2016年12月28日 更新

2016年の働き方関連ニュース振り返り。そして来年はどうなる?

「女性活躍」や「働き方改革」関連のニュースが盛んに報じられた2016年。具体的にはどんな出来事があったのでしょう。私たちのくらしと仕事にまつわるニュースを5つのテーマに分けて振り返り、来年はどうなっていくのかを考えてみます。

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今年4月にスタートした『くらしと仕事』では、インタビューなどで様々な新しい働き方の実践例についてお伝えした他、政治や企業の動きなどのニュースも取り上げてきました。今年の締めくくりとして、働き方に関連するニュースをいくつかのテーマに分けて振り返ってみます。

2016年のニュース

 

1.女性活躍推進に向けた動き

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女性活躍推進法スタート

まず、何と言っても大きいのが「女性活躍推進法」の施行です。今年4月から、従業員数301名以上の企業に、自社の女性の活躍状況を把握・分析し、課題解決のための行動計画を公表することが義務付けられました。

「この業界は男の世界だから……」などと女性の扱いに無頓着だった会社や、育児支援などの制度があっても実際には使わせないような「ポーズだけ」の会社に、変化のきっかけを与えたのではないでしょうか。

「保育園落ちた日本死ね」

国会でも取り上げられ、今年の新語・流行語大賞にも選ばれたこの言葉、元々は今年2月にネットに匿名で書き込まれた文章のタイトルでした。

「死ね」という語気の荒さに注目が集まりましたが、問題の核心は本文中の
「どうすんだよ私活躍出来ねーじゃねーか。」
「保育園も増やせないし児童手当も数千円しか払えないけど少子化なんとかしたいんだよねーってそんなムシのいい話あるかよ」
でしょう。国は「一億総活躍」と言って、女性に働くこと、産むことを求めるけれど、そのために必要な施策が追いついていないのです。

実際、今年4月1日時点では、保育所の定員数は前年比で10万人3千人分増えたものの、待機児童も8万5千人増えています(参照:保育所等関連状況取りまとめ(平成28年4月1日)及び「待機児童解消加速化プラン」集計結果を公表(厚生労働省) )。認定こども園、小規模保育事業、事業所内保育事業など、保育の受け皿を増やす工夫は行われていますが、ベビーシッター利用の補助や多様な働き方に対応する保育サービスのあり方の見直しなど、行政として対応すべきことはまだまだあるように思います。

同一労働同一賃金など、非正規雇用の待遇改善

日本では雇われて働く女性の6割近くが、パート・アルバイト、派遣社員、契約社員といった「非正規労働者」でかつ、正社員との賃金差が大きいという状況にあります。そこを無視して「女性の活躍」を語ることはできないわけで、今年6月にまとめられた「ニッポン一億総活躍プラン」においても、同一労働同一賃金や正社員への転換など、非正規雇用の待遇改善は重要テーマとして掲げられています。それを受け、12月20日に開催された「働き方改革実現会議」では、正社員と非正規社員の報酬や待遇の差について具体的にOK・NGのラインを示唆する「同一労働同一賃金ガイドライン案」が発表されました。

実際の働く現場では、特に人手不足が深刻になっているサービス業を中心にパートやアルバイトの時給が上昇する傾向が見られるほか、正社員かどうかにかかわらず公平な評価や待遇をすることで、従業員のモチベーションやチームワークを引き出そうという会社が徐々に増えてきています。
(参考:正社員と非正規社員の「同一労働同一賃金」、りそなグループの場合

