2016年12月13日 更新

会社員も好きな場所で働きたい!実践者に学ぶリモートワーク導入のポイント

11月19日に開催されたイベント「リモートワークでひろげよう~リモートワークジャーニー@東京 3rd~」に参加しました。企業へのリモートワーク導入事例や普段の働く様子など、実践されている方たちから聞いたお話をご紹介します。

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全国の様々な地域で開催されている「リモートワークジャーニー」。東京では3回目となる今回は、釧路とウェブでつなぎ2会場同時開催となりました。

両会場でのゲストスピーカーのお話を紹介します。

※今回のイベントでは、「リモートワーク」「テレワーク」「在宅勤務」「自宅勤務」というそれぞれの言葉を企業に雇用されてオフィス以外の場所で働くことという同一の意味で使用しています。

地方でリモートワークをしながら仕事のネットワークづくりも

釧路会場では、以前に『くらしと仕事』でもインタビューをさせていただいたリモートワークジャーニー発起人の中山亜子さんの開会挨拶をされました。

北海道に住みながら東京の会社で働く。場所に制限されないリモートワークは働くママの味方 - くらしと仕事

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その後、四宮琴絵さんが司会をされ、釧路という街でリモートワークで働く/リモートワーカーを街で受けいれる、ということについて考える場が作られました。

まずはインスピレーショントークとして、釧路でリモートワークで働く代表として、フリーライターのこちゆうさんより、リモートワークをするようになった理由やリモートワークという働き方を地域や周りの方たちがどう感じているか、リモートワーカー同士が集まって仕事へ繋がる取り組みをしていることなどのお話しがありました。

「地方都市の釧路でリモートワークをする苦労は全くない!」という、こちゆうさん。一方で、リモートワークだからと言って楽なわけではない、と世間の誤解にも言及されていました。プロ意識をもって仕事をされるからこそ、リモートワークの良さを十分に活かし仕事をされるのだと伝わってきました。

国からも表彰された、NTTデータにおけるテレワーク導入の働きかけ

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東京会場では、はじめに大企業での導入事例ということで、北村有紀さん(株式会社NTTデータ)に10年に渡る軌跡をお話しいただきました。

北村さんは、平成27年度「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」の個人賞を受賞されています。北村さんの活動が、「自らの所属する企業でのテレワークの普及・推進の貢献をした」「他の模範となるテレワークを積極的に活用した働き方によってワーク・ライフ・バランスを実現している」と評価されての受賞だそうです。

テレワーク導入への思い

北村さんが会社でテレワーク導入の働きかけをはじめたきっかけは、社内には働く意欲のある女性がたくさんいるのに、保育園に入れない、小1の壁、家族の転勤など家庭の事情で辞めざるを得ないケースを目の当たりにし、また北村さん自身も子供を保育園に入れることができなかった経験をしたことでした。そのとき、「テレワークが働き続けられる鍵となるのでは」と思ったのだそうです。

「大きな組織の中で導入するには、限られた一部の人たちだけが行えるのではなく、テレワークを必要とする社員の全ての人が実行できるようにということを心がけていた」といいます。

テレワーク導入成功のカギ

テレワーク導入を成功させるポイントのひとつには、決定権を持つ重要な役割を担う方たちを巻き込んだことにあったようです。

「今から10年前、経営幹部にプレゼンテーションを行い、ボトムアップで在宅勤務を検討したい人たちを社内で公募し、集まって検討した。さらにこの場にアドバイザーとして経営企画部や人事部などに加わっていただいた。当初、アドバイザリーメンバーからはテレワークを検討するボトムアップの場になぜ参加させられているのだろう? と怪訝な顔をされたが、会を重ねるごとに『一緒になってやるんだ』という前向きな気持ちになっていただいた」と北村さんは当時を振り返ります。

その後、NTTデータではテレワークのトライアル導入を行い、そこで見つかった課題を見直し、2008年2月に本格制度化。育児や介護等での活用はもちろん、2009年には新型インフルエンザ対策として、2011年には節電対策として、夏季の間、主なビルに勤務する社員全員が週に1回のテレワークと、1週間連続のテレワークを2回行い、今では日本全国のお客様とのビジネスやグローバルビジネスでもテレワークが活用されるというところにまで変化しました。

それでもすんなりと受け入れられたわけではなく「育児や介護で必要としている人は分かるけど、独身男性はさぼりたいだけなのでは?」いう声があったほか、「開発現場ではできないのでは?」「スタッフは良いけど営業はできないのでは?」「管理職はテレワークはできない」など、「自分の部署ではできない」と考えている人がとても多かったそうです。

それらの意見に対して北村さんは、「まずは実際にトライしてみてください、やってみてダメかどうかは本人が一番分かります」と幹部一人ひとりを説得し、「思い込みをはずして働き方を変えてみましょう」というメッセージを発信し続けました。

実際にテレワークを体験してみると「普段会社では、いつも目の前にいる部下が何をしているか分からなかったけれど、テレワークのときは『今日はこんなことしました』と部下から報告してくれるので良かった」「いつもの席では人が横や後ろを通るため、集中して行いたい書類の作成や部下への面談フィードバックの記入等がしづらい。そういった問題がテレワークにより解決された」など、意外にも幹部から好評だったそうです。

リモートワークの超実践企業ならではのエピソード

「リモートワークジャーニー」発起人の一人である倉貫義人さん(ソニックガーデン株式会社社長)からは、リモートワークをとことん実践する企業ならではの面白いエピソードが披露されました。

リモート飲み会に全国各地から参加

普段はお茶を飲みながらTV会議で仕事をしているソニックガーデンの皆さんですが、飲み物をアルコールに変えるだけで飲み会になる! と、オンライン飲み会で日本各地に住んでいる社員たちが交流を深める様子が紹介され、会場からは驚きの声が上がっていました。

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PCのブラウザを立ち上げること=出社!

