2017年9月9日 更新

Google Women Will プロジェクトに学ぶ、あなたにできる働き方改革

あなたの職場を変えるヒントをお届けします

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Google が2014年にアジア各国で開始した「Women Will」は、テクノロジー活用を促進し、柔軟で効率の良い働き方を支援する取り組みです。

当初の日本のプロジェクトは、長時間労働や柔軟性のない働き方が障害で職場を去る女性を減らそうという目標を持ち、昨年春には「#HappyBackToWork」と銘打ってさまざまな理由で離職した女性の仕事復帰を応援するキャンペーンを展開しました(参考:女性を応援する会社が集結!Google Women Will プロジェクトとは )。

その後、働き方改革は職場全体を変えていかないと進まないこと、テクノロジーを活用したスマートな働き方は女性だけではなく全ての人の生産性向上につながるということから、女性に限らず職場全体での働き方改革へとかじを切りました。そしてこの1年で「未来の働き方トライアル」という取り組みに多くの企業の参加を募り、働き方改革への一歩を踏み出す支援をし、そこで得られた知見をまとめました。その内容から、職場の働き方を変えるために「あなたができること」のヒントをお届けします。

 

 

31社 2,000名が参加した「未来の働き方トライアル」

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「未来の働き方トライアル」は、期間を区切り、以下の3つのテーマに順に取り組むという形で行われました。

1.Work Anywhere(在宅で仕事をする)

2.Work Simply (会議の無駄を減らす)

3.Work Shorter (決めた時間に帰る)

トライアルには合計で31社、のべ2,000名が参加し、この取り組みを通じて分かったことがたくさんあるようです。導き出された具体的なノウハウは、この度「働き方改革推進社向けのガイドブック」と「従業員向けのeラーニング」という形で広く公開されました。

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「働き方改革推進ガイド」「働き方改革 実践トレーニング」はそれぞれこちらから利用できます。

皆さんの中には、「自分の会社ももっとは働きやすくなってほしいけど、変化はなさそう」と感じている人も多いのではないでしょうか。でも、今回のトライアルで見えてきたことの中には、個人でも始められそうなことや、周りの人たちを動かすポイントなど、ヒントになることがたくさんありました。

 

取り組みやすく、インパクトも大きい「会議の改革」

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「働き方改革で残業を減らそう!」と言われても、一体どうしたら良いのか分からない。だって、やらなければいけない仕事は全く減ってないんだものーー、

そんな風にぼやきたくなること、ありませんか?

「未来の働き方トライアル」の監修を行った矢島洋子さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室 室長/中央大学大学院戦略経営研究科客員教授)によれば、 「業務削減に迷ったら、まずは会議の無駄を減らすことから始めてみるのがおすすめ」とのことです。

トライアルでは、「アジェンダの事前共有」や「開始・終了時間を守る」など、シンプルで、すぐに誰でもできるルールを決めて全員で守ること、資料の共有や議事録の協同編集など、ITでツールを活用した効率化を行っています。それにより、 会議の時間や回数の削減、さらには出席者の削減にもつながって、コストの削減効果もあることが分かりました(出席者の人件費の換算より算定)。

矢島さんは、 管理職がこの効果を体感しやすいということも、まずは会議のムダ削減に取り組んでみることを勧める理由だといいます。

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矢島洋子さん(三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社 女性活躍推進・ダイバーシティマネジメント戦略室 室長/中央大学大学院戦略経営研究科客員教授)
管理職を巻き込むことは働き方改革を成功させる上で欠かせない要素ですが、会議が多くなりがちな管理職ほど効果を実感するというのも、この取り組みの特徴です。職場に「Work Simply」という気運を広めるきっかけとして、会議を見直してみてください。

 

「制約」をイノベーションの種と捉える

白河桃子さん(少子化ジャーナリスト/相模女子大学 客員教授)

白河桃子さん(少子化ジャーナリスト/相模女子大学 客員教授)

同じく監修者の白河桃子さん(少子化ジャーナリスト/相模女子大学 客員教授)は、『時間に限りがある』働き方を、イノベーションを起こす契機として前向きに捉えることを提案しています。

「Work Shorter 決めた時間に帰る」というトライアルをしたときに、参加者から「そもそも仕事の時間に制約があることを考えたこともなかった」という声が挙がったことが印象的だったそうです。確かに、子育てや介護をしながら、あるいは時給制のパートタイムで働いているという人以外は、体力が続く限り仕事に時間をかけていい、むしろ長い時間を費やすことが会社への貢献であると考えている人が、まだまだ多いのでしょう。

