2017年5月26日 更新

「無意識の偏見」の見える化で変わる? 女性がより働きやすい社会へ

女性自身がとらわれることもある「無意識の偏見」とは

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サイコム・ブレインズ株式会社は女性活躍推進法の施行1年に際し、女性の活躍を阻んでいると思われる『無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)』に関する意識調査を行いました。無意識の偏見とはいったいどのようなものなのでしょうか? 

無意識の偏見とは何か

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偏見とはかたよった判断や意見のことを指します。人は何かを判断する時に今までの経験などから自分の中に作られたものさしを使いますが、自分では疑いもなく使っているものさしの基準が間違っていることがあります。

例えば「男の人は話を聞くのが苦手」や、「女の人は地図を読むのが苦手」…… ということは統計学的にあてはまったとしても、目の前のその人にはあてはまるとは限りません。 しかし、一度自分の中にものさしが出来てしまうと一様に判断してしまいがちです。

 

無意識の偏見によってどういうことがおこるのか

この無意識の偏見が女性の活躍を阻んでいるということを指摘したのが、サイコム・ブレインズ株式会社の調査結果です。

具体的には「3 歳以下の子供を持つ女性に対して、残業や出張などが発生するような負担の重い仕事をさせることに配慮すべきか?」という設問に対して女性と男性・ダイバーシティ推進部に所属しているかどうかによって回答が大きく異なったのです。

「配慮すべき」と回答した人の割合

ダイバーシティ推進部に所属する女性   6%

ダイバーシティ推進部に所属しない女性  18%

ダイバーシティ推進部に所属する男性   23%

ダイバーシティ推進部に所属しない男性  43%

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ダイバーシティ推進部に所属しない男性のグループが他のグループよりも高いことがわかります。理由としては「働きやすい会社にするため」が88%、「応援したい」が38%でした。女性側としては「本人の意向次第で決めるべき」という回答が80%近く、善意の配慮がありがた迷惑になってしまう可能性があるということを示唆しています。

 

意識の違いが生むマミートラック

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こういった両者のすれ違いが解消されないと、さらに不幸な状態に繋がる可能性があります。それは「マミートラック」と呼ばれる現象。

通常のキャリアアップは階段を登っていくようなイメージですが、マミートラックというのは陸上のトラックをえんえんと走り続けているイメージです。出産や育児休業を経て職場に復帰して通常のキャリアアップのコースから外れてしまった場合に、このようなケースが起こり得るのです。

前提として育児中の社員は勤務時間に制約があるため、簡単な仕事に配置替えするべきという考え方があるのかもしれません。

先程の調査結果でも「3 歳以下の子供がいる女性の仕事(アウトプット)の質が下がっても、やむを得ないか?」という問いに対して以下のような結果になっています。

「仕事に割ける時間に制約があるのだからやむを得ない」と回答している人の割合

ダイバーシティ推進部に所属する女性   25%

ダイバーシティ推進部に所属しない女性  23%

ダイバーシティ推進部に所属する男性   38%

ダイバーシティ推進部に所属しない男性  70%

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自由回答では女性が「質は時間には依存しない。何をアウトプットとするのか、を事前に決めるのが大切」としているのに対し男性が「あまり追い詰めすぎてもよくない」と考え方の違いが明らかになっており、レポートの中では「現在の日本企業のマジョリティである男性が 「時間」と「質」を切り分けて考えることの難しさを象徴していると思われる」としています。

ダイバーシティ推進企業はどのような対策を行っているのか

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この「無意識の偏見」問題に対して既に取組みを行っているのが、ダイバーシティの推進に力を入れているGoogleやユニリーバといった企業です。Googleでは社内教育で「無意識の偏見」の講義を行い、社内環境の改善を目指しています。

(講義の内容はこちら:その決断、実は偏見だらけ! Googleの社員教育で実施された、“無意識バイアス”に関する講義 - ログミー

例えば採用時に「男性」と「女性」や、「ヨーロッパ系」と「アフリカ系アメリカ人」などが持っている潜在的なイメージによって判断が左右されてしまい、本当に必要な人材とは別の観点で判断されてしまうということを指摘しているのですが、注目すべきは、採用者が「何が大事かを口に出して言う」ことでその潜在的なイメージにとらわれることなく判断できるようになるということ。これは、私達自信が自分のバイアスに気づき、取り払う際のヒントになりそうです。

 

私たちが取るべき行動は?

「やりたいなら、手を挙げなくては」という意見はよくわかるのですが、筆者自身せっかく任せてもらっても、もしかしたら突然子どもが熱を出したりするかもしれないし、自分がここで参加したら他の子育て中社員も同じように負担が増えた場合、中には嫌だと思う人もいるかもしれない……、などと考えると与えられたものをやるという現状に落ち着いてしまうという経験があります。アンコンシャスバイアスは、他者に対する判断だけでなく、このような自分の行動範囲を狭めてしまうことも指すのです。

まずは 、自分の中に「できないかもしれない」という偏見が多めにあるということを自覚し、要望を声に出す(ひとりで口に出すだけでも違うそうです!)ことから変わっていくのかもしれません。

 

(出典:「女性活躍推進に関する意識調査」結果報告サイコム・ブレインズ株式会社)

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西谷 じゅり 西谷 じゅり