2017年9月9日 更新

副業OKになったクラウドワークス。広報・稲増さんが週末カフェ営業で得られたものは?

会社公認で副業をするメリットとは?

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2016年7月、クラウドワークスは社員が多様な働き方を実現するための人事制度「ハタカク!」を発表しました。「ハタカク!」とは、すべての正社員を対象に(1)副業の自由化、 (2)リモートワーク 、(3)フレックスタイムを認めるというもの。その流れを受けて、会社公認のオープンな状態で副業をスタートさせた方たちがいます。以前飲食店で働いていた経験もあり、「いつかはカフェをやりたい」という夢を抱いていた広報担当の稲増祐希さんも、その中のひとりでした。カフェ開店実現への第一歩を踏み出した結果、どういった手ごたえを感じているのでしょうか。

稲増 祐希(株式会社クラウドワークス 広報担当)

稲増 祐希(株式会社クラウドワークス 広報担当)

大学時代からカフェでアルバイトを経験、その後もフリーターとして長期で、3店舗のカフェを掛け持ちで勤務。ラテアートを学ぶほか、様々なことに興味を持ち、コミュニティラジオの手伝い、フリーペーパーの編集なども。クラウドワークスの前職のLEDの植物工場の会社では、農学部卒業のスキルを活かして野菜栽培をする傍ら、野菜の販売やネットショップ運営、植物工場への取材対応など経験。その後、まったく別の世界に飛び込もうと、クラウドワークスに入社し、広報担当として日々勉強中。2016年より副業として毎週日曜日にカフェを営業。

 

人がつながる場としてのカフェをライフワークに

- 稲増さんの現在の働き方は、会社では広報担当、フルタイム勤務で変わりないのですか?

そうですね、クラウドワークスの広報担当として、平日5日間フルタイムで働いています。最近はフレックスタイム制度も導入されて、働く時間帯は柔軟になってきています。


- カフェの方は、月に何回営業しているのですか?

毎週日曜日、月4回ということになっていますが、本業との兼ね合いで休むこともあります。プライベートの用事があったり、会社の出張などで、どうしても都合がつかず、月2回のオープンになってしまうというときもありますけど。


- こういう素敵な場所が、よく見つかりましたね。

本当に偶然だったんです。クラウドワークスを通じて働いているユーザーさんが、今お借りしているカフェの空間づくりやディレクションをされていて、私がカフェをやりたがっているというのを知って、オーナーさんを紹介してくださいました。そのときは、まだカフェもオープンしたてで、日曜日を休業にされていました。そこから、私が休業日である日曜日に営業することが決まりました。


- カフェの業務は、完全にひとりで回しているんですか?

今は、そうなんですよ。西荻窪はファミリー層が多く、日曜日はみなさん街の外へ出かけてしまう方も多くて、それほどは混雑しないのです。ただ、場合によっては、ひとりで回しきれないんじゃないか……というようなときもありますね。


- カフェをやる日のスケジュールは?

朝は7時過ぎぐらいに自宅を出て、お店に着くのがだいたい8時半。前日や朝イチで買い出しをしたり、仕込みをしています。今は、10時に開店し、16時に閉店、その後1時間から1時間半ほどで片付ける感じです。


- カフェのスタッフ経験があったんですか?

大学時代と卒業後の2年ほど、カフェで掛け持ちで働いていました。自分がコーヒー好きという理由もあるんですけど、人と人がつながる場所づくりが好きなんです。飲食店に行くときは、「食事をする」というのが当たり前の目的なんですけど、カフェは「仕事をしたい」「話したい」「休憩したい」とか別の目的が多いような気がします。今は毎週日曜日と決めて、営業をしていますが、以前は年に一度場所を借りてイベント的にカフェをやっていたんです。その時も、私がコネクタのような役割になって人がつながっている気がしました。


- それはカフェをやるためのイベントだったんですか?

いつかカフェをやりたいけど、お金もないし、どうしたらいいかわからない、お店を回せるかもわからない。だから1日だけ店長として場所を借りたんです。「1日だけカフェを営業しますから」とお知らせして。来てくれるのは知り合いが多くなっちゃうんですけど、お借りしたお店の常連さんが面白がって来てくれたりもしましたね。ただ、単発のイベントでは、せっかくの機会がその一回で終わってしまうんですよね。ある程度継続しないと関係づくりが難しい。それに、1日に集中して混み合ってしまうので、お店をうまく回すことができなかったんです。
そういった経験もあって「継続してやってみないとわからないことがありそうだな」と感じました。今の目標はとりあえず「拠点を決めて、毎週1回カフェを長めにやってみる」ということ。経営というよりは、カフェを営業することの「経験」を得ることが目的です。

 

お客さんの気持ちを知るために、色々な仕事を経験したかった

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- そもそも、本業として広報のお仕事を選んだのはなぜですか?

カフェでのアルバイトをしながら、半年ほどフリーペーパーの編集の仕事をしていたことがきっかけかもしれません。フリーターから転職を考えていたときに、大学時代の先輩に相談したところ「広報的な仕事もできるんじゃないの?」と言われて。そもそもフリーターから転職って結構ハードルが高くてどうしようか悩んでいたんですよね。そして、先輩に紹介してもらった会社で初めて正社員になり、広報的な仕事にも少しずつ携わるようになりました。


- 将来カフェを経営するにしても、違うキャリアを見ておいた方がいいという考えだったんですか?

