2017年9月29日 更新

制度は会社からのメッセージ!さくらインターネットが働き方改革で目指すもの

働きやすさを実現する制度「さぶりこ」について伺いました

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さくらインターネット株式会社では、より働きやすい環境づくりのために7つの制度をパッケージ化し、社員の働き方の変化を促しています。
「さぶりこ」(Sakura Business and Life Co-Creation)と名付けられたこの施策には、会社が「働きやすい」環境を整えるので、一人ひとりの社員たちには「働きがい」を追求してもらいたい- という、会社から社員へのメッセージがこめられているといいます。そんな「さぶりこ」の登場によって、社内はどのように変化したのでしょうか? 人事部マネージャーの清水能子さんにお話しを伺いました。

 

 

制度に名前を付けるユニークなアイディア パッケージ化に伴い追加された制度も

「さぶりこ」には、以下の7つの制度が含まれています。

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1)業務を早く終えることができたら、定時30分前に退社して良いという「ショート30」
2)勤務時間を10分単位でスライドさせることができる「フレックス」
3)平均残業時間8時間ながら、20時間分の残業手当を先払いする「タイムマネジメント」(※20時間を超えた場合は1分単位で残業代を支給)
4)自宅やコワーキングスペースでのリモートワークを認める「どこでもワーキング」
5)心身のリフレッシュを目的とした各種休暇制度「リフレッシュ」
6)副業やボランティア活動などができる「パラレルキャリア」
7)産休・育休明けや介護時に時短勤務ができる「ファミリータイム」

まずは、この7つをまとめて「さぶりこ」と呼ぶようになった経緯からお伺いしました。

- 「さぶりこ」という制度を作る動きが始まったのはいつ頃からですか?

「さぶりこ」がひとつの形にまとまったのは2016年10月です。各制度については、従来からあったものもありますし、新設されたものも。

- どういう経緯でパッケージ化することになったのでしょうか?

パッケージ化は、最初から想定していたわけではなかったんです。会社として「働きやすい社風」を考えようということになり、当時5個あった制度のネーミングを社員の方々に考えてもらおうと募集したんですよ。その際、制度を総称して「さぶりこ」(Sakura Business and Life Co-Creation)と名付けては? というアイディアをもらったことがきっかけで、「パッケージとして見せるのは良いね」と今の「さぶりこ」ができました。会社に縛られず広いキャリアを形成(Business)しながら、プライベートも充実させ(Life)、その両方で得た知識や経験をもって共創(Co-Creation)へつなげるという思いを込めています。
「長時間働くのをやめましょう」というよりも「『さぶりこ』しよう!」と言う方が前向きな気持ちになれますよね。社員も「今日は早く帰ります」という代わりに「『さぶりこ』します!」と言ってくれるようになって、名前をつけてよかったな、と思います。

 

より働きやすく、仕事の生産性を上げる7つの制度

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- 当初の「さぶりこ」に含まれていたのは、5個の施策ということでしたが、現在は7個になっているのですね。これらは時間をかけて拡充されてきたのでしょうか?

「リフレッシュ」と「ファミリータイム」は、以前からありました。「さぶりこ」というパッケージにする時点で、「ショート30」と、「タイムマネジメント」を追加して、それにもともとあった「フレックス」のコアタイムを12~16時の短い時間にマイナーチェンジしました。
その後、「どこでもワーキング」を追加。最初は自宅限定でしたが、今はどこでも大丈夫になりました。もうひとつが「パラレルキャリア」で、1月に就業規則から「副業NG」の文言を取り、誕生しました。
「パラレルキャリア」に関しては、就業規則には「副業は認めない、ただし上長が許可した場合を除く」という表現にしていて、実際副業をしている方もいたんです。ただ、その一文がハードルになる方もいるかもしれませんから、パラレルキャリアを推進するメッセージにするために、条件をなくしました。

- 副業をしようと思った場合、会社への届け出は?

特に許可も届け出も必要ありませんが、他社に所属すると社会保険の手続きなどが発生するので、そういう場合は届け出をいただいています。

- それぞれの制度は、実際に活用されていますか?

毎月3~4割ぐらいは。例えば「ショート30」だと、タイムカードが定時より早く打刻されるのでわかります。

- 制度を利用した社員の方から、具体的な反応はありますか?

