2017年6月16日 更新

堂々と複業できると何がいいの? 専業禁止のエンファクトリー社員座談会

複業してる同僚をどう思う?

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「専業禁止!」を掲げ、社員にパラレルワーカーであることを推奨する株式会社エンファクトリー。そんな会社の理念を、働く人々はどう捉え、実践しているのでしょうか。複業(副業)の実態について、同社の社員3人にお話を伺いました。

左から、花﨑さん、清水さん、藤生さん

左から、花﨑さん、清水さん、藤生さん

 

【参加者】

藤生朋子さん

分社化する前の株式会社オールアバウト時代からデザイナーとして勤務。最近は、オンライン上でフリーランスをマッチングさせる新規事業「Teamlancer(チームランサー)」の立ち上げも担当。複業はデザインを柱にさまざまなトライを続けています。

清水正樹さん

同社でWebマーケティング、コンサルタントなどを担当する傍ら、複業としてインターネット販売で使えるメッセージカードを作る会社などを設立。現在は、ある動物と触れ合えるカフェを作ることも考え中。

花﨑亜希子さん

藤生さんと同期。2度の育休を経て、子育てと仕事の両立に奮闘中。企業のオウンドメディアの運営をサポートをする事業を担当する他、会社の人事、経理まで幅広い業務をこなす。

 

「専業禁止!」はなぜ生まれ、根付いたか

―「専業禁止!」とはインパクトがありますが、なぜそうなったのですか?

清水さん:「専業禁止」を打ち出したのは必然的にそうなった部分も大きいです。エンファクトリーの事業は前身のオールアバウトの1プロジェクトとして始まったのですが、独立が決まった当時は潤沢な財源で生まれた会社ではありませんでした。むしろ真逆で、赤字からのスタート。優秀な人材を確保するための策としてでてきたのではないでしょうか。「会社も頑張るけど、もしものこともあり得えるから、自分たちで生きる力を身につけなさい」そういう意図も強かったと思います。

花﨑さん:優秀な人材が欲しいのはどこの会社も同じことですが、何かしらのメリットがないと難しいわけです。そこで、「複業OK」ということを売りにしたのだと思います。優秀なエンジニアを抱えられたのはこのおかげかもしれません。

―結果として、チャレンジ精神のある人が集まるようになり、メリットが大きかったということでしょうか?

清水さん:そうですね。この会社で複業をしている人は、お金を稼ぐためというよりは自己実現のためというタイプが多いです。社会的に意義がある、あるいは本人がぜひやりたいということでも、それだけでは食べていけないという仕事ってありますよね。例えば、防災の専門家。実際に社内にいるスタッフなのですが、行政主催の防災講座など、各地に講師として招かれるなど複業活動を行なっています。しかし、防災の専門家としてだけではとても食べていけない。彼の場合はうちの会社に所属することで安定収入を得、自分のやりたい防災講座講師という仕事にチャレンジできている。

藤生さん:基盤があることでチャレンジしてみようという気持ちも後押しされている部分があるかもしれないです。失敗を恐れずに挑戦できる良さがあります。

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複業のメリット・デメリット

―複業と本業の両立はどのようにしていますか?

藤生さん:私が複業をしようと思ったきっかけは、自分の力を試したかったから。長年デザインという仕事を担当してきて、社内においてはある程度の自信も付いてきました。会社の一員としての評価はこうだけど、私個人になった時、はたして自分の実力はどの程度なのか……そんなことを考えるようになり、デザイナーとして複業を始めたんです。Webサイトや名刺、パンフレットなどのデザインをしてきました。本業をおろそかにすることはできませんし、1日は24時間しかないので工夫が必要ですが。

清水さん:うちの会社の場合、複業の用事で勤務時間中に社外に出ることについては何も言われません。その時間は休憩時間として、その分は終業時間を後ろに倒したりしながら時間のやりくりをしています。

