2016年5月26日 更新

仕事も育児もまず「やってみる」。轡田いずみさんに聞くフリーランスを楽しむ秘訣

会社員としてキャリアを積んだ経験を経て、フリーランスとして様々な企業を支援するお仕事をする轡田さんに、今のくらし方、働き方や今後について伺いました。

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「“やってみないとわからない”ってことがわかりました」
はつらつとした語り口で親しみやすい雰囲気の轡田(くつわだ)さんは、はにかみながらも明るく答えてくれました。学生時代からの夢をあきらめず、子どもとの時間も確保できるフリーランスでの働き方や今後の展望についてうかがいます。

子どもが独立へのきっかけをつくってくれた

轡田いずみさん

現在はどのようなお仕事をされていますか?

おもな仕事内容は事業開発とマーケティングです。海外のスタートアップから日本の大企業まで、さまざまな規模の案件に携わっています。内容は、海外での事業開発支援、飲食店のブランディングや広報、子ども向けの教材開発のお手伝いなど、海外・新規事業・教育分野を中心に幅広くやらせていただいている感じですね。今は在宅メインで、2~3つのプロジェクトを同時進行しています。

会社員時代には転職も経験されているそうですね。

そうなんです。新卒で入った(株)リコーでは海外事業部に配属され、事業計画を作り、うまくいった施策をグローバル展開していくといった仕事をしていました。そんななか、インドの新規事業の立ち上げにかかわるチャンスを得たのですが、農村部では教育分野におけるニーズや支払い能力があるにも関わらず、サービスがあまり普及していないことに驚いたんです。

大学時代から難民キャンプに行ったりして「将来は社会的な課題をビジネスで持続的にインパクトある形で解決したい」と思っていたこともあり、もっと教育のためにできることをしたい!と考え、ベネッセコーポレーションへ転職しました。商品開発の仕事をして1年ほど経ったころ、同じ課題意識をもつ仲間とともに、インドネシアの新規事業の企画をたてて会社の新規事業コンペに応募しました。そこで賞を得ることができ、予算をつけてもらって事業化に向けて活動を始めました。

独立のきっかけは?

結婚はリコーで働いている時代にしていて、ベネッセでインドネシアの仕事を手がけているときに妊娠したんです。最初は産休・育休をとって復帰しようと思っていました。

ところが復帰したらインドネシアの事業が中断していて。それでも日々の仕事はとてもやりがいあるものだったのですが、仕事を頑張れば頑張るほど子どもと向き合う物理的・精神的余裕過ごす時間がなくなっていき、働き方に悩むようになったんです。

独立した一番大きなきっかけは、子どもの卵アレルギーでした。症状が悪化しても仕事が忙しくてすぐに病院へ連れていってあげることができなくて。早く治してあげたくて、治療に専念しようと思ったんです。

独立して変わった子育てと仕事のバランス

轡田いずみさん 子育てと仕事のバランス

勤務時間が短い会社への転職など、ほかの道は考えなかったんですか?

最初はとりあえず辞めてみて、ゼロから道を考えてみようと思ったんです。そうしたら、何人かの方から事業開発・教育分野の仕事を手伝ってほしいという依頼をいただいて。それなら、独立してフリーでやっていく道もあるなとそのとき初めて気がついたんです。

できるかどうかは全く分からなかったんですけど、やってみたら面白いかもと思ったんです。それで2015年7月に開業届を出しました。

開業して9カ月になるんですけど、フリーランスとしていろいろなお仕事をやっていく中で、実は今、自分の中に起業したい、事業を始めたいという思いが出てきているんです。

フリーランスと起業の違いを教えてください。

フリーランスは“自分自身の専門性を活かして働く”ということだと思うんですけど、一方で起業するというのは、一人ではできない事業を、それぞれの分野に強い人を集めてチームでやっていくことだと捉えています。会社員時代に新規事業開発に携わって、自分は一つの分野に専門性を発揮するというより、さまざまな領域をまたいで事業を推進していくことが好きだと感じていたんです。

現在の仕事を通して、海外ではフリーランスと起業を並行してやっている人たちがいることを知り、面白いなと思ったのもきっかけです。今は試しに小さい事業を始めてみようと思っています。

仕事と子育てのバランスに変化はありましたか?

