2017年3月14日 更新

労働時間はもっと短くできる?8時間労働・週休2日の歴史(労働日数編)

週休3日は広がるでしょうか?

371 view

前編では、「8時間労働」が最初に提唱された200年前から、世界的に定着していった歴史を追い、現在は「6時間労働」などに取り組む国や企業もあることを紹介しました。

今回は、週5日勤務・週休2日制の歴史を振り返り、「週休3日」などの新しい概念について考えます。

 

「週5日勤務・週休2日制」の歴史

 

週休2日制を最初に導入したのは自動車のフォード

1913年当時のフォードの組み立てライン

1913年当時のフォードの組み立てライン

アメリカで最も早く(おそらく世界的にも先陣をきって)週休2日制を導入したのは、自動車メーカーのフォードの創設者のヘンリー・フォードだと言われています。

工場の労働者には1926年の5月1日から、事務員には同年8月から、1日8時間・週5日の40時間労働制を導入――、このフォードの動きを受け、多くの製造業が週休2日制に移行し、それが今日のスタンダードになったといいます。

他の会社がフォードの動きを追いかけた背景には、フォードがその前に行った賃金引き上げの成功があったからかもしれません。フォードは1914年に、1日9時間の労働に対して2.34ドルだった最低日給を、8時間で5ドルにしました。このことは業界に激震をもたらしましたが、フォードの熟練工達は会社に愛着を持ち、定着率が高まったため、職業訓練コストの低下、生産性の向上という大きな効果を産んだのです。

フォードは、労働者がお金を稼ぎ、余暇の時間を持つことが消費を喚起し、経済の発展につながると考えていました。実際、大量生産による低価格化とあいまって、それまで富裕層のものだった自動車は、一気に大衆に普及したのです。「余暇を増やせばモノが売れる」という考えは今年2月から始まった「プレミアムフライデー」も同じです。しかし、一般の人達が物や娯楽に飢えていたヘンリー・フォードの時代と違いますし、余暇が増えても収入は増えないという状況にあっては、同じような効果を求めるのは難しいでしょう。

 

日本では50年前に松下電器が導入

松下電器産業 創業者の松下幸之助氏

松下電器産業 創業者の松下幸之助氏

日本では、1965年4月17日に松下電器産業(現パナソニック)が週休2日制を導入したのが、最初の事例と言われています。

産経新聞の記事によれば、きっかけは創業者 松下幸之助氏の米国視察。週休2日でかつ日本よりも高額の給料を支払いながら収益を上げている米国流のやり方に感心し、「海外企業との競争に勝つには能率を飛躍的に向上させなくてはいけない。そのためには休日を週2日にし、十分な休養で心身の疲労を回復する一方、文化生活を楽しむことが必要だ」と、週休2日制の導入を宣言したそうです。

 

80年代後半から徐々に「週休2日」が浸透

松下電器は労働日を減らしても生産性を上げ、大きな成長を遂げました。しかし、週休2日制が日本全体に広がるのには、30年程度かかっています。

今から30年前の1987年に労働基準法が改正(1988年施行)され、労働時間の規定は「1日8時間、週48時間以内」から「1日8時間、週40時間以内」に変わりました。この背景には、貿易摩擦により海外から「日本は働きすぎ」という批判が巻き起こっていたことがあります。これを緩和するため、国は当時 2,100 時間前後だった年間総労働時間を1,800時間程度に引き下げることを目標に様々な施策を打ったのです。

労働基準法の改正と同時に日本中が週休2日に――、というわけではなく、移行措置を経て、今からちょうど20年前の1997年4月に全面的にルール化されることになります。

大きなトピックとしては、1989年2月から銀行など金融機関が、土曜日の窓口業務を中止しました。また、1992年5月から、国家公務員も完全週休2日となりました。また、2002年度から公立学校に週5日制が導入されたことも、「土曜と日曜は休み」という意識が浸透した大きな要因でしょう。

 

週休を増やそうという動きはなぜ起きているのか

昨年、ヤフージャパンが「週休3日制」を導入する意向を発表し、世間の話題をさらいました。有名なところだと、ユニクロを展開するファーストリテイリングは、転勤のない「地域正社員」に対して「1日10時間×週4日勤務」の週休3日制を導入済みです。

 

このような、休日を増やそうという動きはなぜ起きているのでしょうか?

 

26 件

この記事を読んだ人におすすめ

残業時間の上限規制案発表。その中身と課題は?

残業時間の上限規制案発表。その中身と課題は?

2月の「働き方改革実現会議」で提示された内容と今後の方向性
西谷 じゅり | 222 view
東京都は子育てしやすい街になる?小池百合子都知事の働き方改革・待機児童対策

東京都は子育てしやすい街になる?小池百合子都知事の働き方改革・待機児童対策

「働きながら子育てしやすい環境」に向けた東京都の取組みとは。
西谷 じゅり | 183 view
働き方改革が本格的に進んでいく2017年、ワーキングマザーを取り巻く環境はどう変わる?

働き方改革が本格的に進んでいく2017年、ワーキングマザーを取り巻く環境はどう変わる?

「自分の人生を自分で選ぶ。人生をゆたかにする。」という理念のもと、女性活躍推進のコンサルティングを行う株式会社bouquet 取締役の髙橋玲衣です。新年を迎えるにあたり、「同一労働同一賃金」と「残業削減」の動きがワーキングマザーに与える影響について考えてみます。
髙橋 玲衣 | 592 view
幸せにくらし、働くための第一歩。最低限の休息を確保する「インターバル規制」

幸せにくらし、働くための第一歩。最低限の休息を確保する「インターバル規制」

長時間労働の解消に向けて、一つのポイントになる取り組みが「インターバル規制」。政府は導入に向けた環境整備を進める方向です。インターバル規制とはいったいどのようなものなのでしょうか? 
西谷 じゅり | 4,962 view

この記事のキーワード

この記事のライター

やつづか えり やつづか えり