2016年12月5日 更新

働き方改革実現会議でも議論。主婦の再就職のチャンスを作る「リカレント教育」とは?

スキルアップや再就職のために、もう一度勉強したい!そんな時、通信教育や資格の学校など選択肢は様々ありますが、主婦の再就職を後押しするものとして今注目を浴びているのが「リカレント教育」です。具体的なカリキュラムや今後の課題についてご紹介します。

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11月16日、第3回「働き方改革実現会議」を終えた安倍首相が、子育て中の女性の復職・再就職の問題を解決する手段として「私はリカレント教育に注目したい」と語りました。 リカレント教育とはどういったものなのでしょうか。

リカレント教育とは

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Recurrent(リカレント)とは反復・循環・回帰という意味で、「リカレント教育」は経済協力開発機構(OECD)が1970年代に提唱した、生涯学習の制度的な形態です。日本語では「回帰教育」、「循環教育」と訳されます。一度社会に出た後も、学校または教育・訓練期間機関に回帰する(戻ってくる)ことが可能な教育システムのことを指します。

変化の大きい今の時代は特に、人は青少年期だけでなく、それ以降も常に新しいことを学び続ける必要があります。また、社会経験を積んでからの方が学習の必要性を理解できるため、効率よく学べるといったことも、リカレント教育が重視される理由です。

女性の再出発を後押しするリカレント教育に注目

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今、国が特に注目しているのは、専業主婦向けのリカレント教育です。

結婚に伴う転居のためにそれまで務めていた企業を辞め、子どもの中学校に入学後に日本女子大学のリカレント教育課程を経て受講して再就職、現在は総合職として活躍されている濱田直子さんは、安部首相や加藤働き方改革担当大臣との意見交換の場でこのように述べています。

リカレント教育課程の授業は、実践的で興味深いものばかりで大変勉強になりました。(中略)同じ目的を持ち、意欲にあふれる受講生と過ごす時間も大変貴重なものでございました。仕事に対する家族の理解など、それぞれが抱える悩みが違っておりまして、その悩みを共有することで、就業に対する自らの現状について把握できました。就職活動のフォローなど、大学事務局の方々が親身にサポートしてくださったことも大きな支えとなりました。

日本女子大学では、「リカレント教育課程」として、育児や進路変更などの事情により離職した女性の再就職支援を行っています。就業経験のある4年制大学を卒業した女性を対象とした1年間の通学課程で、2016年4月までの全入学者は455人に上ります。

日本女子大学リカレント教育課程 「受講生に関するデータ」

日本女子大学リカレント教育課程 「受講生に関するデータ」

全入学者の平均年齢は38.9歳。受講時の職歴は43.5%が主婦と、ブランクのある受講者が多いにも関わらず、同大学によれば「再就職を希望する修了生の就職率は高く、採用者様から質の高さについて好評価もいただいております。」とのこと。

この高い就職率・高評価はビジネスに直結する豊富なカリキュラムにありそうです。

・必修科目 

TOEIC/ITリテラシー/キャリア・マネジメント

・選択科目

金融リテラシー/企業会計入門/初級簿記/社会保険・労働保険法/内部監査の実務講座

と多岐にわたり、貿易実務、内部監査実務、記録情報管理者、社会保険労務士、消費生活アドバイザーなどの資格取得を目指しながら、専門知識の基本を理解することができるようです。 さらに、体験型の講座として、実際の企業と連携したセルフリーダーシップ・プログラムも用意されています。

座学の授業だけではなく、ビジネスの現場での実地訓練という貴重な体験をすることもできるリカレント教育課程の内容はとても魅力的で、前後期の学費24万円は、資格のスクール等と比較しても決して高すぎる金額ではないと感じました。しかし、いざ自分が無職の段階でチャレンジするには、この金額と1年間という期間は相当の決断になるだろうとも思います。

補助金制度や時間制約などの課題

教育費の補助

リカレント教育課程は教育訓練給付金制度(専門実践教育訓練)の指定講座となっています。一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者、または、過去に一般被保険者であった場合は、受講料の一定の割合額が「専門実践教育訓練給付金」としてハローワークより支給されるのです。

日本女子大学では、教育訓練経費が入学金20,000円、受講料240,000円です。

この場合、

・受講中は経費の40%   260,000×40%=104,000円

・修了後、1年以内に被保険者として採用されると20%の追加支給   260,000×20%=52,000円

を受けることができるので、もし被保険者として就職することができれば、自己負担は104,000円のみで済むのです。

(「教育訓練給付金制度」については、こちらの記事もご覧ください。
お得にスキルアップ!知っておきたい「教育訓練給付制度」)

ただし、この「一定の条件を満たす雇用保険の一般被保険者」ですが、対象者が限られてしまうことが解決すべき課題として働き方改革実現会議でも指摘を受けていいます。 それは、非正規雇用であったり、すでにブランクが長かったりするために雇用保険の被保険者ではなく、離職から1年を経過している等、制度の恩恵を受けることができないケースが多いからです。

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西谷 じゅり 西谷 じゅり