はい。そもそも会話や人のつながりをカフェに求めていたので「カフェに来る人の職業や立場はさまざまなのに、自分の仕事の経験が少ないと相手のことが全然理解できないのでは?」と思っていました。いわゆるデスクワークをする会社員としての経験がまったくなかったので、まずは経験した上でお店に来る人たちの気持ちをわかるようになりたいなと。
それから、いろんなことに興味がある性格なので、何かの仕事を一本でやっていくのは、向いていないかもしれないとも思っていました。まずはできるときに、とりあえずいろいろやってみると決めました。その中でも広報という仕事は、社内の様々な部署の仕事を広く見ることができるので興味がありました。


- それでも、心にはいつもカフェへの思いがある感じですか。

今すぐお店を経営したいというわけではないですけど、心のどこかで「やりたい」という思いがあって、でももしかしたら一本じゃなく、常にふたつやっている状態でもいいのかもしれないなとも思っています。


- 同時にふたつのことをやるのは、体力的に疲れませんか?

最初はすごく疲れましたけど、生活サイクルが決まってくると同時に、慣れてきました。それに、普段はずっとデスクワークなので、カフェの仕事では身体を動かせるし、リフレッシュになるという面もありますね。

 

継続することで、カフェが好きという気持ちを再確認できた

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毎週異なるメニューを考えているそう。ケーキも手作りです。

毎週異なるメニューを考えているそう。ケーキも手作りです。

- お店を始めてどのくらい経ちますか?

クラウドワークスの人事制度「ハタカク!」が開始した昨年の7月ごろからなので、9か月程になります。最初の頃は知り合いばかりで、一般のお客さんは全然来ませんでした(苦笑)


- 今までを振り返っていかがですか?

最近になってようやく、リピートで来てくださるお客さんができました。少しずつ関係を築けている感じがして、すごく嬉しいです。
でも一方で、やりたいことはいろいろあるのに、時間を作るのが難しくて進んでいません。メニューを充実させたり、料理やお菓子を作る技術にしても、もっと勉強したい。 カフェを運営しながらつらいことももちろんあるのですが、ひとまず「続けられている」ということは、「やっぱりカフェの仕事が好きなんだな」とあらためてよくわかりました。ふつう、つらくなったらやめるじゃないですか(笑)

 

副業容認に対する、社内の反応

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- 「ハタカク!」が発表された時、社内の受け止め方はどういった感じでした?

働き方革命というスローガンを掲げて多様な働き方が受け入れられる環境を提供すると言っているので、社員としてはやっと導入されたという感じでした。
以前からも試験的には導入していましたが、大々的に発表したのはその時だったので、会社が「ハタカク!」を宣言したことによって、堂々と社員どうしで「カフェやります」「副業やってます」と言い合えるようになりました。ほかにも、「今の仕事以外で、今後どういうふうに働きたいと考えているか」など、広く話ができるようになり、導入をきっかけに相互理解が深まった感触です。


- 稲増さん以外には、どういう副業をしている人がいるんですか?

以前はフリーランスだった人が、当時やっていた仕事を再開して動画制作をしていたり、エンジニアでアプリ制作をしている人がいたり。あとは、クラウドワークスのサービスを通じて仕事をしてみるというのもありますね。


- 逆に、副業容認によって生じるデメリットは考えられますか?

私の場合は、収入を増やすというよりは、経験を大事にしていますけど、これから副業をする人が増えてくると、副業の収入の方が会社の給与より上がってしまうことや副業が本業になってしまうということも起こり得るかと思います。そうなると、会社の人材流出の懸念はありますね。そのほか、雇用されてやる副業の場合は、自分でスケジュール調整などハンドリングできなくなってしまうなど、本業に支障をきたしてしまうこともあるかもしれません。

 

思いがけず、会社での仕事に対するメリットも生まれた

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- 直接的に、会社での仕事に還元できたことはありますか?

カフェに来た社員とユーザーさんをつないで、サービスの改善したいところを社員に直接伝える機会がありました。サービス運営をしているなかで直接意見をぶつけてもらう機会は、会社では敢えて企画をしない限りはなかなかできないので、それが自然に生まれる環境は、会社に役立っているのではないかなと思います。また、そういう偶然がなくても、私がカフェを運営しながらユーザーさんに意見をもらって、会社にフィードバックすることもできますね。
それから、広報は社内のいろいろな情報を集めてPRの材料にしているので、普段全然お話することのない部署の人がお客さんで来てくれたときは、絶好のネタ収集の機会として役立っています(笑)


- ユーザーさんや社員の方がいらっしゃるのは、副業としてこのカフェをやっているということがオープンに言える環境だからこそですよね。やはりオープンなほうがいいですか?

絶対いいと思いますね。広報は会社の顔としてメディアさんやユーザーさんとお話しをすることが多いのですが、大抵は自社のことばかり話さないといけなくなります。でも、そうするとコミュニケーションがあまり成り立たないこともあるんです。その時に「会社公認でこういうことやってるんですよね」と話ができるだけで、お互いの人間性もわかって関係づくりがしやすい気がします。以前より、会社はもちろん、個人にも興味を持ってくれる人が増えたと感じています。

 

インタビューを終えて

会社の人事制度改革によって、社内外に対してオープンな状態でカフェを営業することができた稲増さん。自身の夢に一歩近づくとともに、本業にまつわる人との交流がより良いものになったという、予想外のメリットもあったようです。副業容認によって、企業にとっては優秀な人材の確保が、個人にとっては自己実現やスキルの積み重ねで市場価値を高めることが可能になるという、好例ではないでしょうか。

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鈴木 せいら 鈴木 せいら