2017年3月15日 更新

ユニリーバ「WAA」で変わった社員の働き方、その成功のカギとは?

2016年11月25日に開催された長時間労働撲滅を掲げた「緊急フォーラム」が開催されました。そこで紹介されたユニリーバにおける働き方改革の話をお伝えします。

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電通の女性社員の過労自殺は、仕事に苦しめられる人が後を絶たない日本の働く環境のおかしさを、あらためて私たちに突きつけました。

この問題を議論し、今政府が進めている「働き方改革実現会議」に提言を持っていこうと、11月25日に「緊急フォーラム」が開催されました。

この「緊急フォーラム〜なくそう!長時間労働。父親を育児から遠ざけないために、ママの育児を孤立させないために、子どもたちの未来を過労死から守るために」では、労働問題の専門家や医師など、様々な識者が議論に参加しました。そのひとりが、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングスの取締役 人事総務本部長の島田由香さんです。

ユニリーバ・ジャパンは、2016年7月に社員が働く場所と時間を自由に選べる制度を導入しました。と同時に、残業時間を月45時間までにするという目標もかかげ、社員のワークライフバランスの改善や生産性アップに成功しているそうです。

同社の新制度が社員にもたらしたもの、働き方改革に成功した理由について、島田さんのお話を紹介します。

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新しいものを得るために、やり方を変える

今まで通りのことをしていては、今まで通りのことしか得られない――。

これはアインシュタインの言葉。島田さんは社員にこの言葉を伝え、働き方を変えるよう促しているそうです。

ユニリーバ・ジャパンは7月に「WAA(Work from Anywhere & Anytimeの略。“ワー”と読む)」を導入し、社員は自宅、カフェ、図書館など、どこで働いてもOKになりました。時間については、「平日の6時〜21時ならいつでも」ということで、昼間に家の用事を済ませたり、遊んだりする時間を挟むこともできるのです。(参考記事:「働く時間を自由にカスタムできる特権はフリーランスのものだけじゃなくなる!? 」

島田さんによれば、この制度は「この時間の間に、遊んでもいいし、休んでもいいし、仕事をしてもいいし。結果だけ出してください」という考え方で運用されているそうです。

「結果を出す」というプレッシャーがあり、かつ時間の縛りがないと、延々仕事を頑張ってしまうという懸念もあります。それを防ぐために、残業は月45時間までという目標も設けているのでしょう。

これ以外には細かいルールは設けていないそうで、島田さんは 「心配でルールを作るんじゃなくて、信頼してやる。これが私たちのビジョンなんです」とおっしゃっていました。アインシュタインの言葉になぞらえて言えば、生産性の向上やワークライフバランスなどを得るために、どのように仕事のやり方を変えるのか、個々人が自分にとってベストなやり方を見つけて欲しいということなのでしょう。

社員の評判も上々

WAAを導入して4ヶ月経った今、社員からはとてもポジティブな声が聞こえてきているとのことです。

例えば「自律の責任は重くなったが、拘束感が減り、気持ちに余裕ができたと思う」とか、「時間を有効に使えるため、モチベーションのアップになった」など、社員に自由を与えると怠けるのではないかと恐れている経営者の方に聞かせたい言葉ですね。また、「通勤時間が短いと、こんなに気持ちや体に余裕が生まれるということを、実感しました」や、「通勤ラッシュを避けて出社したり、仕事に集中できる時間を自分で選ぶことで、効率は上がりました」といった言葉からは、仕方がないと受け入れている通勤ラッシュも、避けることができればどれだけ得るものが大きいか、と気付かされます。

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トップのコミットとビジョンから始めることが成功の秘訣

島田さんは、同社での働き方改革成功の秘訣として「トップのコミットメント」を挙げました。また、「日本人は問題解決からやることは得意。でも、それだけではなく、『成し遂げたいこと、作りたい世界』(ビジョン)に向かってみんなで作っていくことが必要」とも。

確かに、ユニリーバほど大胆に働き方を変えるには、トップの本気度が問われます。また、社員の健康問題が発生したから、労基署の指導が入ったから、法制度が変わったから――、そんな風に場当たり的に問題解決をしていくだけでは、長時間労働を削減し、なおかつ会社の事業もうまく回すというのは難しいでしょう。国も世間も長時間労働の問題をなんとかしようという機運が高まっている今こそ、経営者も社員もどう働きたいかを本気で考え、ひとつでも多くの会社が動き出すことを願います。

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