時間を限りある資産と捉え、生産性高く、計画性をもって、業務を推進し、新たな価値を産むーー実は最初にこれをやったのは「働く子育て中のママ」や「保育園のお迎えに行くパパ」「介護のある人」なのです。人材戦略、生産性向上を求められる今、制約人材は「働き方改革」の先駆者です。「時間に限りがある」という制約は、ITで投資やさまざまなイノベーションを起こします。

政府の「働き方改革実現会議」で残業時間の上限規制の方針が出た今、 企業は「限りある時間」を強く意識せざるを得なくなるでしょう。これまでは少数派だった「時間的制約のある人」が、自らの中にためたノウハウを組織に広めていくという、大きな役割を担うチャンスかもしれません。

 

在宅勤務はまずやってみること

最近は在宅勤務制度が導入される企業も増えてきています。でも、制度はあっても「申請が面倒」、「在宅勤務をする時のルールが複雑」、「在宅勤務をしたいと言い出しにくい雰囲気」など、利用を妨げる要因が色々あるようです。

特に「雰囲気」とか「空気」というものはやっかいで、上司が「在宅勤務なんて必要ない」、「在宅勤務だと効率が落ちる」と思っているような人だと、その部下たちはなかなか柔軟な働き方を実現できません。

これに関しては、まずは全員が体験してみることが有効なようです。というのも、「未来の働き方トライアル」では、実際に 在宅勤務にトライする前と後では、在宅勤務への印象がかなりポジティブに変わっているからです。

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とは言え、「会議があるのに在宅勤務できるの?」、「みんなが何をやっているか見えないと困るんじゃない?」、「情報漏洩のリスクは?」などなど、在宅勤務には様々な不安がつきもの。 「できない理由」がたくさん出てくるような場合は、Women Will が公開した「働き方改革 実践トレーニング」をチェックしてみることをおすすめします。よくある疑問や不安ごとに、具体的な解決方法やアドバイスが提示されているので、「こうやったらいいみたいですよ」と上司に提案してみるのも良いでしょう。

Women Will 「働き方改革 実践トレーニング」...

Women Will 「働き方改革 実践トレーニング」の画面を加工して作成

トライアルのもうひとりの監修者である佐藤博樹さん(中央大学大学院 戦略経営研究科 (ビジネススクール) 教授)は、以下のように述べています。

佐藤博樹さん(中央大学大学院 戦略経営研究科 (ビジネ...

佐藤博樹さん(中央大学大学院 戦略経営研究科 (ビジネススクール) 教授)

在宅勤務の円滑な導入には、新しい課題の解決も必要です。働く人々には仕事と仕事以外の生活、つまり両者の「境界」(バウンダリー)の自己管理がこれまで以上に必要となるのです。言い換えれば、仕事をしない場所や時間を自分で確保すること、例えばメールを読まない時間帯をつくることが不可欠に。仕事や時間の自己管理に加え、今度は「バウンダリー・マネジメント」が求められることになるでしょう。

やってみると効果がわかる一方で、新たな課題も見えてくるということですね。

 

職場の人たちを巻き込むヒント

業務の見直しや効率化など、個人のレベルでできることもありますが、仕事はチームでするものである限り、大きく変えるには周囲を巻き込むことが不可欠です。Women Willの「働き方改革 推進ガイド」は、みんなを巻き込む時のツールとして役立つでしょう。誰もが知るような有名企業も含む30社が実際に取り組み、その効果はどうだったかが定量的なデータで示されているので、「上に話を通す」というときにも使いやすいはずです。また、改革を進めるための「7つのステップ」と各ステップにおけるポイントの解説は、あなたの職場でトライする時の指針になるでしょう。

改革を進めるためのポイントとしてもうひとつ、このトライアルの結果を発表するイベントにおける白河桃子さんの発言を紹介します。

今後は「時間を短くしなさい」と言われて、たぶん管理職が一番大変になる時代が来るでしょう。だから、その管理職をいかに助けるか。いいことがあったら管理職に共有し、管理職が褒められる、いい格好してもらうような場面をたくさん作ることが重要です。そうすると、「これは良い取り組みなんだ」と思ってもらうことができて、さらに推進するサイクルが回るのかな、と思います。。

確かに、部下の残業を削減するために課長が仕事を多く引き受ける…、というような場面は容易に想像できます。辛い立場になりがちな管理職の気持ちにも配慮することが、部下が働きやすい環境を作る近道なのかもしれません。

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