藤生さん:わたしは最近結婚したのですが、休みの日の仕事が多くなってくると、家事の調整が難しかったです。休みの日や帰宅後、夜に複業の仕事をしたり……、独身のときの方が自由に調整しやすかったですね。ライフステージとともに自分の全てを仕事に注ぎ込める時とそうでない時が生まれるのは当たり前のことなので、会社としては、全員に複業を強制しているわけではありません。複業もやりたければできるよ、という具合です。複業を持つ、持たないの選択ができることは大事だと思います。

花﨑さん:私は今、複業を持つ段階ではないと思っていて、複業はしていません。2011年の会社設立時から参加していますが、この間に出産を2度経験、二人目の育休から復帰したところです。子育てはものすごくエネルギーがいります。“専業主婦”という言葉があるくらいですから、今の私にとっては家事・育児が複業なのだと考えています。

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清水さん: 複業をしていると、全体としては長時間労働となることは否めませんが、複業を持つことの意義は大きいと感じています。一人ひとりが経営者視点を持った集団になれるからです。複業では身銭を切って商売をするわけですから、多くの面で鍛えられます。また、複業で得た知識や人脈が本業に役立つこともあります。会社内の仕事だけの場合、自分に与えられた仕事を部分的に担うという感覚に陥ることがありますが、全体を見る目が養われていると、仕事をパーツではなく全体像を見て組み立てることが可能になる。複業経験のある人が多い集団だと、企画が持ち上がった時にすぐ、資金はどう調達するのか、利益の見込みはどのくらいかなど、「やりたい」ということだけでなく、「やるためにどうしたらいいのか」という道筋も含めて理論的に思考できるようになるんですよね。

花﨑さん: その感覚、よく分かります。私は社外での複業はしていませんが、社内ではサービスの運営と経理などのスタッフ部門と兼務することで、事業の担当者としてもお金のことが見えるようになりました。

藤生さん: 複業を持つことは業務効率を上げることにも繋がっていると思います。時間は限られているわけですから、効率よくやらなければ、本業も複業もどちらも中途半端なことになるからです。

清水さん: ただ会社にいて働いているというよりは、きちんと成果を出すことも求められる。ぶらさがりが許されないという厳しさもあります。複業についても、自分のしている事業を社内の人たち発表する場が設けられています。年に2回ぐらいですが、「私はこんなことをしています!」と報告し合っています。フィリピンで会社を経営している人がいたり、犬の服を作って通販で売っている人がいたり、バラエティー豊かです。こうして“見える化”することで、本業も複業も中途半端にしてはいけないなという自覚が生まれてくるから不思議です。

 

複業を始め、成功させるためには?

―複業を始めるために大切なことはなんですか?

藤生さん: 国内の企業で複業がOKな会社は全体の一割ほどと言われています。つまり、前例が少ない。いくら会社が許可しても、やり方が分からない人がほとんどでしょう。先に清水が話した通り、複業に対する考え方には個人個人で違いがあります。大きく分けると、自己実現のための複業と収入を増やすための複業でしょうか。自分はどうして複業するのか、方向性をはっきりさせてからはじめると本業にも、複業にもメリットが現れると思います。

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清水さん: 会社はこれまでの雇用形態のように“生活を守るから、100%会社のために尽くしてよ”ではなく、“あなたの人生だからあなたが切り開きなさい”というスタンスに移行する所が多くなると思います。個人の力が備わっていれば、もし会社を辞めたとしても、会社はその人となんらかの形で繋がりをもっておきたいと思うはずです。当社も元社員は「フェロー」として関わってもらう仕組みがあります。辞めても良い関係が築けるのはしっかりとした個人の力があるから。自分の力をいかに磨けるかが大切になる時代に突入します。その意味でも、複業は良い鍛錬になると思います。興味のあることを楽しく本気ですること、これが大事ではないでしょうか。

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宮本さおり 宮本さおり