2017年9月9日 更新

自分らしいキャリアをどう描く? Willから始まる、働き方・生き方

起業やパラレルキャリアの経験が語られました

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多様性が受け入れられ、働き方や生き方を自分自身で選べるようになった現代。一方で、ロールモデルが見つからず、自分はどうすべきなのか不安に思っている方も多いのではないでしょうか。そのような女性のために、株式会社 Will Lab代表小安美和さん、株式会社チェンジウェーブ代表佐々木裕子さん、株式会社日立ソリューションズ ダイバーシティ推進センタ センタ長で、NPO法人GEWELの理事も務める小嶋美代子さんと共に、キャリアについて語るイベント「女性×はたらくを応援!働き方・生き方を考えるキャリアデザインナイト」(主催:株式会社エイチ・アイ・エス)が開催されました。

 

 

現在のキャリアを歩み始めたきっかけ

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思考停止から、点と点を繋ぎ合わせて起業へ

小安: どんな働き方をされていて、なぜそのような働き方をするようになったのかを聞いていこうと思います。佐々木さんは35歳のときにマッキンゼー・アンド・カンパニーを辞め、起業されました。どんなプロセスで起業に踏み出されたんですか?

佐々木: 8年間マッキンゼーにいて、キャリアアップに踏み出すの? 踏み出さないの? というときに迷ったんです。それまでは自分が何をやりたいのか、どういうキャリアを歩みたいのかを考えずに目の前のお仕事を頑張ってやってきたんですが、さすがにこの思考停止をずっと続けたくないなと思い、一旦辞めると決めたんです。 辞めると言ってから、さあどうしよう……と考えたので、起業するとは全然思っていなかったんです。

小安: 起業するとは考えていらっしゃらなかったんですか?

佐々木: 自分でもてっきり転職するものだと思っていたんですが、リーマンショックの次の年で、転職市場が冷え込んでいて、かつやりたいことも定まっていなかったので、そもそも就職もできないのでは……、とお家で体育座りをして人生について考えていました(笑)。 そこからはもう自分探しの旅ですね。何が好きだったのかな、何がやりたかったのかな……。政治家になりたかったかもしれないと思って行動をしたり、映画を作りたいとスクール説明会に行ったりしていました。

小安: そこからどうやって、起業するに至ったんですか?

佐々木: ある人から「あなたの人生のビジョンは何なの?」と言われたときに答えられないことに衝撃を受けまして、自分が今まで人生の中でアドレナリンが出たときはどんなときだったのか、キーワードを書き出しました。すると、「自由」と「愛情」という言葉が出てきたんです。
自由、というキーワードが出た瞬間にこれはサラリーマンじゃないな、と。そして、愛情だから人に関係することだなと思って、会社員時代にちょうど人が変わる瞬間に立ち会った出来事を思い出しました。
ある人が変わるとチームのパフォーマンスが変わり、チームのパフォーマンスが変わると組織が変わり、最後は経営まで巻き込んで変わって行く。あの時は興奮したな、ああいうことをやりたいな、と思って変革屋として起業しました

小安: 政治家かもしれない、映画かもしれないと動く中で、自分の中の覚悟を問いながら進めていかれたんですね。

佐々木: 後はいろんな人にたくさん会って、お話を伺いました。以前だったらこの人にアポを取るのは厳しいだろうな……と思う方にもお会いしました。けれど、人に会ってもその中に答えはないということに気づきました。

小安: 答えはどこでどう見つけられたんですか?

佐々木: 先ほどお話した、興奮した瞬間を思い出したのと、マッキンゼーの同期に「起業するのは簡単だよ」と言われたり、大統領戦でオバマさんが「Change! Yes,We can!」と言っているのを聞いて、これはチェンジのときなんじゃないかなと思ったり。そういった点と点が繋がって、起業に至りました。だから社名がチェンジウェーブなんです!

