2017年12月7日 更新

子育て理由なら遅刻不問。家事代行のCaSyの生産性アップの秘訣

子育て中社員は遅刻扱いしない、そんな制度が社員の発案で実現したのはなぜ?

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「保育園に預ける際、子どもがぐずってしまい会社に遅刻してしまった……」

「遅刻を気にして、保育園で泣きじゃくる子どもを叱りつけてしまった……」

子育てしながら仕事をしている方の中には、こうした状況にモヤモヤを感じている方もいるのではないでしょうか。この解決策として、子育て中の従業員の「遅刻扱い」をやめたのが家事代行サービスの株式会社CaSy(カジー)。業務に大きな支障をきたさない日なら、数十分遅れることがあっても報告の必要はないとのこと。

社員の発案で、働きやすさを高める制度ができ、うまく運用できるのはなぜなのか。その秘訣をお聞きしました。

プロフィール

プロフィール

齋藤 敦(株式会社CaSy マーケティングチーム)
CaSyマーケティングチームの上司として、PR担当里田さんをはじめ5名の各メンバーのマネージメントを行う。
里田 恵梨子(株式会社CaSy マーケティングチームPR担当)
子育てが理由で生じた遅刻扱いをやめるという案の発案者のひとり。

遅刻扱いをやめたら、精神的にラクになり生産性アップへ

- 遅刻扱いをやめるという発案をされた経緯を教えてください。

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里田:5歳の娘がいるのですが、保育園に預けたときに「ママ、お仕事行かないで」とぐずることもしばしばあります。子どもをなだめながら急いで出社しなければならず、勤務時間もモヤモヤを引きずっていました。遅刻したり休んだりすることへの罪悪感や焦りが募って、ストレスが蓄積していたんです。

私の所属するマーケティングチームは、6名のうち4名が子育て中です。3か月に1回、全チームメンバーでじっくりコミュニケーションをとりながらランチをするチーム懇親会があるのですが、私と同じ悩みを抱えている社員が他にもいることが分かりました。「遅刻が不問になって、仕事の遅れは自己裁量でリカバリーできるようになれば、子育て中の社員が働きやすくなる」。そう確信し、毎週上司と一対一で行っている面談「one-one meeting」で上司に遅刻扱いをやめるのはどうかと提案し、ぜひやってみようということになり、実施に至りました。

-遅刻扱いがなくなったことで、どのような効果が生まれていますか。

里田:遅刻によるストレスを会社に持ち込まなくて済むので、精神的にラクになり、仕事とプライベートのモードの切り替えがスムーズになりましたね。数値で測定できるわけではないですが、以前より仕事への集中力が高まり、生産性アップにつながっているという実感があります。やむを得ず遅刻、早退、休みをしたら翌日以降に少し早く来るとか、柔軟に取り戻せれば問題ありません。

 

ボトムアップで働きやすさを高める秘訣は、「一対一」と「一対多」のシナジーにあり

- 子育て中の社員の要望はなかなか上司に伝えづらい面もあるかと思います。CaSyさんの例のように、社員が意見を伝えられ、上司がそれを真剣に受け止めて制度化・運用が成功している理由は何でしょうか。

里田:One-one meetingという上司と一対一で対話する場と、チーム懇親会という一対多で話す場の両方があったおかげだと考えています。懇親会では、他の子育て中の社員と、普段感じていることを気軽に話せます。そこでの会話を通じて、自分の悩みや要望が個人的なワガママではなく、似た境遇にある社員全体の課題であることが確認できました。これは提案の後押しになりましたね。

さらに、週1ペースの面談では、一対一なので気兼ねせずに悩みや自分の置かれている状況を上司に伝えられます。

高い頻度で対話できることも、相談しやすさにつながっています。子育ての状況やそれに伴う仕事上の課題は日々刻刻と変化します。半年に一度の面談では悩みを話す時機を逸してしまうでしょう。ですが、週1ならすぐに相談できるので、悩みを引きずることがないのが大きなメリットです。

何より、上司がどんな話でも耳を傾けるという雰囲気をつくってくれているのがありがたいですね。

- One-one meetingやチーム懇親会を始めるようになった背景も教えてください。

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齋藤:前職では大企業にてマネージメントをしていました。優秀な女性が、子育ての制約によりやむを得ず仕事を辞めていくのを目の当たりにし、こうした状況を変えたいと考えていたのです。

2017年1月に参画したCaSyは、女性メンバーが多数活躍している環境。仕事と子育てを両立している人も多く、「メンバーの状況について分からないことが多いからこそ、まずは一人ひとりの考えや悩みをじっくり聞こう」と決めました。コミュニケーションの機会を増やすために、当初月1で行われていたone-one meetingを週1ペースにし、社員全員がざっくばらんにご飯を食べながら話せる「チーム懇親会」を始めるよう経営陣に呼びかけました。