「こういう使い方をしています」と社内で見える化して、活用してもらいやすくしようと、活用事例を集めています。いろいろなシーンで使ってもらえていますし、喜びの声も上がってきています(笑)

ささやかなところでは、「ショート30」で勉強会や飲み会に間に合ったとか。「フレックス」のおかげで通勤ラッシュを避けて気分良く出社できる、あるいは、自分は朝型なので以前より早く出社して仕事に集中できるようになったという方も。生産性高く働こうと活用していただいているのは、うれしいですね。それに、ご家族の介護がある方が「さぶりこ」を上手に組み合わせ、ケアマネージャーさんと平日の朝一番で打ち合わせをできるようになったのだとか。会社を休まずに、先方も時間外対応にならずに済むので喜ばれているようです。今後、誰しも介護の問題は出てくると思いますから、参考になる事例だと思います。

 

チャレンジできる社風にするために、社員を信頼し、働きやすさを充実させる

- 会社・人事部としてどのような思いがあって、「さぶりこ」を作ったのでしょう?

会社の業績が伸び悩んできて「変化をしていかなくてはいけない」という時に、今と違う社風にするには、そしてもっと建設的な議論ができるような社内環境になるには、どうしたら良いかという問題意識がありました。そんな時、弊社社長が社外で「働きやすさと働きがい」について話をする機会があって。「働きやすさは会社が整えられるけれど、働きがいは個人がそれぞれ感じて追求していくもの。ですから、会社は責任を持って働きやすさを整えていきます」という内容だったんです。そこから、会社として「働きやすさをもっと充実させていこう」という姿勢が明確になりました。昨年、経営層と人事の方向性をすり合わせる目的で、人事ポリシーを考えるワークショップを行いました。25個ある人事ポリシーの項目から、参加者で「さくらインターネットにとって大事なものはどれか?」を6個ほど選んで話し合った結果、「これからは社員を信頼する性善説の考え方に立っていくべきでは?」という点で合意しました。その視点から働きやすさというものを考え、社員が成果を出しやすい環境にしようという流れになったんです。

- ビジネスが伸びていくために、働き方はどう影響するのでしょうか?

さくらインターネットの設立は20年前なのですが、そこから2005年にマザーズに上場するまでは、社員は100人もいないぐらいで自由闊達な社風だったんです。上場後、web2.0の流れの中で会社が急成長しました。どんどん人を増やして会社を拡大しよう、業務の効率化も進めようと必死だったと思うのですが、2008年にリーマンショックが起こり、業績が伸び悩む時期を迎えました。そして今度はAIやIoTのブームが到来し、この波に乗って伸びていこうとしているのが、今です。伸び悩んでいる時期というのは、どうしても管理を強化してコストダウンを図ったり、今ある事業を効率化しようという方向に進みがちです。新しい分野で発展していくためには、もっとチャレンジが生まれる社風に転換することが必要だったんです。

 

社員の年齢層の変化とともに、制度もより充実してきた

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- 子どもがいる社員に手当を支給したり、入園や入学の祝い金があったり、子育て支援の制度も充実していますね。女性社員の方も多いのですか?

今は女性が23~4%ぐらいですので、400人中100人ほどですね。
子育て期の方も多いです。平均年齢が36歳ぐらいと、30代がボリュームゾーン。これから子育てに入る予備軍の方もいれば、お子さんを産んで復帰している方もいます。

- 皆さんのライフステージの変化に合わせて、社内の制度も整えられてきたのでしょうか?

そうですね、私が人事に配属になったのが2011年頃で、まだ産休・育休を取って復帰する方はそれほど多くありませんでした。ここ数年で、かなり整ってきた感じです。
弊社では男性の育休取得率が54%なんですが、平均取得期間は2ヶ月弱です。社長を始め、上長も男性が育休を取ることを積極的に勧めていることもあって、皆さん積極的に育休を活用されています。お子さんとの時間を大事にしようと意識されているんだな、と感じますね。

- 経営側や人事の視点で、「さぶりこ」の効果が出てきていると思うことはありますか?

即効性があるものではないと思っていますが、採用の時に「やりたいことがあるので、働きやすい環境でそれを実現したい」と、働きやすさをフックに応募が増えているようです。そして、やはり社内の雰囲気は変わった気がしますね。「いろんな考えの人がいて、いろんな働き方があっていいよね」という考え方が、風土としてできてきているのかなと思います。

 

会社の真の思いが伝わり、社員の働き方も変わる

「さぶりこ」が作られた背景には、時代に即した社風に変えて、社員にそれぞれの働きがいを見つけてほしい、という会社からのメッセージがこめられていました。

単に「残業を減らしなさい」「生産性を上げなさい」と言っても、残業を減らせば給料が減ってしまう、といった「社員の損」につながってしまうこともあります。その点、必ず20時間分の残業代が支払われる「タイムマネジメント」や、定時より30分早く返っても良い「ショート30」など、働き方を変えてほしいという会社の真剣な思いが伝わってくる、素敵な施策だと感じました。

そのメッセージを受け取った社員の側にも制度を活用しようという気持ちが生まれ、自分らしい働き方ができる土台が作られてきているようです。

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鈴木 せいら 鈴木 せいら