パラレルキャリアの原点はボランティア

小安: 小嶋さんがパラレルキャリアに至ったきっかけを教えてください。

小嶋: パラレルキャリアにしようとは一度も思ったことがなかったんです。大阪から東京に赴任したのを機に、意識して休みを取って何か新しいことしよう! と考えていて、その時に日立の中で「ユニバーサルデザインを教える」というボランティアのプログラムがあったんです。地方の小学校に行って、例えばテレビのリモコンボタンは目が見えない人でも使いやすいデザインになっているんですよ、といったことを教えていました。
そのボランティアを通じて、同じグループ会社内で見たことも聞いたこともない仕事をしている人たちに会ったんです。そうすると、いい会社で働いているなと愛社精神が湧いてきて、結果的に会社と仕事が好きになりました。
でも何か他のこともしたいなと思って、今度はネパールのアンジャナさんという骨形成不全の女性にパワーポイントの使い方を教えるというボランティア活動に参加しました。最初は余った時間をその活動に充てようと思っていたのですが、実際彼女に会うと教わることが多く、「私はもっと仕事以外のことをしないといけない」と思ったんです。ネパールのアンジャナという人を中心に色々な人と協力し合う中で、本当に世の中いい人ばっかりだなということに気付きました。すると、自然と仕事以外の軸がもう一つできていたんです。

小安: お二人とも「こういう働き方をしたい」と思ってそこに行き着いたわけではなく、色々な経験が繋がった先に今の働き方があるんですね。

 

ますます自由に、より小さく。これからの世界のかたち

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日本銀行、マッキンゼーといった大手企業を経て、企業の「変革」デザイナーとしての道を歩む佐々木さん。

小安: 続いて、お二方が考えるこれからの世界について伺えればと思います。これからどんな世界になるとイメージされていて、その中でどんな働き方・生き方をされていこうと考えていらっしゃいますか?

佐々木: 私はテーマの一つに「自由」を掲げているのですが、これから世界はどんどん自由になっていくんじゃないかな、と思っています。
仕事や子育て、自分で全部やらねばならぬという世界ではなく、いろんな人がお互い様だよねと言って、お金のやり取りだけじゃない関係で助け合える世界が来るんじゃないかなという気がしています。実際私も、色々な人に助けられながら、子育てをしながら仕事をしています。それが当たり前になって、みんなが特に罪悪感も持たず、感謝をしながら生きていくのがいいんじゃないかなと思っています。

小嶋: 地球はもっと小さくなっていく、というか、小さく感じる動きがもっと加速すると思うんです。
今までの私の考えややってきたことを振り返ったときに、「私は私をシェアしたんだ」と思ったんです。モノや時間や場所をシェアするというよりも、「私をもっと使ってください」という方が、より使われやすいし繋がりやすい。そして、誰かに何かをあげるつもりで行くとだいたい返ってくる。私をどう使ってもらうか、ということを前面に出すと想定外のものが返って来るんです。想定外の結末はシェアから始まるという考え方になるといいなと思っています。

 

これからの世界で実現したいWill

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株式会社日立ソリューションズに所属しダイバーシティ・マネジメントを実施する傍ら、NPOで理事を務めるというパラレルワークをする小嶋さん。

小安: 今後どんなことをやっていきたいか、Will(やりたいと思っていること)をお聞かせください。

小嶋: どうやったらもっと簡単に、身近でシェアすることができるかなと思っています。
理事を勤めているNPO法人GEWELでは、「シェアリングダイバーシティ」というコンセプトで、何かやりたい人と、人材が欲しい人をマッチングして挑戦する機会をシェアすることを始めています。これがもっと大きくできればいいなと。

佐々木: 私は変革屋として活動しているんですが、それは本来その人が持っているものにはまっているロックをただ外しているだけだと思っているんです。
私自身、きっと世の中こんなもんだろうとサラリーマンになり、頑張って仕事をして評価されることが大事だと思って働いた時代があったんですが、そこから解放されて、意外と世界は広いとか楽しいとか自由とか、そう思えた瞬間にすごく楽になりました。
企業に勤めながら、例えば介護という名前でタグがつけられて「制約のある人」と言われている人も、本当はそうじゃない一人ひとりのポテンシャルがあるし、やりたいこともあるし、エネルギーもあるはず。それを解放するということを今後もやっていきたいです。

 

