2017年9月8日 更新

青色申告と白色申告の違い、そのために必要な開業届けとは?

個人で収入を得ているけど、「青色申告」って何?という方に、メリット・デメリットや、必要な手続きを解説します。

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まず簡単に、青色申告とは何か

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日本では、納税者自身が様々な税法に基づき、所得金額と納税額を算出し、納税するという申告納税制度が採用されています。

会社員の場合、給与所得とそれに基づく納税額の計算や税金の納付を会社が代行してくれますが、個人で仕事を行う場合は、自分で申告して納税しなければなりません。正しく申告するためには、1年間の収支を正確に帳簿に記録し、取引を証明する書類を保存する必要があります。

ここまででも大変な作業ですが、さらに一定水準以上の精度で記帳し、正しく申告する人には、所得金額の計算などにおいて有利な取り扱いが受けられる(=節税になる)ようにしているのが青色申告です。

後に詳しく説明しますが、青色申告のメリットとしては、次のものが挙げられます。
・青色申告特別控除(65万円または10万円)
・純損失の繰り越しと繰り戻し
・貸倒引当金
・青色事業専従者給与
・少額減価償却の特例

 

青色申告するには開業することが条件

後に詳しく記述しますが、青色申告事業者となるにはいくつか条件があります。

その中の一つが、「個人または法人として事業所得、不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の開始をしたこと」、つまり開業することです。これを税務署等に申告することで初めて、青色申告の権利を得ることができるのです。

開業する、と決まったら、「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署に提出します(事業の開始等の事実があった日から1か月以内に提出しなければいけません)。

2017年1月時点での、開業届の様式(出典:国税庁ホー...

2017年1月時点での、開業届の様式(出典:国税庁ホームページ)

最新の届出書は国税庁ホームページより個人事業の開業・廃業等届書の様式の以下のページからダウンロードできます。
[手続名]個人事業の開業届出・廃業届出等手続|申告所得税関係|国税庁) 国税庁ホームページより個人事業の開業・廃業等届書の様式

直接税務署に出向けば用紙が備え付けてありますし、上記の様式を自宅で印刷して記入し郵送しても手続きできます。手続きは無料です。

個人事業の開業・廃業届出書の提出時には、マイナンバーが必要となります。忘れずに証明書類を準備しましょう。

また、事業を行うということは地方税(住民税・個人事業税)の対象にもなりますので、併せて都道府県(各税事務所)にも開業の届出をすることをお忘れなく(必要な手続きは、各自治体のホームページなどで確認できます)。

 

「青色申告承認申請書」を提出

開業届が受理されたら、いよいよ青色申告の申請です。
青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2か月以内)に提出する必要があります。

2017年1月時点での、青色申告申請書の様式(出典:国...

2017年1月時点での、青色申告申請書の様式(出典:国税庁ホームページ)

最新の届出書は国税庁ホームページの以下のページからダウンロードできます。
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続|申告所得税関係|国税庁国税庁ホームページより所得税の青色申告承認申請書

青色申告も開業届の提出同様、郵送での手続きが可能です。「青色申告の前に開業届」と前述しましたが、手続き自体は税務署でほぼ同時に行うことができます。期限もありますし、何度も税務署に足を運ぶのも手間ですから、是非同時申請をお勧めいたします。

 

青色と白色の違い

「青色」「白色」とありますが、確定申告の方法は大きく分けて3つあります。
次の表で違いを見てみましょう。

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表の「青色申告の特典」について、説明します。

・青色申告特別控除(65万円または10万円)
以下の4点すべてを満たした青色申告者は65万円、それ以外の青色申告者は不動産所得、事業所得および山林所得 を通じて最高10万円が課税対象所得から控除されます。
1)不動産所得または事業所得を生み出す事業を営んでいる
2)所得の金額に係る取引を正規の簿記の原則(複式簿記)で記帳している
3)記帳に基づいて作成した貸借対照表・損益計算書を確定申告書に添付
4)確定申告の期限内に提出した

・純損失の繰り越しと繰り戻し
事業所得等が赤字になり、純損失が生じた場合、その損失額を翌年以後3年間にわたって、各年分の所得から差し引くことができます(繰り越し)。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰り越しに代えて損失額を前年の所得から差し引き、前年分の所得税の還付を受ける(繰り戻し)こともできます。

