
地方に移住し、仕事をしていきたい人におすすめの働き方や事例
テレワークが広がり、勤務地ありきの住宅選びをする必要性がなくなりつつあります。
そんな中注目されているのが、地方への移住。それもリタイア後に田舎ぐらしを楽しむのではなく、働きながら地方の生活を楽しむくらし。
とはいえ、希望する求人が地方にもあるかどうかは気になるところ。移住先での働き方や、移住者の声を参考にした自分らしく働く方法をご紹介します。
目次
地方への移住希望者が増えている
地方移住への興味に関する調査結果によると、地方移住に興味があると答えた人は全体の46.6%にものぼります。このうち26.6%は地方移住のための情報収集を始めており、11.8%は移住候補地を訪れ、3.2%はすでに移住先を決めています。
地方移住に憧れを抱いているだけではなく、移住に向けて実際にアクションを起こしているのです。
実際に、一極集中していた東京都の人口にも変化がありました。現在では、転入者数よりも転出者の方が多い“転出超過”という状態が続いています。(2021.11月現在)
大都市からの転居先は神奈川県、埼玉県、千葉県といった都心に通勤しやすい郊外だけでなく、長野県や茨城県、栃木県、新潟県など。自然を感じながら暮らせる地方への移住も目立つようになりました。
コロナ禍を機にリモートワークが浸透し、勤務地ありきの住まい選びをする必要性がなくなってきたことも、地方への移住を検討する人が増えた一つの要因です。
参考:株式会社リクルート「コロナ禍 2 年目 東京在住者地方・郊外移住、46.6%が興味あり障壁は『仕事面の不安』が最多 テレワークの継続実施に関心」
地方移住者におすすめの働き方や仕事
地方移住後の仕事をどうするかは大切な問題です。「今の仕事を続ける?」それとも「移住を機に心新たに転職?」
じつはこれら以外にも、地方ならではのさまざまな働き方があります。地方移住者におすすめの働き方をご紹介します。
地方企業への転職
仕事を探すとなれば、企業への転職がもっともなじみのある働き方かもしれません。自分の生まれ育った地方に戻って転職する「Uターン転職」や、都会に生まれ育った人が地方に移住して働く「Iターン転職」、都会で就職した地方出身者が故郷とは別の地方で働く「Jターン転職」など、さまざまなパターンがあります。
この場合、地方移住によって環境ががらりと変わることから、前職の経験やスキルが活かせる転職先を探す人が多いようです。
起業
いつか起業したいと考えているのなら、今、田舎で起業するのも一つの働き方です。
都会ほど競争相手も多くはなく、家賃をはじめとする固定費が抑えられ、物価が安いものもメリットです。地方での起業やUターン、Iターン、Jターンによって起業する人は、のちに解説する「起業支援金」や「移住支援金」という制度により、最大で300万円の支援を受けられることもあります。
支給の時期や額については都道府県によって異なるので、希望の地域ではどのような支援が受けられるかしっかりと確認しておきましょう。
フリーランス(自営業)
会社に所属することなく、地方移住で自営業者に転職するのも一つの方法です。
webライター、webデザイナー、プログラマー、エンジニアなどの仕事は、パソコンやインターネット環境があればどこでも働くことができます。地元の案件にこだわる必要もなく、どこにいても全国各地の仕事を受けることが可能。田舎暮らしをしていてもビジネスチャンスを逃すこともないでしょう。
パラレルワーク
移住前の仕事をリモートワークで継続しながら、移住先で新しい仕事を始めてパラレルワーカーとして働くという方法もあります。
パラレルワークとは、複数の会社で仕事やキャリアを持つこと。本業と副業といったようにわけるのではなく、複数の仕事をかけ持ちする働き方です。「複業」と表記することもあります。
働き方改革を機に副業を解禁する大手企業も増え、パラレルワークを実現できる環境が広がっています。パラレルワーカーには複数の収入源があるため、万が一仕事がうまくいかなくなった場合も収入がゼロになる心配がありません。
田舎で新しい仕事にチャレンジしたい人も、パラレルワークならリスクを軽減しながらチャレンジすることができそうです。
第一次産業(農業・漁業・林業・酪農など)
田舎暮らしの醍醐味とも言える、農業や漁業、林業、酪農を始めるのもいいでしょう。
農林水産省の「2020年農林業センサス報告書」によると、農業を主な仕事としている人は2020年で約136万人。2015年の約175万人から約40万人が減少しています。さらに、農業に従事する人の平均年齢は67.8歳であり、若い担い手がいないのが現状です。
このような状況の中、地方に移住して農業に携わるということは、若い農業の担い手として喜ばれることでしょう。後に解説する「農業次世代人材投資資金制度」による資金援助を受けられるケースもあります。