世界の女性が持つWillと、働き方・生き方

対談の後は、小安さんよりグローバルにおける女性の働き方、生き方のケースが紹介されました。

「女性の働き方・生き方は、特に日本において多様性が出しづらい状況があります。実はこうありたい、こうしたいというWillで色々な働き方や生き方を決めてもいいんじゃないか、世界の女性はどんなWillを持っていて、それ通りに生きられているんだろうか見てみようと思いリクルートを辞め、旅に出ました」と語る小安さん。
訪問先のルワンダで鮮やかな色合いが素敵なハンディクラフトのバスケットに出会い、教育を受けられず、働く場所も機会もない女性がハンディクラフトを通して自立しようとしているシーンに出会ったそうです。そういったケースはルワンダだけでなく世界各国にあり、さらに社会起業家と呼ばれる方々がハンディクラフトの事業を作ってそこから雇用を生み出すという取り組みをたくさんしていると言います。

コットンブランドを立ち上げ、農村部の持続可能なコミュニティ開発に取り組むタイの女性

続いて、ハンディクラフト事業で雇用を生み出す取り組みをされている女性の事例として、タイのパサウィさんのお話に。彼女はオーガニックファームで育てた綿を手摘みし、それを農村コミュニティの女性に手紡ぎ、手織りしてもらい、バンコクの女性テーラーに縫製してもらってアパレルブランドを立ち上げたそうです。パサウィさんは、日本で数年過ごした後、バンコクのアメリカンスクールに進学し、大学院でコミュニティ開発を学んで、大きなNGO組織に勤めました。しかし、大きな組織では自分のバリューを発揮できないと感じ、大学院時代に学んだ持続可能なコミュニティ開発をするために一人でビジネスを始めました。タイの農村部に行き、そこのコミュニティの暮らしがサステナブルになるような取り組みができないかということでコットンブランドを立ち上げたのです。
彼女はなぜ、先進的なバンコクに住みながら、農村部であるルーイ県でコミュニティ開発をしているのでしょうか? その原点は、日本に暮らしていたときに東京で見たホームレスでした。どうしてこの大都会の東京にホームレスがいるのか? ということが心に引っかかり、なぜ格差というものが生まれるのかについて考え、そこに自分は取り組みたいと農村コミュニティに行ったのです。

パサウィさんが大きな組織を辞め、一人で何のコネクションもないコミュニティに入り込んでブランドを立ち上げるという一歩をなぜ踏み出せたのか、そのエッセンスを小安さんは紹介されました。
「”みなさんにはできることがたくさんある”というのが一つ目のメッセージです。”何ができるか分からないけれど、それに向き合い続けて諦めない”ということ、そして“何ができるか自分を見つめ続けるということ”を強調されていました。また、“一人で起業すると、What do you want?と色々な方に言われます。それに対して、私はこれが欲しいんです、と言えるか言えないかというのが本当に大事”とも言っていました」

キャリアデザインにおいて大事なこと

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日本経済新聞社、リクルート(現・リクルートホールディングス)を経て独立した小安さん。この日着用されているのは、パサウィさんブランドの洋服です。

「私自身、会社を辞めて旅に出て、何ができるかわからないけれど、一個一個の点をつなぎながら少しずつ形にしてきています」と話す小安さん。
「何が欲しいか?と言われたときに、これが欲しいですと言えるようになったり、怖くても一歩踏み出してみたり、一つひとつ繋げていけば何かができるんだという自信を持つことが、もしかしたら女性がキャリアデザインをしていく上で大事なのかなと思っています」と締めくくりました。

なお、小安さんがアドバイザーとして参加される、タイで生き方・働き方を考えるツアー(H.I.Sスタディツアー)では先ほどご紹介したパサウィさんの元を訪れることができます。こちらのツアーは、旅で自分自身に向き合い、Willを見つけたいという方にとって充実したプログラムとなっています。

タイ農村コミュニティでチャレンジする女性社会起業家を訪問 これからの生き方・働き方を考える タイ5日間 [8/16出発]
(※2017年8月開催のツアーの情報です)

ロールモデルが見つけにくい現代、キャリアデザインを描くために何から始めれば良いか戸惑うかもしれません。しかし、対談やパサウィさんの事例を聞く中で、まずは自分自身のWillが何かを知るために行動することが大切だということが分かりました。そしてその一つひとつの行動が繋がることで、自分らしい働き方・生き方ができるようになると感じました。

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