2017年4月25日 更新

仕事が大好きで、子どもを持つのはあきらめていた ライフスタイル・ジャーナリスト吉野ユリ子さん・前編

出版社で激務をこなしていた吉野さんが、子育てしながらの働き方にたどりつくまで

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ライフスタイル・ジャーナリスト、エディター、ライターとして活躍する吉野ユリ子さんは、もともと出版社に勤める編集者でした。フリーランスに転身して10年目。現在は1歳のお子さんを育てながら、『Marisol』『GINGER』『ELLE』など女性誌を中心に、編集やコピーライティングの仕事を精力的にこなしています。吉野さんがどんなきっかけでフリーランスになろうと思ったのか、そして、多忙な中でどうやって子育てと仕事のバランスを取っているのか、お話を伺いました。

吉野ユリ子(ライフスタイル・ジャーナリスト)

吉野ユリ子(ライフスタイル・ジャーナリスト)

ライフスタイル・ジャーナリスト/エディター/ライター/キャスティングコーディネイター。アシェット婦人画報社などを経てフリー。女性誌や広告を中心に活動。

 

大好きな雑誌の仕事をしながら子どもを持つことは考えられなかった

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- 吉野さんのこれまでのキャリアを教えていただけますか。

立教大学文学部日本文学科を卒業して、同時に株式会社ぎょうせいという出版社に入社しました。そこではシステム事業課でコンピューターシステムの営業をやっていて。私は出版の仕事に携わりたかったので、1年ほどで企画制作会社に転職しました。そこで4年ぐらい化粧品会社のPR誌やファッションカタログの制作、マーケティングリサーチ、企画、ネーミングといった女性向けマーケットの企画の仕事をしました。その後、株式会社アシェット(現ハースト)婦人画報社に転職。雑誌『ヴァンテーヌ』の編集部でファッション班を少し経験してから、ライフスタイル班で8年弱仕事をしました。そこで最終的にマネージングエディターという管理職も経験し、『ヴァンテーヌ』の廃刊と同時に、『ELLE DECO(現ELLE DECOR)』と『ELLE a table(現ELLE gourmet)』というインテリア雑誌とグルメ雑誌の編集兼任になりました。数ケ月所属した後、辞めてフリーに。フリーになったのが2008年のはじめなので、独立して10年目になります。


- フリーになられたきっかけは?

会社を退職する直前は、2誌兼任で編集職とマネージングエディターを務め、廃刊した雑誌の編集部でも残務があったので、何日も家に帰れない日が続いていたんです。体力的にも、メンタル的にも限界がきました。今思えば、人に頼んだり、「これ以上はできません」と会社に交渉したりする方法もあったのですが、「もう無理だ」とパンクしちゃった感じで。


- フリーになられても、編集の仕事は続けたのですか?

この仕事がすごく好きだったので、働き続けるつもりではいたんです。ただ、思い込みだったんでしょうけど、「退職金や年金もある会社員という働き方は、会社に人生を捧げるようなもの」という意識が自分の中でありました。その生き方はちょっとな……と思うようになって。


- 雑誌の業界はフリーランスで関わられている人も多く、辞めてからの働き方がイメージしやすかったのでしょうか。

そうですね。辞めてすぐ、勤めていた会社の人から「辞めたんだよね、手伝ってくれない?」とご依頼いただいて、すぐに手伝っていました(笑)。フリーになること自体に、未知の世界に飛び込むような不安はなかったです。


- そのころはご結婚されていたんですか? 子育てと仕事を両立できるだろうか、と考えたことは?

