2016年6月21日 更新

「ふるさとテレワーク」15地域の取り組みに見る地方の仕事のこれから

総務省で行われた「ふるさとテレワーク推進会議」を傍聴してきました。15の地域での取り組みから、ユニークなアイデアや今後広がっていきそうなワークスタイルをご紹介します。

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ふるさとテレワークとは?

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安倍内閣の掲げる政策のひとつに「地方創生」がありますが、それを実現するためには地方からの人の流出を減らし、また移住などによって人口を増やさなければいけません。そのための方法として総務省が提言したのが、テレワークにより都会と同じように働ける場と機会を作る「ふるさとテレワーク」です。これを普及展開するため、総務省は地域での実証事業の提案を公募し、15の地域で半年間に渡る様々な取り組みが行われました。

2016年4月22日に開催された第5回目の「ふるさとテレワーク推進会議」では、各地域で行われた取り組みの成果が報告されました。

「ふるさとテレワーク」で生まれたユニークな取り組み

各報告を聞いて、特に面白いと感じた取り組みをいくつかご紹介します。

ママテレワーカーのためのコミュニティ、場の提供

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15の地域のほとんどで、現在仕事をしていない女性向けに、クラウドソーシングなどを使った仕事の仕方をレクチャーし、復職の支援をする、ということが行われていました。その中でも一歩進んだ取り組みだな、と感じたのは、テレワーカーとなった女性たちのためのコワーキングスペースを作った福岡県糸島市の事例です。

糸島市の、子育てスペースと仕事スペースを併設した「前原テレワークセンター(愛称:ママトコ)」という場所は、元々の計画にはなかったそう。というのも、クラウドソーシングの仕事自体は在宅でできるからです。でも、子育て中の女性たちから「仕事をしながらママたちが集まる場所がほしい」という声が上がったことから、子育てスペースとワークスペースを併設した「ママトコ」ができました。利用者からは「気兼ねなく仕事に集中できる」と好評だそうです。

企業の在宅勤務制度を利用したり、あるいは個人で仕事を受けたりといった形で、自宅で仕事をする人はこれからどんどん増えていくでしょう。「在宅でできる」というのは大きなメリットではありますが、ずっとひとりで仕事をしているのも寂しく、スキルアップやモチベーションアップのためにも同じような境遇の人たちと交流したいというニーズは確実に出てくると思われます。「ママトコ」のような場所が各地にできるといいですよね。

短期滞在者向けテレワーク施設

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今回の取り組みに当たり、各地にWi-Fiやテレビ会議システムなどを備えたテレワークのための施設が作られました。この3月で実証事業自体は終了しましたが、それらの施設の多くはこれからも継続運営されていく見込みです。いくつかの地域では、そういった施設を短期滞在者がテレワークできる場所として運営していくという構想を明らかにしました。

最近では「ワーケーション」(ワーク+バケーション)と言って、リゾート地などでリフレッシュしながら仕事もする、というスタイルが注目されつつあります。“ふるさと“テレワークというくらいですから、今回実証事業が行われた地域は都会を離れてリフレッシュするのにも魅力的な場所が多くあります。会社の合宿先として使ったり、あるいはフリーランサーが家族旅行と仕事を兼ねて訪れたり、そんな使い方ができる場が増えると、楽しいだけでなく、クリエイティブな発想も生まれそうです。

また、群馬県高崎市では「滞在型テレワークツーリズム」を検討中だそうです。例えば都心では診察のたびに長い待ち時間が発生する不妊治療を高崎で受ければ、テレワーク環境を利用して治療を受けながら従来の仕事も続けられるという案が出ていました。「田舎だったらこんなに混んでいないのに!」と感じることの代表に通勤電車がありますが、それ以外にも、地方なら空いているという場所はまだまだありそう。どこでもテレワークが可能になれば、無駄な時間やストレスをかなり減らして快適な生活が送れそうです。

若者のUターンや定着を目指した取り組み

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多くの地域で、地元の若者がその地にとどまってくれるように、または一度都会に出て行ったとしても、将来はUターンして地域の発展を担ってくれるように、地方でも仕事ができるというイメージを持ってもらうための取り組みがなされていました。

北海道北見市や佐賀県鳥栖市では、地元の大学と連携し、学生たちが地元にいながら東京の会社のインターンシップをできる機会を提供していました。他の地域でも、都会からやってきたIT系技術者がテレワークをするケースが多かったことから、地元の中高生や大学生向けにプログラミング教室を開くといった取り組みも多く、場所にとらわれずに働きやすい仕事のイメージを持てた若者も多かったのではないでしょうか。

 

ITを使った地方の新しい産業

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上で触れた「若者の定着を目指した取り組み」のひとつでもありますが、福島県会津若松市では、地元の会津大学の卒業生が地元で仕事を得られるよう、新しい産業を作ろうとしています。それは「データ分析」という、世界的にも重要度が増している仕事です。会津大学で新たな講座を開設して「データサイエンティスト」になれる人材を送り出し、地元にいながら都会の大企業のデータ分析業務をできるようにしようと言うのです。すでに効果が出ていて、会津大学の卒業生を雇いたいということで、会津若松にサテライトオフィスを開設を希望する企業が出てきているとのことです。

群馬県高崎市では、ロボットのアプリ開発をするベンチャー企業が地元の空き家にオフィスを構えました。介護や教育、子育て、医療など、地元の課題を、最先端の技術で解決することを目指しているそうです。

会議の最後に挨拶をした総務省の太田大臣補佐官は、「こういった新しい分野の仕事は、都会が有利ということはなく、みんな横一線でのスタート。だから地方が最先端になれる可能性がある」と述べました。テレワークの仕事は場所を選ばないというイメージがありますが、「この地域は○○が得意な人材が集まっている」という特色が出てくると、それがまた人や企業を惹きつけ、魅力ある地域へと変化していくきっかけになりそうです。

くらし、仕事…、様々な観点から地域が選択される時代へ

15の地域の報告を聞いて、それぞれ似たような取り組みが多いながらも、少しずつ地域の特色や考え方が見えてくるのが興味深かったです。地域に人が根付くには「仕事がある」ということはとても重要です。でも、やがてテレワークが当たり前になれば、個人が仕事を持って好きなところに移動できるようになるでしょう。そうなると、そこに集まる人材に特色があったり、子育てや医療などの生活支援と仕事のしやすい環境が融合しているといった魅力があるかどうかによって、住む地域を選ぶ時代がやってくるのではないでしょうか。

「ふるさとテレワーク」の取り組みは、働く人たちにとって各地域がどれだけ選ばれる地域になれるかを考える取り組みであるとも言えます。以下に、今回実証事業を行った15の地域を挙げますので、お住まいの近くではどんな事が行われていたのか、気になる方はぜひ調べてみてください。

「ふるさとテレワーク推進のための地域実証事業」実施地域一覧

  • 北海道北見市、斜里町
  • 北海道別海町
  • 岩手県大船渡市
  • 山形県高畠町
  • 福島県会津若松市
  • 群馬県高崎市
  • 長野県塩尻市、富士見町、王滝村
  • 長野県松本市神奈川県横須賀市
  • 京都府京丹後市
  • 奈良県東吉野村
  • 和歌山県白浜町
  • 徳島県鳴門市
  • 福岡県糸島市
  • 佐賀県鳥栖市
  • 沖縄県竹富町

地方での働き方に関心のある方はこちらもどうぞ!

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