2017年10月12日 更新

子育てとの両立には運もある。馬場じむこさんに聞くワーキングマザーの働き方改革

働きやすい環境づくりのために「休むこと」が必要、の真意は!?

340 view

ある調査によれば、働き方改革を実施済み、あるいは推進中という会社は7割を超えましたが、それが必ずしも社員の満足度向上につながっていないようです。
(参考:『働き方改革の実態調査2017~Future of Workを見据えて~』調査結果

読者の皆さんの中には、「会社は働き方改革と言っているけれど、かえって仕事がやりにくくなった!」とか、「うちの会社は働き方改革なんてどこ吹く風……」というモヤモヤを抱いている方も多いのでは?

『くらしと仕事』では、会社が都合のよい制度を導入してくれたり、上司や同僚の理解が高まるのを待ったりするのではなく、小さくても自分からできることをしていくためのヒントを、様々な方に語っていただく記事のシリーズを始めます。題して「私ができる働き方改革」。トップバッターとして登場いただくのは、小学生と中学生のお子さんを育てながら都内の企業に勤め、「仕事も子育ても自分もうまくいく! 『働くママ』の時間術」の著者でもある馬場じむこさんです。

馬場じむこ

馬場じむこ

短大卒業後、一般事務、専業主婦を経て、経理主任として8年勤務。現在は都内企業にて経理事務として勤務のほか、webや雑誌でライティングも行う。夫、中学2年の男子、小学校2年の男子と暮らす。
著書 「仕事も子育ても自分もうまくいく! 『働くママ』の時間術 」日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/book/9784534049438/
ブログ 働くママの時間術 馬場じむこブログ
http://jimuko.blog.jp

会社にとって必要な人材であり続けるために大切なのは得意と不得意の見極め

- 5年前に 「仕事も子育ても自分もうまくいく!『働くママ』の時間術」を出版された馬場さんですが、普通の会社員だった馬場さんが、本を出すに至るほど仕事のやり方を変えたきっかけなどはあったのでしょうか。

きっかけは子どもの保育園でした。保育園はお迎えの時間が厳格に決まっているので、5分でも遅れると電話がかかってくるんです。ですから、そこに合わせて仕事の仕方も変えていくしかないなと思ったのがきっかけですね。

- 現在は子育てと会社員としての仕事に加えて執筆などもされていますが、タイムスケジュールはどのように管理されていますか?

現在は執筆業がそこまで忙しくはありませんので、金曜日の夜と土日の日中に作業をすると決めています。それ以外は仕事と子育てに集中していますね。お昼休みや朝の時間が空いた時に、編集者とのやりとりをすることもありますが、基本的なスタンスは変えていません。

- ワーキングマザーの皆さんは、時短勤務をしていたり、子どもの病気で急な早退や欠勤などを経験されている方がほとんどかと思います。こうした状況の中でも、職場で必要な存在であり続けるために大切なことは何でしょうか。

まずは自分が仕事をしていく中で、得意なことと不得意なことを見極めることです。私は、忙しい上司のスケジュール調整や管理をするサポート業務がすごく得意なのですが、一方で客先や電話での交渉事はとても苦手。上司にも「なるべく外へ出さないで」と言っています(笑)。そして、自分の得意・不得意を把握したら、得意なことはどんどん伸ばして、不得意なことは得意な人へ仕事を振るようにしていくのがいいと思います。ちなみに、経験から言うと、自分が苦手な仕事を得意とする人材は高確率で周囲にいるものなんです。そのぶん、得意なことは積極的に引き受けていくようにしていくのが良いのではないでしょうか。

 (13390)

 

働きやすい環境を作るためには、まずは休みを取得するべき!

- 昨今では、「働き方改革」で残業削減や子育て支援に取り組む企業も増えていますが、自分が働く会社はそこまで制度が充実していないし、周囲の理解もまだまだ……という人も多くいます。そんななかで、働きやすい職場作りのために自分ひとりでも始められことはあるでしょうか?

まずは、自分がきちんと休むことと、周囲が休んだ時にも理解を示すことです。もし、自分ないし周囲の誰かが休んで仕事が滞るようなら、それは仕事の回し方に問題があるんだと気づくきっかけになります。現在は子育てだけではなく、介護の問題を抱えている人も多いので、この考え方はますます重要になってくるでしょう。

- 20代~30代では子育てをして、40代~50代では両親の介護が発生してくるという可能性は誰しもありますよね。

この2つを同時に担う人も出てきますよね。これらに対応していくためにも、まずは自分が無理をしないことです。実は、無理やり出社するよりも、休みをしっかり取ることのほうが勇気がいりますよね。私も以前、子どもがインフルエンザにかかってしまい、一週間休みをもらったことがありますが、会社へ電話した時の声は震えていました(笑)。でも、やっておいてよかったです。休みを取ることで、自分がどういう気持ちになるのかを経験しておくのはいいことだし、こうした「勇気」がこれからは必要になってくると思います。

- 子どもの成長とともに、悩みや課題も変化していくと思います。馬場さんは、お子様が小学校や中学校にあがったことで新たに直面した課題はありましたか?