独立当初は子どものアレルギー治療を優先していたので、通院予定や子どもの体調をベースに仕事を組み立てていました。一年通院して今はほとんど子どものアレルギー症状も出なくなったのですが、子どもや家庭にあてる時間を先に確保して、残りは思いっきり仕事をするようにしています。

逆に、仕事の状況によっては、家族に余裕があるときを見はからって出張を入れたり、休日は夫に子どもを見てもらうこともあります。一日単位でなく、一週間・一ヶ月といった長いスパンで家庭とのバランスを考えられるようになったのが一番大きな変化です。必要なときは打ち合わせにも出かけますが、在宅でできることが多く、自分で仕事と生活の時間をコントロールできるのも今の働き方の魅力ですね。

在宅ベースで働くうえで工夫されていることはありますか?

リモートワークをしていると、信頼関係がとても重要だなと感じます。たとえ知り合いの人でもオンライン上だとコミュニケーションに誤解が生じてしまうことがあるんです。ですので、SlackやLINE、メッセンジャー、Skypeなどのコミュニケーションツールを駆使して、人によっても使い分ける工夫をしています。アイデアに煮詰まったときは家事をするなど、在宅ならではのメリットも活かしています。

今の仕事の積み重ねが次のキャリアにつながる

轡田いずみさん 次のキャリア

フリーランスという立場から、多様化するライフスタイルにおける女性の働き方についてアドバイスをお願いしたいのですが。

私自身、フリーになるなんて想像もしていませんでした(笑)。それが、その時々にいただいたお仕事をしていくうちに、こういう仕事をしていけば自分のブランディングになるんだということが見えてきて。

なので、あまりアドバイスできる立場にないのですが、自分の一番大切にしたいことが見えたなら、まず一歩踏み出してみるといいのかなと思います。それと、フリーになってからも以前一緒に働いていた人と仕事で関わることが多いので、どんな働き方であっても、今の仕事の積み重ねが次につながるんだなと感じますね。

次につなげるための工夫ってありますか?

自分がやってきたことを発信することはポイントだと思います。SNSでもいいですし、会った人に「私、こんなことやっていて~」と話すことで、意外なご縁につながることもあるんですよ。

そういう場がどこにもない場合、クラウドソーシングなどでアピールしていく方法もあります。私は、アメリカのUpworkというクラウドソーシングを利用しています。どういう提案をして、どういう価格設定をすれば案件がとれるのかをやりながら学べるので、マーケティングの勉強にもなるんです。

フリーというのはあくまでやりたい仕事に携わるための一つの形であり、今はいろいろな働き方を実験する時期だと思っています。来年は、今は保育園に行っている子どもを幼稚園に入れることも考えているので、午前中中心の働き方にしようかとか、夫との役割分担を変えていこうとか。はたらく場所も相手も、決まっていないからこそ柔軟に対応できるのがフリーランスの魅力ですね。

実績が自信につながる

「子どもの成長とともに、いつでも働き方を柔軟に変えられるような立場でいたい」という轡田さん。フリーになるなんて思ってもいなかったとはいえ、実績を積み重ねることが自信になり、次のステージへ踏み出す原動力となっているようです。

「独立=不安定」というイメージが先行しがちですが、目の前の仕事をきちんとやっていけば、可能性は無限に広がるということを轡田さんに教えていただいたような気がします。轡田さんがこの先どんなくらし方、働き方を切り開いていかれるのか、とても楽しみです。

轡田いずみ(Stilla Marketing 代表)

轡田いずみ(Stilla Marketing 代表)

Stilla marketing(スティッラ・マーケティング)代表。Skylight Gamesをはじめ規模・業種様々な会社の事業開発・マーケティングを支援。海外での実践・コネクションに強みをもち、9カ国にわたる案件に従事。特技はリソースの少ない状況で知恵を絞ること。
神奈川出身。上智大学で法学を専攻。留学&放浪&ヒッチハイク&野宿で25カ国を巡る。卒業後、大手機器メーカー、大手教育系企業にてグローバルマーケティング・商品開発に携わる。本業の傍らインドやインドネシアでの新規事業開発にも参画。出産後、独立。2歳児の母。

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