2017年2月2日 更新

家事代行の株式会社タスカジに学ぶ、ママが活躍できる組織の条件

家事代行サービス「タスカジ」を運営する株式会社タスカジ(旧ブランニュウスタイル)社長の和田幸子さんとPRマネージャーの平田麻莉さんに、ママになっても活躍できる組織の条件や、同社が目指すこれからの家族のあり方、働き方についてお伺いしました。

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株式会社タスカジ(旧ブランニュウスタイル株式会社)は、家事代行サービス「タスカジ」を運営する、設立4年目を迎える会社です。広報担当平田さんは、今年生まれた下の子どもを抱っこしながら仕事をしていらっしゃいます。創業期の会社はとにかく忙しいというイメージがありますが、ひとりを除いてみんなワーキングマザーという同社では、いったいどのように仕事が行われているのでしょうか? 後半では、「タスカジ」というサービスを立ち上げた経緯や、同社が目指す新しい家族のあり方についても伺います。

株式会社タスカジ 代表取締役 和田幸子さん(右)、PR...

株式会社タスカジ 代表取締役 和田幸子さん(右)、PRマネージャー 平田麻莉さん(左)

とにかく忙しいスタートアップ。子連れでも来てくれるなら大歓迎

- 平田さんは、いつもお子さんを抱っこして働いていらっしゃるんですよね。

平田: はい、そうです。「カンガルーワーク」と勝手に名付けまして、いつもこのスタイルで働いています。

- いつ、「カンガルーワーク」で働こうと決めたのですか。

平田: 自分で決めたというよりは、成り行きで……と言うのでしょうか。2016年1月に生まれたのですが、早生まれの宿命なのか保育園に入れられなかったんです。和田に相談しましたら、「連れて来たらいいよ!」と。すごく嬉しかったですね。でも実は上の子(3歳)も、今年の4月にやっと保育園に入れるまでの間、週3で無認可の保育園に預けて、それ以外の出勤日は連れて来ていました。元からそういう理解のある会社なんです。

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- 和田さんは、平田さんの「カンガルーワーク」は問題はないと思われたんですね。

うちはスタートアップ(創業期の会社)なので、やってもらいたい仕事がたくさんあって、戻ってきてくれるだけで「本当にありがとう!」っていう気持ちでいっぱいでした。平田だけでなく、私も他の社員も子どもを連れてくることがあります。子どもを連れてくることに"問題がある・ない"ではないと思うんです。子どもを育てるというのは普通のことで、それ以外の時間を仕事にあてているという感覚です。その仕事の時間に子どもがどこにいるかは、その時々によって違うわけです。会社で一緒の時もあるし、保育園に行っている時もある。そんな風に考えています。

ワーキングマザーには過剰な配慮より柔軟な選択肢を

- 子育てしている女性も活躍できる組織とは、どのようなものだと思いますか。

和田: 仕組みを作って配慮をするというよりは、働く人がいろいろな選択肢を持てるような組織がいいと思っています。全員が全員時短にするとか、そういったことではなく、ひとりひとり生活が違うのですから、それぞれが自分に合った働き方を選べるような会社にしたいです。

平田: 人生のタイミングによっても、やりたい働き方は変わってくると思うんです。今は子どもが小さいからリモートがいい、でも手が離れたら仕事に専念したいとか、受験になったから減らしたいとか。その時その時で建設的に相談して、フレキシブルにみんなでサポートし合えるといいと思います。

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平田: ここで働きやすいなと思うところは、カンガルーワークをしていても、必要以上に気をつかわれないことなんです。基本的にはこのスタイルのまま、どこへでも仕事に行くのですが、出先では「あ、子ども連れだから何か話題にしなきゃいけないな」などと気を使わせてしまっているのを感じたりしますし、「大丈夫ですか、何か用意しますか?」って何度も聞いてくださったり。もちろんこの会社でもみんな様々なサポートをしてくれていますが、もはや娘の存在を当たり前として適度に放置してくれるので、"気をつかわれてる感"を感じずに働けるのがとても良いです。

和田: 慣れもありますよね。子どもがいる環境で働くことに、慣れているんです。慣れてしまえば何でもないことだったりします。私は、ワーキングマザーにとって、過剰な配慮はあまり必要ないと思っています。その人が置かれている状況はさておき、チャレンジしたり成長したりできる仕事があって、柔軟に働ける環境があるということ。その中で本人が自分にとってベストなやり方で働けることがいいと思うんです。

- 選択肢の多い働き方ができることって、あまりないですよね。

和田: そうですね。"家庭も子どもも諦めてメッチャクチャ働く"か"キャリアもやりがいも諦めて時短勤務で働く"か。この二択しかない状況って多いと思います。勝手に配慮というか排除というか、カテゴライズされてしまって。私はチャレンジしたいと思っていてどんどん仕事を回して欲しいし、(時間などの)配分だけ自分の自由にできる権限さえあれば、と前職ではよく思っていました。チャレンジしたいと思っていても、会社側が制度とかに囚われてしまっている感じがします。

