2016年12月19日 更新

育休中ママが社会貢献活動。「ママボノ」キックオフミーティングで垣間見た、その魅力

「プロボノ」という言葉を聞いたことはありますか?プロボノとは「仕事で培った専門的なスキルや経験などを提供して、社会解決に成果をもたらすボランティア活動」のことです。このプロボノを、育休中に行っているママたちがいます。「ママボノ」というこのプロジェクトの2016年度のキックオフミーテイングが東京・港区の日本財団にて行われましたので、その様子をレポートします。

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2016年度の「ママボノ」は10月25日のオリエンテーションで始まり、全チームが集合するのは、今回のキックオフミーティングで2回目とのこと。会場に行ってみると、それぞれのチームがみな既によく知り合った仲といった様子で、すでにがっちりと資料を作ってきたチームも多数あるようで・・・。
「えっ、今日キックオフミーティングだよね?」と思わず手帳を見直してしまったほど。参加されているママたちは、熱く前のめりに、ママボノに取り組んでいました。

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育休中ママのウォーミングアップの機会でもある「ママボノ」

積極的な育休活用のススメ」でもご紹介しましたが、ママボノとは、認定NPO法人サービスグラントが「育児休暇取得者や子育てなどで離職した方の復職支援プログラム」として行っている、ママたちによる「プロボノ」のことです。
復職を控えたママが、他のママと一緒にNPOなどの団体を支援するプロジェクトを行うことで、復職や再就職に向けて仕事の感覚を取り戻したり、子育てと仕事の両立の具体的なイメージをつかめたりする機会になります。また、せっかくの貴重な育休という時間で「仕事の幅を広げたい」「スキルアップしたい」というママも多く参加されていて、これまで出会わなかったような人々やテーマと出会ったり、チームリーダーを経験して成長できるなど、仕事を頑張りたいママたちの貴重な経験の場となっています。ミーティングには、子ども連れでの参加ももちろん可能です。

活動が始まると、1団体につき6〜7名でチームを編成し、約2ヶ月間のプロジェクトを通して、ママならではの視点を求めるNPOに対し、様々な提案や支援活動を行います。今年度は、日本財団の助成を受けて、東京で10チーム、大阪で2チームの大規模開催が実現しました。

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12月の成果発表に向け、各プロジェクトが進行中

2016年度の「ママボノ」は、9月に参加者募集が締め切られ、10月にオリエンテーション、そして今回のキックオフミーティングを経て、この後は各チームごとに調査や制作など、必要な活動が進められていきます。そして東京では12月7日、大阪では12月5日に成果発表が予定されています。

今回は東京10チーム、大阪2チームの計12チームが参加し、それぞれが異なるNPO団体の支援プロジェクトに携わります。
12の支援先は、どの団体も有意義な活動をされていて、ママボノにかける期待も大きいようです。
(各支援先の活動内容と今回のプロジェクトの目的を、本記事の最後に記載していますので、興味のある方はご覧ください。)

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キックオフミーティングで見た、ママたちの本気

キックオフミーティングでは、チームごとに、各自自己紹介、支援先に関してこれまで収集した情報や成果イメージのプレゼン、支援先からのフィードバックなどが行われました。

当日は参加者全員が育休中のママで、もちろん子連れ参加可能なので、会場にはたくさんの赤ちゃんたち。キッズマット・お昼寝スペース・授乳所が確保され、子どもを見てくれる専門スタッフも11人いるとはいえ、みんな赤ちゃんを抱えてたいへんそう、大丈夫なんだろうかーーと勝手な心配をしていましたが、サービスグラントの樫尾さんが登場し、キッフオフミーティングが始まると雰囲気は一変しました。

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「あっ、仕事の顔になった!」表情はキリッと引き締まり、真剣な眼差しで仲間とプロジェクトを進めるママたち。ママってすごい、女性ってすごい。仕事の感覚を取り戻せるか心配なママや、家庭と両立ができるか不安なママが参加すると聞いていましたが、「そんなの嘘じゃないの?」と聞きたくなるほど、皆さんハツラツとして自信を持って取り組んでいるように見えました。ミーティング中に少しお邪魔してインタビューでも、と考えていたのですが、とてもじゃないけど邪魔なんてできない。終了を待って、1チーム残ってもらいインタビューすることにしました。

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「市民のためのがん治療の会」に聞いてみました

ミーティング中、どこよりも厳しい表情で取り組んでいた「市民のためのがん治療の会」。終了後残ってのインタビューに快く応じていただいたものの、ちょっと怖そう・・(失礼)と思いながら挨拶を交わすと、「私たち、仲良しチームなんですー!」と明るい笑顔がはじけ、皆さんの「仕事モード」との表情の違いに驚きながらインタビューを始めました。

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市民のためのがん治療の会とは?

