あたりの経済効果を考えなくてはいけない。
・集中して仕事をしなくてはいけない。
・問題を的確に捉えて、解決しなくてはいけない。

いちばん大事なことは、リソースマネジメント。
「同僚・上司・部下・ご家族・ベビーシッター・お友達など、周りの協力者の方たちと"Win-Win"の関係を築くことが何より大切です」とのことです。

ワークライフバランスを実現するために必要な、「タイムマネジメント」と「リソースマネジメント」、ぜひ参考にしたいですね。

復職者を受け入れる暖かい気持ちが感じられた時間

SAPジャパン株式会社 常務執行役員(マーケティング担当) 青木桂子さん

今回ファシリテーターをされていた青木桂子さんは、質疑応答に移ったとき
「ひとつ私が聞いた話で、えっ!?と思ったことがあります。10年ぶりに復職されたいと思った女性の方に『何がいちばん心配ですか?』と伺ったところ、『何を着て行ったらいいのかわからない』ということだったんです」というエピソードを披露されました。

「持っているスーツは全て10年前のものでもう入らないし、10年間子供と一緒に過ごす服しか着てこなかった。面接に何を着て行ったらいいのかも、もうわからない」と悩まれていた方のお話をされ、

「あっ、こんなところにもひとつ壁があったんだな。と思いました。
些細なことでもけっこうですから、どうぞご遠慮なく。」

青木さんの気の利いたひとことで一気に場が和み、質問するハードルもぐっと下がり、活発な質疑応答となりました。

こんなところから、受け入れるSAPジャパンさんのプロジェクトにかける意気込みや、復職される女性に対しての温かい思いが感じられ、とても心に残りました。

今回募集された6ポジション

ソリューション統括本部
海外からの新製品の収集・共有および営業支援キットの整備
調整・購買ネットワーク事業本部
顧客・パートナー向けトレーニング教材の企画・開発・提供
人事・人材ソリューション人事本部
社外向けの効果的な製品情報共有ポータルサイトの企画・構築
社長室
社内向け情報共有の促進および従業員エンゲージメントを高めるイベントの企画・実行
人事本部
人事本部による社内向けコミュニケーション案の策定および発信
広報部
メディア関連および社内のコミュニケーションの企画および実施

今回募集された6ポジションのマネージャー全員が、小さいお子さんがいらっしゃるそうで、「子どもがいること」を十分に理解してもらえる環境がある。問題があれば、ひとつひとつみんなで語り合い解決していけるに違いないと感じました。このプロジェクトが成功し、後進の方々に道をつくっていけることを願ってやみません。