-「分からないから社員の声に耳を傾ける」という点、素晴らしいなと思いました。普段の業務でも社員が意見を言いやすい雰囲気を作り出す工夫があるのでしょうか。

里田:毎週金曜には全員参加の経営会議があり、そこでも社員がボトムアップで意見や提案がしやすい風土を感じています。経営陣は「アイデアマンの〇〇さん、この企画についてどうですか?」などと、社員から考えを引き出すのがうまい。なので社員は自分が必要とされていると感じられます。これが当事者意識を高めてくれていますね。

もともとCaSyの中途採用面接のときから、「働きやすさを阻害する要因をできるだけ取り除こう」という意識が強い会社だと感じていました。面接時に子どもの預け先をどうしようかと迷っていたら、経営陣から当たり前のように「お子さんを連れておいでよ」と言われて。「仕事の場には子どもを連れていってはいけない」という固定観念を突き崩してくれましたね。

-この2つの制度が機能して、他にも働きやすさ改善につながった例はありますか。

里田:リモートワークと出社の頻度なども、状況に応じて柔軟に相談、変更できるというのも、こうした制度がうまく機能していたから。私は現在、週2回リモートワークをしています。移動時間が減り、子どもの保育園の送り迎えなどにも柔軟に対応できるのでありがたいですね。企画を練る、プレスリリースを書くといった業務は、自宅で一人集中して取り組むほうが効率的に進められます。一方、残り週3回はオフィスに行くことで、会社の状況や課題をリアルタイムで把握する時間を大事にしています。同じ場にいるからこそ感じられる情報のストックが、PR業務において非常に役立つと考えているからです。だから週2のみリモートワークというのが、私にとってはちょうど良いバランスだなと感じています。

齋藤:高い生産性を発揮できる時間帯や場所、オフィスに出社する頻度は個人それぞれ。メンバーの中には、「毎日出社したほうが、みんなの働いている空気を肌で感じられて性に合う」という人もいます。それぞれが一番やりやすい環境を選んだり、調整したりできる柔軟性が大事ですね。

ただし、働く時間や場所の自由度が高まると、時間や場所が一律に決まっている場合に比べて、より個々人の自律が問われます。働いた時間ではなく、決められた時間内でのアウトプットで評価される割合が高まるため、目標達成までのセルフマネジメントが欠かせません。

CaSyのように、すでにセルフマネジメントを実践している先輩が部署にいれば、ビジネス経験の浅い人が入社しても先輩から学んで、そのマインドや方法を継承できるはず。その意味でもロールモデルの存在は重要といえるでしょう。

 

面談で上司からも部下に悩みを相談してみると、本音を言い合える関係に

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- one-one meetingを有意義なものにするために、齋藤さんが上司の立場で心がけていること、工夫されていることは何ですか。

齋藤:面談というと部下の相談にのる、といったイメージが強い方もいるかもしれません。CaSyのone-one meetingでは、もちろん部下の業務の進捗共有や相談にのる時間をとっていますが、その際も一方的にアドバイスをするというよりは、部下と一緒に解決策を考えていくというスタンスを大事にしています。

そして、上司から組織に関する課題などを、信頼できる部下に相談する場面も普通にあります。そうすれば、自分にはない考えを取り入れることができるんです。上司だから弱みを見せてはいけない、と気負う必要はなく、部下の強みを活かすという発想でいようと思っています。

また、部下も上司から相談されることで「信頼されている」という感覚が得られますし、「私も気軽に相談していいんだ」と思える。これがチームの結束力を強めることにもつながるのではないでしょうか。

-上司も悩みをオープンに話すことで、双方向に本音を言い合えるのですね。

里田:特に働く女性は、仕事も家事も育児も自分で完璧にこなさなくてはと抱え込みがち。ですが、一人で抱え込むのではなく、上司や同僚、専門家など、周囲にうまくアウトソーシングするほうが、長い目で見て仕事の成果も出せるし、自分自身も前向きに過ごせると思うんです。私も「他のリソースをうまく活用して目標を達成しよう」という発想を大事にしています。

こうした発想をもつには、まずは自分の状況を客観的にとらえて、「今、忙しすぎて余裕がない」などと、自分の発しているサインに気づき、それを受容する強さをもつことが重要だと思っています。

この考え方は家事代行サービスにも当てはまります。CaSyも「家事代行は普通の選択肢の一つ」というメッセージを積極的に発信することで、発想の転換を促し、生き生きと持続可能に働ける方を増やしていく。そんなビジョンを実現させたいと考えています。

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