2人に1人はかかると言われている「がん」。「最近では3人に2人が罹るようになってしまう、とも言われています。もはや他人事ではないのです。」と語り始めたのは「市民のためのがん治療の会」代表の會田さん。今やがんは、「治ればいい」から「高いQOLを維持しながら社会復帰する」時代になったのだそうです。

「がんになっても約半数の人が克服できます。しかし、その反面、長期生存者の中には治療後のQOLの低下に悩む方も沢山おられます」(會田さん)

がん治療においては最初の治療がその後の結果に大きく影響するため、がんの告知を受けた患者にとって、どのような治療が最良であるのかの選択は極めて重要なのだそう。「市民のためのがん治療の会」は、国立市に本部を置き13年の活動実績のある、がん患者のための任意団体です。患者の立場に立って、 放射線治療などの切らずに治すがん治療の情報も含め、個人にとって最適ながん治療を考えようという趣旨のもと、協力医約60名によるセカンドオピニオン情報の提供、全国で展開している年4回の講演会、ニュースレターやウェブページでの情報提供などを行っています。

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今回のプロジェクトで、もっと多くの参加者を集めたい

「現在、活動全体の運営をほぼ私一人で切り盛りしています」(會田さん)

なんと、13年に渡って全国展開で活動し、60名もの医師に協力を得て低価格でのセカンドオピニオンの実施から、講演会、ニュースレターや書籍の発行、ウェブページの管理まで、たった一人で行ってきたとは。驚くべき行動力とバイタリティです。更に今年、患者同士の交流や情報交換の場が欲しいというニーズに応え"語り合いの会"を開始。これまで会員対象だったところ、国立市でも一般参加者を募り規模拡大の方向なのだそうです。

「これを1つのモデルとして確立させ、地域展開につなげたいと考えています。」

そこで"語り合いの会"の参加者を増やし、発展させたい、願わくば一緒に運営する仲間を集めたいのだそうです。 "語り合いの会"の活動の価値を客観的に調べ、他団体の例などを調査するマーケティング基礎調査などを行います。

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参加するママたちに聞きました

チームの編成とお子さんたちの年齢などを教えてください。
・チームは7名です。今日は1人お休みしています。
・チームの子どもたちは、いちばん上が2歳8か月、下が7ヶ月です。

参加してみて、どうですか。たいへんじゃないですか。
・たいへんなこともあるけど、楽しいし、とても充実しています。
・今日はずっと寝てくれて助かりましたが、あやしながら、頑張っています。
・活動に貢献できることが嬉しいですし、誇りに感じます。

役割分担はされていますか。
はい。リーダー、ヒアリング担当、記録、経理など普通の組織の中で動くような役割分担で、それぞれ活動しています。

まだ2回目とは思えないほど、皆さん打ち解けていらっしゃいますね。
既に団体の活動に参加したりしています。積極的にみんなで動くことで、お互い打ち解けたし、結束も固まったと思います。

皆さん復職を目指していらっしゃるんですか。
はい。私は来年4月復職を予定していますし、みんなも復職する予定です。

ママボノに参加したことで、復職に対して気持ちの変化などはありましたか。
そうですね。今まで子どもと2人で育児と家事中心の生活だったのが、参加することですごく良い刺激になりましたし、アタマの切り替えにもなりました。

お互いの連絡は、どうしてますか。
Skype、LINE、メールなどいろいろ駆使してます。

ママボノに参加されようと思った動機は。
復職前のウォーミンングアップとして興味を持ちました。支援先団体を見てみると、どの団体も素晴らしい活動をされている。自分も参加することで「私も社会貢献ができる」と意義を感じまして、参加を決めました。

最後にひとことどうぞ。
私たちがプロジェクトで参加している「市民のためのがん治療の会」は、本当に素晴らしい、意義ある活動をしています。今回のプロジェクトで、微力ながら少しでもお役に立ち、会の活動を皆さんに知っていただきたいです。

本当に仲が良いチームで、交互にみなさんで答えてくれたのが、とても印象に残りました。

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「近頃"女性を登用しよう"とか言われていますが、そういったものに迎合しているのではなく、もともと女性の力、お母さんの力というものを信じていました。」と代表の會田さん。がん患者会は女性の参加者が多く、また活躍されているのも女性なのだそうです。

「このチームは、仕事がバラエティに富んでいて、携わってきた仕事や経験も全く違うんです。だからいろいろな意見や提案をしてくれます、すごくバランスがいい。遠いのに国立まで来てくれて、既に積極的な活動をしてくれています。皆さんに大いに期待しています!」と語る會田さん。お話を伺っている私まで嬉しくなるような、とびきりの笑顔からも、チームの素晴らしさを感じました。

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機会・出会い・経験・社会貢献・可能性・・・ママボノは様々なものが詰まった「宝箱」

キックオフミーディングの様子を通して、ママボノが担うものの大きさを感じた1日でした。ママボノは、「子育てと仕事の両立を目指すママたちの地ならしの場」であって「社会貢献も出来る」というだけではなく、今までの職場ではできなかった「得難い仕事経験」ができます。仕事でもプライベートでも「経験すること」は何より貴重ですが、お金で買うことはできませんし、簡単に得られるものでもありません。
そして何よりママボノは、「今まで会えなかった人たち」や「知らなかった社会的活動」と出会える場所なのです。新しい出会いを通して、自分の世界や視野が大きく広がり、自分の可能性にまだまだ伸びしろがあることを実感出来るのではないでしょうか。更に「ママボノ」の活動が広がることで、「女性も活躍できる」「ママにはすごいパワーがある」と社会に訴えていくことができる。ママボノは、様々なものが詰まった「宝箱」のようだと思いました。次回の成果発表も、レポートしたいと思います。

