2016年12月1日 更新

海外でできる自分らしい仕事とは?旅するフリーランサー早瀧正治さんへの質問【前編】

ヨーロッパを旅行しながら海外のクライアントの仕事を請け負うフリーランサー早瀧正治さんへのインタビュー。前半では、海外で仕事をするようになった経緯や、日本人だからこそできる仕事について伺いました。

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インタビューの時期をメールで伝えると、早瀧さんからは「その週はポーランドかハンガリーのどこかにいます」と返信がありました。1週間後の予定も細かく決めず、バスを使ってヨーロッパを旅して回っているという早瀧さん。インタビュー当日は、Airbnb(エアビーアンドビー)で見つけたというポーランドのお部屋からSkypeをつないでくれました。

天気が良ければ仕事より観光! 今日の予定はその日の朝に決める

滞在先のポーランドにて

滞在先のポーランドにて

- 今、日本は午後3時ですが、そちらは何時ですか?

朝の7時です。

- 朝早くからありがとうございます。今はポーランドにいらっしゃるということですが、何か理由があるんですか?

特に理由はないです。以前チェコに住んでいたのですが、チェコから近いポーランドには行ったことがなかったな、と思って。

- 旅をしながら仕事をしているということですが、1日のスケジュールはどんな感じですか?

その日の天気によりますね。雨が降っていたら1日12時間くらい働くんですけど、天気が良いときは「仕事なんてしてらんね〜」って感じで、1日3~5時間くらいしか働きません(笑)。

- いいですね(笑)。せっかく色々な土地を訪れているのに、満喫しないともったいないですよね。

はい。なので天気にもよりますが、平均すると1日の仕事時間は3〜5時間です。
まず朝起きたら、Todoist(スマートフォンやパソコンで使えるタスク管理ツール)とGoogleカレンダーを見ながら、1日の大まかな時間割みたいなものを作ります。1時間目にメールチェックと、freelancer.com(クラウドソーシングサイト)やLinkedin(ビジネス向けSNS)での営業活動をしたり、ヘッドハンターさんとやり取りをしたりして、その次は朝のうちに一番頭を使う仕事をすることにしているんです。こういうインタビューもあまり慣れていないことなので、朝に入れるようにしていますね。残りの時間は、決まったタスクをこなしていくという感じです。

- 仕事をする場所は?

エアビーアンドビーで借りた部屋だったりカフェだったり、夏は公園に出かけて外で仕事することもありますよ。

22歳で日本を出て、スロバキアで就職

- 今のお仕事の内容を教えてください。

Todoistを開発しているDoistという会社と、アメリカのオンライン・マーケティングの代理店であるDigital Riverという2社とは、契約社員のような形で継続的に日本向けのWebマーケティングの仕事をしています。それ以外に、freelancer.com経由で単発の仕事を請け負って、主に海外のWebサイトやアプリの日本語への翻訳をしています。

- どういった経緯で、今のようなワークスタイルに?

大学までは日本にいたのですが、海外に出ていろんな経験をしたいな、と思って卒業後すぐに日本を出たんです。最初はスロバキアでIBMに就職してシステムエンジニアっぽいことをしました。

- なぜスロバキアに?

その時の彼女がスロバキア人だったので(笑)

- なるほど。いきなりIBMに就職なんて、すごいですね。仕事では英語を使うんですか?

がんばって面接を受けて雇ってもらいました。IBMの他に、フェデックスとかアップルとか、アメリカの大企業は人件費が安い国にオフィスをおいて外国人を雇うことが一般的なんですよ。そういう会社だと働いている人の半分くらいは外国人だったりして、現地語ではなく英語で仕事をすることになります。

- ビザの手続きなんかは、会社がやってくれるんですか?

IBMは大きくてしっかりした会社だったので、きちんとやってくれましたね。その後チェコに移って、アメリカに本社がある物流会社に転職したんですけど、そのときは自分でやらなければいけなくて。民間の支援団体や弁護士を探したり、チェコ人の友達を作ったりして、どうやったらビザが取れるのか情報収集から始めたので、すごく大変でした。

- そのあたりは、会社にもよるんですね。フリーランスの仕事を始めたのはいつ頃ですか?