平田: 和田は選択させてくれるので、本当にありがたいです。産後も「どうするか自分で決めていいよ」と言ってくれて、「じゃあ3月まで休みます」「わかった、それまで頑張ってしのぐね!」なんて会話があったり。自分で決められることって、とても大切ですね。

- お話を伺っていて思ったのですが、みなさん自分で選択して自由に働くのは素晴らしいですけど、全体の仕事量とか不足になって困ったりしないんでしょうか。

和田: おっしゃる通りです。でも、スタートアップですから、常にリソースは足りないですし、状況によってスケジュールも変わっていきます。ですから、優先順位を決めてフォローしあいますし、あえて「やらない」と決めるとこもあります。全体の方針は私が決めていますが、スケジュールなどはそれぞれの裁量に任せています。

平田: たとえ全員が正社員でフルタイムで働いていたとしても、同じだと思います。やりたいことは常にごまんとあって。だから逆に、スタートアップというのはフレキシブルに働きやすい環境なのかもしれませんね。

仕事と家事・育児の両立に「タスカジ」は欠かせない

- 家事育児と仕事の両立のために、どんな工夫をしていますか。

和田: 「タスカジ」はみんなお願いしていますよ。

- どのくらいの頻度で、何をお願いしているんですか。

和田: 私は週1回3時間のお掃除と、隔週で1回、別の方にお料理の作り置きをお願いしています。

平田: 私は隔週1回で、お料理の作り置きです。他のスタッフも毎週1回で、やっぱり作り置きをお願いしています。お掃除は、各家が新人のタスカジさんのテストセンターになっているので、適度に汚しておかないといけないんです。

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和田: それぞれの家庭で予算も違いますし、頼み方も人それぞれですね。

平田: 私は「冷蔵庫を見て、適当にお願いします」みたいな感じでお願いしているんですけど、週1でお願いしている同僚は、何曜日にはこれを食べるというところから逆算してメニューを作り、かなり細かく指示を出して、平日の5日分全て作ってもらっているようですよ。

信頼関係をベースに、ITを活用したムダのないコミュニケーション

- 仕事の効率化に関して工夫している点はありますか?

和田: みんな家事育児と両立しながら仕事をしていて時間が足りないから、逆に隙間時間を使って無駄なく仕事できていますね。資料は基本的にGoogleドライブで共有して、コミュニケーションはチャットワーク。テレビ会議はSkypeと、ITをうまく活用していると思います。ちょっとした空き時間に、スマホでメール返信したり。

平田: 働きやすいなと思うのは、信頼関係がベースになっていることです。例えば会議で集まったら、世間話などなしで、パッと始まって、終わればパッと解散しますし、チャットワークなどでも「お疲れ様です」とか書かないんです。「あうんの呼吸でわかるだろう」という信頼関係のもとに、けっこう雑なやり取りでも問題がない。みんなお互いが忙しいのはわかっている、そういうことがとても楽だなと思います。

撮影の合間も仲良く談笑するスタッフの皆さん

撮影の合間も仲良く談笑するスタッフの皆さん

- なるほど。でも世間話などのコミュニケーションをあまりとることのない中で、逆にどうやって信頼関係を築いているんでしょうか。

和田: サービスの方向性、取り組むべき課題などが明確なので、そこにみんなフォーカスして動いていることが、大きいと思います。解決したい問題が一緒なので、迷いがない。シンプルに向かい合っている、ということなのだと思います。

平田: 和田の創りたい世界観が明確にあって、みんなそこに賛同して集まっているので、ブレないんです。初期の段階で、少人数で始めた今だからこそできているというところもあるので、これから拡大するにあたっては、これを言語化することが必要になると考えていて、現在取り組んでいる最中です。

- 仲良しのお友達という関係ではなく、仕事というベースで結びついている感じでしょうか。

平田: そうですね。役割がはっきりしていて、バランスがとても良いチームなんです。それぞれの強み弱みがよくわかっていて、お互いの領域に対して、まるっと信頼して任せられる。もちろん意見やアドバイスをしあったりはしますけれども、お互いを尊敬し合っている良い関係だと思います。

これからのくらしと仕事は「拡大家族」が支える

- 和田さんが起業しようと思ったきっかけは。

和田: 小さい頃からずっと「自分のアイディアで、従来の生活を大きく変えるような、サービスや価値を世の中に提供できたらいいな。」って考えていました。面倒臭がり屋なんで、いろんなことを何か良いアイディアで楽にできないかな、そういうアイディアを実現して世の中にインパクトを与えられたら、そういう人生って楽しいだろうなと、漠然と思っていたんです。
社会人になってからは、自分が"何もないところから新たに生み出す"ことや"何も決まっていない中を突き進んでいく"ことが好きで、得意なんだということに気づきました。新規事業の立ち上げや、新バージョンの商品製作など、そういう仕事があれば迷わず「やりたいです!」と手を上げて携わりました。そういう仕事経験を通して、漠然としていたものがだんだん固まって「いつか起業したいな」と思うようになりました。

