2017年3月14日 更新

労働時間はもっと短くできる?8時間労働・週休2日の歴史(労働時間編)

8時間労働のコンセプトは200年前に生まれた

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内閣では、時間外労働の規制についての議論が大詰めを迎えています(参考:残業時間の上限規制案発表。その中身と課題は?)。

本来「時間外労働」は例外であるべきもので、法律上、会社が従業員を働かせることのできる時間は「1日8時間、1週間に40時間」が基本。そのため1日8時間勤務、週休2日を就業規則で定めている会社が多いのですが、これが当たり前になったのは、いつ頃からなのでしょう?

今回は「8時間労働」が定着した歴史的背景を振り返り、今の私たちに合った労働時間について考えてみます。

 

「8時間労働」の歴史

 

200年前、初めて「8時間労働」が提唱される

「8時間労働」を初めて提唱したのは、今からちょうど200年前の1817年、イギリスの実業家であり社会活動家であるロバート・オーウェンだと言われています。

当時は産業革命のまっただ中で、幼い子どもを含む工場労働者が1日に10〜16時間も働いていました。妻の父から引き継いだ紡績工場を経営していたオーウェンはこのような状況をよしとせず、労働者の住環境を整備したり、子どもたちのために世界初の幼稚園を作ったりしました。そして、1810年には自分の工場で10時間労働性を取り入れ、1817年には8時間労働を目標として「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を」というスローガンを作ったのです。

このスローガンは他国にも伝わり、オーストラリアでは1856年、初めて「8時間労働」を求める労働者のデモが行われました。

オーストラリア メルボルンで掲げられた「仕事に8時間を...

オーストラリア メルボルンで掲げられた「仕事に8時間を、休息に8時間を、やりたいことに8時間を(8 HOURS LABOUR, 8 HOURS RECREATION, 8 HOURS REST」を訴える横断幕。

アメリカでは1886年5月1日、シカゴを中心に労働者達が8時間労働制を要求する大規模なストライキを行い、これが「メーデー(労働者の日)」の起源となっています。

 

100年前、ロシアで初めて法制化。国際条約にも

このように、「8時間労働」を求める動きは世界各地で起きていたのですが、法律として最初に定めたのは、ロバート・オーウェンがスローガンを作ってから100年後、1917年のロシア革命で誕生したロシア・ソビエト連邦社会主義共和国でした。

続いて1919年に国際労働機関(ILO)が「労働時間を1日8時間かつ1週48時間に制限する」という第1号条約を採択し、これが国際的なルールとして確立しました。

 

日本では1919年に川崎造船所で初めて導入

このILO条約の第1号を、日本は批准していません。理由は、時間外労働の上限規制がないことが条約の内容に抵触するためだと言われています。

しかし民間レベルでは、ILOの条約ができたのと同じ1919年に、神戸の川崎造船所(現在の川崎重工)にて「8時間労働制」が導入されました。工場労働者たちが労働条件の改善を求めてサボタージュ争議を行い、会社側はこれを解決するため、従来の10時間から8時間に、動労時間の短縮を提示したのです。現在神戸のハーバーランドには、これを記念した「8時間労働発祥之地」という碑が建てられています。

「8時間労働発祥之地」の碑

「8時間労働発祥之地」の碑

 

70年前、日本でも「8時間労働」が法制化

1947年の労働基準法施行により、日本でも「8時間労働」が法制化されました。その当時は週休1日が通常だったため、週あたりの労働時間は48時間と定められ、1987年に、週休2日を前提に週当たり40時間と改正されました。

 

(次ページ:「8時間労働という当たり前」を見直す動き

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