2017年6月8日 更新

妊娠を機に専業主婦に、でも何としても働きたかった デザイナー・橋本紗織さん

2度の妊娠・出産によるキャリアの中断をどのように乗り越えたのでしょう

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橋本紗織(フリーランスウェブデザイナー・ディレクター)

橋本紗織(フリーランスウェブデザイナー・ディレクター)

3歳女児と1歳男児の母。いくつかの事業立ち上げに参画のち、出産を機に退職。フリーランスとして、ディレクションやデザインなどの仕事を開始。「MAMIMU」事業企画リーダー。

ゼロベースからどこまで仕事を生み出せるかに挑戦したい―。

フリーランスの立場でデザインや販促、広報、マーケティングなど、幅広く活動する橋本紗織さんは3歳と1歳の2人の子育て中。子どもと過ごす時間を最大限確保しながら、仕事もしっかりしたい、という願いをかなえるために選んだフリーランスの道を、橋本さんはどのように開拓してきたのでしょうか。クラウドソーシングの利用、また子育て中のフリーランス女性のチーム「MAMIMU」に参加した経緯など、さまざまな角度からお話をお伺いしました。

 

 

まずは求職中での保活から

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―これまでのキャリアについて教えてください。

結婚する前は研修や教育関係の企業で法人営業などを担当していました。その後、別の会社に転職したのですが、担当していた事業の立ち上げが一段落したので次の仕事を考えていた時に結婚。子どもも欲しいなと思いつつ転職活動をしていたら、最終面談の翌日に妊娠が発覚し、いったん専業主婦になる道を選びました。

―そのまま専業主婦の道を選ばなかったのはどうしてですか。

第一子を妊娠したときは25歳。世間的には“35歳の壁”など聞くので、子どもが大きくなるまで専業主婦をしてからだと、仕事を再開する自信がありませんでした。なので、キャリア的にも経済的にも、何としても働きたいと思っていました。

―そうなんですね。では働くためにやったことは?

まずは子どもを預けなければ仕事ができないので、保活をがんばりました。東京の杉並区で、求職中の専業主婦が保育園に子どもを預けられるわけがない、って言われましたが、たまたま家の近くで認可保育園に入ることができたんです。

―求職中での保活って、とても難しい気がしますが……。

私も認可保育園に入れるとは思っていなかったので、最初は認証保育園や保育ママばかりを検討していました。当時はまだ求職中ですし、指数を見ても絶望的。でも、自宅近くにある私立の認可保育園に運よく受け入れてもらえたんです。延長保育もあるんですが、基本的に預かってくれるのが9時から16時半だったので、正社員の方は子どもを預けにくい園だったのかもしれません。

―意外に入れるものなんですね。

私の周りでも、応募もせずに入所を諦めている人もいますが、毎月、情報をチェックしていると認可保育園でもひょっこり空いていることがあります。指数が厳しくて認可に入れなくても、ほかの誰かがその空いたところへ移るかもしれないので、認証保育所へしらみつぶしに電話すると意外に空きが見つかることもあります。保活は1人目のときにガッツリやって、コツがあるんだなーと思いましたね。

―仕事の方はどうでしたか?

子連れで行けるコワーキングスペースに顔を出して、ちょっとしたお手伝いをしたり、ほかの人たちの仕事の様子を見たり“種まき”的なことはしていました。そのうち、そこで知り合った人たちとのつながりから、あるWebサービスの立ち上げに参画することになりました。

そこでは広報やWebマーケティングを担当していたんですが、ちょうど第2子を妊娠し、切迫早産になって出社できないことに。会社は数人で回している状況でしたし、役員という立場からも育休を取る余裕はなく、産後はすぐに復帰しなければいけない状況でしたが、すぐに保育園が見つかる保証はなかったので退社しました。それで第2子の産後3ヶ月ごろからクラウドソーシングで仕事を受注するようになりました。第2子も無事に保育園に入れたので、2016年の4月から本格的にフリーランスでやっていこうと決意しましたね。

 

クラウドソーシングで収入を安定させ、スキルアップもするには

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―クラウドソーシングではどのような仕事を受注していたんですか?

最初はライティングの仕事を請けてみたんですが、求められるのはSEO対策だけ、誰でも書けて報酬の安い仕事が多い、という印象でした。それなら、これまでの仕事の中で関わることの多かったweb制作の方で仕事を受注しようと思ったんです。それでECサイトの商品ページ作成のお仕事をさせていただくことになりました。

―クラウドソーシングで単価の良い仕事を定期的に見つけるのは難しいイメージがあるのですが……。

まずは仕事の見つけ方かな、と思います。簡単な文章だけで応募する人が多いようですが、私は職歴やスキル、応募に対する意気込みを丁寧に書くようにしていました。それで選んでいただけることが多かったように思います。

またECサイトは商品の入れ替えのタイミングで、継続して新しい仕事依頼をいただけるので、収入を安定させる意味では良かったです。顧客の新規開拓をする営業コストがかからないので、効率よく仕事をまわせました。

―スキルアップはどのようにしていましたか?