地方の事業を継承する
地方に移住して地元企業の事業を継承するという働き方もあります。
地方への移住を希望する人もいれば、地方を離れる人もいるのが現実。地方移住への注目度は上がっているものの、事業を引き継ぐ後継者がおらず、困っている地方の企業は少なくありません。
中小企業庁では47都道府県に事業引継ぎ支援センターを設置し、第三者への会社(事業)譲渡についての相談やマッチングを行っています。こうした制度を利用して、転職先を見つけるのもおすすめの方法です。
参考:独立行政法人 中小企業基盤整備機構「事業継承引継ぎ支援センター」
地域おこし協力隊
地方に移住して「地域おこし協力隊」として働く方法もあります。
これは、都市部から人口が減少している田舎に移住して働いてもらうことで、地域の維持や強化を図るための総務省による取り組みです。地方に移住するときネックになるのが就業問題ですが、地域おこし協力隊なら移住と仕事の両方を叶えることができます。
地域おこし協力隊の活動内容は、自治体によって異なりますが、移住者ならではの視点で地場産品の開発や販売、PRを通して地方の魅力を発信したり、農林水産業に従事したりとさまざまです。
活動日数も週1~2日程度のものから週5日以上とどっぷり浸ることができるものまでさまざまです。副業が可能なケースもあるため、移住先で自分の仕事を続けている人もいます。
地域おこし協力隊として活動する内容やペースを選べば、理想の働き方が実現できるかもしれません。
完全リモートワーク企業への転職
在宅勤務が基本の企業なら、全国どこへ移住しても仕事をすることができます。移住を機に、出社義務のない企業に転職するのも一つの働き方です。
企業のコスト削減や人材確保の面から、フルリモートワークを取り入れる企業も増えており、リモートワーク求人を掲載し始めた転職サイトもあります。
システムエンジニアやプログラマー、webデザイナー、webライター、カスタマーサポートなどはリモートワークとの相性がよく、求人も増加傾向にあります。フルリモートワークを実践している人たちの事例ものち程紹介する予定です。
地方への移住には支援がある
都会と比べると、地方に住むと住居費が抑えられます。
とはいえ、引っ越しには出費がかさむもの。新生活をスタートさせるにあたり、支援が受けられると助かりますね。
ここでは、移住すると受けられる「移住支援金」「起業支援金」や「農業次世代人材投資資金」「地域おこし協力隊支援」についてご紹介します。
移住支援金
「移住支援金」とは、地域の重要な中小企業等への就業や社会的起業をする移住者に対し、最大100万円(単身者は60万円)が支援される制度です。支援を受けるためには条件があるのでしっかりと確認をしてみてください。
移住支援金の対象
- 移住直前までの過去10年間、東京23区に通算5年以上在住または通勤している
- 東京圏外または東京圏の条件不利地域に移住する
- 各都道府県の指定する中小企業への就業もしくは社会的起業するか、テレワークによる業務を継続する
起業支援金
「起業支援金」は、地域の課題に取り組む「社会性」「事業性」「必要性」の観点を持った起業をした場合、最大200万円の支援が受けられる制度です。
移住支援金と同様に、こちらにも支援を受けるには条件があります。
起業支援金の対象
- 東京圏外または東京圏の条件不利地域で社会的起業をする
- 公募開始日から補助事業期間完了までに個人開業届または法人を設立する
- 起業地の都道府県に住んでいる、または住む予定である
地方によっては移住支援金と起業支援金は併用が可能な場合もありますので、各自治体へ確認することをおすすめします。
農業次世代人材投資資金
第一次産業(農業・漁業・林業・酪農など)を始める場合、「農業次世代人材投資資金制度による資金援助」を受けられる地域もあります。
研修期間等で研修を受ける際に最長2年間、年間最大150万円が交付される「準備型」と、農業経営を始めてから経営が安定するまで、経営開始1~3年目は年間150万円、4~5年目は年間120万円が定額交付される「経営開始型」があります。
安心して農業が始められそうですが、どちらも交付が受けられるのは原則49歳以下。行動に移すなら早い方がよさそうです。
地域おこし協力隊支援
地域おこし協力隊として活動するのは、1年以上3年以下の期間。この間は、住居費の支給や貸与、交通費や車の貸し出しなど、さまざまなサポートが受けられます。手厚い支援があるため、見知らぬ土地に生活拠点を移すハードルも下がりそうです。
地域おこし協力隊退任後の定住や起業の支援があるため、活動終了後も地域にとどまって起業する人も多いようです。
