2017年9月9日 更新

正社員になれる?無期転換ルールで「理想の働き方」を選ぶために知っておきたいこと

同じ職場でパート・アルバイトを続けるなら要チェック!

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皆さんは今、どのような働き方をしていますか?
正社員、契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイト、自営業…。様々な働き方がありますが、5年後・10年後はどのような働き方をしたいですか?
来年4月以降対象者が増える「無期転換ルール」は、契約社員、派遣社員、パートタイマー、アルバイトなど期間に定めのある雇用形態の方が、理想の働き方についてじっくり考える良いきっかけとなる制度です。
今回は主婦に特化した人材サービス『しゅふJOB』(事業運営者:株式会社ビースタイル)の調査機関 しゅふJOB総研 所長 川上敬太郎さんに無期転換ルールについてお話を伺いました。

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川上敬太郎(しゅふJOB総研 所長)
1997年愛知大学文学部を卒業後、大手人材派遣会社などで責任者として営業・マーケティング・経営企画・人事・新規事業立ち上げなど事務系人材サービス企業のあらゆる部門に携わる。業界専門誌を発行する株式会社オピニオンでは、営業推進部部長 兼 月刊人材ビジネス編集委員として人材ビジネス企業経営者向けの勉強会を企画運営。2010年株式会社ビースタイル入社。2011年しゅふJOB総合研究所 所長就任。同年人材サービス業界の『声なき声』を社会に届けるフェイスブックページ『ヒトラボ』を立ち上げ編集長に就任。フェイスブックグループ『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰。内閣府 規制改革会議 雇用ワーキンググループ勉強会にて有識者の一人として参加するなど、主婦人材の活躍推進や人材サービス業界のあり方について積極的な意見提言を行う。

 

無期転換ルールとは?

2013年4月1日に改正された労働契約法では、下記の条件の下で有期契約労働者が無期契約への転換を選ぶことのできる「無期転換ルール」が新たに定められました。

無期転換ルールは、同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が5年を超えて反復更新された場合、有期契約労働者(パートタイマーやアルバイトなどの名称を問わず雇用期間が定められた社員)の申込みにより、期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換されることです。
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雪契約労働者の無期転換ポータルサイトの図を参考に、筆者が作図

無期転換ルールの対象となるのは、2013年4月1日以後に開始された通算して5年を超える契約からで、契約の時期と期間によっては既に対象となる方もいますが、多くの該当者が出るのは来年2018年の4月1日以降となります。
まだ先の話だから…と思わずに、今のうちから無期転換ルールについて知識を蓄えておきましょう。

 

無期転換ルールをきっかけに、働き方の選択肢が増える

- 無期転換ルールにおいて、働く側のメリットとなるのはどういったことでしょうか?

まず無期転換ルールにおいてポイントとなるのは、対象者が全員強制的に無期転換するということではなく、無期雇用にするか有期雇用のままでいるかを選ぶことができるということです。

しゅふJOB総研が行った『働く主婦が希望する雇用期間について』のアンケート調査(有効回答数801件)によると、正社員以外の働き方を選択する場合、無期雇用を希望する方は57.3%・有期雇用を希望する方は24.1%という結果になりました。

働く主婦が希望する雇用期間:現在の就業形態“自由度”に応じて違い鮮明  主婦の有期希望率、最大差2倍超  全体結果「無期希望」53.7%「有期希望」24.1% ~しゅふJOB総研調べ~ (11297)

しゅふJOB総研『働く主婦が希望する雇用期間について』アンケート調査より

フリーコメントを見ると有期雇用に関して、「期限が限られていると、その職場でのキャリアアップに限界がある」「不安定だし、保育園や学童で不利だから」など無期雇用を希望する方がいる一方、「出産・育児と続けば、働き方にも柔軟性が必要でかつ雇用体系にも柔軟性を求めたい」「契約時の仕事内容と異なった仕事や環境が変わった事で退職したいと思った時に有期雇用の方が退職しやすいから」などといった理由であえて有期雇用を選択している方もいます。そのような方たちを無理やり無期雇用にするのではなく、あくまでその方が希望すれば無期雇用に転換することができる、というのが無期転換ルールのポイントです。
そのため、メリットを挙げるとすると、「働き方の選択肢が増える」ということです。

 

「雇い止め」のリスクについても把握しておくことが必要

- では逆に、デメリットと言えることはありますか?

