2016年10月25日 更新

正社員と非正社員の「同一労働同一賃金」、りそなグループの場合

「同一労働同一賃金」が実現されると、働く私たちにはどのような影響があるのでしょうか? りそなグループの取り組みから考えます。

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今、「一億総活躍社会」を目指すための大きな鍵として、国が力を入れているのが働き方改革です。

政府は9月27日、安倍総理を議長、加藤勝信働き方改革担当大臣と塩崎恭久厚生労働大臣を議長代理とする「働き方改革実現会議」の初会合を開催しました。

安倍総理はこの日、この会議で取り上げていくテーマとして、以下の9つを挙げました。

「働き方改革実現会議」で取り上げる9つのテーマ

1. 同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

2. 賃金引き上げと労働生産性の向上

3. 時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正

4. 雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の問題

5. テレワーク、副業・兼業といった柔軟な働き方

6. 働き方に中立的な社会保障制度・税制など女性・若者が活躍しやすい環境整備

7. 高齢者の就業促進

8. 病気の治療、そして子育て・介護と仕事の両立

9. 外国人材の受入れの問題

thinkstock (5918)

同一労働同一賃金については「例えば、女性では、結婚・子育てなどもあり、30代半ば以降、

自ら非正規雇用を選択している人が多い」こと

パートタイム労働者の賃金水準は欧州諸国においては正規労働者に比べ2割低い状況であるが、

我が国では4割低くなっている」ことを問題点として挙げ、この待遇改善は「待ったなしの重要課題である」としています。

しかしながら、どのような賃金差が不当とされるのかというガイドラインについては、「年内を目処に策定」と触れるのみで、まだ具体的に示されていません。

実現されると、働く私達にはどんな影響があるのでしょうか。

自社の考える「同一労働同一賃金」を先進的に導入している企業では、何を持って同一としているのか、その取り組みを見てみましょう。

りそなグループの取り組み

「働き方改革実現会議」には、有識者や民間企業の経営者なども委員として参加しています。

そのひとり、株式会社りそなホールディングス執行役 人材サービス部長の新屋和代さんは、りそなグループにおける同一労働同一賃金への取り組みを会議で発表しました。

りそなグループでは、平成20年10月より新たな人事制度として社員・パートタイマー等の人事制度を統合し、同一の評価書をもとに同じ基準で評価されるようになりました。

具体的には、同一の能力・実績であれば、社員・パートタイマー等の社員ともに、時給換算で同水準の処遇を基本としています。

ただし、責任や負担間等の違い(隔地転勤、異動・係替え、時間外勤務・休日勤務、臨時対応・トラブル対応等)を踏まえ、賞与・退職金・福利厚生等では差を設けています。

「働き方改革実現会議」新屋和代議員提出資料より

「働き方改革実現会議」新屋和代議員提出資料より

また、育児や介護等の理由により、一時的に社員からパートタイマーへ転換、そして事由が終了した後は、パートタイマーから正社員へ再転換といったような職種間の転換制度もあり、まさにライフスタイルに合った働き方ができるようになっています。

会社と個人が得られるメリットは?

非正規雇用者のメリット

・時給換算の給与は正社員と同じ

・転勤や時間外勤務・休日出社がなくライフスタイルに合わせて働くことができる

・パートタイマーのスタッフからは「同じ仕事をしているうえで評価が一緒ということ、賃金も一緒ということは、平等、目線が同じということで、同じ方向に向かってみんなと一緒に進めていけると感じる。」との声も

NHKニュース おはよう日本 特集ダイジェスト「成長に...

NHKニュース おはよう日本 特集ダイジェスト「成長につながるか 模索する企業」より

 

会社のメリット

・非正規雇用者のやる気アップにつながる

・優秀な人材の確保

ただし、この制度がここまでうまく活用されるようになった背景には、同社の深刻な経営危機があります。

経営の悪化で正社員が大量に退職してしまうという事態を乗り越えるため、「性別・年齢・職種に関係なく活躍できるにはどうしたらいいか」ということを企業自らが突き詰めて考え、改革を行った結果であるということは大きいでしょう。

まとめ

りそな銀行の例から分かるように、正規・非正規間で賞与や福利厚生の違いがあっても、その差を「働きやすさ」など納得できる形で埋めることにより不公平感を低減できるのかどうか、 そして、同一の労働とは何かという判断基準をそれぞれの企業毎にどうやって設けていくのか、といったことが制度づくりのポイントになりそうです。

また、非正規社員の賃金底上げを語る際に切っても切り離せないのが、正規社員の賃金形態です。長く働けば働くほど、給料が上昇していく年功序列制度がベースとなっている現行のシステムにより、同一の仕事をしていても同一の賃金にならない現状がこの格差を生み出しているとすれば、正規社員の賃金形態の見直しも避けては通れないかもしれません。

職務に対しての成果がより目に見える形で評価されるようになると、勤務時間の長短や正規・非正規といった勤務形態に関わらず、実力次第で多様な人材が活躍できるようになるでしょう。企業にとってもそういったやる気のある優秀な人材の確保につながるような制度になるのかどうか、今後に注目したいところです。

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西谷 じゅり 西谷 じゅり