地方移住者におすすめの働き方や支援金などの情報を紹介してきました。いろいろな事情があり転職が難しいと感じる人もいることでしょう。
そのような場合は、一旦自分の可能性を広げるために学びを取り入れてみてはどうでしょう。
次の章では仕事につながるキャリアスクールを紹介します。
キャリアスクール「HELP YOU Academy(ヘルプユー アカデミー)」
世界中どこにいても受講が可能なオンラインキャリアスクール「HELP YOU Academy(ヘルプユーアカデミー)」では、オンラインで事務職として働くためのスキルを学ぶことができます。
卒業後はHELP YOUで「自分に合った働き方」を選択できる
HELP YOU Academy(ヘルプユーアカデミー)を運営しているのは、オンラインアウトソーシングサービスを提供している「HELP YOU」です。「未来を自分で選択できる社会をつくる」というビジョンのもと、日本だけでなく世界各地でメンバーが活躍しています。
HELP YOU Academyの卒業後は、HELP YOUの採用試験にチャレンジすることが可能。自分の希望する地域で生活しながら、リモートワーカーとして働くという可能性もあります。
HELP YOUで働く
メンバーがみなリモートワークをしているアウトソーシングサービスのHELP YOU(ヘルプユー)で実際に仕事をしている人たちについて紹介します。
HELP YOUは、クライアント企業がコア業務に注力するためにオンラインで業務をサポートするアウトソーシングサービスです。メンバーはみなフリーランスのリモートワーカー。HELP YOU内で募集された案件に自ら手を挙げたり、ディレクターからオファーを受けたりして、オンラインでクライアント業務にあたっています。
HELP YOUで働く人調査
HELP YOUで働くメンバーにHELP YOUを選んだ理由を聞いてみると、「場所にとらわれずに働きたい」からがトップ。日本各地だけでなく、アメリカやフランス、ドイツなど海の向こう側に住んでいるメンバーもいることから、住む場所にとらわれずに仕事ができることを魅力と感じている人が多いことがわかります。
HELP YOUにジョインした理由
- 場所にとらわれずに働きたい 33%
- 時間に拘束されにくい仕事がしたい 13%
- スキルアップしたい 12%
- 社風・ビジョンに共感 10%
- 在宅で安定した収入を得たい 7%
- チームで働きたい 6%
- 自由度の高い働き方をしたい 6%
- スキルを活かしたい 3%
- ワークライフバランスをとりながら働きたい 3%
- その他 7%
HELP YOUでリモートワーカーとして働くメンバーの年代も見てみましょう。
30代が54%ともっとも多く、それに続くのが40代、50代。
リモートワークという新しい働き方を率先して受け入れるのは若者ばかりかと思いきや、そうではありません。リモートワーカーとして活躍することに年齢は関係ないようです。
参考:「株式会社ニット」調べ
【地方移住者の事例】生活の作り方
HELP YOUには、都会から地方に移住したメンバーもいます。
▼「地方移住って実際どう? 3児の父に聞いた、理想の生活のつくり方」
子どもと一緒に過ごす時間を確保するためとはいえ、正直なところ地方で仕事が見つかるかが不安だったそう。しかし、まずは行動してみようと新潟への移住を決断。
移住後は、前職の経験を活かしてフルリモート勤務のディレクターとして働くことになりました。さらに、ECサイトの運営も始めてパラレルワーカーに。
二つの仕事を掛け持ちしているものの、子どもと遊ぶ時間も持て、家族みんなでスノーボードを楽しんでいるようです。
【地方移住事例】キャリアアップをあきらめない
自分は望んでいなくても、家族の都合で地方に移住することもあるでしょう。HELP YOUには、夫の転勤に帯同しながらも自身のキャリアを築いているメンバーもいます。
▼「キャリアアップを諦めない。地方生活で見つけた私らしい働き方」
地方で就職しようと思っても希望の求人がなかったり、転勤によってキャリアが断絶されたりしますが、リモートワークならどこにいても自分のペースで仕事ができるので、家事や育児をしながらでも働くことができます。
まとめ
「新しいことを始めるなら都会で」という考えもあるでしょう。しかし、どこにいても働ける今の時代、田舎こそ新しいことを始める場所にぴったりかもしれません。
さまざまな働き方があり、移住や起業の支援も受けられる地方なら、新しいことにだってチャレンジできそう。しかし、転職にしても起業にしても、地方で働くためにはスキルを身に付けておくことが大切。
憧れの田舎暮らしを楽しむためにも、まずは学ぶことから始めてみるのもいいかもしれません。
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