2017年8月9日 更新

我が子が「学童にいきたくない」と言い出した日 「子どもの権利」として放課後の居場所を【カエルチカラ・プロジェクトVol.2】

日本における子どもたちの「居場所」とは

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(この記事は「LAXIC」より転載、編集しています。)

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〔本原稿は、カエルチカラ・プロジェクトの一環として「なかのまどか言語化塾」に参加した女性たちが書いたものです。ライターや専門家ではなく、問題の当事者が当事者自身の言葉で発信することで、社会への問題提起や似たような立場に置かれた方々への情報共有を目指しています。編集協力:中野円佳〕

「学童に行きたくない」と息子が言い出した日

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「狭いと心も窮屈になる」

息子から名言が飛び出したのは小学3年生の6月。それまでお世話になっていた学童保育に「行きたくない」と言い出した。

学童保育は第二の家庭とも言われているが、息子が通っていたのは小学校の空き教室1.5部屋を利用したかなり窮屈な狭小学童。先生達の事務スペースも更衣室も無く、給湯室を含めて99㎡しかない。その施設面積から算出した定員は60名(99㎡÷1.65㎡/人)に設定されてはいたが、自治体の条例で定員を超えても3年生までは受け入れる仕組みで、多い時には80名近い子どもが在籍していた。

この年齢の子ども達がやる事と言えば、ゴロゴロしながら本や漫画を読んだり、大好きなレゴに夢中になって巨大な作品を作ったりすること。でも、それが出来るスペースはもちろん無く、おやつの時間には子ども同士の肩と背が触れ合う程にひしめいていて、限界を超えて子どもが詰め込まれていた。

保育園では2歳以上は1.98㎡/人の保育室の確保が義務付けられているのに対し、学童保育は1.65㎡/人が努力義務。その算出の仕方も保育園と比べ曖昧な上に、体も動きもダイナミックになっている小学生の方が狭いと言うのは何故なのか私には理解出来ない。そんな劣悪な環境だったので、息子の気持ちも手に取るように理解でき、学童保育退所を受け入れざるを得なかった。

行き場所がない

学童保育を退所後、息子は行き場を求めてウロウロする日々が続いた。友達と遊ぶ約束をしてきても時間すら決めず、待ち合わせ場所も広大な公園のどこと指定するでも無く下校してくる事がしばしば。公園へ行ったものの友達と会えずにトボトボと帰宅する事もあったし、会えるまでウロウロと歩き回り、そのうち違う友達に出会って遊ぶ、という事も多かった。

そんな繰り返しの日々の中、息子も逞しくなっていった側面もある。まず、友達と時間と場所を決めて遊べるようになった(当たり前のように感じるが、小学生男子にはかなりハードルが高い)。約束を取り付けられなかった時は学校配布の連絡網が活躍し、電話をして遊び相手を確保する事も出来るようになった。

しかし、冬を迎え、公園で遊ぶ事も限界を感じるほどの寒さがやってくると、「自宅で遊んでも良いか」と尋ねてきた。以前、マンションエントランスに子ども達が集まり学校に苦情が入った話を聞いていたので、その申し出を断ったら…と不安に感じ、私が在宅勤務をしている日限定でOKとした。すると、気づけば我が家が学童保育のようになっていた。

こっそり息子の部屋をのぞいてみると、押し入れの上段・下段それぞれに2,3名が、他にも4,5名の子ども達。ゲームをする子、レゴをする子、おやつを食べておしゃべりに興じる子、とそれはそれは楽しそうにそれぞれが過ごしていた。その人数に最初はギョッとしたものの、とても幸せな光景を久々に見た気分だった。

でも、本来ならこの光景は地域のどこかにあるべきもので、閉ざされた子ども部屋で繰り広げられるものでは無いのでは?と違和感を覚えた。 野球やサッカーを思う存分出来る公園も少なくなり、放課後、子どもが元気に遊びまわる姿を見る機会は減った。

息子が通う小学校の目の前にはザリガニや沢蟹が生息する小川があり、クワガタもハクビシンも居る自然豊かな山が公園としてあるものの、死角が多く危険との理由で小学生は子どもだけで立ち入る事を許されていない。そう考えると、その行き場の無さに愕然とした。

閉塞感ただよう環境

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そうなるとやはり、子ども達は学童に集うしかないように感じる。でも、 学童保育は共働きなど保育に欠けると認定された子しか所属できないので、子どものコミュニティの分断が引き起こされる。

さらに、息子の通っていた学童保育は希望すれば6年生まで入れる事に条例ではなっているものの、定員を超えても入れるのは3年生まで。必然的に4年生以上は学童保育待機児童となる。そうなった際には全児童対策事業「放課後子ども教室」に切り替えるよう促される。

学童保育と全児童対策事業の違いについて簡単に書くと、学童保育は地域とのつながりを大事にする歴史もあり、子ども達が小銭を握りしめてコンビニへおやつを買いに行ったり、公園や高齢者施設へ行ったり地域と関わりを持つ活動がある。一方、全児童対策事業では校門を出る事すら許されない。

中・高学年となり、興味関心は広い世界へと向いていくのが自然と思うが、夏休みなどの長期休業で1日の大半を過ごすのに学校から出る事すら許されない。そんな閉塞感漂う状況では行きたがらなくなるのは目に見えている。

では、児童館はと言うと、私が住む地区には残念ながら子どもの足でパッと行けるような場所に児童館は無い。無いなら作ってもらう事は出来ないかと、児童館新設を行政に何度も懇願しているものの良い返事は一向に来ない。

また最近では、総務省が打ち出した公共施設等総合管理計画の影響もあり、小学生は児童館を利用できず、未就学児と中高生の居場所として機能分化させようとする自治体もある。児童館からも小学生は追い出されそうになっている悲しい現実だ。

小学生は学校の中にだけ縛り付け、狭い世界で友達と仲良く遊べていればそれで良いのだろうか。私はそうは思わない。同級生はもちろん、上下学年の異年齢の子ども達、地域の様々な大人とのコミュニケーションを通し、人が備えておくべき「生き抜く力」を育む大切な時期では無いだろうか。

「夢のような居場所」はないのか

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その大切な時を安全安心だからと学校の中だけに押し留める事は、子ども達を守っているようでいて、大事な育ちの場を奪ってしまう事に繋がると感じている。学校でいじめられている子はきっと校門を入る事すら躊躇うに違いない。小学生の居場所が学校だけで良いはずが無い。

どこへも行き場が無く八方ふさがりに見える子ども達。どんな場があったら、子ども達は楽しい放課後を過ごす事が出来るのだろう。

パッと頭に浮かんだのは「ドラえもんに出て来る土管のある空地」。友達と遊びたいと思い立ち、行ってみれば誰かは必ず居るような開かれた安心感のある空間。寒さも暑さもドラえもんが道具を出してくれるからしのげてしまう。そんな夢のような居場所があったら…。

とは言えここは現実社会。ドラえもんは居ない。でも、そんな夢の場所に近い場所は存在しうるのだろうか。

池本美香 編著『子どもの放課後を考える~諸外国との比較で見る学童保育問題~』に、その夢の場所に近い、諸外国での子ども達の居場所について書かれていたので、かいつまんでご紹介したい。

(次ページ:諸外国の事例

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