大きな変化は、子どもが小学校へあがった時に起こりました。保育園では、お母さんが働いていることが当たり前でしたが、小学校では専業主婦のお母さんもいるんです。すると、子どもを取り巻く環境もそれぞれ変わってきますよね。小学校では、振替休日などで平日が休みの日がありますが、そういう時、子どもに「どうしてお母さんは休日に家にいないの?」「どうして休日に学童へ行かないといけないの?」と言われて、とても胸が痛くなったことがありました。でも、もう謝るしかないんですよね。

 

仕事と子育てを両立できるかどうかには「運」もある。決して自分を責め過ぎないこと

 (13389)

- 子育てと仕事のバランスで悩むワーキングマザーは多いですよね。働き方や子育てについての記事を見て、「自分はこんなにできない」と不安に思う方もいると思うのですが、自信をなくされた方や、今後に不安を抱いている方へアドバイスをお願いします。

子育てと仕事のバランスについては、難しい部分ではありますよね。私は、「この状態がずっと続くわけではない」と自身に言い聞かせています。この本で一番言いたかったのは、「日本で働く女性にとって、職場環境は『運』の要素が多い」ということなんです。最近は、忙しく働きながら子育てもこなして、社会の中で華々しく活躍されている女性もいらっしゃいますが、そういう方たちは、子どもが育てやすい性格だったり、職場環境に恵まれていたりという外的要因も少なからずあると思います。ですから、子育てや仕事が思っていたものと違ったとしても、決して自分を責めないで欲しいんです。上手にキャリアを積むことができたら、「運が良かった」と喜べばいいし、想像していたものと違った時には、「まあ運が悪かったよね」とくよくよ考えないこと。さまざまな問題に直面しても、柔軟な考え方を持って対応することが大切なのではないでしょうか。

- 子育てと仕事を両立している人を見ると、「なぜ自分はできないのだろう」と責めてしまいがちですが、子どもも職場も十人十色で、そもそも比べること自体ができないものかもしれませんね。

私が「働き方改革」で危惧していることは、「これが現代の女性の正しい働き方です」とレールを敷かれてしまうことなんです。子どもの体調や職場環境、ワーキングマザーが振り回されることはたくさんあります。働く時間や形態、育児や家事、これらすべてをダイヤルのように調節していかなければなりません。どうしようもならなくなった時には、美味しい物を食べたり、睡眠時間をしっかり取ったりするなどしてリセットすることも大切ですよね。

- 最後に、馬場さんが今後やってみたいことを聞かせてください。

下の子どもがもっと大きくなったら、夫と二人で旅行へ行きたいですね。あとは、地域での活動を積極的にしたいです。以前、とてもつらかった時期に地域の友人にすごく救われたことがあったので。人の温かさを感じられる付き合いを充実させていきたいですね。

 

子育ても仕事も人それぞれ。自分に合った働き方を模索する

ワーキングマザーとはあくまで呼称であり、その中に決まったモデルケースは存在しません。情報に囚われすぎず、まずは自分の置かれている環境や好きなこと嫌いなことを把握して、柔軟な考え方を持つこと。これが「私ができる働き方改革」の第一歩なのかもしれません。

この記事を読んだ人におすすめ

小1の壁を機に、大手企業からベンチャーに転職!育児と仕事で走りぬけた20代、そしてネクストステージへ

小1の壁を機に、大手企業からベンチャーに転職!育児と仕事で走りぬけた20代、そしてネクストステージへ

新卒入社して1年目で妊娠が分かり、出産後、職場復帰も果たした熊本 薫さん。しかし、お子さんの小学校入学を機に、転職を経験されました。このタイミングで転職をされたのには、どのような理由があったのでしょうか。
LAXIC | 989 view
制度は会社からのメッセージ!さくらインターネットが働き方改革で目指すもの

制度は会社からのメッセージ!さくらインターネットが働き方改革で目指すもの

働きやすさを実現する制度「さぶりこ」について伺いました
鈴木 せいら | 1,817 view
ライフもキャリアも「二兎を追って、二兎を得る」西村創一朗さんインタビュー

ライフもキャリアも「二兎を追って、二兎を得る」西村創一朗さんインタビュー

互いに応援し合える夫婦関係を築くためのアドバイスも
吉岡 名保恵 | 1,073 view

この記事のキーワード

この記事のライター

ヤマウチカズヨ ヤマウチカズヨ