配偶者控除の見直し

パートタイムで働く人にとって、気が気でなかったのが「配偶者控除」見直しの行方ではないでしょうか。

政府の議論は、一旦は廃止論にまで及んだものの途中でトーンダウンし、12月22日に閣議決定した「税制改正大綱」では、38万円の配偶者控除が認められる配偶者の年収上限が103万円から150万円に引き上げられると同時に、夫の側の年収に上限が設けられることになりました(詳細はこちら:配偶者控除の変更でくらしと働き方はどう変わる?「2017年度税制改正大綱」解説&所得税額シミュレーション)。これが、制度を見直す動機であった「女性にもっと働いてもらう」という結果につながるのかどうかは疑問が残りますが、「103万円の壁」を意識して働いていた人が、再度働き方を見直すきっかけになることは間違いないでしょう。

 

2.企業の働き方改革加速

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大企業の在宅勤務導入

今年は名だたる大企業による「在宅勤務導入」のニュースが目立つ年でした。たとえばトヨタ、三菱東京UFJ銀行を始めとする各メガバンク、リクルートホールディングス、イオン(店長にも在宅勤務が認められるように!)など……。

ひとつのきっかけは、前述の「女性活躍推進法」かもしれません。子育てや介護などと両立しやすい働き方のひとつとして在宅勤務(リモートワーク・テレワーク)が注目されたのです。また、大震災などのリスクへの対応として、会社に行かなくても仕事が続けられるしくみを整備しておこうという会社も増えており、今後もこの動きは続くでしょう。

働く時間、日数の見直しに動く企業も

在宅勤務の導入は「働く場所」を見直す動きですが、同時に「時間」や「日数」にもメスを入れる会社が出てきました。

例えばユニリーバは、「WAR(Work from Anywhere & Anytime)」という制度を7月に導入し、社員は平日の朝6時から夜9時の間であれば、いつどこで働いても自由になりました(参考:働く時間を自由にカスタムできる特権はフリーランスのものだけじゃなくなる!?)。まだ構想段階ではありますが、ヤフーが「週休3日制」を検討しているというニュースも、大きな話題になりましたね。

こういった動きは、「週5日、1日8時間」といった「常識」を疑い、生産性の向上やより良い生き方とは何か、考え直す機会になりました。

 

3.長時間労働是正・社員のヘルスケアへの取り組み

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10月には、電通で働いていた新入社員の女性の自殺が労災認定されたというニュースが大きな注目を集めました。

それ以前も「女性活躍」や「生産性向上」の観点から「長時間労働の削減」は重要なテーマだとされていました。しかしこのニュースで、人権や健康を阻害するものとしての認識も高まり、ブラックな働かせ方をする企業への世間の目はより厳しくなったのではないでしょうか。

また、今年は社員に対する「ストレスチェック」を実施した企業も多いでしょう。これは、昨年12月に始まった制度で、従業員50人以上の事業所で毎年1回、全従業員に対して実施する必要があります。具体的には、アンケートによって仕事や職場に関するストレスの有無を測り、職場環境の改善につなげたり、問題がありそうな個人に医師の面接を促す、といったものです。この制度自体、対策としては不十分だという声もありますが、企業の責任として社員の心身の健康に配慮すべし、というメッセージが感じられます。

 

4.副業解禁の動き

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今年2月、ロート製薬が「社員に副業を認めるという」と発表して話題になりました。3月上旬までに60人強が手を挙げ、会社公認で副業をしているとのこと。ロート製薬の狙いは、社員個人個人の人脈や視野を拡げることで、会社として新規事業を生み出しやすくしたいということのようです。(参照:“副業”が変える? 企業と働き方|特集ダイジェスト|NHKニュース おはよう日本)。

最近では国も「副業」に関心を持ち、安倍首相も「副業・兼業はオープン・イノベーションや起業の手段としても有効」、「その普及を図っていくことは極めて重用」と発言しています(参照:平成28年10月24日 働き方改革実現会議)。

副業は法律では決して禁止されていないものの、現状は会社と社員が結ぶ雇用契約や就業規則で禁止が歌われているケースが多くあります。ロート製薬の取り組みなどを見て、他の企業もそのメリットを感じられれば、徐々に見直しが進んでいくでしょう。

 

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