結婚はしていました。今は再婚したんですけど、当時の夫は子どもがほしくない人だったんですよ。私自身は子どもが好きだったけれど、会社員だった当時、子どもを持つのは10何万人いる読者を捨てないと無理だと思っていたんですね。その頃は、終電で帰ることができたら「今日はとても健全だ」という感じ。犬を飼っていたんですけど、散歩に連れて行くのは私が夜中に帰ってきてから、翌朝9時には「じゃあね」ってゲージに入れる生活をしていたので、毎日犬が怒った顔をしていたんですよ。私が会社を辞めると穏やかな表情になったので、かわいそうなことしていたなと。犬でさえギリギリの状態で、当時の夫とも家族という形を全然大事にしていなかったように思います。社内でも、結婚して子どもを産んでいる人は編集部内にふたりいただけ。キャリアを積んでいる人でしたが、会社と育児の板挟みのような大変さは見て取れました。ほんの10年前の話ですけど、時代なのかその会社の状況だったのか、私も自分が子育てと仕事をうまく両立できるイメージがもてませんでした。子どもについては完全にあきらめて、考えないようにしていましたね。

 

再婚により生活時間や仕事の仕方に変化が

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- お子さんが生まれたのは、一年前ですか?

はい、今1歳2ケ月になったところです。


- 妊娠がわかった時、何か今後の仕事について考えたことはありますか。

意外と何も考えませんでした。娘を授かったのは、再婚して1年半経った頃。今の夫がわりとまともな労働感覚を持っているというか(笑)、「深夜まで働くなんて愚の骨頂」という意識がある人で。しかもほとんど家事ができない人なんですよ(笑)。19時ごろに帰って来るのですが、その前に「お腹が減った」とメールが来る。最初は「私のこの切羽詰まった状態をどう思う?」と腹が立ちましたけど、前回の結婚と同じことを繰り返してはいけないと思ったし、彼がすごい威力でそのスタイルを主張してくるので(笑)、「人と結婚するっていうのは、こういうことなんだ」と意識を変えました。以来、晩御飯を作る時間は、赤信号の「止まれ」と一緒だと。ご飯の時間は、ご飯を食べようという感じ。本当に仕事が差し迫っている時は例外ですけど、通常は食事や睡眠の時間をきちんと取って、その上でこぼれ落ちた仕事があるなら、私の能力上オーバーフローしているということ。自分の適正な受注ボリュームがなかなか計り切れないところもあるので、そこで調整してしまおうと思うようになりました。朝晩ちゃんと食事を作って、夜夫が帰ってきてからはできるだけ仕事をしない。その代わり朝早起きして仕事をするとか……、再婚したことでそういうシステムが自分の中でできて。自分の生活サイクルを守りながら、仕事を回すことができるようになったと思います。


- じゃあ出産していきなり変わったというよりは、その前の段階があったんですね。

逆に言えば、自分がやっと子どもを産んでもいい状態になったから赤ちゃんが来てくれたのかな、という感じさえしています。


- お子さんは2ヶ月で保育園に入られたそうですが、さらに生活は変わりましたか?

変わりましたね。出産前は、平日でも余裕があればヘアサロン、スポーツジムなどの予定を入れるし、一方で土日も仕事を入れていた。食事の時間は守るけど、それ以外の仕事とプライベートの時間については柔軟にやっていたんです。でも保育園は預かり時間がきっちり決まっているので、そうはいきません。夕方18時半のお迎えが私にとっては結構早くて。18時ぐらいまでには仕事を終了させるためには、日中ガチガチに予定を組み込まないと回せない。この春から認可保育園に移ったんですけど、前の保育園は家から遠かったので、ラッシュアワーだと帰宅するのに40~50分はかかっていました。それから洗濯をして、お風呂を沸かして、朝片付けられなかった食器を洗って、ご飯を作って、子どもに食べさせて、お風呂に入れて、寝かしつけして……、ハッと気が付いたら23時ぐらいになっている。18時半にお迎えというのは、仕事を終わらせるには早すぎるけど、家事を終わらせるには遅すぎる(笑) 今度の保育園はお迎えが18時15分で少し早くなったんですけど、家から近くなって多少余裕ができました。預けている時間に、いかに自分が集中してどれだけのことをこなすかですね。


後編では、子どもが熱を出したときなどの対応や、子育てと仕事のバランスについて伺います。)

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鈴木 せいら 鈴木 せいら