『本気で社員を幸せにする会社』今の時代に選択する「会社員としての働き方」とは?

ライター

鈴木せいら
札幌市出身。横浜国立大学大学院工学修士修了。2007年夏より、函館へ移住。制作会社でライティング・編集業務を行い、実用書・フリーペーパー等のコンテンツ制作を担当、2011年よりフリーランスに。現在、「HELP YOU」プロフェッショナルライター。理系の知識を活かしたサイエンスやアカデミー系の文章から暮らしにまつわるエッセイ、インタビューなど幅広く手がける。

誰もが自分の求める仕事のあり方を見つめ直し、選択し始めている空気を感じます。折しも、時代は新元号に切り替わりました。これまでに積み重なったさまざまな課題を解決すべく、時代に合った新しい社会システムへとつくり変えるタイミングが来ているのかもしれません。

最近、トヨタ社長が業界団体のトップとしての会見で「終身雇用制度の継続は難しい」との見解を示しました。フリーランスに転向する人、若くして起業する人も増えましたが、大卒就職率98%と、(2018年厚生労働省・文部科学省調査)大学新卒では会社員になるという人がまだまだ主流です。とはいえ、会社員の働き方を選択した場合であっても、「入社さえしてしまえば、定年を迎えるまで守ってもらえる」と考えて安穏と過ごしている人はおそらくいないでしょう。

 

今回ご紹介する「本気で社員を幸せにする会社では、より良い組織を目指して、社員にとっての働くことの意味を考え、環境づくりに取り組んでいる日本の企業12社に取材をしています。

 

終身雇用、年功序列賃金制度が崩壊しつつある企業と、もはや「ご恩と奉公」のような感覚を持ち得ない個人。それでも今から近い未来に続く時間の中で、会社員としての働き方を選択する人たちは、どのような考えのもとに企業を「自らの働く場」としているのでしょうか

 

この本の中では、2018年に日本語訳版が出版されたフレデリック・ラルー著『ティール組織』で解説されている、過去から発展してきた5つの組織モデルを前提にしています。

 

原初の組織形態

「衝動型(レッド)組織」

「順応型(アンバー)組織」

「達成型(オレンジ)組織」

「多元型(グリーン)組織」

そしてラルーの主張する「進化型(ティール)組織」がその5つ(注釈1)。

 

このうちグリーン組織とティール組織は、仕事の成果以外の人間性や幸福などを重視し、「すべてのステークホルダー(注釈2)を幸福にする」役割を果たすものであり、近年働く多くの人たちの共感を得ているようです。

 

事例に挙げられた会社のうち、フリースケジュールなどの制度を実施したパプアニューギニア海産の武藤北斗社長は、従業員の働きやすさを考え、自分の会社にとって本当に必要なことは何かを見極めていくことが大事だと述べています。また、週に1度社員が集まって取る「おやつタイム」を導入したウィルドの大越賢治社長は、2011年ごろからワークライフバランスの向上に取り組む中で、本で良いと書かれていた手法を試しては失敗したことを語っています。

 

こういった話から、どんな施策が社員に喜ばれ、職場環境が良くなるかというのは、企業によって異なるオーダーメイドな取り組みであろうことがうかがえました。

 

働くことの意味が大きく変わろうとしている転換期に立ち、組織づくりに試行錯誤する企業側だけではなく、一員として働く個人の意識にも変革が必要なのではないでしょうか。個人の幸福追求に終始するのではなく、仕事を通して自分が社会に貢献できることや成長し続けることに意識を向ける。視野を広げて自分と所属する組織の関係性を客観的にとらえてみると、自分のやるべきことやその組織で培うことのできる可能性が見えてくる気がします。そうして組織と個人の良い関係が築けるとしたら、それは「すべてのステークホルダーの幸福」につながるのではないかと思いました。

 


注釈1

ラルーによる組織経営の進化では、

  • レッド組織 衝動型
  • 力による支配・短期的思考
  • アンバー組織 順応型 長期的展望・厳格な階級に基づくヒエラルキー
  • オレンジ組織 達成型 イノベーション・社長の従業員のヒエラルキー
  • グリーン組織 多元型 多様性の尊重・ヒエラルキーを残すものの従業員の呼称をメンバーやキャスト等へ
  • ティール組織 進化型 信頼に結びついている・指示命令系統がなくても良い

というように過去から現在へと、組織形態はレッドからティールへ向かって発展しています。ティール組織では、組織の存在目的、セルフマネジメント、個人としての全体性(ホールネス)という3つのエッセンスがあります。

参考:
ティール組織とは?3つのエッセンスの基本を実務的に丁寧に解説!
ティール組織、VPoE、EX…2018年の「マネジメント変革」トレンドを徹底解説!

注釈2

ステークホルダーとは、一般的に企業などの利益・行動に直接的・間接的に関係する者を指しています。具体的には、消費者や顧客、従業員、株主、地域社会や行政などが挙げられます。

参考:ステークホルダー