お客様さんからは納品したデザインに対してフィードバックを常にもらい、改善するように努めました。新しい分野の仕事をするときには、オンライン動画学習サービスの「スクー」も利用しましたね。また、クライアントさんにご挨拶へ伺ったとき、「もっと勉強したいです」と言ったら、社内で勉強会を開いてくれたこともあって。先方のデザイナーさんからたくさんコツを教えてもらって、ありがたかったです。

 

育児中の女性でチームを組むということ

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―MAMIMU(マミム)に加わったのはどうしてなのでしょうか

下の子が保育園の慣らし保育に通っていた時、自宅の近くに仕事やイベントができるカフェができて、そこで偶然、グラフィックデザイナーの森脇碌さんと出会いました。そのとき、森脇さんは翻訳やライティングなど、それぞれプロとして活動している育児中の女性でチームを作ろうとしているところだったんです。森脇さんから最初のミーティングに誘ってもらって、とにかく仕事が欲しかった私は、何か仕事につながりそう、みたいな興味で参加することにしました。それが「MAMIMU」との出合い。思いがけず、立ち上げから参加することになりました。

―すごい偶然ですね。

森脇さんはクラウドソーシングを活用してグラフィックデザイナーに転身した経歴を持ち、育児をしながら仕事もしっかりできていたんですね。それまでは、そんな人の存在は都市伝説みたいなものだと思っていたので、この人に聞いたらいろいろ分かるはず、ってうれしくなりました。私はちょうど乳児を抱えて仕事をするのが、精神的にいっぱい・いっぱいだったころ。ちょっと先を行く先輩の存在が本当にありがたかったです。

―MAMIMUではどのような仕事をされているんですか

所属するメンバーの職種は多様でwebデザイナーやライター、写真家、書道家までさまざまです。個人事業主の集まりなので、チームで受注はするんですが、必ずだれかがディレクターとして代表に立ち、お客様と契約をしています。私はフリーランス歴が一番浅かったんですが、ほかのメンバーが持っていた仕事を手伝うなどして、どんどん仕事が広がっていった感じです。

 

―チームで仕事をするメリットは何ですか?

ひとりで仕事をしていると身に付けにくいコミュニケーション力やマネジメント力が、チームだと磨かれていく気がします。みんな育児中なので子どもが病気の時でも理解が得やすいですし、じゃあ私が代わりにやっておきますね、みたいな柔軟な対応ができるのもチームの良さだと思います。

SNSの運用やメディア運営など、ちょっと専門的でボリュームもあり、定期的に継続していきたい仕事は、チームでやるのに向いていると思います。

また他業種のチームなので、それぞれのルートで仕事が舞い込んできます。お客さんの紹介もあって、仕事はどんどん増えていますね。案件によってはデザイン、ライティング、写真撮影など、複数の工程がセットになっていることもあります。MAMIMUにはチームの中にそれぞれ得意な人がいるので、お客様としては声をかけやすいのかもしれません。

 

10年後も生き残っていけるスキルを

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―仕事と育児の両立はいかがですか

仕事を詰め込みすぎてしまうことがあって、育児と仕事の両立はまだ自分にとっても大きなテーマです。

仕事を始めたころは、思ったように稼げず、申し訳ないようなネガティブな気持ちになっていました。夫には協力してほしいと思う気持ちも強くて、言い争うことも多かったです。2歳差の2人の育児をするのは本当に大変で、体調を崩すことも増えました。振り返れば、あまりいい産後ではなかったですね。

でも徐々に稼げるようになってきたら、心も安定してきました。夫の手伝いを過度に期待することはなくなりましたし、近くのMAMIMUメンバーと一緒に飲みに行ったり、子ども同伴で遊んだりすることも増えました。気持ちのうえで、育児の“ワンオペ”感は減っていったと思います。

―仕事をしていくうえでの課題はありますか

同じような仕事ばかり受けていると仕事の幅が広がらないし、将来、仕事がなくなってしまうかもしれません。でも新しい仕事をすると時間もかかって、ほかの仕事に影響が出てしまうことも。お客さんが増えるのはありがたいのですが、きちんと仕事管理をしなければいけないなと思っています。でも、ある仕事で学んだことが、別の仕事に生かせることも多いので、多様な仕事をするメリットは感じています。

―これからの夢や目標を教えてください

これからは「グロースハック」のようなスキルを磨いて、私が関わることでお客さんの仕事がこれだけ成長したよ、みたいな成果を明確に見せられるようになりたいですね。

収入という最初のハードルは越えられたので、次は10年後もフリーランスとして生き残っていけるスキルを意識して身に付けたいと思います。

育児中の働くを考える mamimu(マミム)

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吉岡 名保恵 吉岡 名保恵