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2016年度「ママボノ」の支援先団体とプロジェクトの目的

一般社団法人ドゥーラ協会

産前産後の女性をサポートする形として、助産師・家事サービスヘルパー・ベビーシッターなどの役割を幅広くカバーし、家事・子育て・母親の悩み相談などあらゆる面でのサポートできるのが「ドゥーラ」。
ママボノでは、ドゥーラの存在価値を広く伝え、成り手を増やすためのチラシ制作を行います。

第20回全国シェルターシンポジウムin東京 実行委員会

DV被害者のための支援を行う全国のシェルターネットによるシンポジウムを、1998年から実施。
ママボノでは、その記念すべき第20回を来年度東京で実施するに際し、シンポジウムの価値を発信し、理解者協力者を増やすためのチラシを制作します。

せたがやチャイルドライン

1996年に開催されたいじめ問題を考えるシンポジウムをきっかけに、子どもをサポートする一つの手段として生まれたせたがやチャイルドライン。
ママボノでは、電話を受ける、寄付をするなど様々な形でチャイルドラインのサポートをする「団体応援」募集のための、リーフレットをリニューアルします。

NPO法人ぷかぷか

障がい(主として知的障がい)のある人たちが働くパン屋、カフェ、お惣菜屋、アートスタジオを横浜市で2008年から運営。
ママボノでは、お店や商品の魅力だけでなく、障がいのある人たちと一緒に生きていくと社会が豊かになるというメッセージを発信するための、ウェブサイト改善提案をします。

特定非営利活動法人子育てネットワーク・ピッコロ

「地域と家庭とのネットワーク化を進め、子育てが楽しいと思える環境づくり、地域で支え合う子育て支援に寄与すること」を目的に活動。
ママボノでは、ニーズに応えて展開してきた事業が、現在のニーズに対応できているのかを探り、今後の事業の発展に向けて活用するための、利用者アンケート(インターネット)を作成します。

特定非営利活動法人石巻復興支援ネットワーク

女性や子どもを始めとする多様な担い手に学びや活躍する機会を提供し、みんなで課題を乗り越えていく社会基盤づくりを行う石巻市の復興支援団体。
ママボノでは、女性支援として行っているカナダ式親育てプログラムが、行政の事業となるよう働きかけるため、参加者や地域に与えた効果を明確化するための、アンケートの設計と項目の作成をします。

働く女性の全国センター

「はたらく」をテーマに女性対象の電話相談を2007年から運営。
ママボノでは、“対話の土壌”の重要性を伝え育むため開始したワークショップの価値と可能性を探り、それをどう発信し、進行役の養成を通してどう発展させるのか、課題整理ワークショップを実施します。

市民のためのがん治療の会

13年に渡り、全国的に活動しているがん患者のための任意団体。現在、活動全体の運営を代表がほぼ一人で切り盛りしている。
ママボノでは、さらに多くの参加者を得るために、活動の価値を客観的に調べ、他団体の例などを調査するマーケティング基礎調査を行います。

めじろ台町会連絡協議会

めじろ台の4町会で共有している2つの会館の運営を管理。築45年以上になり建て替えも検討される中、会館の在り方を考えたい。
ママボノでは、地域の皆さんがどういうニーズや要望を持っているのか、また暮らしにどのように役立てるのかを知るためのマーケティング基礎調査を行います。

NPO法人GEWEL

多様な個性を持った人たちが活躍するダイバーシティ&インクルージョンの推進活動と、女性リーダーの育成支援に取り組んでいるNPO法人。設立10年が経ち、社会環境の変化を捉え団体の活動の方向性を再構築をしており、現状やニーズを確認したい。
ママボノでは、団体の新しい方向性において、新たにターゲットとなった対象に対して、ヒアリングなどを行い、対象者のニーズを明確化するためのマーケティング調査を行います。

ぷちでガチ!育休MBA講座

「働くママのつながりと学びの機会を創出し、親子・家族・社会を元気に!」をミッションに、ビジネス感覚を保ちたい、キャリアアップを目指したい育休中のママ達に機会を提供。
ママボノでは、復帰後ママや既受講者へのヒアリングを中心に、復帰後にどのようなつながりがあればよいのかニーズを調査し、解決策も合わせて提案します。

起立性調節障害ピアネットAlice

朝の体調不良が著しく、朝起きにくい・頭痛・めまい・吐き気などの症状を伴う起立性調節障害。この病を持つ子どもと親を支援し、起立性調節障害の正しい理解と周知を広めることを目的として活動。
ママボノでは、会員の情報管理について整理し、講演会など必要な時に必要な情報を効率的に活用できるよう改善提案をします。

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