4年くらい前です。そのチェコの会社は在宅勤務もOKで、やるべきことをやっていれば上司からうるさく言われることもなかったので、あまった時間で他のこともやってみようとfreelencer.comに登録したんです。
そうすると1年後くらいには、フリーランスとしての仕事がかなり軌道にのってきたんですね。オファーも多すぎて断っていたくらいで、フルタイムでやれば1ヶ月3000〜4000ドル稼げる見込みも立っていました。
ただ、お世話になった会社を辞めるのは申し訳ないなと思ったり、辞めてしまうとビザを失ってしまうという問題もあって、しばらくは両方を続けていました。ですが昨年10月にチェコで付き合っていた彼女と分かれて、チェコにいる理由がなくなったし。今の若いうちに色々なところに旅をしながら仕事をするのもいいな、と思って会社を辞めたんです。

- そうだったんですか。では、旅しながら仕事をするというスタイルは、始めて1年くらいになるわけですね。その間ずっと日本には帰らずですか? そもそも住所はどこに?

チェコの会社を辞めた後に日本で個人事業主登録をしましたので、住民票は日本にあります。今年は京都や大阪を旅行したので、日本にも長く滞在しましたが、来年は確定申告のために帰る以外は、ほとんど海外にいるつもりです。

原文に忠実にではなくマーケティング的に正しい翻訳をするという仕事

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- 会社員時代にクラウドソーシングで副業をし、独立できるほど稼げたというのはすごいことだと思うのですが、翻訳の仕事ってそんなに需要があるんですか?

ありますよ。翻訳といっても、僕がやっているのは普通の翻訳ではなくて、SEOとかコピーライティングの部分で、元の英語をそのまま日本語にしても意味がわからないようなものを、日本の文化とか文脈に合った言葉に変えるということなんです。

- 違う言葉に変えてしまうんですか?

そう。元の文章の意味を尊重しながら、その国の経済的状況や文化的背景を考慮して、書き換えるんです。
例えばTodoistの場合、英語のキャッチコピーは「Achieve more, every day」(直訳すると、「毎日、より多く達成しよう」)なんです。ちょっとアメリカンドリームっぽい言葉ですよね。でも日本だと、タスク管理ツールを使う人は夢を追うというよりは、忙しいから使うという人が多いので、こういうキャッチコピーはあまり響かないと思うんです。それで僕は、「ストレスフリーのタスク管理アプリ」と翻訳しました。つまり、原文は無視して、マーケティング的に正しい翻訳というのをするんです。

- なるほど! それは確かに需要がありそうです。そういう仕事に名前は付いていないんですか?

翻訳のことを英語ではtranslationの他に、localizationとも言います。定義がはっきりしないですけど。僕がやっているのは一歩踏み込んだローカライゼーションでしょうか。

自由な働き方は、それを尊重してくれるお客さんを選ぶことで成り立つ

- その一歩踏み込んだローカライゼーションというのは、早瀧さん以外にやっている人が、あまりいないんでしょうか?

そうですね。特にマーケティング的に考えてやるという人は少ないと思います。大企業でそういう作業が必要となったときは、企業からオンライン・マーケティングの代理店に声がかかって、その代理店がそれをできそうな日本人を雇うということがあるのですが、僕は同じコンペに参加する5つの代理店から同時に声をかけられたことがあります(笑)

- (笑)。そんな仕事に需要があるということは、自分で気づいたんですか?

はい。freelancer.comで受けたWebサイトの翻訳の仕事をしているときに、「そのまま日本語にしたらダサいな」と思うことがあって、「こういう風に修正した方がいいんじゃない?」と提案したら喜ばれた、というのがきっかけですね。

- 今、旅をしながら仕事をするということが可能なのは、翻訳の仕事でかなり売れっ子になり、仕事を選べる立場だから、ということもあるのでしょうか?

そうですね。平日は2〜3時間しか働きませんとか、メールを確認するのは1日1回くらいで緊急メールは受け付けませんとか、Skypeはしませんとか――、そういったことをあらかじめ伝えて、それを尊重してくれるお客さんと仕事をすることにしています。

そのときどきで暮らしたい場所や理想のライフスタイルがあって、それが叶う仕事を見つけたり、作り出したりしている早瀧さんの行動力には驚かされました。
後編では、メンバーが世界各地でリモートワークをしているDoistでのワークスタイルや、日本と欧米の仕事に対するスタンスの違いなどについてお聞きします!

早瀧 正治(はやたき まさはる)

早瀧 正治(はやたき まさはる)

日本の大学を建材学部で卒業後、海外就職を経て、現在はリモートフリーランスとして働いています。サービスの内容は、日本に進出したい海外の企業や、海外の広告代理店にオンラインマーケティングや翻訳をすることです。
http://nihongo.hayataki-masaharu.jp/

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