
5つのランキングに見る世界と日本の女性活躍(2017年11月時点最新版)
世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」、OECDの女性就業率のランキングなどから、諸外国と日本の女性活躍の状況を見てみましょう。
「2017年ユーキャン新語・流行語大賞」には、「働き方改革」「ワンオペ育児」など働く女性に関するワードがノミネートされました。まだまだ「女性が輝く」社会には程遠い日本ですが、現在の日本は他の国と比べてどのくらいの差があるのでしょうか。世界では女性がどのくらい活躍しているのか、世界のさまざまなランキングからご紹介します。
目次
雇用アウトルック2017 女性就業率ランキング(OECD(経済協力開発機構))
・女性就業率ランキング(OECD(経済協力開発機構))
・調査概要:OECD加盟41か国の近年の雇用市場の傾向や今後の流れについてまとめたもの。2017年版。
【25~54歳の女性就業率ランキング(トップ10)】
1位
アイスランド2位
スウェーデン3位
リトアニア4位
ロシア5位
スイス6位
スロベニア7位
ノルウェー8位
オーストリア9位
ドイツ10位
デンマーク日本
26位
日本は73.9%でトップ10圏外の26位となっています。ポイントは上がっているものの、諸外国に抜かれ昨年の23位から順位を落としています。1位のアイスランドは86.4%で、まだ10ポイント以上の開きがあり、改善の余地ありといえそうです。
OECD Employment Outlook 2017 – Books – OECD iLibrary
「Women in business」女性管理職比率ランキング(国際会計事務所グラントソントン)
・調査機関:国際会計事務所グラントソントン
・調査の概要:世界の企業トップ5,526人へのインタビューをもとに作成。2016年6-12月実施。
【ランキング(トップ)】
1位 ロシア
47%2位 インドネシア
46%3位 エストニア
40%4位 ポーランド
40%5位 フィリピン
40%6位 リトアニア
37%【ランキング (ワースト)】
1位 日本
7%2位 アルゼンチン
15%3位 インド
17%4位 ドイツ
18%5位 ブラジル
19%6位 イギリス
19%
なんと日本は最下位。しかもこの最下位は昨年に続いて2年連続という、なんとも不名誉な結果となりました。日本でも管理職の女性は増えつつありますが、ロシアの47%と比べると、まだまだ男性との差があるという印象です。
「ジェンダーギャップ指数」ランキング(世界経済フォーラム)
・調査機関:世界経済フォーラム
・調査の概要:世界144か国を対象に「経済活動への参加と機会」「教育達成」「健康と生存率」「政治的発言力」の4項目からジェンダーギャップ(男女の差)を数値化し、差が小さい国から順にランキングしたもの。2017年版。
「ジェンダーギャップ指数」ランキング
1位 アイスランド
0.8782位 ノルウェー
0.833位 フィンランド
0.8234位 ルワンダ共和国
0.8225位 スウェーデン
0.8166位 ニカラグア
0.8147位 スロベニア
0.8058位 アイルランド
0.7949位 ニュージーランド
0.79110位 フィリピン
0.79日本 114位
0.657
日本は114位と、一昨年の101位、昨年の111位よりさらにランキングが下がっています。このランキングは「経済活動への参加と機会」「教育達成」「健康と生存率」「政治的発言力」の4項目からなっていますが、日本は「健康と生存率」以外はランキングが下位となっています。経済、教育、政治など、さまざまな場所で男性との差があることがわかります。
「ガラスの天井」ランキング(英国誌「エコノミスト」)
・調査機関:英国誌「エコノミスト」
・調査の概要:世界29か国を対象に、女性が働きやすい国を「高等教育を受ける機会」「労働参加率」「賃金格差」などの10項目に加え、今年から男性の育休取得率も加えてランキングしたもの。2017年版。
【「ガラスの天井」ランキング】
1位 アイスランド
2位 スウェーデン
3位 ノルウェー
4位 フィンランド
5位 ポーランド
6位 フランス
7位 デンマーク
8位 ベルギー
9位 ハンガリー
10位 カナダ
日本 28位
日本は下から2番目という結果です。(ちなみに最下位は韓国)残念ながら昨年の27位から1つランクを落としています。原因としては、経済活動への参加への格差、女性管理職の低さがあげられます。ランキング上位の北欧は、管理職や国会議員にも女性が多いことで知られています。
The best and worst places to be a working woman – The Economist
Women in Politics: 2017 世界の女性議員の割合ランキング(列国議会同盟(IPU))
・調査機関:列国議会同盟(IPU)
・調査概要:世界の女性議員割合 国際比較統計・ランキング。各国の女性議員の割合と国別順位を掲載。
【世界の女性議員の割合ランキング】
1位 ルワンダ
55.70%2位 ボリビア
51.80%3位 キューバ
48.90%4位 アイスランド
47.60%5位 ニカラグア
45.70%6位 スウェーデン
43.60%7位 セネガル
42.70%8位 フィンランド
42.00%9位 エクアドル
41.60%10位 ベルギー
41.40%10位 メキシコ
41.40%日本 142位
13.10%
日本ではまだ全議員の13%ほどしか女性はいません。男性は議員になると妻をはじめとした家族がサポートする、というイメージがありますが、女性は出産や育児などもあり、政治家になるのを踏みとどまる人が多いようです。女性候補者が票を集めにくいという現実もあり、まだまだ「政治は男性のもの」という意識が根強い国なのかもしれません。
Women in politics 2017 map | UN Women – Headquarters
女性の活躍が遅れている日本。他国に学べることは?
以上、5つのランキングをご紹介しました。
日本は諸外国に比べ女性の活躍が遅れている、また置かれている状況もあまり良くない、ということを何度も目にしているかと思います。社会保障の手厚い北欧や、経済状況のよい諸外国も、はじめから女性がよい立場であったわけではありません。働く女性や、出産・育児を担う女性が多くの声を上げ、国を挙げて取り組んできたからこそ、いまの充実した制度や働き方、環境があるのです。働き方改革が叫ばれる今、日本でもさまざまな施策が行われ始めていますが、これからこのランキングがどう変化していくか、「くらしと仕事」では今後も追っていきたいと思います。