- 満を持して起業された感じですね。

和田: 結婚して子どもが生まれて、家事ということが、重くのしかかってきて。私は家事が苦手なのもあって、「この問題は、自分で解決することを考えないと誰もやってくれない」と思いました。前職がIT関係だったこと、新規事業立ち上げ経験があったこと、そして家事問題の当事者であること。この3つを併せ持っている人は、日本にほとんどいないのではないかと。だとすれば、待っていても私が欲しいようなサービスができることはなく、自分で始めるしかないと思いました。

- 家事代行のスタッフとして働いているのは、どのような方たちなんでしょうか。

和田: 日本人と外国人とで半々です。外国の方は、ほとんどがフィリピン出身の主婦で日本の永住権を持っている方ですね。フィリピンの方って、皆さん本当に家事が得意なんですよ。特に掃除のスキルがものすごく高い。親からのしつけの1つとして高いレベルの家事があるようですし、大家族で親戚のつながりも強く、親戚の家に出かけて掃除やお手伝いすることなどが日常であるようです。

平田: 日本人では、主婦の方がほとんどです。家事が大好きなごく普通の主婦から、栄養士、調理師、整理収納アドバイザー、ライフオーガナイザーなどの資格を持つ方など、バラエティに富んでいます。子育てに一段落した、40〜50代の方がメインですね。

- 家事ってやり方いろいろですよね。講習などで統一するんですか。

和田: いいえ。タスカジさんたちの提供するサービスを均一化するというのではなく、能力や個性をそのまま魅力として提供するのです。利用者によってそれぞれニーズが違いますので、自分に合ったタスカジさんを探していただくわけです。その多様性が私たちの魅力だと思っています。

- 今までやってきたことが活かされるんですね。

和田: そうです。主婦の方が、家事の合間を使って少し働きたいなという時に、本当に良い選択肢の1つだと思っています。時間もフレキシブルですし、新たに資格などを取ったりする必要もなく、今まで当たり前にやってきた家事がスキルとして活かされ、感謝され尊敬もされる。そのような仕事は、なかなかないと思うんです。普通に家で家事をやっていても、旦那さんも子どもも、いちいちお礼なんて言ってくれないじゃないですか。

- 本当ですよね。家事ってけっこう大変なのに、やって当たり前みたいに思われてますよね。

平田: 「タスカジさん感謝祭」というイベントを年1回開催していて、今年はアワードも始めたのですが、その時に涙を流しながら「タスカジと出会えてよかった!」と言ってくれる方もいらっしゃって。「今まで、こんなにも自分が世の中に必要とされていると思ったことがなかった」と。家事のスキルや努力をちゃんと市場価値として可視化して、対価をもらえるようにしたいなぁと思いますね。

「タスカジさん感謝祭」の様子。総勢40名近くが集まりました。

「タスカジさん感謝祭」の様子。総勢40名近くが集まりました。

和田: タスカジには、レビューシステムがありまして、お仕事をするとフィードバックが来るシステムになっています。そのフィードバックで、自分のどこが評価されて、どこが改善ポイントなのか毎回わかるようになっています。それによって、次に行くときより良いサービス提供ができるようになります。そういうのを繰り返していくと、自然と自分の家事レベルも上がって、自宅での家事もどんどん効率が良くなリます。それって単に効率が良くなっただけの話ではなくて、自分の成長を実感できることなんです。だから単に「仕事でお金をもらった」ではなく、もう一歩先の新しい自分と出会えるんです。それが「楽しい」「嬉しい」につながっていくのだと思っています。

- 働くママにとっても、家事代行サービスって本当に助かりますよね。

和田: タスカジでは、今まで「核家族」の中で行われてきた家事の問題を、外部の人を家族の中に取り入れることによって解決する「拡大家族」という新しい家族の形を定義していきたいと思っているんです。

- 拡大家族!いい言葉ですね。

和田: 外部の人を家に入れるって、「良くないことだ」みたいな妙な価値観があったりするんですけど、そうじゃなくて、いろんな人の力を借りながら、チームとして家族を作っていくという考え方があってもいいんじゃないかと思うんです。核家族にこだわらないで、もっと拡張して「拡大家族」になって、仕事も家事も子育ても、みんなでやっていく。問題があれば、みんなで乗り越えていく。その1つとして家事代行サービスを考えてもらえたら、と思います。

助けを求めることは恥ずかしくない。他人を頼って「拡大家族」に。

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今回のインタビューを通して感じたのは、和田さんと平田さんの強い信頼関係でした。インタビュー中、いろいろな場面で「あ・うん」の呼吸を感じました。お互いの考えや気持ちをキチンと理解しあっていないと、なかなかできません。和田さんの提案する「拡大家族」という考え方は、タスカジという会社のメンバー同士の関係にも反映されていますね。家族なんだから、どうやって家事育児と仕事を両立させながら、自分自身の成長ができるのか、一緒に考えて解決していこうよ。という姿勢なんですね。
「拡大家族」という言葉が世の中に浸透して、みんなでいろんなことを乗り越え、成し遂げられますように。インタビューを通して、そんなことを感じました。

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