2017年4月25日 更新

子育ても仕事も同じように大事に、精一杯できている ライフスタイル・ジャーナリスト吉野ユリ子さん・後編

子育てと仕事、どちらかが犠牲になってしまうという心配は杞憂だった

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前編に続き、フリーランスのライフスタイル・ジャーナリストとして活躍する吉野ユリ子さんにお話を伺いました。体調を崩すことも多い小さなお子さんの世話と、多くの関係者と予定調整が必要な雑誌づくりの仕事、どのようにバランスをとっているのでしょうか。

どうしようもない時は子連れで打ち合わせにも

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- 例えば打ち合わせを夜に入れられないなど、子どもが生まれるとそれまではなかった調整が必要になりませんか?

フリーランスなので、たまたまその日ほかの仕事が入っている可能性だってあるわけじゃないですか。ですから、都度「保育園のお迎えなので」とお伝えする必要はないですよね。確かに夜の時間帯中心で動くクライアントさんもいらっしゃいます。そういう相手から仕事の打診があった場合は、「行けますけど、子連れでいいですか?」と言ってみる。意外と断られます(笑)


- お子さんが体調を崩して保育園から呼び出されることも、ありますよね?

この冬は頻繁に熱を出して、だいたい毎月3、4日ぐらいは保育園に行けない日がありました。初めて呼び出しの電話があった時は女優さんの撮影の日で、これから長い一日が始まるというタイミング。しかも39度4分の発熱と言われて……。保育園の先生も困っているんですけど、どうにもならなくて、「本当にごめんなさい!」と言いながら、やっと迎えに行けたのは夕方でした。うちの両親も夫の両親も、遠いところに住んでいるし、その時はまだ0歳数ケ月で病児保育や病児シッターに預かってもらえない年齢でした。生後2ケ月ぐらいから病児サービスをしている一部のシッターサービスも満員で、入れても半年先みたいな感じだったんです。

SNSで、「急募!誰か今日の夕方、時間のある方いらっしゃいませんでしょうか?」とヘルプを呼びかけたことも。知り合いのカメラマンさんや友人が「今日は仕事がないから、預かりますよ」と言ってくださって、取材の間お願いしたこともあります。

あとは、過去に数回どうしようもなくて、「申し訳ありません、今日の取材ですが子どもが急に熱を出しちゃって、子連れでもいいでしょうか」とお願いして連れて行きました。


- そういう時のみなさんの反応は?

わりと無反応です。わざと気にしないようにしてくださっているのかもしれないですけど。 「リスクマネージメントができてない」という反省はあるのですが、これからの日本を思うと、誰かが子どもを育てていかなきゃいけないし、その周りの人たちもちょっと迷惑をこうむるという形で、協力していただくしかないかなと(笑) その結果、「あの人ちょっと公私混同でだらしない」と思われてしまったら、「おっしゃるとおり」とあきらめざるを得ないですね。子どもがいなかった時と同じだけの仕事量はできないので、この状況に合わせるのが難しい仕事であれば手放すことが、現状においてはやむを得ない選択かなと思います。

 

子どもがいるから仕事ができないという葛藤はない

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- お子さんがいないときと同じだけの量の仕事はできないということに、フラストレーションはありますか?

ないですね。私は今までライティングの仕事を中心にやってきましたが、たまにキャスティングや司会進行、企画など、違う内容の仕事を受けることもあるんです。例えるなら、娘が生まれてからは、それに加えて「育児」という種類の別のビッグクライアントがレギュラーで入った感覚で。全体で見れば、私は相変わらず精いっぱい仕事をしている。そのひとつひとつに対する思いは変わりません。


- しかもお子さんはかわいいですしね。

そうですね、私でなければできない仕事だし、どれだけ私が精いっぱいやったか、心を込めて接したかで確実に形が変わっていくので、その責任を考えると当然手を抜けないクライアントではありますね(笑)


- そういうふうに仕事のひとつに考えるというのは、いいかもしれないですね。

いざ始めてみたら、一緒ですよね。同じだけ大事だし、今までだってたくさんクライアントがいて、それぞれを天秤にかけることはなかったわけで。
出産する前は、もし私が子どもを産んだら、「子どものせいで仕事ができない」と子どもを邪魔に思ってしまうかもしれないとか、逆に「仕事のせいで子どもをちゃんと可愛がれない」と仕事を邪魔に思ってしまったりとか、仕事と子どもの両方を嫌いになってしまうのでは……、という不安があったんですけど、いざ産んでみたらそんなことはなかった。どうやっていくか、工夫するだけですね。

 

出版業界で働きたい人へ

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- 雑誌の編集といったクリエイティブな世界にあこがれつつも「ワークライフバランスが取りづらそう」と臆しているような人に対して、何かアドバイスがあれば。

働き方という観点でいえば、出版社や編集プロダクションというのは実はほとんどが零細企業で、中にはワンマン経営のところもあります。ですから、自分の働き方の価値観と社風が合うかどうか情報を集めたほうがいいと思います。あとは、会社に入ったら流されずに、自分が会社を変えるぐらいのつもりで、能力や体力の限界をきちんと上司に伝えた方がいい。私自身の反省として、上司は私の抱えている仕事の量やキャパシティを全部把握しているんだと思っていたんですね。でも実際は、上司だって部下全員の仕事量、モチベーションやストレスの状況、体力や精神状態を把握しているわけじゃない。なので、自分の状況を正確に上司に伝えることはわがままでもなんでもなく、「報告・連絡・相談」の一部。部下の役割だと思います。そうするためには、日々の信頼関係をお互いにつくっていかなきゃいけないですけど。日頃から信頼関係を育むことは、働く上でどんな相手とでも必要なことだと思います。


- いまは専業主婦だけどまた働きたい人、逆に会社員で一生懸命やっているけど家庭との両立の面で迷っている人に対しては。

フリーランスで働く良さっていうのは、仕事の量、内容、相手、時間、ぜんぶ自分で決められるところなんですよね。その都度自分が100%納得して仕事をコントロールできるし、自分の人生のかじ取りをできるっていうことが自信につながるし、「自分が選んでやっていることなんだ」って感じながら生きていけることが幸せなのではと思います。
子育てや家事も「やらされている」と思えば、辛いかもしれません。だけど「自分で選んだ人生だ」と考えて、仕事も家事も子育ても、いかに自分が手綱を握って、快適な環境、良いバランスに調整していくか楽しめるようになったら、すごくハッピーだと思います。

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