ソニックガーデンではブラウザの画面を立ち上げ、専用のシステムにログインすることが出勤になると倉貫さんは説明します。オフィスに通勤はしなくても、ツールを使いインターネット上で出勤するという共通認識ができているようです。

そのツール上では、ウェブカメラを利用して各自が働いている様子をリアルタイムで画面上に映すようにしており、そこに映っていない人は今パソコンの前にいないということが分かる仕組みにしているそうです。そのため同僚の顔や様子が常に分かり、一般的なオフィスで会話するのと同じように挨拶や雑談もするそうで「1日中誰とも話さない社員はいない」とのことです。

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リモートワークの楽しさを広げたい

「介護や子育てなどの課題解決のためだけでなく、リモートワーク自体がとても楽しいので多くの人に広めたい」という倉貫さん。その思いが、今のリモートワークジャーニーの活動にもつながっているようです。

ソニックガーデン倉貫さんのお話はこちらも参照ください。
在宅ワーカーだけでなく会社や上司にとっても「リモートワーク」は必須のスキルに
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地元で自分らしい働き方をするには?リモートワークジャーニー@釧路参加レポート

出社が不要の自由な働き方へのチャレンジ

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壽かおりさん(シックス・アパート株式会社)からは、会社の自宅勤務制度について、当初週1日という制限があったものがいつでも自宅勤務可へと変わった経緯などが紹介されました。

段階的な自宅勤務から全面リモートワークへ

シックス・アパート社での自宅勤務制度の始まりは、東日本大震災後、節電と新しい働き方の実験を兼ねて夏期の毎週水曜日を自宅勤務推奨日にしたことからだそうです。

この頃から夏期の毎週水曜日は留守電になり、「本日は自宅勤務推奨日になっており社員はおりませんのでお手数ですがメールでご連絡ください」と流れるそうです。今では主要なクライアントからも「リモートワークをする会社だ」と認識されるようになり、特に支障はないそうです。

その後も、業務システムをクラウド化する、データの取り扱いに関するルールを決めるなど2011年から毎年少しずつ改善させながら環境を作ってきました。

全面リモートワーク解禁のきっかけは、今年6月にEBO(エンプロイー・バイ・アウト:従業員が自社の株式を取得し、企業や事業部門を買収すること)で国内上場企業の親会社から独立したことでした。親会社のルールではなく、自分たちがやりやすい働き方を目指し、毎日自由な場所で働くことができる制度SAWS(Six Apart Working Style)へと変わったのです。

「夏季限定での自宅勤務制度として週1日だったのを一年を通して週5日、毎日自由な場所で働けるように変えました。1日から5日へと変わるときに、チャットでのコミュニケーション方法やどこで働いているか報告する場をネット上に設けたり、オフィス移転で経費が減った分を在宅勤務に係る費用に対する手当として支給するなどさらに工夫を重ねた」と壽さんは説明します。

「現在では、毎日オフィスに出勤する人は0人。総務など週4日出勤している人もいるが、ほとんどの人が用事のあるときに出社する形式」「もともと毎日オフィスに通勤していたので会おうと思えば全員が集まれる環境だが、今後東京在住以外の地方の人を採用した場合や新入社員を採用した場合の対応も考えていく必要がある」という話からも、今後の可能性が感じられます。

広報の壽さんのリモートワークを活用した仕事スタイル

壽さんは広報という仕事柄、他社の方にお会いする機会が多く、カフェでお客様と打合せをし、終了後もそのまま引き続き作業をすることも頻繁にあるそうです。

「同僚と共同作業が必要なとき、オフィスへ行くよりお互いの自宅の方が近かったため、同僚の自宅で仕事をしたことも」というお話も印象的でした。

さらには、「海外旅行へ行く予定の日にプレスリリースの発表が重なったが、事前に準備を済ませ予定通り旅行に出発。旅先で配信作業を行いました。旅行日程を変更せずに仕事も通常通り行うことができました」というエピソードも。今の仕事スタイルにかなり満足しているようです。

リモートワークの実践から見えてきたこと

皆さんのお話からは、リモートワーク導入の過程でそれぞれに紆余曲折がありながらも、段階を経て実践へと進んできたことが伺えました。特に社員の立場から変化を起こそうとチャレンジしてきたというお話からは、一歩を踏み出す勇気をもらえるのではないでしょうか。

また、日常的にリモートワークしている方たちの姿からは、時間や場所を上手に使ってさらに楽しく働けることが伝わってきました。

企業に勤めていてもリモートワークをすることで個々の可能性ももっと広がるのではと感じたイベントでした。

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