2017年7月6日 更新

前グーグル日本法人代表が語るこれからの日本で必要な働き方

日本の歴史や文化を踏まえ、辻野晃一郎さんが語ったこととは?

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株式会社PE-BANKでは、フリーランスのITエンジニアを対象に、フリーランスになって叶えた夢や、ライフスタイルの変化、現在の取り組みなどから、「PRO of PRO Engineer」を選出するアワード「ワークスタイルリフォーム ビフォー・アフター大賞」を開催。ノミネートされた4人からは、エンジニアの枠に留まらない「それぞれの新しい働き方」が語られました。(詳しくはこちら:4人のフリーランスITエンジニアたちが見つけた、それぞれの新しい働き方

その後は、前グーグル日本法人代表取締役社長、現在はアレックス株式会社代表取締役兼CEOの辻野晃一郎さんによる特別講演。「『働き方』は『生き方』である」と言う辻野さんからは、今後の日本に必要な「個」について語られました。

 

 

組織の変化にともない、個を主張する時代へ

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「今までの日本では、会社の中で受け身で仕事をしている人が多かったように思えます。ですが、これからは会社も働く人間も、意識を変えていかないと生き残れないでしょう」

そう語る辻野さんは、「出る杭」という言葉を大切にしていると言います。出る杭とは、組織の中でやりたいことや信念があって、どんどん積極的に動く目立つ人のことだそう。

「組織を重要視する日本の会社では、どうしても『出る杭』は叩かれやすい傾向にあります。しかし、時代の中で社会や会社のピンチを救うのは、決まって『出る杭』と呼ばれる人たちでした。これからの時代では、出る杭、つまり個性をより大切にしなければならないと思います」

さらに、「日本人は先頭に立ちたがる人が少なく、積極的にリーダーシップを取るのが苦手」と辻野さん。「率先してリーダーとなり、いざという時にはしっかり責任を果たせる人がこれからはもっと必要」と言います。もっとも、日本はリーダーを生み出しにくい国かというと、決してそうではありません。歴史の中では、たくさんの優れたリーダーが輩出されています。

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しかし、「個性やリーダーシップが今後の日本でより重要になる」と言われる背景には、テクノロジーの進化による「それまでの概念の崩壊」があるそうです。


「会社という組織の仕組みも、もはや適応が難しくなってきました。個々で働くことに限界があったため、組織として集まったのが会社です。しかし、現在はテクノロジーの進化により、個々でできる範囲が広くなったため、何かをやり遂げるために会社という組織を作らなくてもできることが増えているのです」

 

滅びる終身雇用制度。思考停止した働き方では生き残れない

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「滅私奉公、勤勉、献身」という言葉が根底にある日本人には、労働意識にもこれらが深く染み渡っていると言います。一生懸命働くことは、決して悪いことではありませんが、「ただただ真面目にコツコツと働いているだけでは、報われる時代ではない」とも。

「日本の経済成長を支えてきた優良企業でさえ、苦しい状況に陥っています。これからはトップからの指示に従うばかりではなく、自分の頭で考え、行動することが大切です。組織の中で働き続けていると、どうしても受け身や依存をしてしまいがちですが、思考停止したまま働くことは得策ではないでしょう」

日本は超高齢化社会を迎え、以前は当たり前のような終身雇用も崩壊しつつあります。さらに平均寿命も伸び続けている昨今、退職後は年金を受給して悠々自適……という以前のようなスタイルは難しくなることは明白です。

「これからは会社に頼り切るのではなく、自分のキャリアを見つめながら、模索していくことが必要になってくるのではないでしょうか。今後はフリーランスで働く人も増えると予測されます。また、こうした『働き方』の変化は、個人だけではなく会社にもいえます」

時代の変化を牽引しているインターネットの台頭により、「時代はすっかり様変わりした」と辻野さんは言います。

「今までは、組織を優先して個がありました。しかし、今は個の時代です。個を活かすことで、組織が発展し、ひいては会社が成長します。」

それでは、「個を活かす組織」とは、具体的にはどんな組織なのでしょうか。ここで辻野さんから、グーグルの組織の仕組みが例にあげられました。

「グーグルでは、『イノベーションはコミュニケーションから生まれる』と考えられており、常に仲間同士でコミュニケーションが取りやすい職場作りをしています。さらに、会社で個々の時間を拘束することはなく、自分の時間を自由にデザインすることができます。『ワークライフバランスは自己責任』という方針があるため、ワークスタイルを強制することがありません。個々の事情に合わせた働き方をして、会社もこれをサポートします」

さらに、日本の会社との大きな違いが、「現場に権限を移譲していること」だそう。

「日本では、会社が大きくなればなるほど、権限がトップに限られやすい傾向にあります。すると、現場の人間はどうしても受け身になりやすい。しかしこれでは、個を活かすことはできません。現場に権限を与えることで、責任とやりがいが発生します。自己責任で動ける人材を増やすことが、会社の成長につながります」

 

欧米化するのではなく、日本の良さを残した「働き方改革」を

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終身雇用制度が崩壊しつつあることで、欧米の働き方へシフトする動きが見られる日本ですが、すべてを欧米化することが「働き方改革」ではありません。

「さまざまなものが再構築、再定義されていきます。しかし、すべてを変えればいいのかというとそうではありません。残さないといけないものはたくさんあります。例えば、日本の歴史ある建築物などにあらわれているもの作りの精神です。これは、日本人の丁寧な仕事が活きた素晴らしいもの。これからはこうした日本の良さを国内で終わらせるのではなく、世界へスケールさせる視点が大切なのではないでしょうか」

日本の良さを残して伸ばしつつ、足りない部分は補っていく。「これが日本の目指す『働き方改革』ではないか」と辻野さん。

島国である日本はどうしてもガラパゴス化してしまいがちですが、テクノロジーの進化により、世界はぐっと身近なものになりました。これからは、個々が世界にフォーカスした働き方を考えることが重要なのかもしれません。

「『働き方』は『生き方』そのものである」という辻野さんの言葉通り、私たちの人生を左右するのは仕事と言っても過言ではありません。より充実した生き方をするためには、常に自分のキャリアを見直しながら、新しいことへ飛び込むチャレンジ精神を持ち続けることが大切になってくるのではないでしょうか。

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