2017年9月9日 更新

子育て期間中も女性の離職率が低いのは◯◯県!その理由は?

地域ごとに異なる女性の就業率、どういった背景があるのでしょうか

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子育て中に女性が仕事を続けるか辞めるのか……この割合は地域によって差があるようです。

このたび、子育て中であっても離職する女性の割合が少ない県が発表されました。いったいどこなのでしょう? また、離職率の低い地域にはどういった特徴があるのでしょうか。

 

 

M字カーブに表れる35歳の壁

かねてから、「女性労働力率はM字カーブ型」というのが日本の特徴であると言われています。厚生労働省が発表している「平成28年版 働く女性の実情」によると、女性の就業率を年齢別に集計すると、子育て期である「30~34歳」と「35~39歳」で低下しています。グラフがアルファベットのMのような形になるためM字カーブと呼んでいます(M字カーブの詳しい解説はこちら)。

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

そのような中でも、 このM字カーブの窪みが浅い県もあれば深い県もあり、地域によって様々であるということがわかりました。

「出産したら女性は仕事をやめて家庭に入るべき」という考え方は都心よりも地方に根強いという印象があったのですが、考えを改めることになったのが今回の結果。というのも、M字カーブの窪みが一番浅い(子育て期においても女性が離職しない)のは鳥取県。逆に最もM字カーブが深い(子育て期に離職する女性が多い)のが神奈川県だったのです。

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

 

鳥取県・神奈川県に見る就業形態の差

この2つの県の大きな差は女性の人口に占める「正規の職員・従業員」の割合です。 鳥取県は20歳から59歳までの長い期間に渡って正規職員の割合の方がパートなど非正規の割合よりも高いのです。

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

一方、神奈川県では正規職員の割合が低く、40%を超えている年齢階級は「25~29歳」(49.6%)のみ。他の期間はパートなど非正規の方が、正規職員でいる割合よりも高いことになります。

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

正規職員であれば産休・育休などを取得した後に復帰しやすいため、継続的に働くことができる結果と言えます。

今回のレポートではその他にも特徴的な傾向として以下の点に言及しています。

・「医療、福祉」に従事する一般労働者の割合が高い都道府県では、役職者に占める女性の割合が高い

・一般労働者に占める女性の割合が高い 都道府県では、役職者に占める女性の割合が高い

このように、地域により産業構造や就業形態が異なるため厚生労働省は 女性の働き方を考える上で「地域の実情に応じ、施策を展開することが重要」としています。

 

働き方に影響を及ぼす意識の壁

内閣府が発表している『地域の経済2016-人口減少問題の克服』でも、厚生労働省のレポートと同じように、女性の就業率を地域ごとに調査しています。

この調査では、都道府県別の女性の労働参加率(15-64歳)が公表されています。

地域間での格差は埋まりつつあると述べられていますが、最も参加率が高い福井県の76.0%に対して、奈良県は60.7%と依然として差があります。

内閣府 「都道府県別の女性の労働参加率(15-64歳)」より

内閣府 「都道府県別の女性の労働参加率(15-64歳)」より

先程の厚労省のレポートでは働くことへの意識調査も行っており、 「自分の家庭の理想は、『夫が外で働き、妻が家を守る』ことだ」という設問に対し、「そう思う」「ややそう思う」と回答した者(男女計)の割合をみると、奈良県が 50.4%で最も高いという結果になっています。

また、自分自身が職業を持つことについて、 「子どもができてからもずっと職業を持ちたい」と思う女性の割合をみると、福井県が 37.8%と最も高いという結果が出ていることからも、働き方に影響を及ぼしている意識の壁が存在するということが明らかです。

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厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

厚生労働省「平成28年版 働く女性の実情(I部第2章)」より

 

ワーキングマザーが多い地域の3つの特徴

では、子育て期においても女性の離職率が低い地域の特徴はどのようなものがあるのでしょうか。内閣府のレポートでは下記の3つの点を挙げています。

1.保育サービスの供給量が多い

待機児童問題が深刻になるような都市部を抱える都道府県では、必然的に女性の労働参加率が低迷します。待機児童の数を比較してみると東京都が8,327名に対し鳥取県は0名。

この差がダイレクトに反映していることは言うまでもありません。

2.女性の正規雇用比率が高い

これは前述した、鳥取県と神奈川県の比較からもわかるように、正規雇用により産休や育休を取得した後に復帰をすることができ、安定的に継続して働くことができる結果だと思われます。

3.男性の長時間労働比率が低い

女性の労働参加が進んでいる地域では長時間労働の男性が少ないため、仕事と子育ての両立をさせやすい傾向にあるようです。

男性の長時間労働解消が、ひいては少子化対策にも繋がるということは、働き方改革実現会議民間議員の白河桃子さんも再三提言されています。

 

育休の延長だけでは限界が 総合的な支援を

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育児に関する政策として間もなく施行されるのが、10月から育児休業の期間が最長2年に延長される法律です。この「育休2年」については賛否両論あり、否定的な意見では長期に休むことによる職場への迷惑や自分のスキルが追いつかなくなるというものが目立ちました。

育休期間が最大2年に。働く女性たちの意見は? - くらしと仕事

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こういった反対派の意見の根本には、2年間という長期にわたって育児が女性に固定されてしまうという懸念があるように思われます。

今回のレポートでは、子育て中でも離職しない女性が多い地域には、第三者によるサービスや・男性の育児参加など母親のみに限定されないサポートが充実しているという特徴が明らかになっており、保育サービスの供給等に加え、男女両方が育休を取りやすい仕組み作りなど総合的な支援の必要を強く感じました。

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西谷 じゅり 西谷 じゅり