・貸倒引当金
立替金や売掛金などの債権が、取引相手の返済不能などにより回収できなくなった場合(貸倒れ)、その年の決算は大きな赤字となってしまいます。こうしたリスクに備え、回収していない債権に対して一定額を引当金として計上することを言います。貸倒引当金は実際に資金を支出するわけではありませんので、資金繰りに影響はありません。経理上は「必要経費」となりますので、節税効果が期待できます。青色申告では、「一括評価」による計上が認められています。

・青色事業専従者給与
青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払った給与を必要経費にできる制度です。白色の場合は上限がありますが、青色では妥当な額であれば上限はありません。この特典を受けるには、「青色事業専従者給与に関する届出書」の提出が必要で、届出書に記載された金額の範囲内で専従者の労務の対価として適正な金額であれば、必要経費として認める、というものです。(ただし、青色事業専従者として給与の支払を受ける人は、控除対象配偶者や扶養親族にはなれません)

・少額減価償却の特例
通常、1年以上利用する備品で10万円以上のものは、使用できる期間にわたって費用に計上する減価償却を行います。しかし青色申告を行っている事業者は「少額減価償却の特例」により、30万円未満のものを購入した際、一括で全額経費とすることができるのです。ただし、特例を受けることができる資産の合計金額は300万円までとなっていますので、注意が必要です。

 

青色・白色を選択するポイント 〜「複式簿記」ってどのくらい大変?

税制面など、何かとメリットの多い青色申告ですが、帳簿付けが煩雑であるというデメリットもあります。場合によっては、帳簿付けが本来の業務を圧迫するケースもあります。
経理を担当できる人がおらず、自身に簿記の知識がほとんどない、という場合には、無理をせず単式簿記の青色申告で10万円の控除を受ける、という選択もあります。

・単式簿記の場合

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日々記録していく帳簿はこのようになります。「いつ」「何に」「誰と」「いくら」を記入する程度で、お小遣い帳のような感覚です。
ただし、この書き方ですと、「原材料仕入れ高 \100,000」の10万円が現金なのか、手形など別の手段なのか分かりません。

・複式簿記の場合

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貸方、借方に同じ数字が入っていて二度手間にも見えますが、1月3日の取引が現金で行われたことが分かりますね。仮に現金と手形で仕入れが行われた場合は、現金でいくら、手形でいくら取引したのか記録することができます。
簿記に慣れていないと、この「勘定科目」が非常に煩わしく感じられるかもしれません。さらに、勘定科目ごとに補助簿を作成する作業も加わります。

青色申告では年末に「貸借対照表」(決算時に資産がどれくらいあり、借金がどれくらいあるかを表したもの)と「損益計算書」(一定期間にいくら使って、いくら儲けたかを表したもの)を作成しなければなりませんので、原則としてはその作成に必要な書類・帳簿を用意することになります。

こうした法定帳簿(保存期間7年)のほか、業務に必要な帳簿(任意帳簿)・決算に際して作成した書類・業務に際して作成した書類や領収書等(保存期間5年)を基に、「所得税青色申告決算書」「確定申告書B」を作成し、確定申告に臨みます。

青色申告をするには、これだけのクリアしなければいけないハードルがありました。しかし現在では、青色申告向けの会計ソフトも多数出ていますので、日々の記録さえしておけば、確定申告時に慌てることもありません。「まめに」「正確に」「もれなく」を心がければ、初心者でも青色申告は不可能ではありません。
事業を営む上で経理作業は避けて通れませんので、自身のキャパシティと相談のうえ、どの申告方法にするか選ぶことが大切です。

 

税務署を味方につけよう

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「税務署」というと何だかとっつきにくくて、難しい専門用語を話す怖いところ、と考えがちですが、実際に相談してみると印象は変わります。難しい言葉はかみ砕いて言いまわしてくれますし、聞きたいこと・知りたいことがあるといえば、ちゃんと答えてくれます。
本気で事業を起こしたい、とお考えでしたら、税務署に相談するのもよい手段といえるでしょう。

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