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2016年の日本人の平均寿命は女性87.14歳、男性80.98歳。この先は「人生100年時代」と言われ、今後家族の介護や自分の健康状態と向き合いながら仕事をする人が増えてくると考えられています。子育てと仕事の両立についてさまざまな対策が講じられていますが、介護や治療との両立については、まだまだ課題があることが浮き彫りになってきました。

 

 

1.治療と仕事の両立についての意識調査

 

治療と仕事の両立はできていても、辛さを実感

アクサ生命が行った『ビジネスパーソンの「治療と仕事」に関する調査2017』によると、通院による治療が必要となったビジネスパーソンの8割以が休職や離職をせずに、治療と仕事を両立してきたことがわかります。

しかし、通院治療と仕事の両立経験者のうち、3人に1人が「両立は辛かった」と実感しています。さらに月に複数回の通院治療が必要だった人では4割が「両立は辛かった」と回答していることから、両立はできても何からの辛さを実感していることがわかります。

 

「傷病や治療による苦痛」よりも「時間の確保」や「業務の調整」で苦労

では、ビジネスパーソンは入院や通院で治療を行う際、どのようなことを辛いと感じるのでしょうか。入院や通院治療で苦労したことは何か調査したところ、「時間の確保(休みを取りづらいなど)」が37.8%で最も高く、次いで、「治療費の負担」が33.3%、「業務の調整(引継ぎが大変など)」が24.4%、「収入の減少」が23.1%で続きました。

これらは、「(病気・ケガや治療による)肉体的な苦痛」(20.9%)や「(治療による)精神的な苦痛・疲弊」(17.8%)よりも高くなっています。

病気やケガ自体の治療による苦痛よりも、仕事との調整や金銭面の苦労を感じる人の方が多いことがわかりました。

 

長期通院に対する意識「治療と仕事を両立したい」が 7割。一方「両立できると思う」は5割に満たず

もしも、長期治療が必要になったとしたら、治療と仕事を両立したいと思うか聞いたところ、「治療を犠牲にしてでも、仕事を辞めずに続けたい」が10.1%、「仕事を辞めずに、治療もしっかりと受けたい(両立したい)」が69.2%、「仕事を辞めてでも、治療に専念したい」が20.7%となりました。

しかし、「現在の職場では、長期治療と仕事を両立できる」と思うか聞いたところ、「そう思う」が13.4%、「どちらかと言えばそう思う」が33.1%となり、それらを合計した結果は46.5%と、5割に満たない結果となりました。治療と仕事を両立したいという意識はあるものの、現状は難しいととらえている人が多いようです。

 

治療のために仕事を辞めることになったら?「経済的に困窮する」「再就職が難しい」ともに9割弱

では、長期治療と仕事が両立できずに仕事を辞めた場合、どのような不安を抱えることになるのでしょうか。3つの要素から調査したところ、「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」の回答合計が最も多かったのは「経済的に苦しい」で88.8%となりました。また、「再就職が難しい」は86.1%、「社会から孤立しそう」では70.5%でした。

さらに、「長期治療と仕事の両立は、自助努力で可能だ(万一のためのお金や休暇を残しておくなど)」に「そう思う」「どちらかと言えばそう思う」と回答した割合は49.6%、「長期治療と仕事の両立は、職場環境次第で可能だ」に回答した割合は69.7%となりました。治療と仕事の両立には、自助努力だけでなく職場環境が重要だと考えている人が多いことがわかりました。

 

治療と仕事の両立のために、必要だと思うことは?

長期治療をしながら働くために、必要だと思う制度や環境を複数回答形式で聞いたところ、「短時間勤務(労働時間の短縮)」が40.3%で最も高く、次いで「時間単位で取得可能な有給休暇」が37.5%、「労働日数の短縮(隔日勤務、週休3日制など)」が31.1%、「在宅勤務」と「仕事仲間(上司・同僚・部下など)の理解・協力するムード」がともに30.1%で続きました。育児のための短時間勤務や在宅勤務は増えつつありますが、治療のためにはまだまだ普及していないことがうかがえます。

 

2.介護と仕事の両立についての意識調査

 

家族の介護が必要になった際、「介護と仕事を両立したい」88%

治療だけでなく、家族の介護が必要になった際の意識についても調べてみました。総合求人情報サイト「はたらこねっと」が「介護と仕事との両立」に調査したところ、「仕事と両立したい」88%と多くの方が、介護が必要になっても仕事を続けていく意向となりました。

では、実際に介護経験がある方に、介護を理由に転職や離職した経験はあるかどうか尋ねたところ、「そのまま仕事を続けた」39%が最も多い回答となりました。次いで「介護と両立できる仕事へ転職した」31%、「職場は変えず、時短や休業をとった」15%、「離職した」15%となり、合わせて61%が介護と仕事を両立できるように働き方を変えた回答となりました。

介護と仕事の両立については、2017年1月1日に育児介護休業法が改正、10月1日に施行され、介護と仕事を両立できる環境作りがはじまりました。法改正後、良くなった点について、「対象家族の範囲拡大」22%や「制度利用の要件緩和」22%などが挙がりました。

 一方で、もっと改善してほしかった点として、「企業に対する両立支援」17%、「制度利用の要件緩和」16%と、まだまだ改善の余地があることがうかがええます。さらに「介護しながら働くという職場環境が整っていない」「周囲からのプレッシャー・理解不足」「金銭的な負担」など、さまざまな悩みも寄せられています。

こうした2つの調査結果から、治療や介護をしながらも仕事を続けたいと考えている人が多いこと、しかしそれを実現するにはまだまだ環境が整っていないと感じているという実情が浮かび上がってきました。

われわれ子育て世代も、家族の病気や介護はいつ身に降りかかってくるかわかりません。育児と介護の「ダブルケア」に悩んでいる人も多くいます。子育てと仕事の両立についてはさまざまな対策が施され、現在急ピッチで整備が進められていますが、病気治療や介護との両立については、まだまだこれからだという印象を受けました。育児、病気治療、介護など様々な事情を抱えるビジネスパーソンが、気兼ねなく多種多様な働き方を選択できるような社会になるよう、対策されていくことが必要だと考えます。