ご本人が無期契約に転換したいと考えているのに、5年経つ前に企業側が無期転換を避けるために雇用契約を終了してしまう場合です。厚生労働省は「無期転換ルールを避けることを目的として、無期転換申込権が発生する前に雇い止めをすることは、労働契約法の趣旨に照らして望ましいものではありません」と強く言っています。

- 万が一雇い止めになってしまった場合、労働者側はどうすればいいのでしょうか?

まずは、会社に雇い止めの意思があると感じたら、すぐに転職活動を始めることだと思います。もし不当な雇い止めだと感じるのであれば、労働審判や裁判という方法もあります。

 

正社員だけじゃない、無期転換後の雇用パターン

- 無期転換ルールに対応するため企業はどのような方針を打ち出し、動いているのでしょうか?

まだ準備万端となっている企業は少ないと思います。制度そのものは告知されていますが、企業サイドの社内整備が追い付いていないんです。というのも、無期雇用と一口に言っても様々なパターンが存在するからです。「無期雇用=正社員」だけでなく、今の条件のまま雇用期間だけが無期に転換される場合や、無期に変更するのと同時に待遇面も変更する場合など多様なパターンが想定されます。 無期雇用をどういうふうに取り入れるかは、会社にとって大きな方針となるので悩んでいる企業も多いです。「無期雇用=正社員」という方針を決めた企業は既に正社員転換を進めていますが、無期雇用に対する就業規則を含めた整備が固まりきっていない企業の方が多いのではないでしょうか。

- 無期転換ルールに対する会社の方針がまだ固まっていない場合、今のうちからできることはありますか?

会社の方針を聞く前に、まずは自分がどうしたいかを確認することが重要です。今のうちから10年後・20年後を見据えた働き方を考えておき、会社の方針が決まった段階で既に自分がどう動くかが決まっている状態になっていることが望ましいですね。 次の契約更新時に無期転換の対象になる、という時に初めて考える、とか、会社の方針が決まるまで動かない、というより、自分がどうしたいかを基準に積極的に未来を選択するための準備を整えておくことだと思います。

会社から「正社員になってほしい」と言われたとき、それが自分にとって嬉しいのかそうでないのかは個々人が“どんな働き方をしたいか”によります。必ずしも正社員だけがメリットがある働き方ではなく、正社員になることを拒否する労働者も多いんです。それら個別の志向性を持つ方々が、各自希望する働き方に近づくためにどうすればよいか、という観点が大切だと考えています。

無期転換後の雇用形態が多様化する企業が増え、個別の志向性に応じてさまざまな働き方が同一企業内で選べるようになると魅力的ですね。

 

大切なのは“どのような働き方をしたいか”を自分主導で決めること

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- 自分がどのような働き方をしたいか、きちんと決めた上で会社の方針を確認することが重要なんですね。

自分も職場もこれまでと同じ働き方を望んでいたとしても、法律によって会社の方針が変わってしまう可能性もあります。雇い止めのようなリスクもあり得る中、自分のキャリアを会社に任せきりにするのではなく、自分で作っていくという意識を持ついい機会かもしれないですね。

方針を確認する上で、質問しやすい雰囲気の会社であれば「無期雇用で長く働きたいと思っているので、方針が決まっていたら教えてくださいますか」とそのまま聞いて良いと思います。もし質問しづらい雰囲気の会社であれば信頼のおける上司や周囲の正社員の人で自分を評価してくれている人、応援してくれそうな人にまず相談してみてはいかがでしょうか。

また、今の会社でずっと働くか決めかねている場合でも、例えば将来の転職も視野に入れてあえて無期転換を選んで仕事の幅を広げてみるなど、無期転換ルールを活用して一歩踏み込んだキャリア設計をするのも良いと思います。

- 最初無期転換ルールと聞いたときは雇い止めの問題もあり怖いな、不安だなと思っていました。しかし、本日お話を伺って、個人にとっては自分の理想の働き方や将来のキャリアを見詰め直すことができ、会社にとっては今後の方針を改めて考えることができる、良いきっかけとなるルールなんだな、と感じました。ありがとうございました。

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篠原 舞 篠原 舞